世界展望
物価の高い都市
◆ スイスに本社のある米国の一企業,ビジネス・インターナショナル社の報告によれば,世界一物価の高い都市は東京である。二番目は大阪で,以下次のような順になっている。(3)ストックホルム,(4)チューリッヒ,(5)ジュネーブ,(6)オスロ,(7)コペンハーゲン,(8)ラゴス,(9)パリ,(10)ウィーン,(11)トロント,(12)ジャカルタ,(13)ニューヨーク。
脳下垂体でできる強力な鎮痛剤
◆ 米国サンフランシスコにあるカリフォルニア大学の研究員は,脳下垂体で生成される非常に強力な自然の麻酔剤を発見した。動物実験の結果に関する発表によれば,ベタ-エンドルフィンと呼ばれるその薬品には,「ネズミやハツカネズミの脳に直接注射された場合,モルヒネより少なくとも20倍から40倍の鎮痛効果があり,静脈に注射された場合は3倍から4倍の効果がある」。
時間調整に対する反応
◆ 英国の心理学者は,夏時間に伴う時間の調整が人間の行動に影響を与え得ることを発見した。サセックス大学の研究員たちが,秋の時間調整に対する反応について65名の人々を調査したところ,対象となった人々は比較的早く目覚め,口腔での体温に変動があり,数日の間以前よりも警戒心が高まったことが認められた。そうした時間変更に体が順応するまでには,旅行者が飛行機で日付変更線を越える際その変化に体が順応するのに必要とされる平均時間よりも長い期間が必要であった。
農地の価格
◆ 農業ジャーナル誌の1976年9月号は,米農務省筋によると,1975年3月から1976年2月にかけて米国50州中48州で農地の価格が平均14%上がったことを明らかにしている。さらに,経済専門家たちは1976年中も値上がりは続くものと見ていた。全国平均を出すと,農地の価格は5年間で2倍になった。米国の農地の価格は現在4,210億㌦(約126兆3,000億円)であるが,フォーチュン誌が挙げている米国の大企業500社の資産は昨年6%上昇し,6,680億㌦(約200兆4,000億円)に上っている。
たくさんの火山
◆ 昨年10月11日,ソ連のタス通信は,カムチャッカ半島に八つの新しい火山が生まれたと報じた。そのうちの一つは毎秒20立方㍍の溶岩を噴出中であると伝えられた。タス通信によれば,日本の北東にあるカムチャッカ半島には160の火山があり,そのうち28の火山は活火山である。
『非常に割の良い給料』
◆ スイスのジュネーブには,様々な国籍を持つ国連職員が一万人いる。パレード誌の最近号は,「未公開の報告」を引き合いに出してそれら国連職員の給料の例を幾つか挙げた。それによると彼らの週給はタイピストの350㌦(約10万5,000円)から最高幹部の1,000㌦(約30万円)に及ぶ。一国連大使は,「これほど多くの人がこれほど少ない仕事をしてこれほど多額の給料をもらったことはいまだかつてない」と語ったという。
木材泥棒
◆ 木材泥棒は『もうけの多い商売で,今や組織犯罪の域に達しつつある』と,米国オレゴン州のFBI特別捜査官は語った。昨年一年間に,オレゴン州だけで,100万㌦(約3億円)を超える額の木材が国有林から盗み出されたものと同捜査官は推定している。木材泥棒が主にねらうのは,一コード150㌦(4万5,000円)から500㌦(15万円)で売れるベイスギの大木である。こうした盗難の調査が,オレゴン州に割り当てられた75人のFBI捜査官の全仕事量の約二割を占めている。
変わる,開かん用のつまみ
◆ 清涼飲料などのかんに用いられている,金属製の“引き上げる”開かん用のつまみは,これまで事あるごとに非難されてきた。このつまみは散らかりやすく,拾い集めるのが困難である。魚や動物がこれを飲み込んで死ぬ場合もある。子供,そして時には大人も誤ってこれを飲み込み,緊急手術を受けるといった事故もあった。しかし現在,かん製造会社は,かんから分離しない新型のつまみを試作している。この新型のつまみは,引き上げてかんを開けた後,元の平面の位置に押し戻すようになっている。つまみはかんについたまま処分される。
南部人ほどよく笑う?
◆ ある行動科学の研究者によると,米国人の中でも一般に南部の人は外の地方の人々と比べて,他人のいる前でよく笑う。ペンシルバニア大学のバードホイステル教授は次のように語った。「一番笑わないのはニューイングランド地方と五大湖付近の住民である。ニューヨーク市民もあまり笑わない。中西部の住民はかなりよく笑い」,その傾向は南部で最も強くなる。“一人が笑うと他の人も笑う”ことも,同教授は指摘している。地域差の生じる理由については説明されていないが,北部の寒い気候や特にあわただしい生活環境,圧迫感,北部大都市の犯罪発生率などが大いに関係しているものと思われる。
発病率の低下した天然痘
◆ 世界保健機関の天然痘撲滅10年計画は大きな成果を収めた。報告によると,同計画の開始された1966年には,世界の30を超える国々で天然痘が流行していた。現在,天然痘患者のいる国は数少ないが,その一つエチオピアでも患者の数は急激に減少している。科学アメリカ誌は,「世界は間もなく,人類史上最も恐ろしい疫病の最後の患者を見ることになろう」と伝えている。
電子機器による小切手の送金
◆ 幾百万人ものアメリカ人が,自分の給料を,毎週もしくは毎月,口座のある銀行に直接送金してもらっている。こうした送金は,次第に電子機器を利用して行なわれるようになっている。この場合,小切手は全く用いられず,コンピューターのテープを利用して銀行に送金がなされる。公務員の給料は,すでにほとんどがこの方法で支払われており,一般の会社でも,ここ数年のうちに,電子機器を用いたこうした方法が急速に採用されるようになるものと予想される。
メートル法への転換
◆ 英国では,度量衡を,他の多くの国で採用されているメートル法に転換する作業が行なわれている。「英国および外国聖書協会」は,“良いたより”聖書にメートル法表記が用いられていることに注意を向けた。例えば,ノアの箱船の大きさをキュビトやフィートで表わす代わりに,「長さ133㍍,幅22㍍,高さ13㍍」としている。ゴリアテの身長は6キュビト1スパンではなく約3㍍,黄銅のよろいの重さは,5,000シケルではなく約57㌔となっている。
赤子のしりをたたくことは害になる?
