「人間の救い」の本の用い方
ナザレの会堂で，イエスがエホバの油そそがれた者に関するイザヤ書 61章1節を読み，それから，「あなたがたがいま聞いたこの聖句は，きょう成就しています」と言ったのは，何と目ざましい事だったのでしょう。―ルカ 4:16-21。
以外，わたしたちを含めて，すべての信仰の人にとって，それは確かに良いたよりでした。イエスこそ，イザヤ書の数多くの預言が関係しているその僕，すなわち油そそがれた者なのです。イエスはわたしたちの救いの手だてとなる方です。これはふれ告げるに値する知らせですし，現にわたしたちは熱心にそれをふれ告げています！
それで地域大会の折，「世の苦難からの人間の救いは近い！」（sl）と題するこの本を得たとき，何と感動させられたのでしょう。この本は，わたしたちに直接関係のあるイザヤの預言の数多くの重要な部分を取り扱っています。この本を既に読みだした方は，それが良い事柄でいかに満ちているかにお気付きでしょう。そして，そのような良い事柄について，恐らく兄弟たちや他の人々と既に話し合っておられることでしょう。
しかし，間もなくわたしたちはその内容をもっと良く知ることができるようになります。来たる十一月中に，「人間の救い」の本に基づく，四回にわたる特別の講演が行なわれます。それは来年の四月ごろに始まるその本の詳しい研究を見越した優れた予告編となるでしょう。また，それらの講演を通して，この本に収められている優れた事柄をよく知れば，十一月中の野外奉仕でそれを効果的に提供するのに助けとなるでしょう。
あなたは何を行なえるでしょうか
恐らくあなたはこれらの講演のどれかをするようなことはないでしょう。では，一体あなたはこのことに関係がありますか。確かにあります！
前述の二つの益について考えれば，その理由がお分かりでしょう。来年の四月ごろから会衆の書籍研究であなたはこの本を研究することになるのですから，「人間の救い」の本が大体どういう事を述べているかを知りたいと思われませんか。それを研究し終えるには何か月もかかります。ですから，今回の講演で大要を手早く知れば，この本がイザヤのどんな預言を説明しているか，また基本的に言ってそれらの預言がどのように適用されるかを知ることができます。それにこの本には，しっかりと銘記する必要のある，見解上の調整，つまり“新しい事柄”も多少あります。また，あなたは十一月の野外奉仕でこの新しい本を提供する際，確かにその内容を知っておきたいと思われるのではありませんか。したがって，これら四回の講演があなたにとって大切なものであることには疑問の余地がありません。それにしても，どうすればそれらの講演から最善の益が得られるでしょうか。
やがて行なわれる講演で毎週取り上げられる予定の資料を読むのは，確かに大変有益です。実際のところ，一週間に約5章ですから，それはかなりの分量の資料です。それに，スケジュールは既に一杯です。しかし，その可能性を退ける前に，次のことを考えてみてください。幾つかの章を読むのは，書籍研究のための予習をするのとは違います。その場合，質問を読んで，答えを決める必要はありません。むしろ，目を速く移しながら，幾つかの章をずっと読み通すことができます。そうすれば，講演から一層多くの益が得られるでしょう。
『そうすることができない場合はどうか』と問う人がいるかもしれません。あなたはご自分の事情をご存じでしょうが，ここにもう一つの可能性があります。どうしても毎週何章かを読むのが無理でしたら，資料に“ざっと目を通す”ことはできないでしょうか。毎週，ほんの三十分程を費やして，それぞれの章に速く目を通し，その基本的な内容の大要をつかめます。各章ごとに次のようにすることができるでしょう。まず，冒頭の一，二節か，各章の最初の一ページを読みます。それから，その章の残りは，各節の最初の文章だけを読み，また副見出しがあれば，それにも注意をしてゆきます。こうすれば，その章の大要を早くつかめます。詳細をすべて知ることにはならなくとも，これだけでもしておけば，講演はもっと意味深いものになるでしょう。
最後に，この公開講演にはご自分の本を持参してください。講演者はこの本に注意を向けるよう聴衆を促すことになります。聴衆の中のだれかにある部分を読んでもらうことさえ行なわれるでしょう。毎週，この本の内容を追って行くことによって，内容をより良く知るようにさえなれます。それこそわたしたちすべてが願い求めている祝福ですし，このような霊的な食物を与えられ，わたしたちはエホバに感謝しています。
