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目ざめよ! 1975
目75 9/8 21–24ページ

天空にそびえ立つ塔

カナダの「目ざめよ!」通信員

とがった先端が空をにらむ,打ち上げ準備の整った巨大なロケットのように,カナダのトロント市に堂々とそびえ立つ塔,それはまさしく“天空に”そびえ立つ塔です。高さ553㍍のその印象的な塔を驚嘆のまなざしをもって見上げると,人は興奮を覚えざるを得ません。その高さは,アポロ11号を月に打ち上げるのに用いたサターン5型ロケットの5倍に当たります。目を見張らせるその塔は,ワイヤーなどによる支えのない建造物としては世界一高い,“CNタワー”です。(“CN”は,カナダの国有鉄道および国営通信網であるカナディアン・ナショナル[Canadian National]の頭文字です。)

人類史のごく初期の時代から,最初は偽りの宗教のため,その後は軍事的に有利な地歩を固めるため,人間は『天空に達する』塔の建築に従事してきました。(創世 11:1-9)記録に残っているこうした塔の中でも最古の記録を有する寺院塔つまりジッグラトには高潔な目的がありませんでした。しかし,それ以来人間は,塔を用いて有意義な目的を達成するという面で驚くべき能力を発揮したこともありました。そうした塔が建築美や周囲との均整を保つという理由だけで建てられたこともありましたが,時には巨大な橋梁を支えるというようなより実用的な目的のために設計されたこともありました。

前述の最後の二つの目的を兼ね備えるよう意図されたCNタワーは,美学的観点から見る目を楽しませる上,幾つかの実用的な目的をも果たす建造物です。その塔の建築が始まった際に,連邦鉱業・エネルギー・天然資源相ドナルド・マクドナルドは次のように語りましたが,正にその通りです。「CNタワーは印象的であるだけではなく,非常に実用的な建造物ともなるであろう」。

確かに印象的です! パリのエッフェル塔をご覧になったことがありますか。CNタワーの尖端の高さは,エッフェル塔の2倍の高さにわずか45㍍足らないだけです。あるいは,ニューヨーク市のエンパイア・ステート・ビルの最上階まで登ったことがおありですか。そこまで登ったとしても,それはCNタワーの一番高い所までの三分の二を少し超えた高さに過ぎません。そうです,CNタワーは,世界で最も高いオフィス・ビルである米国シカゴのシアーズ・タワーよりも約120㍍も高いのです。確かに,553㍍のCNタワーよりも高いテレビ送信塔があるにはありますが,そうした送信塔は支線その他の外部から固定させる方法によって支えられているのに対して,CNタワーは外部からの支えなしで「一本立ち」しているのです。高さが500㍍以上もあるこの塔は,大都会トロント一帯を見下ろしています。

とはいえ,印象的なのはその塔の高さばかりではありません。この塔は基礎からロケットの“安定板”のような形をして上に伸びており,このY字形の基部から地上約330㍍の箇所まで上に行くに従って少しずつ細くなってゆきます。その箇所までくると,形のよく整った7階建ての円形展望台および回転レストランがあって,真っすぐ上に伸びる塔の輪郭を変えています。この“スカイポッド”の上から塔は六角形の柱となって,上部展望台までさらに約122㍍伸びてゆきます。最後に,この建造物の上には,徐々に先が細くなってゆき,その先端が針の先ほどになっている102㍍のアンテナ鉄塔があります。一度このCNタワーをご覧になれば,そのすっきりとして優美な外観は,忘れられない印象として残ることでしょう。

驚くべき建築技術

『一体どのようにしてそれほど高い塔を建てることができたのだろうか』とお尋ねになるかもしれません。それは容易な作業ではありませんでした。基礎が据えられる予定地では,地下約27㍍の深さまで徹底的な地質調査が行なわれた後,1973年2月に掘削工事が始まりました。その掘削工事は地下約17㍍の深さまで続けられ(最後の8㍍ほどは岩盤を削った),その結果6万2,000㌧余りの泥板岩を運び出さねばなりませんでした。そして,穴の表面には湿った黄麻布があてがわれました。それから,土台の岩盤の変質を防ぐための“覆い”として,コンクリートが30㌢の厚さになるまで打たれました。そのコンクリートの覆いの上に,さらにコンクリートが流し込まれ,別の層ができましたが,その層の厚さは実に5.5㍍もあります。それから,7,000立方㍍のコンクリートで土台が据えられました。

