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目ざめよ! 1980
目80 5/22 5–8ページ

前途有望な太陽エネルギー

ずらりと並んだ鏡の焦点は,高さ60㍍ほどの“発電塔”の一点に合わされています。この方法だと,1,000個以上の太陽から熱を生み出すことができ,その温度は摂氏2,300度にも上ります。

人の住む地全域に恵み豊かな光と熱をそそいでいる太陽は無尽蔵のエネルギー源です。エネルギー不足の時代にこの事実が見過ごされるはずがありません。太陽のおかげで,地球の平均気温は住み良い温度に保たれています。また,植物の生長に必要とされるエネルギーも太陽から得られ,それによってすべての生物のエネルギーがまかなわれています。こうした恩恵は余りに明白であるため,多くの人々はそれを当たり前のことと見ているほどです。

ところが人間は,太陽の放射を直接には活用できない数多くの分野で他のエネルギー資源に依存するようになりました。他のエネルギー源がだんだん枯渇してゆき,不十分になる場合,家や工場を太陽光線で暖めることができるでしょうか。太陽光線を何らかの方法で電力に変換し,電灯をともし,モーターを動かし,ラジオやテレビの電源に利用できないでしょうか。自動車や飛行機の燃料にするため,太陽のエネルギーをタンクの中に蓄えることができますか。

こうした可能性は,現在,真剣に検討されています。数々の研究所の科学者たちは,太陽エネルギーを利用する方法に関する基礎研究に取り組んでいます。そこに可能性が秘められていることは確かです。米国アリゾナ州のわずか26㌔四方の土地に降りそそぐ太陽の放射エネルギーだけでも,米国の発電所すべてで起こされる電力に匹敵します。それでは,どんなことが問題となっているのでしょうか。

取り組まなければならない最初の問題は,日光が本来広い範囲に拡散しているということです。限られた大きさの集熱器はどんなものであれ,比較的わずかな量のエネルギーしか吸収しません。しかし,広い範囲に拡散しているこのエネルギーでも十分に役立つ分野があります。日光を取り入れるよう設計された建物の場合,暖房に必要とされる燃料をかなりの程度節約できるほどの熱を取り込みます。屋根に取り付けた温水器によって,風呂や皿洗いや洗濯に使う湯が得られます。

太陽エネルギーに付きものの別の制限は,望むときに必ずいつでも得られるわけではないということです。それは日没と共になくなってしまいます。雲も太陽のエネルギーをさえぎります。日光の強さ,日照時間,曇りの日の日数などはすべて,緯度や季節によって変わってきます。数多くの分野で,太陽エネルギーが受け入れられるかどうかは,太陽の照っている間にエネルギーを蓄え,夜間や曇りの日にそれを利用する方法を見いだせるかどうかにかかっています。

太陽エネルギーを蓄える簡単な方法の一つは,日中に水を温め,その温水を蓄熱槽に蓄え,夜間にそれを利用する方法です。その温水をラジエーターに通して循環させ,家を暖房することもできます。そのようなシステムは,天候の不順な間,他のエネルギー源の助けを借りなければなりません。しかし,補助暖房システムとしては,ガスや電気を節約するためすでに実用化されています。

こうした初歩的な応用方法をしのぐ,もっと複雑な太陽熱利用法があります。太陽の光線を一点に集めると,はるかに高い温度が得られるのです。一枚の紙の上に虫めがねで太陽光線を一点に集め,紙がくすぶり,やがて炎を上げるのを見るという実験をした覚えはだれにでもあるはずです。凹面鏡を使って太陽光線を狭い範囲に集め,ほとんどの耐熱材料を溶かしてしまうほどの,目もくらむような白熱を生じさせることにより,この原理は大規模に応用されています。南フランスにあるそのような太陽炉では,焦点に据えられたボイラーを使って発電が行なわれ,その電力は国の送電系統に送られています。製作者は,出力1,000㌔㍗のこの太陽熱発電所を売りに出しています。

米国ニューメキシコ州アルバカーキ近郊には,本格的な発電所でのその経済的可能性を調べるため,同種のもっと複雑な装置が組み立てられています。ずらりと並んだ鏡の焦点は,高さ60㍍ほどの“発電塔”の一点に合わされています。鏡は各々1.2㍍四方で,一枚の“ヘリオスタット”の上にその鏡が25枚並んで正方形を成すよう配列されています。太陽が天空を移動すると,ヘリオスタットも太陽の反射光線を一点に集中させておくために太陽の動きに合わせて動かさなければなりません。発電塔の北側の三角形の用地にそのようなヘリオスタットが222枚据えられています。各ヘリオスタットの距離と位置に従って,コンピューターが各々を別個に作動させます。

それらの鏡の焦点が塔の一点に合わされ,0.8㌶の土地に降りそそぐ太陽光線が0.5平方㍍ほどの所に集められます。千個以上の太陽から得られる熱は摂氏2,300度にも上ります。初期の実験で,ヘリオスタットの光線は鋼鉄板を急速に溶かして,それに穴を空けました。

