世界展望
心臓発作の原因は?
◆ 医師たちの話によれば,心臓発作は冠状動脈の血流の閉塞によって引き起こされる。しかしこの閉塞の原因となるものは何だろうか。イタリアのある医師団は,心臓に血液を運ぶ動脈のけいれんがその主因と見られる証拠を提出した。ピサ大学の研究者たちは,血液が心臓に到達しないために胸部の痛みを訴える76人の患者を精密に検査した。その結果,かたまりができるのはけいれんのあった直後であること,しかも動脈内のけいれんの起ったその場所にできることが分かった。これらの発見により,けいれんを抑止する薬剤を投与することなど,心臓発作を防止する面での異なった治療法の可能性が生まれてきた。しかしけいれんは,普通,硬化して機能の衰えた動脈に生ずると医師たちは結論を下している。
米国ペンシルバニア州の一研究者の最近の発見は,新たに,動脈毛細血管の硬化現象や全般的な機能障害を喫煙と関連づけている。その医師は次のような結論を下している。「たばこを吸うと,これら特定の動脈が損なわれ,その血管の壁は固くなる。したがって脈拍数が低下すると,血管は(血行をよくするために)広がることができなくなる。これは一応老年期に生ずることだが,喫煙者の場合は二倍も早くこうした症状が見られる」。
校内暴力
◆ 全米教育協会は,1978年度の学年に6万900人以上の教師が襲われたと述べている。この数字は米国の公立学校の教師の3%にすぎないが,17%の人々は襲われるという不安を絶えず感じながら生活しており,12%の人々は脅迫された。学生たちとその両親から成る襲撃者たちは,いす,鉛管,消火器,ピストル,紙ばさみ,氷かきの付いた鉄製のくしなどの一組の武器を駆使していた。悪い点をつけられていきり立ったロサンゼルスの一学生グループは,教師の髪の毛を燃やすことまでした。暴行の多くは,教師たちが仕返しと学校当局の批判を恐れたため,表ざたにはなっていない。教職員組合の一役員は,「子供たちは罰せられないことを知っているので,暴行を働いても構わないと考えている」と語った。こうした暴行事件は教師の側に感情面での問題を引き起こしている。ロサンゼルスの都市部に住む253人の教職員を調査した結果,数多くの教員が,戦時中の兵士がかかった“戦闘ノイローゼ”に似た症状を呈していることが判明している。
大人向けのおもちゃ?
◆ 金持ちの大人向けの高価な“玩具”を売るための店がカリフォルニア州にオープンした。一人乗りのヘリコプター(約600万円),一人乗りのジェット機(約1,000万円),手作りの自動車(約800万円から2,000万円まで),艇身12㍍のモーターボート(約2,000万円)などの在庫品から好きなものを選ぶことができる。これが高すぎて手が届かない場合には,60㌦(約1万2,000円)の店ののぼりを買うことができる。こののぼりはこの店で一番安価な商品の一つである。こうした品物はよく売れているのだろうか。600万㌦(約12億円)はあるといわれる在庫について,その店の持ち主の一人は,「12月中には在庫を処分したい」と述べている。
強姦の発生しやすい場所はどこか?
◆ 強姦は人目につかない暗がりよりも室内で発生しやすい。そして加害者は被害者と面識のある場合が多い。イリノイ大学のポーリン・バート女史による新研究は室内の強姦が多い主因として,戸外だと被害者は比較的容易に逃れやすいという点を挙げている。強姦されそうになった時の最善の防御策は何だろうか。叫び声を上げることと抵抗することである。
その研究者はこう結論づけている。「私は言葉による戦術は無意味だと述べているのではない。女性は,自分のクレジットカードを返してもらうこととか強姦の行なわれる場所などについて相手と交渉することができる。しかし言葉による説得だけでその場を逃れた女性はほとんどいない」。室内であっても女性は叫んで抵抗すべきであると同女史は提案している。引き延ばし戦術が効を奏し,外にいる人が助けに来てくれる場合があるからである。
ウィジャ盤が虐待を招く
◆ ウィジャ盤から得られた“お告げ”を信じた保護者が養子を四年以上にわたって殴打し虐待した事件があり,これがオレゴン州(米国)の法廷に持ち込まれることになった。家の中から物がなくなると決まってウィジャ盤におうかがいが立てられ,その答えとして挙げられたのはいつもその養子の名前だったと言われている。申し立てによれば,その少年は罰としていすに縛り付けられてから釣りざおかベルトで打たれたという。さらに無理やりスプーン一杯のこしょうを飲まされたり,大量のかぎたばこをかんで飲まされたりした。その上,家族が海岸に遊びに行っていた間の三日間は,自分の部屋に軟禁されていた。
読書 ― すたれつつあるか?
◆ 出版業界公認のある調査結果によれば,インタビューを受けた16歳以上の1,450人のアメリカ人のうち,約半数が今まで一冊も本を読んだことがないという。その研究が明らかにしたところによれば,39%の人は新聞と雑誌しか読まないと述べ,6%は出版されたものは全然読まないと言っている。しかし今なお読書に親しんでいる55%の人の中で,最も好まれている読み物は,伝記と自叙伝であり,その次に料理の本,歴史,宗教,教育,時事,スポーツ,心理学,自立に関する本が続いている。この調査が明確にしているのは,テレビを見る人は必ずしも読書を妨げられているわけではないということと,人々は本を読む時間がなくなってしまうほど多くの時間を他の娯楽活動に費やしているのでないということである。最も忙しい人が本を読んでいるということも明らかになった。
バプテストのヨハネの遺体?
