マタイ*による書
1 アブラハムの子+,ダビデの子+,イエス・キリストについての歴史*の書+:
イサクはヤコブの父となり+,
ヤコブはユダ+とその兄弟たちの父となり,
ペレツはヘツロンの父となり+,
ヘツロンはラムの父となり+,
4 ラムはアミナダブの父となり,
アミナダブはナフションの父となり+,
ナフションはサルモンの父となり+,
ボアズはルツによって+オベデの父となり,
オベデはエッサイの父となり+,
レハベアムはアビヤの父となり,
エホシャファトはエホラム+の父となり,
エホラムは*ウジヤの父となり,
9 ウジヤはヨタムの父となり,
アハズはヒゼキヤの父となり+,
アモン+はヨシヤの父となり,
12 バビロンへの強制移住+の後エコニヤはシャルテルの父となり+,
シャルテルはゼルバベルの父となり+,
13 ゼルバベルはアビウデの父となり,
アビウデはエリヤキムの父となり,
エリヤキムはアゾルの父となり,
14 アゾルはザドクの父となり,
ザドクはアキムの父となり,
アキムはエリウデの父となり,
15 エリウデはエレアザルの父となり,
エレアザルはマタンの父となり,
マタンはヤコブの父となり,
17 それで,アブラハムからダビデまでの世代は全部で十四代,ダビデからバビロンへの強制移住までは十四代,バビロンへの強制移住からキリストまでは十四代であった。
18 ところで,イエス・キリストの誕生はこうであった。その母マリアがヨセフと婚約中+であった時,ふたりが結ばれる前に,彼女が聖霊によって+妊娠していることが分かった。19 しかし,その夫ヨセフは義にかなった人であり,また彼女をさらし者にすること+を望まなかったので,ひそかに離婚+しようと*思った。20 しかし,彼がこれらのことをよく考えたのち,見よ,エホバの*み使いが夢の中で彼に現われて,こう言った。「ダビデの子ヨセフよ,あなたの妻マリアを迎え入れることを恐れてはならない。彼女のうちに宿されているものは聖霊によるのである+。21 彼女は男の子を産むであろう。あなたはその名をイエス*と呼ばなければならない+。彼は自分の民+をその罪から+救うからである+」。22 このすべては,預言者を通して+エホバ*によって語られたこと+が成就するために実際に起きたのである。こう言われていた。23 「見よ,処女*+が妊娠して男の子を産み,彼らはその名をインマヌエル*+と呼ぶであろう」。これは,訳せば,「わたしたちと共に神はおられる+」という意味である。
24 そこでヨセフは眠りから覚め,エホバ*のみ使いが指示したとおりに行ない,自分の妻を迎え入れた。25 しかし,彼女が子を産むまでは+,彼女と交わりを持たなかった*+。そして彼はその[子]の名をイエスと呼んだ+。
2 イエスが王ヘロデ+の時代にユダヤのベツレヘム+で生まれたのち,見よ,東方からの占星術者たち*+がエルサレムに来て,2 こう言った。「ユダヤ人の王としてお生まれになった方+はどこにおられますか。わたしたちは東方に[いた時,]その方の星+を見た*のです。わたしたちはその方に敬意をささげるために参りました」。3 これを聞いてヘロデ王は動揺し,全エルサレムも共に[動揺した]。4 [王]は民の祭司長や書士たちすべてを集めると,キリスト*がどこで生まれることになっているのかを尋ねはじめた。5 彼らは言った,「ユダヤのベツレヘム+です。預言者を通してこう書かれているからです。6 『そして,ユダの地のベツレヘム*+よ,あなたは決して,ユダの統治者たち*の間で最も取るに足りない[都市]ではない。統治する者*+があなたから出て,わたしの民イスラエルを牧する+からである』」。
7 そこでヘロデは占星術者たちをひそかに呼び寄せ,その星の現われた時を彼らから注意深く確かめた。8 そして,彼らをベツレヘムに遣わす際にこう言った。「行ってその幼子を注意深く捜し,見つけたら,わたしのところに報告しなさい。わたしも行ってそれに敬意をささげるためである+」。9 王の[ことば]を聞いてから,彼らは出かけて行った。すると,見よ,東方に[いた時に+]見た*星が彼らの先を行き,ついに幼子のいる所の上方まで来て止まった。10 その星を見て,彼らはこの上なく歓んだ。11 そして,家の中に入った彼らは,その母マリアと共にいる幼子を見,ひれ伏して敬意をささげた。彼らはまた,自分たちの宝物を開き,[幼子]に贈り物を,金・乳香・没薬を差し出した。12 しかし,ヘロデのもとに帰らぬようにと,夢の中で神からの警告を与えられたので+,別の道を通って自分たちの国に退いた。
13 彼らが退いたのち,見よ,エホバ*のみ使い+が夢の中でヨセフに現われて,こう言った。「起きて,幼子とその母を連れてエジプトに逃げ,わたしが知らせるまでそこにとどまっていなさい。ヘロデがまさに,この幼子を捜して滅ぼそうとしているからである」。14 そこで彼は起き,夜のうちに幼子とその母を連れてエジプトに退き,15 ヘロデの死亡までそこにとどまった。これは,エホバ*がご自分の預言者を通して,「エジプトから+わたしは自分の子を呼び出した」と語られたことが成就するため+であった。