塔に取り付けられたボイラーで試運転したのち,カリフォルニア州バーストウに1万㌔㍗の太陽熱発電所が建設される予定です。その発電所は,早くも1981年までにカリフォルニア州南部の送電線網につながれることでしょう。

日光から得る電気

一方,他の科学者たちは,日光を直接,電気に変換するという,より長期的な目標に向かって研究を進めています。その原理自体は決して目新しいものではありません。わたしたちは光電効果に基づく装置を長年にわたって利用してきました。例えば,カメラに内臓された光電池は,カメラの向けられた場面の明るさに合った,正確な絞りを知らせます。光がわずかな電流を起こし,それがダイアルの針を動かすのです。この規模を大きくして有用な仕事を行なえるだけの電流にするのは容易なことではありませんが,それには大きな報いがあります。

光電池の中ではどのように光が電気を起こすのでしょうか。その秘密は半導体元素の利用にあります。ほとんどの金属は良導体ですが,良導体である元素の電子はその原子から非常に遊離しやすくなっています。それらの電子は自由に動き回り,電流を伝えます。絶縁体の場合,電子はその軌道上にしっかりと束縛されており,自由に動くことはできません。半導体はその中間に位置しています。電子は束縛されてはいますが,それほどしっかりと束縛されてはいないので,ちょっとひと押しすると電子は遊離し,動き回るようになります。

純粋のシリコンは余り良い導体ではありません。しかし,微量の不純物が混ざると,ずっと優れた導体になります。例えば,シリコンよりも一つ多い,五つの外殻電子を持つヒ素のような元素をわずかばかり加えると,シリコンの結晶に自由電子が供されます。あるいは,三つの外殻電子しか持たないホウ素を少しだけ加えると,電子の空席が生じます。この電子の欠損は正孔と呼ばれます。隣接する原子から別の電子が容易にこの正孔に飛び込み,あたかもその正孔が移動し,正の電流の流れるのと同じような効果を与えます。

最初に挙げた種類の不純物入りシリコンは,余分の電子(負の電荷)を持っているのでN型シリコンと呼ばれます。二番目に挙げた種類のものは余分の正孔(正の電荷)を持っているのでP型シリコンと呼ばれます。この二種類のシリコンを向かい合わせるとNP接合が出来上がります。電子はこの接合面を越えて一方向にだけ流れます。これがトランジスターの根本原理です。トランジスターの出現で,今日の小さなシリコン・チップが昔の大きくてかさばる真空管に取って代わりました。

さて,N型シリコンとP型シリコンを一枚ずつ取り,その二枚を一緒にするとしましょう。そうすると,トランジスター片の代わりに,太陽ボルタ電池が出来上がります。これが太陽にさらされると,日光の個々の単位である光子のエネルギーを吸収し,そのエネルギーでシリコン原子から電子を遊離させます。電池の両側が結ばれて回路ができると,電子はマイナスの側からプラスの側へ流れます。この電流は利用可能です。それは日光から得た電気です。

日光のエネルギーすべてを電気エネルギーに換えられるわけではありません。日光の光子の持つエネルギーは,その色が赤から紫にまで変わるにつれて,1.5電子ボルトから3.0電子ボルトまで変化します。しかし,シリコン結晶から電子を遊離させるのに必要とされるのは1.0電子ボルトだけですから,残ったエネルギーは熱になって失われてしまいます。理論上,一つのシリコン電池の効率は一番よくて約22%です。これまでに実際に作られたシリコン電池の中で最も効率の良いもので,その効率は約15%です。各種の元素でできた半導体を数層に重ねることにより,日光のエネルギーの50%までを変換できるのではないかと期待されています。

太陽電池の応用

太陽電池は,すでに現代の科学技術において重要な位置を占めており,宇宙飛行体の電源として利用されています。太陽電池はそうした分野への応用には打ってつけです。惑星間の飛行では常時(周回軌道にある場合は,半分以上の時間)太陽光線を何にも妨げられずに受けています。雲が邪魔に入ることも,雨風に打たれることもありません。その費用は宇宙開発の予算の中に組み入れられています。

ですから,スカイラブや火星へ行ったバイキングなどの宇宙飛行体の輪郭の中で最も著しい特徴は,それから突き出た大きな太陽翼板であることが分かるでしょう。太陽電池は信頼の置ける,耐用年数の長いものであることが実証されました。バイキング・オービター(軌道周回機)に積まれた発電装置は,火星に到着してから二年たった後にも,依然として600㍗の電力を生産していました。この過酷な任務を立派に果たしたのですから,確かに太陽電池は推奨できるということになります。太陽電池の製作に当たって,そのような完ぺきな出来栄えを保証するには細心の注意と多額の費用が求められますが,バイキングにはそれだけのものを掛けることができました。しかし,地球上の電力用として採算の合うものにするには,コストを現在の20分の1以下に下げなければなりません。それで,太陽による電力は遠い先の話であるかのように思えるかもしれません。しかし,すでに見られたように,半導体を使った他の装置のコストが大幅に引き下げられたことは,より早い時期にそれが実現するという希望を与えてくれます。数多くの研究所の研究者たちは,太陽電池をもっと安い価格で作るオートメーション工程のための研究に鋭意専心しています。熱烈な推進者たちは,西暦2000年までに,米国で必要とされるエネルギーの20%は太陽によってまかなえるようになると論じています。

