世界展望

東京の死んだ空気

◆ 最近，東京で地下室や井戸，建設工事用地下道に，酸素の不足した空気のたまっていることが発見され，都の当局者を驚かせた。158軒の建物を調べたところ，そのうちの30軒には死んだ空気のたまり場があり，中には酸素が10％以下の場所さえあることが明らかになった。空気は通常21％の酸素を含んでいる。東京の主要な公会堂の一つの給水ポンプ室には酸素がほとんどなかった。問題は東京における建設工事の一般的な方法にあるようだ。工事現場や工事中の地下鉄坑内では水の滲出を防ぐために空気を坑内に閉じこめる。地下1㍍にある鉄分を含む砂の層が，圧縮された空気から酸化作用によって酸素を吸収する。そして，酸素の不足した空気は地表に滲出し，建物の中や下の密閉された場所にたまる。最高裁判所の新館の地下室で働いていたふたりの工事人は，そうした酸素の不足した空気のために死亡した。

非難されたナイジェリアの諸教会

◆ 最近，ナイジェリアの西部文官首席は，ナイジェリアの諸教会を，「栄誉ある道」から逸脱した腐敗した団体として非難した。アグベニ･メソジスト教会主催の，「教会はナイジェリアで失敗した」と題するシンポジウムの席上，同氏は教会全体をさして，「教会は，金持ちや有力者などの高位者がキリスト教に反する風習や腐敗におぼれている時でさえ，彼らの高尚な趣味を思うままにさせている」と語った。

ケベックで衰退する，教会の影響力

◆ カナダのトロント･デーリー･スター紙1971年9月4日付によれば，ケベックのローマ･カトリック教会に対する不満がまん延しており，1961年には「どの宗派にも属していないと述べた人はケベックの人口のわずか2％にすぎなかったが，現在，カトリックを奉じていると見られるのは，大都市の，フランス語を話す住民の半分以下である」という。ケベックの三つのカトリック系大学は，教会との公式の関係を断ち，宗派とは無関係の公立大学となる計画を進めている。同紙によれば，教会の影響力の衰退を認めたあるイエズス会士は，「制度化された教えに対する不評は増大して，一種の世界的な危機の段階に達している」と述べたとのことである。

下水の再循環

◆ アメリカでは，水の需要がふえつづける一方，ま水の供給が低下しているため，一部の地域では下水の再循環が真剣に考慮されている。場合によっては，この方法は，海水から塩分を除去したり，水道管を用いて遠方からま水を運搬したりする方法よりも費用が安くてすむとも考えられる。コロラド州デンバーでは，下水を1日に約3,800万㍑の飲料水に還元できる下水処理工場の建設計画がすでに進められている。カリフォルニア州タホエ湖の行楽地では，人々が泳いで楽しめる湖水用に十分きれいな水を得るための下水処理がすでに行なわれている。アメリカでは，汚物を流し去るためだけに1日平均1,600億㍑の水が使用されている。

廃棄物で地味を向上させる

◆ 最近，アメリカ，カリフォルニア州のかん詰め製造業者は，かん詰めの製造工程で生ずるナシやトマトの皮，えりのけた果実を地方の農地に捨てて，地味を向上させる試みをはじめた。昨年，そうした廃棄物およそ7万㌧が28㌶余の辺境の農地に捨てられ，土とまぜ合わされた。検査したところ土じょうはそうした有機廃棄物を吸収し，地味が改善されていることがわかった。

電子工学を導入した新聞

◆ アメリカでは株式の投資家および仲買業者のための68ページの新たな新聞が特異な方法で発行されている。幾千もの株式の市況の統計的な情報が載せられるその新聞は電子計算機によって電光的速度で準備される。陰極線管の植字装置がまる1ページ分を63秒で自動的にタイプする。次いで紙面を写真に撮り，プラスチック版を作って印刷する。発行部数3万部のこの日刊紙は5時間でできあがってしまう。

