世界展望
『誤った愛国心』
◆ マラウィのエホバの証人に対する迫害は,世界の新聞紙上で広く非難されている。これはアフリカの新独立国の多くが,自治能力を備えるところまで「文明化」していない証拠であることを示唆した解説者もいる。しかし米国チャールストンのガゼット紙は,アメリカ人読者に彼ら自身の過去を思い出させ,こう述べている。「マラウィのエホバの証人が受けている扱いに対して,我々は皆,抗議すべきである。しかし,我々もかつて愛国心という誤った観念に動かされ,マラウィにおけるほどではないにしろ,害のない一宗派を迫害したことを思い出すべきである」。米国のエホバの証人に対するそうした迫害は,1930年代の終わりから1940年代の始めにかけて行なわれた。それで,法律で保証されている自由が守られない限り,そのようなことは民主政体の下でも起こり得るのである。
再び明らかになった進化論者の誤り
◆ 数年前に進化論者は,獣と人間の間に存在するはずの決定的な鎖の環がついに発見されたと述べ,その“猿人”をアウストラロピテクスと呼んだ。しかし,現代人と同じ型の人間が“猿人”と思われているものと同じ時代に生存していたことが,最近,東アフリカで発見された化石から明らかになった。ニューヨーク・タイムズ紙はこう述べている。「研究者たちによると,アウストラロピテクスはサルがヒトに進化する途中に現われた絶滅種であると考えられていたが,新しい化石によって,初期の人間と同時代に存在した,進化の系統樹上の行き止まりとなる動物であることが明確になった」。進化論は真実に基づいていないので,進化論支持者がそうした“行き止まり”に至ることは当然予想される。
異議を唱えるカトリック信者
◆ カトリックの司祭であり社会学者でもあるアンドリュー・グリーリーは,1968年ローマ法王から出された,避妊に反対する回勅「人間の生命」を,教会出席者の急激な減少の主な原因としている。カトリックの寄稿家メアリー・カーソンは,カトリック信者は産児制限に関する法王の「誤った」教えを無視すべきである,とカトリック系新聞タブレットの中で述べている。彼女はこう付け加えた。「17人の子供を持つ女性が法王になりでもしなければ,産児制限に関する教会の見解は変わらないであろう」。
ビンゴがなければ『生きてゆけない』
◆ ニューヨークの司祭トマス・コインは,教会への寄付が減少しているため,厳しい財政難に陥る教区が少なくないことを指摘している。同司祭は近隣の司祭の次のような言葉を引用している。「この大司教管区でビンゴが禁止されるなら,我々は生きてゆけないであろう」。カトリック教会の収入が年に約10億㌦も減少するのは,1968年に出された,人為的な産児制限に対する法王の禁令に平信徒が強く反対している結果である,と全米世論調査センターは述べている。
石油の自給?
◆ 1973年10月の中東戦争後,アラブの石油禁輸が実施された際,米国では輸入石油への依存度を小さくするために様々な提案がなされた。しかし,それとは逆の事態が生じている。近年,米国内での産油量は減少しており,今年の3月には,米国史上初めて,石油の輸入量が国内の産油量を超える週があった。従って,外国の石油資源への依存度は小さくなるどころか,以前にも増して大きくなっている。
手術の危険は増大する
◆ 米国ダラスにあるサウスウェスタン医学校の肺の専門家アレン・ピアス博士は,手術後に肺の併発症を起こす危険は喫煙しない人よりも,喫煙者のほうがはるかに高いと述べている。同博士によると,こうした併発症には肺炎などに至る感染や肺虚脱が含まれる。米国ポートランドのジェームズ・パタソン博士も,次のように述べている。「人々は,喫煙がいかに有害か,また喫煙による,心臓や血管の障害および肺病がどれほど増大しているかを認識していない。彼らは,自分で計画してきた事柄を晩年になって行なえなくなることを自覚していない。
拡大するさばく
◆ さばくは広がりつつある。その主な原因の一つとして人口増加に伴う有害な農法が考えられる。一調査の示すところによると,地表の陸地面積の約43%は乾燥した不毛の地であるが,気候条件に起因するものは36%だけである。残りの7%は,人為的なものによる。さばくが広がりつつある主な原因は,家畜を過度に放牧することや,豊作の年しか農業が成り立たないような土地を耕作することにある。その結果,干ばつの年が訪れると,植物は絶滅し,土地は浸食され,永久に不毛の地となる。
作物を襲うげっ歯類
◆ フランスの一通信社の報じるところによると,ネズミの襲来により西アフリカ・セネガルの広大な作物栽培地域が荒らされた。これは,近年西アフリカの多くの国々に影響を及ぼした干ばつ以来前例のない国家的災害であるとされている。専門家たちの話によると,ダカールの近くのある地域では,1エーカー(約0.4ヘクタール)につき80,000匹のネズミがいた。
消えゆく森林
