世界展望
無視される聖書
◆ カナダのカルガリー・ヘラルド紙は次のように報じた。「俗人説教者,ジョン・ギルハムにとって,聖書は教会の礼拝になくてもよいものである。……彼は会衆の人々を前にして,もったいぶった態度で歩き,彼らに質問を浴びせたり,疑問に答えたり,『適当と思えば』プレイボーイ誌や,はてはマルクスの著者の一節をさえ引用することを好む」。ギルハムは,カナダ合同教会の俗人説教者であるが,「福音をもったいぶって説く人間」は教会から姿を消しつつある,と語っている。しかし今日,多くの牧師が神のみことばや神をさえ無視しているため,そうした牧師は不必要だと感ずる人々はふえている。したがって,教会を捨てる人々は,洪水のように増加している。
同性愛者を祝福するように,と求めた牧師
◆ 英国国教会の牧師,モリス・ラッセルは,ニュージーランドのオークランドで開かれた同性愛法改正協会の集会の席上,教会は同性愛関係を祝福すべきである,と述べた。しかし,神の律法は,「男娼となるもの,男色を行ふ者……は,……神の国を嗣ぐことなきなり」と,はっきり述べている。―コリント前 6:9,10。
ミサの改正に抗議するカトリック教徒
◆ 去る6月下旬,いわゆる“モンテニ・ミサ”に抗議するため,ローマ・カトリック教徒1,000人余が,ヨーロッパ各地からローマに集まった。それら,保守的な教会員は,ラテン語の代わりに自国語でミサを行なうことを認めた改正に反対した。その一団の人々は,公然と抗議の祈りをささげ,「クレド」を詠唱しながら,サン・ピエトロ聖堂にはいり,真夜中にサン・ピエトロ広場で,ラテン語のロザリオの祈りを唱えた。
裸で選挙運動
◆ 最近,オランダ全土で市会議員の選挙が行なわれた際,ある政党の立候補者たちは裸で選挙運動をした。そして,アムステルダム市議会の45議席中5議席,および,ハーグ市の45議席中2議席を獲得した。
消費者を苦しめるインフレ
◆ 物価の上昇に伴い,アメリカでは10世帯中,8世帯が買い物の仕方を変えさせられている。妻と3人の子どもを持つ,年収7,000ドル(250万円)のある男の人は,「食費と住居費を支払うと,衣料費が残りません」と語っている。同額の年収のある一婦人は,「貯金など,すこしもできません。実際のところ,毎日の生活がやっとです。わたしは,必要なものしか買えません」。と述べた。1万3,500ドル(486万円)の年収のある4人家族の一主婦はこう語っている。「お金の価値があまりにも少なくなって,洋服ダンスはからっぽで,手もとの洋服は古くさい型のものばかりです。特売品をさがすのも,すっかりいやになりました。余分な物など何一つ買えません」。貧しい人々が,もっと苦しい思いをしているのは,言うまでもないことである。
失業者の増加
◆ アメリカにおける失業者は5%に達し,合計410万人になった。航空機・兵器・宇宙航空および自動車産業など,給与の高い職種でも一時的解雇が行なわれた。年収1万5,000ドル(540万円)の人で,今では,1週間に40ドル(14,000円)ないし70ドル(25,000円)の失業手当をもらっている人々がいる。また,なかには,社会保障でやっと生活している人もある。
ナチ党員の逃亡を助けたバチカン
◆ 最近,テレーズ・スタングル夫人は,ドイツ,デュッセルドルフの法廷で,バチカン当局は第二次大戦後「相当数多くの」ナチ党員の南アフリカへの逃亡を助けた,と述べた。彼女の夫,フランズ・ポール・スタングルは,ポーランドのトレブリンカおよびソビボールの死の収容所で,「少なくとも40万人」を殺害した罪を問われている,ドイツのスターズ・アンド・ストライプス紙の報道によれば,スタングル夫人は,バチカンの一司教が用意した,にせ文書を用いて,シリアに逃亡した,という夫の証言が正しいことを認めた。大戦中,バチカンがナチスドイツとの政教条約をたたえたことを思えば,これは不思議ではない。
呼び戻された,駐バチカン使節
◆ 去る7月,ポルトガルは,バチカン駐在大使を召還した。これは,パウロ法王が,アフリカにおける指導的な革命政治家3人に掲見を許したことに抗議するためであったが,見解の食い違いを解消する努力がなされた。
イタリアの31番目の政権が失脚
◆ イタリヤのマリアノ・ルモア政権は,第二次世界大戦以来,31番目の政権となったが,7週間に及ぶ危機を切り抜けたのちに政権を取ったものの,わずか3か月で失脚した。
強姦を助長するミニスカート
◆ アメリカの63の都市で行なわれた調査によると,警官の91%が,ミニスカートの女性は,「強姦」その他の性犯罪の「犠牲者になる可能性が大きい」と考えていることがわかった。カナダのオンタリオ安全連盟は,肌をあらわに見せる服装の女性は,性的な暴行を犯される危険を冒していると警告した。1964年,カナダのトロント市でミニスカートが初めて紹介された時,警察は63件の強姦事件を取り扱った。1969年には,強姦事件が,1,170件,1970年の6月以内に,1,240件も起きた。
けん悪される映画や演劇
◆ 演劇映画界の名士レイモンド・マッセイは,現代の映画や演劇に対するけん悪の情を表明し,次のように語った。「演劇とは人を魅了するもの,作り出された現実,現実を装うことであるべきだ,と思う。今日の演劇は,性・わいせつ・卑劣さを売り物にしている」。同氏はまた,映画に行くことは全くやめ,演劇にもほとんど行かない,と述べた。