◆ 生まれたばかりの赤子を泣かせて,呼吸を開始させるために,足首をつかんで,赤子のしりをたたくことが一般に行なわれている。しかし,エール大学医学部の解剖学の教授,エドマンド・クレリン博士は,もし新生児に話す能力があったなら,「やめて! 足首をつかんでおしりをたたかないで!」と叫ぶだろう,と語った。同教授によると,こうした処置は,新生児に益となるどころか,害を及ぼしかねない。新生児には,400人に1人の割合で股関節の脱きゅうが認められるが,これは前記の処置に原因がある,とクレリン博士は主張している。足首をつかむだけでも臀部に不自然な圧力がかかるのに,さらにそこをたたくことは,股関節に大きな圧力を加える恐れがあるという。足首をつかんでつり上げてはならず,むしろ新生児を両腕に抱いてゆするよう,同博士は勧めている。
公立学校を訴える
◆ 最近,生徒に十分読み書きを教えていないとの理由で,学校当局を相手取った訴訟が何件か起きている。例えば,米国サンフランシスコに住む18歳の若者は,高校を卒業したのに小学校5年程度の読み書きの能力しかないとして,母校の公立学校を相手取って訴訟を起こした。種々の研究が明らかにするところによると,生徒の間で近年,確かにこの種の能力の低下が認められる。しかし,この若者の訴えは,州最高裁判所で却下された。
恐怖感に負けた犠牲者
◆ 物質的には何不自由のない生活を送っていた,ニューヨーク市に住む70歳代後半の老夫婦が自殺を遂げた。なぜだろうか。「これ以上,恐れを抱いて生活するのはいやです」と書かれた紙片が残されていた。この老夫婦は,先月,アパートで強盗に襲われ,それ以前にも幾度か犯罪の犠牲者になったことがある。引越して新しい生活を始めるには年を取りすぎていると感じ,もうこれ以上は『耐えられない』と結論を下したのである。
賭博はどれほど行なわれているか
◆ ミシガン大学が行なった賭博に関する詳細な研究によると,アメリカ人のほぼ三人に二人は何らかのかけ事を行なっている。民間の賭博遊技に220億㌦(約6兆6,000億円)余りのお金が使われているが,そのうちの約四分の一は不法の賭博に使われている。賭博で一番損をしたり,賭博税の高負担で悩まされたりするのは生活に余裕のない低所得者層である。低所得者層ほど,収入に対してかけ事に使うお金の占める割合が高いからである。
エスキモー人の間の意志の伝達法
◆ 北方のエスキモー人は,長年にわたって文字を用いず,口頭によってのみ情報を伝えてきた。現在,エスキモー人の指導者は,ローマ字および音節を表わす音標文字の二種類の文字を用いた表記法の普及に努めている。二種類の文字を用いるこの表記法は,近年各地で宣教師が作り出した5つの別個の表記法に代わるものとして考案された。イヌックと呼ばれる言語が北部の大半の地域で用いられているが,表記法が異なるため,散在するエスキモー人集落間で意志の伝達が妨げられてきた。二系統の文字のみを用いる表記法の標準化案は,そのうちのいずれかをすでに用いているエスキモー人を満足させるための妥協案である。二つの表記法は互いに置き換えることができる。
高価な彫刻
◆ 米国デトロイト美術協会は,最近,東ドイツのある美術館から高さ1㍍17㌢の物神ヌコンデの像を27万5,000㌦(約8,250万円)で購入した。これは19世紀の彫刻で,これまでアメリカ人が購入したアフリカの彫刻のうち最も高価なものである。
農耕に対する見解の相違
◆ ソ連から15人の農業専門家が米国の農場主を訪れた際,農耕に対する双方の見解にかなりの相違のあることが明らかになった。訪米したソ連の一農業経営者は次のように語った。「我々の国では,あなたがたのように農夫に長時間働かせるようなことはしない。人には休日や個人生活を楽しむ権利がある。生産高は落ちるかもしれないが,1日に12時間から14時間も農夫を働かせるようなことはしない。そんなに働くなら国の法律に違反することになる」。この農業経営者は,米国の農夫が長時間働いてより多くの収益を上げている点を認めながらも,さらにこう述べた「世の中で大切なのは収益やお金だけではないと思う」。