講演者たち
大抵の場合，会衆には四つの講演全部を行なう十分の数の講演者（長老および有能な奉仕のしもべたち）がいることでしょう。とはいえ，もし二つの会衆が講演者を交換する必要があれば，そうすることもできます。
所定の資料を分けて，一つの講演を二人の講演者で扱っても構いません。このような講演の資料の性質上，そうすることもできます。（ここに資料の考えられる分け方を記します。講演No.1 ― イ，[1-3章]，ロ，[4，5章]。講演No.2 ― イ，[6-8章]，ロ，[9-11章]。講演No.3 ― イ，[12，13章]，ロ，[14，15章]。講演No.4 ― イ，[16，17章]，ロ，[18，19章]）もし，二人の兄弟が一つの講演を行なうことにあずかるよう決めるなら，二人の講演者は相談し合って，資料や時間の分け方をはっきりと理解しておくべきです。二人はまた，最初の講演者が話を第二部とどのように結び付けるか，あるいは第二部をどのように紹介するかをも考慮できます。
この本の80ページか，それ以上を釣合いの取れた，筋道の通った仕方で取り扱うためには，詳細な点を全部扱うことはできません。次に記す筋書きは助けになるでしょう。どうか，自分に割り当てられる筋書きを注意深く研究してください。あるページは考慮されていますが，故意に省略したページもあることに注意してください。そのようにすれば，重要な部分や新しい点に焦点を合わせることができ，余り多くの詳細な事柄を急いで述べて聴衆を閉口させるようなことをしないで済みます。ここに挙げられている聖句に注意を集中し，それを自分で読んだり，聴衆内のだれかに読んでもらったりしてください。そうすれば，すべての人が神の御言葉を一層よく知り，理解するよう助けられます。そして，それこそわたしたちすべてが心から願っている事柄ではないでしょうか。
あなたがたはご自分の兄弟姉妹に愛ある関心を抱いておられます。だからこそ，割り当てを受けた講演者の皆さんは，これらの講演の一つを用意して話すために自らを費やしておられます。兄弟たちを一層効果的に助ける上で役に立つのは，話の進展に伴って，この本の特定の節に注意を引いたり，それを読んだりすることです。各々の筋書きの中で，主要な節には「注意」と付記して，注意が促されていますが，その節は全部もしくは一部を読んで（または，読んでもらって）ください。確かに，そうするには，準備にも，また話す際にも余分の努力が要るでしょう。しかし，そのように努力して得られる良い成果からすれば，そうするだけの価値があります。（使徒 20:19-21と比べてください。）そして，本の中のあるページか節をほんの一，二回引き合いに出すのではなく，講演全体を通して努めてそうしてみてください。そのようにすれば，聴衆の兄弟たちは実際に話について行けますし，本を見，その中に収められている良い点を自らも見て，この本を用いることになります。
もし，できれば，9月号の「王国奉仕」に発表されているように，これら四つの講演を十一月に行なってください。会衆内の委細が決まりしだい，それを会衆に発表できます。また，各々の講演の前の週には，次週の講演について会衆に知らせ，各人が準備し，自分の書籍を持参するよう励ましてください。さらに，新たに関心を持った人々，とりわけ新しい本を持っていて，その内容についで学びたいと願っている人々を招待するよう，会衆の成員を励ますことができます。
1. 世の苦難からの救済はだれによってもたらされますか（sl 1-5章）
この世代は苦難に直面してきましたが，望みを抱くべき理由があります。（10分: 1，2章）人は皆，将来に関心を持っています。多くの人は将来に関する情報を政治評論家や易者に求めます。生きている人で，将来を予告できる人は一人もいません。将来のことを心配している多くの人は，1914年の転換期以来この世代は苦悩によって特徴づけられていることを知っています。（8-13ページ）人々が自分たちの捨てた諸宗教に導きを求めるのは，不合理なことです。（箴 26:11）世界の出来事を予告できることを証明した一人の方は，現代についても話されました。その方は，ユダヤ教の体制の滅びを予言することによって，ご自分が信頼できる解説者であることを示されました。そのユダヤ教の体制の滅びはまた，現代に対しても重要な意味を持っています。（15，17-19，23，24ページ。注意: 17，18節。マタイ 24:3，21。ルカ 21:24）その方はイエスです。彼はご自分がメシアであることを証明されました。証拠は，イエスが復活させられたことを示しています。（25-29ページ）世の苦難からの救済に関する希望を抱くべき理由を与えておられるその方について何を学べますか。