◆ 二年前にエジプトの古い僧院で発見された二つの遺体は,バプテストのヨハネおよび預言者エリシャのものであると最近報ぜられた。しかしリポーターの調べたひとつの遺体には今でも首がついているものの,体は「腐敗していない」ということであった。伝えられるところによると,コプト派正統教会の高位僧職者はこの“発見”に慎重であり,専門家の調査委員会を設置した。聖書はこれら“専門家”に役立つであろう。聖書はヨハネが首を切られたと述べている。(マルコ 6:25-27)他方,モルモン教会はそれがヨハネであることをきっぱり否定した。「なぜなら彼[ヨハネ]は1829年という最近に,復活した者として現われたからである」と彼らは主張している。この“出現”の期間に彼は教祖ジョゼフ・スミスとひとりの仲間を訪れたと,教会では主張している。しかしこの“ヨハネ”はどこから来たのだろうか。聖書にはバプテストのヨハネは天に上らなかったと述べられている。―マタイ 11:11。
恥は消え去った
◆ 私生児を産むのは恥ずかしいことと考えて多くの娘たちは未婚の母のための施設に集まったものだが,その考えは事実上消え去ってしまった。それに伴って,この種の施設の必要性もだいぶ薄れている。これらの施設のあらかたはすでに閉鎖され,通常社会事業団体によって運営されている残された数少ない施設でも,ベッドは空いている。施設にやって来る娘たちのタイプも変化した。まず年が若くなった。ある施設の職員は,平均年齢が過去10年間に17歳から15歳に低下したと指摘している。さらに13歳,14歳で妊娠するのがごく普通になり,11歳という若さで身ごもる少女もいる。「ここは育児センターと変わらなくなってしまった」と一職員は述懐している。昔,ここにやって来た娘たちは自らのていたらくを恥じ,施設外の人々の目には触れないようにと心がけた。施設管理者の一人の言葉によれば,今では娘たちは地元のデパートに騒々しく繰り出し,「だれに見られようとお構いなしで,男の子をひっかけて不純交遊をしようとさえする」という。しかしある少女は後悔して次のように述べた。「前は子供が欲しいと思いました。でも今はそら恐ろしい感じです。泣きやませることができなかったらどうしたらいいのでしょうか。この幼い命に万一のことがあったらどうしたらいいのでしょう」。
風邪にチキン・スープ
◆ 昔から母親たちの間で言われてきたことであるが,風邪を直すチキン・スープの効能が今や科学的に証明された。どのようにだろうか。肺疾患の専門家マービン・A・サックナー博士によると,チキン・スープは鼻腔内の粘液の流れを増加させる点で,他の熱い飲み物よりも効果がある。これは風邪の原因となる有機体が粘膜に浸透しないうちにそれを除くのを早める。湯の蒸気はすべて粘液の流れを促進するが,チキン・スープは“余分の”働きをする。
羊運搬船
◆ 不用になったオイルタンカー二隻が,オーストラリアから中東の市場へ羊を運んでいる。商売上手な日本の一企業が,大きなタンカーを,20日間の航海で三万頭の羊を運ぶ船に改造した。長さ100㍍にわたり,1.5㍍の層を八段重ねた囲いが上甲板に作られた。英国のニュー・サイエンティスト誌は次のように報じている。「以前の原油のタンクは飼料,水,ふん尿を入れる場所になった。飼料はコンベヤーで羊のところに運ばれ,ふん尿はパイプで直接に汚水タンクに送り込まれる」。
安息日の抜け穴
◆ ラモトへの新しい道は,信仰心の篤い人々の住むエルサレム北部を通っている。地域の住民は安息日にその道を使うことが安息日を汚すことになると考え,ラモトの住民が道路を使う事に強く反対している。それでも効き目がないので,信心深い若者たちは,最近,「金曜日夜と土曜日午後,車に石を投げつけた」とエルサレム・ポスト紙に報じられている。石は数十台の車に当たった。ポスト紙によれば,「安息日に石を投げることがどうして正当化されるのかを尋ねられて,宗門のスポークスマンは」次のように答えた。「それをしたのは13歳以下の少年であり,ラビの勧告は,もし少年たちの行為が相応の目的にかなうものである限り彼らには適用されない」。
愛護精神はどうなったか?
◆ ペンシルバニア州ノリスタウンでは鹿狩りのシーズン開幕と同時に,公園の動物園でおりの中の妊娠した雌鹿が残酷にも殺されてしまった。鹿の首には弾丸が打ち込まれていたが,赤ん坊の鹿を助けるために努力が払われた。「もう少し持ちこたえれば,産むことができただろう」と,動物園の園長は嘆いている。動物園の雄鹿も行方不明になっており,殺されたものと見られる。皮肉なことに,前日の新聞に出た,おりの中の雄鹿の写真には,狩猟シーズン中,少なくともこの鹿は安全という見出しがつけられていた。
高い養育費
◆ 米国では病院で出産するのに今日どれだけの費用を要するだろうか。アイダホ大学の専門家によれば,2,463㌦(約50万円)である。これには「入院費,医療費,育児に要する費用,妊婦服」が含まれるという。子供を18歳になるまで育てるのに要する費用は5万4,000㌦(約1,000万円)見当と見積られている。「養育費をどうするかは,子供が産まれてからではなく,今,考えておくべきである」と専門家は語っている。