16 その後,ヘロデは占星術者たち*に裏をかかれたことを知って大いに怒り,人を遣わし,占星術者たちから注意深く確かめておいた時にしたがって+,ベツレヘムとその全地域の二歳以下の男の子すべてを除き去らせた。17 この時,預言者エレミヤを通して語られたことが成就した。こう言われていた。18 「ラマで声が聞こえた+。泣き悲しみと激しいどうこくが。ラケル+がその子供たちのために泣き悲しむのであり,彼女は慰めてもらおうとはしなかった。彼らがもういないからである」。
19 ヘロデが死亡してから,見よ,エホバ*のみ使いがエジプトにいたヨセフに夢の中で+現われて,20 こう言った。「起きて,幼子とその母とを連れ,イスラエルの地に行きなさい。幼子の魂*を求めていた者たちは死んだからである」。21 それで彼は起きて,幼子とその母とを連れてイスラエルの地に入った。22 しかし,アケラオがその父ヘロデに代わってユダヤの王として支配していることを聞き,そこに向かうことを恐れた。さらに,夢の中で神からの警告を与えられたので+,ガリラヤ地方に退き+,23 ナザレ*という都市に来て住んだ+。預言者たちを通して,「彼はナザレ人*と呼ばれるであろう+」と語られたことが成就するためであった。
3 そのころ,バプテストの*ヨハネ*+がユダヤの荒野+に伝道に*来て,2 こう言った。「悔い改めなさい+。天の王国*は近づいたからです+」。3 実際これは,預言者イザヤを通して+次のように言われた人である。「聴け,だれかが荒野で叫んでいる。『あなた方はエホバ*の道を備えよ+! その道路をまっすぐにせよ』」。4 ところで,このヨハネはらくだの毛の衣服を着け+,革の帯*+を腰に巻いていた。その食べ物もいなご+と野蜜+であった。5 その時,エルサレム*と全ユダヤ,またヨルダン周辺の全地方[の人々]が彼のところに出て来た。6 そして人々は,自分の罪をあらわに告白しつつ,ヨルダン川で彼からバプテスマを受けた+。
7 パリサイ人とサドカイ人+が数多くバプテスマに来るのを見かけた時,[ヨハネ]は彼らにこう言った。「まむしらの子孫よ+,来ようとしている憤り+から逃れるべきことを,だれがあなた方に暗示したのですか。8 それなら,悔い改め*にふさわしい実を生み出しなさい+。9 そして,『わたしたちの父にアブラハムがいる+』などと自分に言ってはなりません。あなた方に言っておきますが,神はこれらの石からアブラハム+に子供たちを起こすことができるのです。10 すでに斧+は木の根もとに置かれています。それで,りっぱな実を生み出さない木はみな切り倒されて+火に投げ込まれるのです+。11 わたしは,あなた方の悔い改めのゆえに+水でバプテスマを施します*+。しかし,わたしの後に来る方+はわたしより強く,わたしはその方のサンダルを外してさしあげるにも値しません+。その方は聖霊*と火で+あなた方にバプテスマを施すでしょう+。12 [穀物を]あおり分けるシャベルがその手にあり,その方は自分の脱穀場をすっかりきれいにし,自分の小麦を倉の中に集め+,もみがらのほうは,消すことのできない火で焼き払う+のです」。
13 その時,イエスはガリラヤから+ヨルダンに,ヨハネのところに来られたが,彼からバプテスマを受けるため+であった。14 しかし,[ヨハネ]は彼をとどめようとして言った,「私こそあなたからバプテスマを受ける必要のある者ですのに,あなたが私のもとにおいでになるのですか」。15 イエスは答えて言われた,「この度はそうさせてもらいたい。このようにしてわたしたちが義にかなったことをすべて果たすのはふさわしいことなのです+」。そこで[ヨハネ]はとどめるのをやめた。16 バプテスマを受けたのち,イエスはすぐに水から上がられた。すると,見よ,天が開け+,[イエス]は,神の霊がはとのように下って+自分の上に来るのをご覧になった+。17 見よ,さらに天からの声があって+,こう言った。「これはわたしの子+,[わたしの]愛する者である+。この者をわたしは是認した+」。
4 それからイエスは,悪魔の誘惑を受けるため+,霊によって荒野へ導かれた+。2 四十日四十夜+断食したのちに,[イエス]は飢えを感じられた。3 さらに,誘惑者+が来て,彼にこう言った。「あなたが神の子であるなら+,これらの石に,パンになるように命じなさい」。4 しかし[イエス]は答えて言われた,「『人は,パンだけによらず,エホバ*の口から出るすべてのことばによって生きなければならない+』と書いてあります」。
5 ついで悪魔は彼を聖都+の中に連れて行き,神殿の胸壁の上に立たせて,6 こう言った。「あなたが神の子であるなら,身を下に投じなさい+。『[神]はあなたに関してご自分の使いたちに指図を与え,彼らはその手に載せてあなたを運び,あなたが石に足を打ちつけることのないようにする+』と書いてありますから」。7 イエスは彼に言われた,「『あなたの神エホバ*を試みてはならない+』とも書いてあります」。