わたしたちはイエス･キリストに希望を置くことができます。この方は神の支持を得ておられるからです。（15分: 3章）この方は，感傷的な人々が崇敬している単なる赤子でもなければ，恥ずべき犯罪者でもありません。（43，44ページ）この方のことを，一世紀の支配者たちがしたように，また今日の支配者たちがしているように見るべきではありません。（30，31ページ）この方は一変して，高められ，権威を与えられています。イザヤ書 52章13節–53章12節は，わたしたちが確信を抱いてこの方に頼り，希望を持つことのできる理由を示しています。
聖書はこの方がイザヤ書 52章13節の僕であることを明らかにしています。（使徒 8:26-40を説明する。37，38ページ。注意: 17節）この方は神の右に高められ，支配権を行使する時を待ちました。（使徒 2:34-36。39-42ページ）これは，この方の，処刑され『醜くされた』律法違反者としての一般的なイメージとは対照的です。（イザヤ 52:14。44ページ）今日でさえ，大抵の人々は，この「僕」が諸国民に対してどのように戦うかに関する諸事実を僧職者からは聞いていません。ただ，エホバの証人だけが，即位した支配者としてのこの方に愛情を抱くよう人々に勧めています。（イザヤ 52:15。44-46ページ。40ページのさし絵について聴衆と共に話し合う）あなたはこのことにあずかっておられますか。あなたは，確信を抱ける理由をご存じですか。
わたしたちはこの方の忠誠のゆえに確信を抱くことができます。（15分: 4章）この方に対してだれが確信，つまり信仰を抱くでしょうか。（イザヤ 53:1。46-48ページ）この方は地上で生まれねばなりませんでした。その出だしはみすぼらしいもので，宗教指導者たちはこの方を魅力のない者と見ました。（イザヤ 53:2。49-52ページ）この方は多くの人を癒し，しかも霊的な癒しを強調しましたが，それでも反対者たちはこの方を尊ぼうとはしませんでした。（イザヤ 53:3。ヨハネ 7:48，49。52-55ページ）しかし，神はどうしてこの方が辱められるのを許されたのですか。この点を理解することは，救済に対するわたしたちの希望に関係があります。それが許されたので，み子は，ヨブの件で持ち出されたサタンの挑戦が誤っていることを証明し得ました。正当な主権者としてのみ父の正しさを，み子により十分に立証していただきましょう。（59-64ページ。注意: 37節）み父がみ子に対してこれ程の確信を持っておられたことを考えれば，この方に対するわたしたちの確信や，将来に対するわたしたちの希望は強められるはずです。
神のみ子が示された忠誠に基づいて，確固とした希望を築きなさい。（15分: 5章）わたしたちは，み子が喜んで身代わりのやぎとなり，他の人々のために死なれたことを感謝できます。（イザヤ 53:4，5。65，67ページ）不完全な人間を助ける点でのこの方の関心の程は，行なわれた癒しの業のうちに見られます。それは，信仰を抱く人たちのためにこの方がこれから行ない得る事に関する，わたしたちの希望を鼓舞するものとなります。（68ページ）迫害を耐え忍ばれたことは，わたしたちを益するものとなりました。（69ページ。注意: 10節）イエスは犠牲の子羊のように死ぬのを嫌って戦ったりはなさいませんでした。（イザヤ 53:6，7。71，72ページ）敵を拘束することを控えることにより，神はみ子が邪悪な者と共に杭に付けられ，殺され，そして葬られることを許されました。（イザヤ 53:8，9。72，77-79ページ）神はみ子が砕かれるのを許す一方，み子の示した忠誠を喜ばれました。（イザヤ 53:10，11。80ページ。注意: 35節）こうして，み子はわたしたちの「永遠の父」となる立場につけられました。み子は多くの人々を義にかなった立場に導くことになるからです。（81-84ページ）み子は，ノアやヨブといった人たちと同じように忠実でした。（イザヤ 53:12。85ページ）イエスが多くの人の罪を負ってくださったことを，あなたは感謝しておられますか。神は愛と憐れみの気持ちに動かされて，み子が贖いとなるよう取り計らわれましたが，あなたはこの神の愛と憐れみを正しく評価しておられますか。このようなわけで，わたしたちは，イエスによって世の苦難からの救済がもたらされること，イエスはそのような方であることを確信できますし，感謝の気持ちを抱いて答え応じるよう，心を動かされます。―テトス 3:4-6。90，91ページ。