太陽エネルギー発電には,一つ,他の多くの発電方法と際立った対比を成す点があります。それは,本来モジュールによって起こされるという点です。すなわち,小さな一つのモジュールが発電の基本単位になっているのです。より多くの電力を得るには,もっと多くのモジュールをつなぐだけでよいのです。蒸気による発電ではそうはゆきません。石油や石炭によって電力を安く生産するには大きな発電所が必要になります。原子力発電についても同じことが言えますし,核融合発電となればなおさらです。ところが,太陽による発電の場合,小さな発電所からでも大きな発電所と同じほど安い価格で電力を得られる見込みがあります。

これは次の挑発的な質問を引き起こします。すなわち,現在の体制には欠くことのできない,広範にわたる配電線網をなくすことができるか,という質問です。将来の発電所は地域社会や小さな地区単位での事業になるかもしれず,孤立した個々の住宅にさえ適応されるかもしれません。広域に及ぶ,場合によっては国全体に及ぶ配電線網に送る電力の生産を組織してきた人々にとって,この考えは心配の種となります。現在の体制における自分たちの膨大な額の投資が脅威にさらされるのを感じ取る産業界の指導者たちが,こうした徹底的革新を熱烈に支持しないのも無理からぬことです。こうした事柄が足を引っ張らなければ,太陽エネルギーの開発はもっと速く進んだ,と論じる人もいます。

太陽エネルギーから直接に電気を起こす方法に伴う他の利点にも,確かに魅力的な面があります。それは汚染や騒音とは無縁で,安全なものになるでしょう。作動する部分はありませんし,消耗するところもありません。扱い方は簡単ですし,公害も出しません。そのエネルギー源は無料ですし,太陽光線は来る日も来る日も尽きることがありません。そのようなエネルギー源の見込みに動かされて,それを推進する人々がその早期実現を目指してあらゆる努力を払うよう求めているのももっともなことではありませんか。

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米国アリゾナ州のわずか26㌔四方の土地に降りそそぐ太陽の放射エネルギーだけでも,米国の発電所すべてで起こされる電力に匹敵します

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熱烈な推進者たちは,西暦2000年までに,米国で必要とされる営利目的のエネルギーの20%は太陽によってまかなえるようになると論じています

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直接太陽光線で発電をする利点: 無公害,無騒音,消耗する部品がない,太陽光線は来る日も来る日も尽きないのでその供給は無料で,再生可能である

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宇宙空間から送られる太陽エネルギーによる電力

太陽光線を電源として開発する方法すべての中で最も奇抜な思いつきは,SF映画から飛び出してきたかのようなものです。その着想によると,太陽電池板をつないで総面積が50平方㌔に及ぶ巨大な収集板を宇宙空間で組み立てます。このエネルギー収集発電所は,高度3万6,000㌔の軌道に乗せられ,赤道上空の定められた所で静止します。生産された電力はマイクロ波に変えられ,地上にある直径10㌔の受信用アンテナへ送られます。それによって得られる500万㌔㍗の電力は,ニューヨーク市の電力需要をほぼまかなうに足るものです。この提案には,地球上の太陽熱収集板よりも明らかに優れた利点が一つあります。宇宙空間発電所は一日24時間運転され,エネルギーの収集も,マイクロ波による送信も,曇天に妨げられることがないという点です。

しかし,そのようなとてつもなく大きな建設の業は,この宇宙時代の科学技術をもってしても,不可能です。ロケットを開発し,資材と作業員を宇宙空間へ送り出すには,幾十億㌦もの費用がかかります。また,漂遊マイクロ波が受信所付近の住民に害を及ぼさないかと疑う向きもあるでしょう。さらに,電離層や天候,テレビやラジオにどんな影響を及ぼすでしょうか。天文学者たちは,こうした明るい物体が空にあると,宇宙のかなたを探ることが恒久的にできなくなるとこぼします。そうした観測には暗い空が必要とされるためです。電力会社の幹部はこの計画に好意を寄せるでしょう。この計画では依然として電力会社の送電網に頼らなければならないからです。

しかし,夜間に使うため電力を蓄えることができれば,そうした複雑な人工的な回り道を避け,自分の家に差す日光から直接に太陽エネルギーを得ることのほうを望まれるでしょう。結局のところ,太陽発電衛星の実現するころには,わずか3平方㍍ほどの太陽電池を屋根に取り付けるだけで,自分の家の電力需要をまかなうに足るだけの太陽エネルギーを収集できるようになっているかもしれないのです。

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