8 また,悪魔は彼をとりわけ高い山に連れて行き,世*のすべての王国+とその栄光とを見せて,9 こう言った。「もしあなたがひれ伏してわたしに崇拝の行為をするならば+,わたしはこれらのすべてをあなたに上げましょう+」。10 その時,イエスは彼に言われた,「サタンよ,離れ去れ!『あなたの神エホバ*をあなたは崇拝しなければならず+,この方だけに+神聖な奉仕をささげなければならない*+』と書いてあるのです」。11 その時,悪魔は彼を離れた+。すると,見よ,み使いたちが来て彼に仕えはじめた+。
12 さて,ヨハネが捕縛されたことを聞くと+,[イエス]はガリラヤに退かれた+。13 さらに,ナザレを去ってから,ゼブルンとナフタリ+の地域にある海辺のカペルナウム+に来て住まわれた。14 これは,預言者イザヤを通して語られたことが成就するためであった。こう言われていた。15 「ゼブルンの地とナフタリの地,海の道路ぞい,ヨルダンの向こう側,諸国民のガリラヤ+よ,16 闇に座する民+は大いなる光を見+,死のような陰の地方に座する者には,光+がその上に昇った+」。17 その時からイエスは伝道を開始して,「あなた方は悔い改めなさい+。天の王国+は近づいたからです」と言いはじめられた。
18 ガリラヤの海辺を歩いておられた時,[イエス]は,二人の兄弟,ペテロ+と呼ばれるシモン+とその兄弟アンデレが,漁網を海に下ろしているのをご覧になった。彼らは漁師だったのである。19 そこで彼らにこう言われた。「わたしに付いて来なさい。そうすれば,あなた方を,人をすなどる者にしてあげましょう+」。20 彼らは直ちに網を捨てて+そのあとに従った。21 そこからなお進んで行かれ,兄弟[である]ほかの二人+,ゼベダイ+の[子]ヤコブとその兄弟ヨハネが,父ゼベダイと一緒に舟の中に[いて],自分たちの網を繕っているのをご覧になり,彼らをお呼びになった。22 彼らは直ちに舟と父を残してそのあとに従った。
23 それから[イエス]はガリラヤの全土を+あまねく巡り+,諸会堂で+教え,王国の良いたより*を宣べ伝え,民の中のあらゆる疾患とあらゆる病を治された+。24 すると,彼の評判はシリアじゅうに伝わり+,人々は,具合いの悪い者すべて+,さまざまな疾患や苦痛に悩む者,悪霊に取りつかれたり,てんかん+であったり,まひしたりしている者を彼のところに連れて来た。それで[イエス]はその人々を治された。25 その結果,大群衆が,ガリラヤ+,デカポリス*,エルサレム+,ユダヤから,またヨルダンの向こう側から[来て],彼のあとに従った。
5 その群衆をご覧になった時,[イエス]は山に上られた。そして腰を下ろされると,弟子たちがそのもとに来た。2 それから[イエス]は口を開いて彼らを教えはじめ,こう言われた。
3 「自分の霊的な必要を自覚している人たち*は幸い*です+。天の王国はその人たちのものだからです+。
4 「嘆き悲しむ人たちは幸いです。その人たちは慰められるからです+。
5 「温和な気質+の人たちは幸いです。その人たちは地を受け継ぐからです+。
6 「義に飢え渇いている人たちは幸いです+。その人たちは満たされるからです+。
7 「憐れみ深い人たちは幸いです+。その人たちは憐れみを受けるからです。
8 「心の純粋な人たちは幸いです+。その人たちは神を見るからです+。
9 「平和を求める人たち*は幸いです+。その人たちは『神の子+』と呼ばれるからです。
10 「義のために迫害されてきた人たちは幸いです+。天の王国はその人たちのものだからです。
11 「人々がわたしのためにあなた方を非難し+,迫害し+,あらゆる邪悪なことを偽ってあなた方に言うとき,あなた方は幸いです。12 歓び,かつ喜び躍りなさい+。天においてあなた方の報い+は大きいからです。人々はあなた方より前の預言者たち+をそのようにして迫害したのです。
13 「あなた方は地の塩+です。しかし,塩がその効き目を失うなら,どうしてその塩けを取り戻せるでしょうか。外に投げ出されて+人に踏みつけられる以外に,もはや何にも使えません。
14 「あなた方は世の光です+。都市が山の上にあれば,それは隠されることがありません。15 人はともしびをともすと,それを量りかごの下ではなく+,燭台の上に据え,それは家の中にいるすべての人の上に輝くのです。16 同じように,あなた方の光+を人々の前に輝かせ,人々があなた方のりっぱな業を見て+,天におられるあなた方の父に栄光を帰する+ようにしなさい。
17 「わたしが律法+や預言者たちを破棄するために来たと考えてはなりません。破棄するためではなく,成就するために+来たのです。18 あなた方に真実に言いますが,律法から最も小さな文字一つまたは文字の一画が消え去って,[記された]すべてのことが起きないよりは+,むしろ天地の消え去るほうが先なのです+。19 それゆえ,だれであれ,これら一番小さなおきての一つを破り+,また人にそのように教える者は,天の王国に関連して『一番小さい者』と呼ばれるでしょう+。だれでもそれを行ない,またそれを教える者+,その者は天の王国に関連して『大いなる者+』と呼ばれるでしょう。20 あなた方に言っておきますが,あなた方の義が書士やパリサイ人の[義]より豊かにならなければ+,あなた方は決して天の王国に入らない+のです。