2. 今，そして永遠にパラダイスで生活する道を選んでください（sl 6-11章）
わたしたちはパラダイスで生活できます。それは単なる夢ではありません。（15分: 6章）広範な汚染を考えると，パラダイスの中で生活したいとの願いが一層強められます。貪欲な人間は決して地をパラダイスに変えることはできません。それどころか，その逆のことをしています。（132，133ページ）わたしたちの多くは，イザヤ書 35章5，6節; 11章6-9節などの人の胸に訴える描写を見いだしてきました。（要点）これらの預言はどのように適用しますか。いつ，まただれに対して適用されますか。それは，わたしたちが今，また将来パラダイスを享受するということと，どんな関係がありますか。このような点を理解しなければなりません。
パウロが見た「パラダイス」に問題のかぎがあります。それは古代イスラエルに型を持つ霊的なパラダイスでした。（コリント第二 12:1-5。133-136ページ。注意: 6，9節）イザヤ書 35章を理解する助けとして，同55章を考慮しましょう。その適用には，西暦前537年まで流刑の身となっていたユダヤ人が関係していました。神は救出に関する音信をお与えになりました。（イザヤ 55:1，2。98ページ。注意: 16節）大いなるバビロンに捕らわれていた霊的なイスラエルにとっても，それはやはり救出に関する音信でした。（99-102ページ。ヨハネ 8:32）糧をもって養われる生活は，ダビデの相続者イエスを中心とするものでした。（イザヤ 55:3，4。107-109ページ）まるで，神を知らなかった国民のように，多くの人々は真の崇拝に携わることができるようになり，その通りのことが起きました。（イザヤ 55:5。110，112，113ページ）それにしても，わたしたちが今，そして永遠にパラダイスを享受するには，何が求められていますか。
もし，神の要求にかなうなら，今霊的なパラダイスを享受できます。（15分: 7，8章）邪悪な事をすべて捨て去って，エホバのもとに来なければなりません。（イザヤ 55:6，7。箴 21:27。113，114，116，117ページ）神は喜んで赦してくださいますし，わたしたちはその言葉を当てにすることができます。（イザヤ 55:8-11。118-120ページ）古代のイスラエルの場合，解放と赦しは，回復とパラダイスをもたらしました。（イザヤ 55:12，13。123-126ページ）霊的なイスラエル人も，それに対応する経験をしました。（129-132ページ。注意: 39，40節）わたしたちは神の要求にかなうよう努力し，今，そして永遠にパラダイスを享受できるようにしていますか。
あなたはイザヤ書 35章をどのように理解し，また説明してこられましたか。バビロンからのイスラエルの復帰と，霊的なイスラエル人の解放とを比較すると，これら回復に関する預言の主要な，最終的，完全な成就は，霊的なパラダイスに適用されることが分かります。新秩序には，それに対応するような事態が生じないと言っているのではありません。その描写は，エデンに存在した状態と合致していますから，新秩序にも同様の状態が見られるものと期待できます。しかし，そのような将来の状態を，イザヤ書 35章の主要な，もしくは最終的な成就とみなすべきではありません。（142ページ。注意: 23節）縮図的な成就において神は復帰したイスラエル人に豊かな祝福を与えましたし，後代には霊的なイスラエルを解放しました。（イザヤ 35:1，2。141-143ページ）あたかも，目は開かれ，耳は開けられ，足のなえた状態は除かれ，口のきけない者の舌は解かれてエホバを賛美し，命の水が流れ出ました。（イザヤ 35:5-7。151-155ページ）しかし，あなたはどのように関係していますか。これはあなたの見方，ひととなり，将来に対する見込みに直接影響を及ぼしますか。イザヤの預言をさらに研究してみてください。