子どもに読み方を教える

◆ 英国の全国教育研究協会が最近，ロンドンに住む7歳の学童450人の学力の進歩状態を調べたところ，男子学童の3分の1および女子の15％は文字を読めないことがわかった。その調査結果に関してロンドンのデーリー･エクスプレス紙はこう報じた。「教師の監督が行き届いたクラスで育ち，しかも発音の練習を早くから始めた児童は非常にじょうずに朗読できた」。

若者にとって最大の殺し屋

◆ アメリカでは若者の運転する自動車がその若者にとって最大の殺し屋とみなされている。アメリカの全国運輸安全局の報告によれば，15歳から24歳の年齢層の年間死亡者中，半数は自動車事故によるものであるという。若者の運転者は自動車の運転者総数のわずか21％を占めているにすぎない。しかし，1969年における自動車事故による死者のほぼ33％は若者の運転者であった。

宗教的不一致

◆ 最近，アメリカのルーテル派と長老派諸教会内部で異論を唱える人々が教会とは別行動をする計画を立てており，そのためそれら教会内部の不一致はいっそう深まろうとしている。長老派の4団体の代表はアトランタで会合し，別個の教会のための規約および信仰個条を草案した。それらの代表は，アメリカの連合長老派教会と合同するという，南部長老派の理事会の決定を不満としている。保守ルーテル派は真正ルーテル主義連盟を結成し，ミズリー教会会議から独立したルーテル派団体のための規約および諸計画を持っている。この保守派は教会が社会活動に関与することを嫌っている。

みずから強姦を招く場合が多い

◆ メナケム･アミア博士著，「強姦の諸形態」によれば，強姦犯罪は犠牲者がみずから招来する場合が多いという。強姦事件646件を調べた同博士は，そのうちの19％の事例では，犠牲者は性関係に事前に同意したか，あるいはそぶりが示されたさいに強力に抵抗しなかったことを発見した。また，その87％の事例では，加害者は暴力を行使せずに，誘惑したり口頭で強要したりした。博士はまた，犠牲者の20％は，風紀びん乱行為，泥酔，売春などの前科の持ち主であることを指摘した。さらに他の20％の者はいかがわしい評判の持ち主であった。

軟水と心臓発作

◆ ロンドン･デーリー･エクスプレスが最近報じたところによれば，英国の医学雑誌「ランセット」は，都市の飲料水の軟化が心臓発作の一因とされる証拠を提出したという。飲料水の硬化されている町では，1948年から1964年までの冠状動脈障害による死亡率は平均8.5％であったが，飲料水を軟化させた町では，その死亡率は平均20％であることが明らかにされた。マーガレット･クローフォード博士は次のように語った。「冠状動脈障害の原因はほかにも数多くあることは十分承知しているが，これは厳然たる実情である」。

顔の皮をむく

◆ 中年に近づき，顔にその兆候が現われると，それを気にするあまり，危険を冒してまでも顔の皮をむく，つまり化学薬剤で顔の上皮を焼いて取り除こうとする人がいる。新しい皮膚が顔をずっと若々しく見せるようになると期待しているのである。しかし，これには生涯傷跡を残すに至る重大な危険が伴う。ある婦人はひどいやけどをして首を動かせなくなり，不治の奇形になってしまった。

教会が製作させた性映画

◆ ユニタリアン教会は，同教会で毎週行なわれている宗教のクラスに出る中学生をおもに対象とした性映画を作製した。それは3組の夫婦の性交場面を撮影した明かるい色彩の映画で，自慰行為，性交，避妊，同性愛，ペッティングその他を扱う課程の資料の一環として用いられる。その中には，若い男女が初めての性体験について語ることばが収録されている。キリスト教の道徳規準を子どもに教える努力が払われるどころか，その課程は，直面した状況に応じて自分で倫理的決定をするという，キリスト教の原則に反する「状況倫理」の考えに基づいている。教訓者は，中学生が性交をしてもよいのかと生徒から質問された場合，否定もしくは肯定いずれの答えも与えないようにと指示されている。生徒は道徳的指導を与えられずに放置されている。読者はこうした教会の教えをお子さんに授けさせたいと思われるだろうか。