21 「古代の人々に対して,『あなたは殺人をしてはならない+。しかし,だれでも殺人を犯す者+は法廷で言い開きをすることになるであろう+』と言われたことをあなた方は聞きました。22 しかし,わたしはあなた方に言います。自分の兄弟に対して憤りを抱き続ける者+はみな法廷で言い開きをすることになり+,だれでも言うまじき侮べつの言葉*で自分の兄弟に呼びかける者は最高法廷*で言い開きをすることになります。また,だれでも,『卑しむべき愚か者よ!』と言う者は,火の燃えるゲヘナ*+に処せられることになるでしょう。
23 「それで,供え物を祭壇に持って来て+,兄弟が自分に対して何か反感を抱いていることをそこで思い出したなら+,24 あなたの供え物をそこ,祭壇の前に残しておいて,出かけて行きなさい。まず自分の兄弟と和睦し+,それから,戻って来たときに,あなたの供え物をささげなさい+。
25 「あなたを告訴する者とは,共にその道にある間に,すばやく事の解決に当たり,告訴者+があなたを裁き人に引き渡し,裁き人が廷吏に[引き渡して],あなたが獄に投げ込まれるようなことがないようにしなさい。26 本当のこととしてあなたに言いますが,価のごくわずかな最後の硬貨*を払ってしまうまで,あなたがそこから出て来ることは決してないでしょう+。
27 「『あなたは姦淫を犯してはならない+』と言われたのをあなた方は聞きました。28 しかし,わたしはあなた方に言いますが,女を見つづけて+これに情欲を抱く者はみな,すでに心の中で+その[女]と姦淫+を犯したのです。29 そこで,もしあなたの右の目があなたをつまずかせているなら,それをえぐり出して捨て去りなさい+。全身をゲヘナに投げ込まれる+よりは,肢体の一つを失うほうがあなたにとって益になるのです。30 また,もしあなたの右の手があなたをつまずかせているなら,それを切り離して捨て去りなさい+。全身がゲヘナに落ちるよりは,肢体の一つを失うほうがあなたにとって益になるのです。
31 「さらに,『だれでも妻を離婚する+者は,離婚証書をこれに与えなさい』と言われました+。32 しかし,わたしはあなた方に言いますが,妻を離婚する者はみな,それが淫行*+のゆえでないならば,彼女を姦淫にさらすのであり+,だれでも,離婚された*女と結婚する者は姦淫を犯す*ことになるのです+。
33 「さらにまた,古代の人々に対し,『誓いをして+履行しないようなことがあってはならず,あなたはエホバ*に対する自分の誓約を果たさねばならない+』と言われたことをあなた方は聞きました。34 しかし,わたしはあなた方に言いますが,いっさい誓ってはなりません+。天にかけても,なぜならそれは神のみ座+だからです。35 地にかけても,なぜならそれは[神]の足台+だからです。エルサレムにかけても,なぜならそれは大いなる王の都市+だからです。36 また,あなたの頭にかけて誓ってもなりません。なぜなら,あなたは髪の毛一本さえ白くも黒くもできないからです。37 ただ,あなた方の“はい”という言葉は,はいを,“いいえ”は,いいえを意味するようにしなさい+。これを越えた事柄は邪悪な者から*出るのです+。
38 「『目には目,歯には歯+』と言われたのをあなた方は聞きました。39 しかし,わたしはあなた方に言いますが,邪悪な者に手向かっては*なりません。だれでもあなたの右のほほを平手打ちする者には+,他[のほほ]をも向けなさい。40 そして,もし人があなたと一緒に法廷に行ってあなたの内衣を手に入れようとするならば,その者には外衣をも取らせなさい+。41 また,だれか権威のもとにある者があなたを一マイル*の奉仕に徴用するならば,その者と一緒に二マイル行きなさい+。42 求める者に与え,あなたから[利息なしで]借りようとする者に背を向けてはなりません+。
43 「『あなたは隣人を愛し+,敵を憎まなければならない+』と言われたのをあなた方は聞きました。44 しかし,わたしはあなた方に言いますが,あなた方の敵を愛しつづけ+,あなた方を迫害している者たちのために祈りつづけなさい+。45 それは,あなた方が天におられるあなた方の父の子であることを示すためです+。[父]は邪悪な者の上にも善良な者の上にもご自分の太陽を昇らせ,義なる者の上にも不義なる者の上にも雨を降らせてくださるのです+。46 というのは,自分を愛してくれる者を愛したからといって,あなた方に何の報いがあるでしょうか+。収税人たちも同じことをしているではありませんか。47 また,自分の兄弟たちにだけあいさつしたからといって,どんな格別なことをしているでしょうか。諸国の人々も同じことをしているではありませんか。48 ですから,あなた方は,あなた方の天の父が完全*であられるように完全でなければなりません+。