霊的なパラダイスは清い人たちのためのものです。（10分: 9章）宗教的汚染から清められたユダヤ人のために神は，約束の地に戻る道を設けられました。彼らは動物や，獣のような人間からも守られました。（イザヤ 35:8，9。156-159ページ）霊的なパラダイスに向かって進む人たちも，清くなければなりません。人間や組織によって脅かされることはありません。（160，161ページ。注意: 14，15節）両方の成就の場合とも，解放，復帰，清い崇拝の再開は歓喜のいわれとなりました。（イザヤ 35:10。164-169ページ。注意: 22節）霊的なパラダイスに入る資格を得ようとの努力は，今や喜びと，パラダイスに永遠にとどまる見込みとをもって報われました。
自らを一変させ，わたしたちの王の手本に従いなさい。（15分: 10，11章）パラダイスは反抗的で，動物的な人のための場所ではありません。支配者も住民も，聖霊によって影響された人格を身に着けねばなりません。（170，171ページ）イザヤ書 11章はそのことを示しています。イエスは支配者です。（イザヤ 11:1，2。174-177ページ）わたしたちは，虐げられた人たちを解放する審判者としてのイエスに頼ることができます。（イザヤ 11:3-5。180-183ページ）その臣民はイエスに見倣うことを願います。イザヤ書 11章6-8節は，そのような人格上の変化を描写しています。（184-186ページ）それは今起きています。（187-189ページ。注意: 12，14節）エホバを知る知識は動物に知的影響を与えませんが，それは人間の性向に影響しています。（イザヤ 11:9。191，192，194ページ。注意: 22，28節）多くの人々は知識を得，イエスのもとに集まっています。（イザヤ 11:10。197，201ページ）今や霊的なパラダイスが現実に存在し，それに伴って人々の動物的な性向が一変していることからして，新秩序のもとでは，預言に対応するものとして動物の間にさえ平和な状態がもたらされるのは確実な事です。霊的なパラダイスに入って，そこにとどまるのは大変肝要です。それは真の崇拝者たちが永遠に享受できる地的なパラダイスの前触れとなるものだからです。―202-204ページ。注意: 51，52節。
3. 明るい将来を望み見る（sl 12-15章）
将来が明るいものとなるには，重大な変化が必要です。（20分: 12章）物事が悪化の一途をたどっているのを見て，人々は将来に対して悲観的です。国際間の紛争や人口爆発などの問題の真の解決策は，人間的な源からは一つも提示されていません。それでも，聖書はあなたの将来が明るいものとなり得ることを示しています。将来が明るいものとなるには，重大な変化が必要です。悲惨なスラム街は，もっと良いものを建てて一掃しなければならないように，偽宗教や悪質な政府を含め，腐敗した人類の全体制は別のもので置き替えられることになります。あなたの将来を明るいものにするには「神が行なわれる事柄を理解し，それと協同しなければなりません。―ダニエル 4:35; 2:44。
偽宗教は人々を誤導した点で特に叱責に値します。創造者を代表するものであると称するキリスト教世界およびユダヤ教に対して，当の創造者はどのように見ておられますか。マタイ 13章31，32節は，キリスト教世界，すなわち幾百万もの人々を誤導する，王国の偽造物の成長を例えで示しています。文脈を考えると，その適用を理解するのに助けとなります。「天の王国」に関する他の例えの中で，イエスは「雑草」とは，悪魔によってまかれた「邪悪な者の子たち」で，「鳥」はサタンの手先であることを明らかにされました。（マタイ 13:25，38，4，19。マルコ 4:15。206-208ページ）キリスト教世界は偽者の「天の王国」で，次の例え話が示すように，悪で満ちています。（マタイ 13:33）「パン種」は聖書の中では腐敗させる力を表わすものとして用いられています。（209-211ページ。注意: 11節。コリント第一 5:6-8）それはキリスト教世界を創設するに至った，予告されたキリスト教の背教に相当します。同世界は今日に至るまで腐敗しています。（212-214ページ。ガラテア 5:9，19-21）同世界に対する神の裁きは，イザヤ書 34章に示されています。（その章の各節全部を読む必要はない。重要な個所に注意を向けさせなさい。）