その次には,塔のY字型の部分および六角形の柱の部分に,コンクリートを流し込む作業が行なわれました。この作業は,油圧によって徐々に上昇してゆく“コンクリート打ち込み用の型枠”(幾つかのジャッキで環状に支えられている)を用いて行なわれました。こうして,迷路のように入り組んだ鉄骨や鉄筋の周りにコンクートを打つことができ,塔は一日6㍍の割合で高くなってゆきました。この流し込み作業は1974年2月22日まで続き,高さ446㍍,つまり上部展望台のすぐ下の所までが完成しました。“コンクリートの打ち納め”式は1974年3月21日に挙行されました。この工事には,5,000㌧の鉄筋,600㌧の構造用圧延鋼および1,000㌧(長さにして128㌔㍍)の強化ケーブルと共に,少なくとも10万6,000㌧のコンクリートが用いられました。

こうした珍しい建築方法は,驚くべき建築技術を生み出しました。これほどの高さの建造物に対して,建築技師たちは絶対垂直線からの誤差を7㌢まで許容します。ところがCNタワーの場合,巨大な下げ振りと精密な光学器械を用いて定期的な測定を行なうことによって,わずか2.8㌢の誤差を出しただけでコンクリートの流し込みを終えることができました。

毎日検査しなければならなかったもう一つの事柄は,建造物が高くなるに従って生ずるねじれの傾向です。この“ねじれ振動”は地球の自転と関係があると言われ,建築中の高くて細い建造物を,北半球では左回りにねじってしまいます。南半球ではそれが右回りになります。前述の器械や約300㍍離れた地点の数か所に設けられた測量所などからの測定値に従って,ジャッキ系統に必要な調整を加えることができ,その結果,“まっすぐな”建造物が出来上がりました。

このようにして造られたコンクリートの塔の上には,ヘリコプターによって設置された300㌧余りのアンテナ鉄塔が立っています。冬の間は,この鋼鉄製の送信塔が凍りついて雪が積らないようにするため,ガラスで強化されたプラスチックの覆いをこの鉄塔に取り付けることが計画されています。

強度と安全性

この塔は堅固で安全でしょうか。工事関係者はそう考えています。既に述べた基礎工事やコンクリートを強化する工法などに見られるように,塔の強度と安全性を確かなものにするため多大の努力が払われました。その上,CNタワー株式会社の社長R・A・バンディーン博士によると,コンクリートそのものは1平方㌢当たり420㌔の圧力に耐える強度があり,設計明細書で求められている1平方㌢当たり350㌔を十分上回っています。これは安全を保つのに十分過ぎるほどの強度であると考えられています。専門技術者や現場技師たちは,工事現場に設けられた実験室を使って,毎日コンクリートの質をテストしました。

それでは,ジャンボ・ジェット機のようなものがこの塔に衝突したらどうなるでしょうか。塔の建築分析の専門家であるスイスのブルーノ・ターリマン博士は,そのような場合,CNタワーが被る損害は最小限に食い止められるであろうと自信を持って答えました。飛行機が被る損害は,別問題です。

強い風が吹いても,塔の先端はほとんど揺れ動きません。既に強い風の吹いた日がありましたが,塔は展望台の高さでわずか12㌢ほど揺れ動いたに過ぎませんでした。ハリケーンのような風が吹くなら,同じ高さで60㌢ほど揺れ動くであろうと言う研究者もいます。強い風が吹いた時,モスクワのオスタンキノ通信塔(533㍍)が何㍍も揺れ動いたという報道を聞かなければ,CNタワーのその揺れを大きなものと感じるかもしれません。

CNタワーが強い風にも耐えられる秘密は,最終的なデザインや形にあることが分かりました。風洞に関する専門家アラン・ダベンポート博士は,CNタワーの各種の模型を用いて耐風実験をしてみて,次のように注解しています。「風に最もよく耐えるのは,基部が広くて徐々に細くなってゆく,樹木のような形であることが判明するまでには,[多くの]年月を要した」。人間は今もって,創造者の偉大な理知を反映する被造物から教えを受けています。

利用法と目的

しかしながら」なぜそのように高くそびえ立つ塔を建てるのでしょうか。ワイヤーなどによる支えのない建造物としては世界一高い塔が自国にあるということを誇るためだけであれば,随分高くついたことになりませんか。まず最初に言えることは,同タワーは主に通信塔としての役割を果たすため建てられたという点です。そうした通信塔が必要となった一つの理由は,高層ビルの多い都市の例にもれず,トロントでもテレビ電波の送信障害が起きている点にあります。すなわち,高層ビルに妨害されて,わずかに遅れた電波がテレビの画面に二重の映像を生じさせるという現象です。CNタワーのアンテナの高さは,うっとうしい“二重映像現象”を解消するのに十分であると期待されています。同タワーは,ある放送局の“送信範囲”を50%広げるようにも設計されています。