6 「人に注目されようとして自分の義+を人の前で行なうことがないようによく注意しなさい。そうでないと,天におられるあなた方の父のもとであなた方に報いはありません。2 ゆえに,憐れみの施し+をするときには,偽善者たちが人から栄光を受けようとして会堂や街路でするように,自分の前にラッパを吹いてはなりません+。あなた方に真実に言いますが,彼らは自分の報いを全部受けているのです。3 しかしあなたは,憐れみの施しをする際,あなたの右の手がしていることを左の手に知らせてはなりません。4 あなたの憐れみの施しがひそかに[なされる]ためです。そうすれば,ひそかに見ておられるあなたの父が報いてくださるでしょう+。
5 「また,祈るとき,あなた方は偽善者たちのようであってはなりません。彼らは,人に見えるように+会堂の中や大通りの角に立って+祈ることを好むのです。あなた方に真実に言いますが,彼らは自分の報いを全部受けているのです。6 しかし,あなたが祈るときには,自分の私室に入り+,戸を閉じてから,ひそかなところにおられるあなたの父に祈りなさい+。そうすれば,ひそかに見ておられる父があなたに報いてくださるでしょう。7 しかし,祈る際には,諸国の人々がするように同じことを何度も繰り返し言っては*なりません+。彼らは言葉を多くすれば聞かれると思っているのです。8 それで,彼らのようになってはなりません。あなた方の父であられる神は,まだ求めないうちから,あなた方がどんなものを必要としているかを知っておられるのです+。
9 「そこで,あなた方はこのように祈らなければなりません+。
「『天におられるわたしたちの父よ,あなたのお名前+が神聖なものとされますように*+。10 あなたの王国+が来ますように。あなたのご意志+が天におけると同じように,地上においてもなされますように+。11 今日この日のためのパンをわたしたちにお与えください+。12 また,わたしたちに負い目のある人々をわたしたちが許しましたように,わたしたちの負い目をもお許し*ください+。13 そして,わたしたちを誘惑に陥らせないで+,邪悪な者から*救い出して*ください+』。
14 「あなた方が人の罪過を許すなら,あなた方の天の父もあなた方を許してくださるのです+。15 けれども,あなた方が人の罪過を許さないなら,あなた方の父もあなた方の罪過を許されないでしょう+。
16 「断食をしているときには+,偽善者たちのように悲しげな顔をするのをやめなさい。彼らは,断食をしていることが人々に見えるように,自分の顔を醜くするのです+。あなた方に真実に言いますが,彼らは自分の報いを全部受けています。17 しかし,あなたが断食をしているときには,頭に油を塗り,顔を洗いなさい+。18 断食をしていることが,人にではなく,ひそかなところにおられる+あなたの父に見えるためです。そうすれば,ひそかに見ておられる父があなたに報いてくださるでしょう。
19 「あなた方は自分のために地上に宝+を蓄えるのをやめなさい。そこでは蛾やさびが食い尽くし,また盗人が押し入って盗みます。20 むしろ,自分のために天に宝を蓄えなさい+。そこでは蛾もさびも食わず+,盗人が押し入って盗むこともありません。21 あなたの宝のある所,そこにあなたの心もあるのです。
22 「体のともしびは目です+。それで,もし目が純一であれば*,あなたの体全体は明るいでしょう。23 しかし,目がよこしまで*あれば+,あなたの体全体は暗いでしょう。あなたのうちにある光が実際のところ闇であれば,その闇はどんなにかひどいことでしょう+。
24 「だれも二人の主人に奴隷として仕えることはできません。一方を憎んで他方を愛するか+,一方に堅く付いて他方を侮るかのどちらかだからです。あなた方は神と富*とに奴隷として仕えることはできません+。
25 「このゆえにあなた方に言いますが,何を食べまた何を飲むのだろうかと自分の魂*のことで,また何を着るのだろうかと自分の体のことで+思い煩うのをやめなさい+。魂は食物より,体は衣服より大切ではありませんか+。26 天の鳥+をよく観察しなさい。種をまいたり,刈り取ったり,倉に集め入れたりはしません。それでも,あなた方の天の父はこれを養っておられます。あなた方はそれらより価値のあるものではありませんか+。27 あなた方のうちだれが,思い煩ったからといって自分の寿命に一キュビトを加えることができるでしょうか+。28 また,衣服のことで,なぜ思い煩っているのですか。野のゆり+から,それがどのように育っているか,教訓を得なさい。労したり,紡いだりはしません。29 しかしあなた方に言いますが,栄光を極めたソロモン+でさえ,これらの一つほどにも装ってはいませんでした。30 では,神が,今日ここにあって明日かまどに投げ込まれる野の草木にこのように衣を与えておられるなら,ましてあなた方に衣を与えてくださらないことがあるでしょうか。信仰の少ない人たちよ+。31 それで,思い煩って+,『わたしたちは何を食べるのか』,『何を飲むのか』,『何を身に着けるのか』などと言ってはなりません。32 これらはみな,諸国民がしきりに追い求めているものなのです。あなた方の天の父は,あなた方がこれらのものをすべて必要としていることを知っておられるのです+。