それは宇宙の法廷での裁判の様子を描写しています。（イザヤ 34:1-4。215-217ページ）その預言は，真の崇拝に敵対する長年の敵エドムに対する裁きを述べたものです。（イザヤ 34:5-8。218-221ページ）その現代の相対物はキリスト教世界で，同世界はエサウのように，霊的な物事を正しく評価する態度に欠けていることを示し，しかも神の僕たちを憎んできました。―223-226ページ。注意: 47，48節。
エホバは偽宗教のない将来のことを述べておられます。（10分: 13章）エホバがキリスト教世界に対して行動を起こされた後，事態はどうなりますか。（イザヤ 34:8）完全な荒廃を予告しておられます。（イザヤ 34:9-17。228-230ページ）啓示の書は，それがどのようにして起きるかを明らかにしています。それは，キリスト教世界が主要な部分を成している偽宗教の世界帝国を描写しています。（啓示 17:1，2，5，6。233，234ページ）大いなるバビロンは国際平和機構の上に乗っています。（啓示 17:3，8，11。235-238ページ）この機構は偽宗教に敵対するようになります。それはどのようにして，またいつですか。あなたの将来はどのように関係していますか。―啓示 17:16。
明るい将来には，来たるべき「大患難」も含まれています。（15分: 14章）偽宗教の長い歴史やその権力からすれば，果たして偽宗教は将来どのようにして滅ぼされるのでしょうか。それは神の意志の通りになされるでしょう。（啓示 17:17。241，242，245ページ。注意: 6，7，14節）明るい将来を持つには，偽宗教から出て，その外にいなければなりません。（247ページ）偽宗教の滅びに続いて，神の僕たちを滅ぼそうとする政治上の努力が払われます。（250ページ。注意: 26節）このことはマゴグのゴグ，すなわち天から放逐されて以来卑しめられた状態にあるサタンによる攻撃として，エゼキエル書 38，39章の中で描かれています。（254，255ページ）敵は神の民の繁栄する霊的な状態を見て，それに動かされて攻撃することになります。（エゼキエル 38:10-12。255-258ページ）わたしたちはエホバに依り頼まなくてはなりません。（258，259ページ）その攻撃は「大患難」の第二部を招きます。（エゼキエル 38:18，19。260，262，267ページ。注意: 52，64節）人類はどのような影響を受けますか。
神に反対する者たちにとって将来は暗たんとしていますが，神の友にとって将来は明るいものです。（10分: 15章）結果として，反対する制度や組織が終わりを告げるにとどまらず，人間の生命も関係することになります。（啓示 19:19-21。265ページ，61節。269ページ，2節）殺された者たちは野ざらしにされて，動物に食い尽くされてしまいます。（270-272ページ）わたしたちは神の裁きの正しさを確信できます。それは完全で，義にかなったものだからです。（274，275ページ。申命 32:4）偽宗教と，神に反対する者たちの残りの者の終わりは，歓喜のいわれとなります。（275-277ページ。注意: 17，21節。啓示 15:4）わたしたちには，永遠の幸福な生活を営む機会が与えられます。これは本当に明るい将来といえます。
4. 「新しい天と新しい地」はあなたにとって何を意味しますか（sl 16-19章）
今起きていることをはっきりと理解して，それに従って行動しなさい。（25分: 16章）人の命に関係する事実を無視するのは愚かなことです。知恵は，知識を持って，それを用いることと関係があります。多くの人々は，現に起きていること，また間もなく起きるであろうと神が言われることを認めようとしません。預言の成就を通して，今が「終わりの日」であることを，わたしたちは知っています。しかし，ペテロの予告通り，多くの人々はそれを認めようとはしません。（ルカ 21:25，26。ペテロ第二 3:1-4。278-280ページ）彼らは，目を覚ましているようにとの主の命令を侮っています。わたしたちもそうしますか。多くの教会は誤って，イエスの肉身による再来を期待していますが，その臨在は目に見えるものではありません。―283ページ。注意: 14節。