『科学技術は人間を滅ぼしうる』
◆ 43年前,大西洋横断飛行という歴史的偉業を成し遂げた,チャールズ・A・リンドバーグは,現代の科学技術を批判して,「それは人間を容易に滅ぼすことができる」と語り,また,西洋文明はすでに,「崩壊の時期」にはいったと考えられるとも述べた。
「最大量」に増強されるソ連の軍事力
◆ 最近の西側の消息筋によれば,ソ連の核兵力および従来の軍事力は,今や「最大量」に達しているとのことである。近年,ソ連圏諸国の軍事力は大いに増強されたといわれており,西側の専門家は,その理由を考慮している。
なおも続く軍備競走
◆ アメリカは,大陸間弾道ミサイルの一部に多核弾頭を装備して配置すると発表した。これで,アメリカの現有ミサイル1,054台のうち,500台が,それぞれ3弾頭を積載することになると考えられている。その1弾頭は,TNT20万トンの爆発力を有しており,それは広島に投下された原爆の破壊力の10倍に相当する。
戦争より危険
◆ アメリカの自動車事故による死者は,これまで同国が行なってきた戦争すべてによる犠牲者よりも多い。自動車が世に紹介されて以来,自動車事故による死亡者は,およそ175万人に達した。インドシナ戦争の最初の9年間に戦死したアメリカ人は4万人であったが,同じ期間における交通事故の死亡者数は,その11倍にあたる43万7,000人であった。
『下水』なみのタイムズ・スクエア
◆ かつて,『世界の交差点』と呼ばれた,アメリカ,ニューヨーク市のタイムズ・スクエア地区で風紀は退廃しつつある。ある夜,この地区を1時間ほど歩いたひとりの人の経験によれば,売春婦に4回誘われ,こじきの物請いを5回受け,男の売春取持ち人から2度,女をすすめられ,男の同性愛者のひとりに言い寄られ,また,戸口で2度,ある男から商品を売りつけられた。その地区では襲撃・強姦・殺人などの事件が発生しており,1年間に1万1,000人が検挙された。しかも風紀の退廃はさらに進んでいる。
交通安全のために伐採される樹木
◆ 最近フランスでは樹木の伐採が続いている。フランス政府は,国道沿いの数百キロに及ぶ地区の樹木が自動車の安全を脅かすとして,伐採を命じた。昨年,フランスでは,交通事故による死亡者数が1万5,000人に達し,世界最高記録となった。
教会の僧職者の責任
◆ アメリカ,オハイオ州出身の,合同メソジスト教会の牧師,ハーベイ・C・ハーンは,教会生活40年間を振り返って,次のように語った。「現代社会の退廃の責任の多くは,牧師に帰せられると思う。われわれは変革を行なうよりも,むしろ屈従してきたのである。われわれは,神が望んでおられることではなく……人々が望んでいることを行なってきた」。
『罪を犯すために行く』
◆ 最近,諸教会は若者の関心を引くために,ロックンロールその他の音楽を礼拝に取り入れてきた。ブラジル,サンパウロ市のカシードラル・ダ・セで,若者のための聖ざん式が行なわれ,ひとりの流行歌手が代父として出席し,多数の少女たちは,座席の上に立ち上がって,狂乱状態に近い様子で叫んだり,わめいたりした。少女たちは,“あこがれの的”の歌手に花を投げ,そのうちのひとりは警官とけんかをした。フォルファ・ダ・タルデ紙によれば,少女たちの態度はある人の次のことばに要約されていた。「わたしたちは,きょう,まさに罪を犯すために教会に来たようなものです」。こうした行状に衝撃を受けた他の人々は,涙を流した。
崩壊しつつある教会組織
◆ カナダ,ブリティッシュ・コロンビア州のローマ・カトリック教会ビクトリア司教管区の司教,レミ・デ・ルーは,次のように力説した。「伝統的な〔宗教〕組織に対する関心は薄れているか,と尋ねられるなら,そのとおりだと答えざるをえない。真剣に憂慮しなければならない理由がある。伝統的な宗教の多くは,崩壊しつつあるからだ」。
激減する教会の僧職者
◆ カトリック司祭,ビード・フェルララが最近指摘したところによれば,アメリカでは昨年,1週間に平均一つの割合で神学校の高校が,入学希望者不足のために閉鎖された。現在運営されている神学校の生徒数は,定員の3分の1,ないし半分にすぎない。神学大学の新入生の大半は,それら神学校の高卒者であるから,神学校の高校生の減少は,今後の司祭の数の激減を意味している。フェルララ司祭は,また「カトリック教会は,昨年,3,000人の司祭を失ったが,プロテスタントの諸教会も同数の牧師を失っている」と言明した。
典型的な事例をあげれば,アメリカ,マサチューセッツ,スプリングフィールドの司教管区では,5年間の一時期に死亡者および退職者を含め,64人の司祭がいなくなった。一方,新たに任命されたのは,わずか33名にすぎず,差引き31名の司祭が失われたことになる。スプリングフィールドのデーリー・ニューズ紙はこう評した。「昔,当司教管区には司祭が多すぎて,他の司教管区に司祭を貸すことがしばしばあった。今では,そうした恩義にお返しのできる司教管区は,アメリカには一つもない」。
オランダでは,ウトリヒトの一司祭がこう語った。「わたしは,10年前に,25人の同期生とともに,このウトリヒトに任命されました。今年,任命される予定の人はひとりだけです。オランダ全国では,今年,6人の教区司祭が任命されるでしょう」。