33 「ですから,王国と[神]の義をいつも第一に求めなさい*+。そうすれば,これら[ほかの]ものはみなあなた方に加えられるのです+。34 それで,次の日のことを決して思い煩ってはなりません+。次の日には[次の日]の思い煩いがあるのです。一日の悪いことはその日だけで十分です。
7 「自分が裁かれないために,[人を]裁くのをやめなさい+。2 あなた方が裁いているその裁きであなた方も裁かれることになるからです+。そして,あなた方が量り出しているその量りで人はあなた方に量り出すでしょう+。3 では,なぜ兄弟の目の中にあるわらを見ながら,自分の目の中にある垂木のことを考えないのですか+。4 また,どうして兄弟に,『あなたの目からわらを抜き取らせてください』と言えるのですか。しかも,ご覧なさい,自分の目の中には垂木があるのです+。5 偽善者よ! まず自分の目から垂木を抜き取りなさい。そうすれば,兄弟の目からわらを抜き取る方法がはっきり分かるでしょう。
6 「神聖なものを犬に与えてはなりません+。あなた方の真珠を豚の前に投げてもなりません。彼らがそれを足で踏みつけ+,向き直ってあなた方をかき裂くことのないためです。
7 「求めつづけなさい+。そうすれば与えられます。探しつづけなさい。そうすれば見いだせます。たたきつづけなさい+。そうすれば開かれます。8 だれでも求めている者は受け+,探している者は見いだし,まただれでもたたいている者には開かれるのです。9 実際,あなた方のうち自分の子+からパンを求められるのはだれでしょうか ― その人は石を渡したりはしないではありませんか。10 あるいは,[子]は魚を求めるかもしれません ― その人は蛇を渡したりはしないではありませんか。11 それで,あなた方が,邪悪な者でありながら+,自分の子供たちに良い贈り物を与えることを知っているのであれば,まして天におられるあなた方の父は,ご自分に求めている者に良いもの+を与えてくださるのです。
12 「それゆえ,自分にして欲しいと思うことはみな+,同じように人にもしなければなりません。事実,これが律法と預言者たちの意味するところです+。
13 「狭い門を通って入りなさい+。滅び*に至る道は広くて大きく,それを通って入って行く人は多いからです。14 一方,命に至る門は狭く,その道は狭められており,それを見いだす人は少ないのです+。
15 「羊の覆いを付けてあなた方のもとに来る+偽預言者たちに警戒していなさい+。内側では,彼らはむさぼり食うおおかみです+。16 あなた方は,その実によって彼らを見分けるでしょう+。いばらからぶどうを,あざみからいちじくを集めることなどないではありませんか+。17 同じように,良い木はみなりっぱな実を生み出し,腐った木はみな無価値な実を生み出すのです+。18 良い木は無価値な実を結ぶことができず,腐った木がりっぱな実を生み出すこともできません。19 りっぱな実を生み出していない木はみな切り倒されて火の中に投げ込まれます+。20 それでほんとうに,あなた方はその実によってそれら[の人々]を見分けるのです+。
21 「わたしに向かって,『主よ,主よ』と言う者がみな天の王国に入るのではなく,天におられるわたしの父のご意志を行なう者+が[入る]のです+。22 その日には,多くの者がわたしに向かって,『主よ,主よ+,わたしたちはあなたの名において預言し,あなたの名において悪霊たちを追い出し,あなたの名において強力な業*を数多く成し遂げなかったでしょうか』と言うでしょう+。23 しかしその時,わたしは彼らにはっきり言います。わたしは決してあなた方を知らない+,不法を働く者たちよ,わたしから離れ去れ+,と。
24 「それゆえ,わたしのこれらのことばを聞いてそれを行なう者はみな,思慮深い人に例えられるでしょう。それは岩塊の上に家を建てた人です+。25 そして,雨がどしゃぶりに降って洪水が来,風が吹いて打ちつけても,その家は崩れ落ちませんでした。岩塊の上に土台が据えられていたからです。26 そしてまた,わたしのこれらのことばを聞いてもそれを行なわない者+はみな,愚かな人に例えられるでしょう+。それは砂の上に家を建てた人です。27 そして,雨がどしゃぶりに降って洪水が来,風が吹いて打ち当たると+,その家は崩れ落ち,その崩壊はひどいものでした+」。
28 さて,イエスがこれらのことばを[語り]終えられると,群衆はその教え方に驚き入っていた+。29 権威のある人のように教えておられ+,彼らの書士たちのようではなかったからである。
8 [イエス]が山から下りて来られたのち,大群衆がそのあとに従った。2 すると,見よ,らい病の人+が寄って来て,彼に敬意をささげながらこう言った。「主よ,あなたは,ただそうお望みになるだけで,私を清くすることがおできになります」。3 そこで[イエス]は手を伸ばして彼に触り,こう言われた。「わたしはそう望みます。清くなりなさい+」。すると,彼のらい病はすぐに清められたのである+。4 それからイエスは彼に言われた,「だれにも言わないようにしなさい+。ただ行って,自分を祭司に見せ+,モーセの指定した供え物をささげなさい+。彼らへの証しのためです」。