ノアの時代の事柄から教訓を学べます。文字通りの大気圏の天とこの地球について述べた後，ペテロは，当時の人類の世が滅ぼされたことを述べています。（ペテロ第二 3:5，6）物理的な天も，文字通りの地も滅ぼされませんでしたし，また目に見えない霊の被造物も滅ぼされませんでした。邪悪な人々が滅びました。（ペテロ第二 2:5。285-287ページ。注意: 23節）「同じみことばによって」，すなわち神の定めによって，もう一度，別の滅びの到来することが保証されています。その滅びも，大洪水の場合同様，文字通りの惑星や恒星，もしくは大気圏の滅びではなく，不敬虔な人々の滅びです。（ペテロ第二 3:7。288，289ページ）「地」は人類の社会を象徴しており，「天」は人間の統治機構を表わしています。（291，292ページ）それで，サタンは人間の諸政府の支配者ですが，不敬虔な人々の滅びの時まで蓄え置かれている，ペテロ第二 3章7節の「天」にはサタンは含まれていません。わたしたちは神が辛抱してこられたことを感謝できます。（ペテロ第二 3:8，9。294-296ページ。注意: 43節）その日，人間の諸政府は過ぎ去りますし，彼らの建造物の業も滅びを免れられません。（ペテロ第二 3:10。299-301ページ。注意: 52，55，56節）わたしたちは，間もなく起こる事柄をはっきりと理解して生活することにより，知恵を示せます。―ペテロ第二 3:11，12。304，305ページ。
王国の活動は「新しい天と新しい地」のための道を開くものとなります。（10分: 17章）現在の天と地はどのようにして一掃されますか。神は王国をお用いになります。（ダニエル 2:34，35，44。308-313ページ）ダニエル書 2章44節には，サタンが底知れぬ所に入れられることは含まれていません。（313，314ページ。注意: 12，14節）ペテロ第二 3章13節は何を意味していますか。それを理解するのに，イザヤ書 65章17，18節; 66章22節が助けになります。それは，ゼルバベルが回復したユダヤ人の残りの者の「新しい地」を治める「新しい天」となった時，縮図的成就を見ました。（315ページ。注意: 19節）主要な成就においては，地上にいた時にダビデの王国契約の永久相続者となられたイエスと，実際に天から支配するために地から取られる十四万四千人とで成る「新しい天」があります。（317ページ）真の崇拝者で成る新しい人類社会はこの惑星を全地球的なパラダイスに変えることでしょう。（啓示 21:1-4。318-320ページ）そのような状態を享受できるようになる前に，わたしたちは決定を下さねばなりません。
世の苦難が最高潮を迎える期間中，だれの側に立ちますか。（10分: 18章）これから来ようとする事柄を知っているので，わたしたちは決定を迫られています。わたしたちは今，また将来，だれの側に立ちますか。エホバに受け入れられる者となるよう，今努力していますか。（ペテロ第二 3:14-16。321ページ）弟子を作る業に活発にあずかって，救いを得るよう他の人を助けていますか。（322ページ）会衆内の平和のために働いていますか。（324，328ページ）キリスト教世界には平安もありませんし，同世界は汚点のないものではありません。（332ページ）もし神の側に立っているなら，わたしたちはキリスト教世界の滅びを見ることになります。（336ページ。36節）また，諸国民が攻撃する際，保護を受けられます。（340ページ）ですから，今神の側に立つことに決めるのは大変肝要で，それは命を意味しています。―343ページ。
平和な「新しい地」では何という祝福がわたしたちを待ち受けているのでしょう。（10分: 19章）確信を抱いてください。神はご自分のものを生き長らえさせる方法をご存じだからです。（ペテロ第二 2:9。344，345ページ）その直後，どんな状態が存在するか，今は分かりませんが，それでも歓喜できることは確かです。（349，350ページ。注意: 13節）その時，地をパラダイスに変えることができます。（351ページ。注意: 17節）キリストはわたしたちの永遠の父となられます。（イザヤ 9:6。355ページ）その時，わたしたちには，生き残る長老たちや，復活させられる忠実な人たちのような「君たち」がいます。（イザヤ 32:1，2。356。358ページ）では，新秩序が確立される前に事態がどんなに苦しくなろうとも，神の側に，そして「新しい天と新しい地」によって祝福される立場にとどまるよう決意してください。―詩 66:10-12。362-365ページ。注意: 44節。