カナディアン・ナショナル・システムの理事長兼社長ノーマン・J・マクミランは,通信面での別の利用法を示しながら,次のように指摘しました。「超短波送信施設を持つCNタワーは,あらゆる種類の重要な商業通信,コンピューター資料,天気図および気象情報,列車や飛行機の予約状況に関する資料,果ては株式市況などを,カナダ中に伝達するのを速める点で役立つであろう」。CNタワーのもたらす益の一つとして,同氏はさらに,CNタワーは市の公益事業の通信を改善するであろうと述べました。

同タワーの上部に300万ドル(約9億円)相当のアンテナ施設を取り付けたのも皆,そうした目的のためでした。そのアンテナ施設は,8つのテレビ局,11のFM放送局の電波を送信する予定です。

同タワーは,ある種の科学上の研究をするためにも申し分のない施設です。例えば,同タワーは,「建築技師や環境学者を悩ましてきた謎を幾らかでも解くのに役立つのではないか」と考えられています。CNタワーは,トロント大学,カナダ調査協議会およびカナダ環境学会などと協力して,同タワーの器械工学関係の計画に当たることになっています。トロント・スター紙は,同タワーの高さの異なる四つの箇所に「飛行機の安全を図るため」また,「風力および大気汚染の程度」を測定するため,4㍍および9㍍の伸縮自在の張出し棒が取り付けられると報じました。構造上のひずみなどを検査するため約100台の測定器械を用いる20万㌦(約6,000万円)相当の計画について,同紙は説明しています。測定器械からは3時間おきに記録が取られ,その資料はコンピューターによって処理されます。

その上,投げ矢のような形をしたこの大建築物は,1976年の初頭に予定されている営業開始と共に大勢の観光客を引きつけ,“人であふれる塔”になるであろう,と同タワーを計画立案した人々は考えています。アルミニウムとガラスでできた7層のスカイポッドには,2つの展望台(一つはガラス張り,もう一つは“屋外”タイプ)および回転食堂があり,観光客を楽しませてくれます。そのどこからも,視界が120㌔に及ぶすばらしい景色を見渡せます。それに,床面積は6,500平方㍍もありますから広さは十分であると言えます。レストランには400の座席があり,展望台はそのほかに600人を収容します。4台あるエレベーターのうちの一つを使ってスカイポッドまで登ることができます。前面がガラス張りになっているそのエレベーターは上昇する際に,スリルのある眺めを楽しませてくれ,およそ一分間で約400㍍の高さまで運んでくれます。そこまで登っても満足できなければ,内側のエレベーターに乗ってさらに塔を登り,地上450㍍の上部展望台まで行くことができます。

この塔を予算15億ドル(約4,500億円)のメトロ・センターと呼ばれる再開発地区の中心地とする計画が立てられています。そのため,現在ある線路や機関車車庫を取り払って,約77万平方㍍にわたる美しい公園や住宅・商業地区を造成することが提案されています。そこに造成される多くの施設の一つは,大会センターです。計画によると,CNタワーそのものは,整備された公園の中にある,塔を映し出す池を前にしてそびえ立つはずです。塔の基部の一部となっているガラス張りの円形の建物に歩いて行けるよう,そこに通ずる歩道橋が作られます。こうした計画のすべてが最終的にどれほど実現するかは,時がたてば分かるでしょう。

この大建築物が建てられたもう一つの理由は,それから得られる収益です。もちろん,それは,このような事業を起こすことになった主な理由の一つであるに違いありません。CNタワーの建設費は3,000万㌦(約90億円)に上りますが,同タワーを計画立案した人々は600万ドル(約18億円)の年収を見込んでいます。アンテナの使用料だけでも年間100万ドル(約3億円)を超えるであろうと言われています。スカイポッド内のレストラン,休憩室,売店および円形の建物内のレストランなどの経営者から納められる賃貸料も収益に加えられるはずです。年間200万人を数えると見込まれている観光客について言えば,エレベーターの使用料だけでも巨額の収入源となることでしょう。

この塔を建てるに際して,創意工夫,新しい技術そして確信が必要であったことは疑いありません。激しい労働,長期間の工事,計画の変更そしてざ折感などのすべては,こうした大規模な建築工事には有り勝ちなことです。同タワーは計画当初から,先見の明,独創力,勇気そして積極的な態度を求めるものでした。この建築作業を通して得た多くの知識およびこれから将来CNタワーを用いて得られる知識が,人類の益のために利用されることが期待されています。塔の形をした大建築物としては最古のもので,誤った動機に基づいて建てられたバベルの寺院塔は,意志の伝達を妨げる問題 ― つまり言語の混乱 ― を生み出す結果に終わりました。しかし,CNタワーの関係者たちは,同タワーが意志の伝達をより良いものにし,人知を向上させるのに役立つことを望んでいます。

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