5 [イエス]がカペルナウムに入られると+,ひとりの士官*がそのもとに来て,懇願して 6 こう言った。「閣下,私の下男はまひして家にこもったまま,ひどく苦しんでおります」。7 [イエス]は彼に言われた,「わたしがそちらへ行った時に治してあげましょう」。8 士官は答えて言った,「閣下,私はあなたに自分の屋根の下に入っていただくほどの者ではありません。ただそのお言葉を下さい。そうすれば,下男はいえることでしょう。9 と申しますのは,私も権威のもとに置かれた人間ですが,私のもとにも兵士がおりまして,この者に,『行け!』と言えば+,その者は行き,別の者に,『来い!』と[言えば],その者は来ます。また,私の奴隷に,『これをせよ!』と[言えば],それを致します」。10 これを聞いてイエスはすっかり驚き,自分のあとに従って来る者たちにこう言われた。「あなた方に真実を言いますが,イスラエルの中のだれにも,わたしはこれほどの信仰を見たことがありません+。11 しかしあなた方に言いますが,東のほうや西+のほうからの大勢の人が来て,天の王国+でアブラハム,イサク,ヤコブと共に食卓について横になるでしょう+。12 一方,王国の子ら+は外の闇に投げ込まれるのです。そこで[彼らは]泣き悲しんだり歯ぎしりしたり*するでしょう+」。13 それからイエスは士官に言われた,「行きなさい。あなたの信仰どおりのことが起きるように+」。すると,下男はその時刻にいえたのである。
14 それからイエスは,ペテロの家に入った際,そのしゅうとめ+が伏せっており,熱病にかかっているのをご覧になった+。15 それで彼女の手にお触りになった+。すると熱は引き,彼女は起き上がって[イエス]に仕えはじめた+。16 しかし夕方になってから*,人々は悪霊に取りつかれた者を大ぜい彼のところに連れて来た。それで[イエス]は言葉で霊たちを追い出し,具合いの悪い者すべてを治された。17 これは,預言者イザヤを通して,「彼は自らわたしたちの病を取り去り,わたしたちの疾患を担った」と語られたことが成就するためであった+。
18 自分のまわりに群衆をご覧になったイエスは,向こう側へ[舟を]出すようにとお命じになった+。19 すると,ある書士が寄って来て,こう言った。「師よ,私は,あなたが行こうとしておられる所なら,どこへでも付いてまいります+」。20 しかしイエスは彼に言われた,「きつねには穴があり,天の鳥にはねぐらがあります。しかし人の子には頭を横たえる所がありません+」。21 その時,弟子のうちの別の者が彼に言った,「主よ,まず出かけて行って私の父を葬ることをお許しください」。22 イエスは彼に言われた,「わたしのあとに従いつづけなさい。そして,死人に自分たちの死人を葬らせなさい+」。
23 ついで,[イエス]が舟に乗られると+,弟子たちはそのあとに従った。24 ところが,見よ,大きな動揺が海に生じ,舟は波をかぶるのであった。それでも,[イエス]は眠っておられた+。25 そこで[弟子]たちはやって来て彼を起こし+,「主よ,わたしたちをお救いください,わたしたちは死んでしまいそうです!」と言った。26 しかし[イエス]は言われた,「なぜあなた方は小心なのですか,信仰の少ない人たちよ+」。それから[イエス]が起き上がって風と海を叱りつけると,大なぎになった+。27 それで人々はすっかり驚き,「これはどういう方なのだろう+,風や海さえ従うとは」と言った。
28 [イエス]が向こう側に着いて,ガダラ人+の地方*に入ると,悪霊に取りつかれた二人の男+が記念の墓の間から出て来て*彼に会ったが,[この二人は]ことのほか狂暴であったので,だれもその道を行ってそばを通る勇気がなかった。29 ところが,見よ,彼らが絶叫してこう言った。「神の子よ+,わたしたちはあなたと何のかかわりがあるのですか*。わたしたちを責め苦に遭わせようとして+,定められた時よりも前に+ここに来たのですか」。30 ところで,彼らから遠く離れた所で豚の大きな群れが放牧されていた。31 それで悪霊たちは彼に懇願しはじめ,「わたしたちを追い出すのでしたら,あの豚の群れの中に送り込んでください+」と言った。32 そこで[イエス]は,「行け!」と言われた。彼らは出て来てから,豚の中に入り込んだ。すると,見よ,その群れ全体が突進して断がいから海に落ち,水の中で死んだ+。33 ところが,牧夫たちは逃げて行き,市内に入って,悪霊に取りつかれた男たちの事を含め,一切のことを知らせた。34 すると,見よ,全市[の人々]がイエスに会おうとして出て来た。そして,[イエス]を見たのち,自分たちの地域から出てくれるようにと切に求めるのであった+。