◆ 「公害に関するいかなる警告にもかかわらず,人間の薪集めが20世紀の環境問題になりそうである」と,オーストラリアのメルボルン・ヘラルド紙は述べている。現在でも世界の木材伐採量の約半分は,昔ながらに調理や暖房に用いられている。また,とりわけアジア,アフリカ,そしてラテン・アメリカでは,人口の爆発的な増加によって,森林が急速に破壊されつつある。国連食糧農業機関により発行される「ケルス」誌の中で,エリック・エコルム博士はこう述べている。「木材は,全く思いもよらない場所で不足しつつある。ネパールの森林学者の話によると,かつてはうっそうとした森林に覆われていたネパール山ろくの奥深い村々でも,今では,薪やかいばを集めるのが一日がかりの仕事になっている所がある。ほんの一世代前には,わずか一,二時間しかかからなかった」。
赤子はそれぞれ異なっている
◆ カナダ・ケベックのある病院で実施された検査によると,同じ揺り動かす動作でも赤子によっては反応が実に様々であることが明らかにされた。心臓の鼓動がより速くなる赤子もいれば,より遅くなる赤子もいた。また,全く反応を示さない赤子もいた。泣く子もいれば,眠そうにしていた子もいた。その病院の医師や心理学者は,正常な赤子がなぜそれほど異なった反応を示すのか説明がつかないと述べている。しかし一人の医師は次のように語った。「現在われわれに分かっていることといえば,それぞれの赤子は生まれた瞬間から個性を持った一個の人間であるということである」。
自動車にかぎをかけるよう
◆ 保険会社の役員の話によると,米国で盗まれる自動車総数の約八割には,かぎがかけられていなかった。約四割の自動車の中にはかぎが置きっぱなしになっていた。現在,毎年100万台の自動車が盗まれるが,その大半は車にかぎのかかっていないのをよいことに,それを盗む,21歳以下の若者によるものである。
高齢化する農業経営者
◆ 過去には,多くの若いアメリカ人夫婦が借金するなどして,わずかな土地を耕作したものだった。今や,農業経営は大規模で競争の激しい産業となったため,自分で農場を持つのは不可能に近い,と若い人たちは考えている。アメリカでは農場を“始めるのに”要する費用は今や25万㌦(約7,500万円)にも上る。現在米国における農業経営者の平均年齢が50.3歳に達している一つの理由はそこにある。
家庭の崩壊の増大
◆ 昨年,アメリカ人の間で前年と比較して6%の増加に当たる100万組以上の離婚 ― 102万6,000組 ― が記録された。これは十年前の二倍であり,今までの最高記録である。結婚のほうは,昨年4%減少し210万組となり,1969年以来の最低数であった。それで今や米国では二組の結婚につき一組の離婚があることになり,これは家庭生活の全般的な衰退を証明している。
独り暮らしが増える
◆ 独り暮らしのアメリカ人の数は,1970年の1,100万人から1975年の1,400万人へと急増している。二人だけの世帯は1,800万から2,200万に増加した。このように現在米国の7,100万世帯の半数は一人ないし二人からなる世帯で占められている。国勢調査局の報告はこう述べている。「これは,物理的に言って,アメリカ人の家庭がいよいよ分裂し,孤立しつつあることを意味している」。出産率の減少,離婚や別居の増加,子供のいる未婚の母親の増加,そして独り暮らしを好む人々の増加などがすべてその要因となっている。コーネル大学の心理学者エリー・ブロンフェンブレナーは次のように述べた。「これらすべての事柄が同時に起きていることは,社会組織が解体しつつあること,つまり窮地に陥っていることを意味している」。
たこによる大損害
◆ 英字読売新聞によると,今年の正月に洋式たこのために日本で3億円余りの被害が出た,と電力会社は述べた。日本中で電線に引っ掛かった9万2,000のたこを取り除くため約7万人の作業員が動員された。自分のたこを取ろうとして,5人が死に,ほかにも負傷した者が出た。
低下する殺虫剤の効果
◆ 全米科学アカデミーによれば,主な害虫に対する化学抑制法は効果を失いつつあり,その効果の減退は驚くほどである,とスポークスマンは語っている。多くの害虫が,殺虫剤に対する遺伝的抵抗力を有するようになったのがその一因である。また,化学薬品の多量の使用により害虫の天敵が死滅しつつあることも見逃せない。同アカデミーは,「化学殺虫剤の新種」を開発すること,害虫の繁殖を防ぐため異なった作物を毎年交互に植えること,そして,ウィルスや微生物など害虫の敵となる生物学的な武器を使用することに努めるよう勧めた。
証言することを恐れる
◆ 米国のある法の施行に関する研究グループの述べるところによると,インタビューを受けた犯罪の目撃者の23%は報復への恐れから警察に故意に偽の住所氏名を知らせていた。その結果,多数の刑事事件が証拠不十分のため不起訴になった。そうした恐怖心は全く不当とは言い切れない。シンシナチでは,証言をするつもりでいた犯罪被害者の35%は,報復の脅しを受けていたことを報告した。デンバーのロッキー山脈ニュース紙は次のように述べている。「犯罪に対する恐れは,犯罪自体と同じ勢いで増大している。事態は深刻で,われわれの都市の多数の住民は犯罪を恐れる余り,窓に鉄格子をはめ,ドアには二重の錠をおろして生活するほどである。悪いことには,さらに多数の人々が,恐怖という目に見えない鉄格子をはめて生活し,警察に協力しようとしない」。
雷の危険
◆ ローデシアのソールズベリにある警察は,同国において一年足らずの間に約100人が落雷で死亡したと述べている。同じ小屋にいた21人の人が落雷で死亡した事故は最悪のものであった。