9 それから[イエス]は舟に乗って[対岸に]渡り,ご自身の都市に入られた+。2 すると,見よ,人々が,まひした人を寝床に寝かせたまま運んで来るのであった+。彼らの信仰を見て,イエスはそのまひした人に言われた,「子供よ,勇気を出しなさい。あなたの罪は許されています+」。3 すると,見よ,書士のある者たちは,「この男は冒とくしている+」と自分の中で言った。4 だが,イエスは彼らの考えを知っていて+こう言われた。「なぜあなた方は心の中で邪悪なことを考えているのですか+。5 例えば,あなたの罪は許されていると言うのと,起き上がって歩きなさいと言うのでは,どちらが易しいですか+。6 しかし,人の子が罪を許す権威を地上で持っていることをあなた方が知るために+―」それから[イエス]は,そのまひした人に,「起き上がり,寝床を取り上げて,自分の家に帰りなさい+」と言われた。7 すると,彼は起き上がって,自分の家に戻って行った。8 群衆はこれを見て恐れに打たれ,このような権威を人に与えた+神の栄光をたたえた+。
9 次いで,そこから進んで行く途中で,イエスは,マタイという名の男が収税所に座っているのを目にとめ,「わたしの追随者になりなさい」と言われた+。すると彼はすぐに立ち上がって,そのあとに従った+。10 後に,[イエス]がその家で食卓について横になっておられると+,見よ,多くの収税人や罪人が来て,イエスやその弟子たちと一緒に横になりはじめた。11 ところが,パリサイ人がこれを見て,彼の弟子たちに,「あなた方の教師が収税人や罪人と一緒に食事をするのはどういうわけか」と言いだした+。12 [これを]聞いて[イエス]は言われた,「健康な人に医者は必要でなく+,病んでいる人に[必要]なのです。13 それで,『わたしは憐れみを望み,犠牲を[望ま]ない+』とはどういうことなのか,行って学んできなさい。わたしは,義人たちではなく,罪人たちを招くために来たのです」。
14 その時,ヨハネの弟子たちが彼のところに来てこう尋ねた。「わたしたちとパリサイ人たちは断食を励行しているのに,あなたの弟子たちが断食をしないのはどうしてですか+」。15 そこでイエスは彼らに言われた,「花婿の友人たち*は,花婿+が共にいるかぎり,嘆き悲しむ理由がないではありませんか。しかし,花婿が彼らから取り去られる日が来ます+。その時,彼らは断食をするでしょう+。16 縮んでいない布の継ぎ切れを古い外衣に縫いつける人はいません。その満ちた力が外衣を引っ張り,裂け目はいっそうひどくなるからです+。17 また人は,新しいぶどう酒を古い皮袋に入れることもしません。もしそうすれば,皮袋は張り裂け,ぶどう酒はこぼれ出て,皮袋はだめになります+。やはり人は,新しいぶどう酒を新しい皮袋に入れます。そうすれば,両方とも保たれるのです+」。
18 [イエス]がこれらのことを彼らに話しておられるうちに,見よ,そばに寄って来ていたある支配者+が彼に敬意をささげながら+こう言った。「今ごろはもう,私の娘は死んでしまったに違いありません+。でも,おいでになって,手をその上に置いてくだされば,[娘]は生き返ることでしょう+」。
19 そこでイエスは立ち上がって,彼のあとに付いて行かれた。弟子たちもそうした。20 すると,見よ,十二年のあいだ血の流出+に悩む女が後ろに寄って来て,彼の外衣の房べり*に触った+。21 彼女は,「あの方の外衣に触るだけで,わたしはよくなる*」と,自分に言いつづけていたのである+。22 イエスは振り向き,彼女に気づいて言われた,「娘よ,勇気を出しなさい。あなたの信仰があなたをよくならせました*+」。そして,その時以来,女はよくなったのである+。
23 さて,支配者の家に入って+,フルートを吹く者たちや騒々しく騒ぎまわる群衆をご覧になった時+,24 イエスは,「そこをどきなさい。この少女は死んだのではない,眠っているのです+」と言いだされた。これを聞いて人々は彼のことをあざ笑いだした+。25 群衆が外に出されると,[イエス]はすぐに中に入り,[少女]の手をつかまれた+。すると,少女は起き上がったのである+。26 言うまでもなく,この事に関する話はその地方全体に広まった。
27 イエスがそこから進んで行かれると,二人の盲人+が,「ダビデの子よ,わたしたちに憐れみをおかけください+」と叫びながらあとに付いて来た。28 彼が家の中に入ると,盲人たちはそのもとにやって来た。それでイエスは,「あなた方は,わたしにそれができるという信仰がありますか+」とお尋ねになった。彼らは,「はい,主よ」と答えた。29 そこで[イエス]は彼らの目に触り+,「あなた方の信仰どおりのことが起きるように」と言われた。30 すると,彼らの目は見えるようになったのである。ついでイエスは,「だれにも知られないようにしなさい+」と厳しく言い渡された。31 しかし彼らは,外に出てから,[イエス]のことをその地方全体に言い広めた+。
32 さて,彼らが去って行くとき,見よ,人々は悪霊に取りつかれた口のきけない人を[イエス]のもとに連れて来た+。33 そして,悪霊が追い出されると,口のきけなかったその人はものを言った+。そこで群衆は非常な驚きを感じ+,「このようなことはイスラエルでいまだかつて見たことがない」と言った。34 しかしパリサイ人たちは,「彼が悪霊を追い出すのは悪霊たちの支配者によるのだ」と言いだした+。
35 それからイエスはすべての都市や村を回る旅に出かけて,人々の会堂で教え,王国の良いたよりを宣べ伝え*,あらゆる疾患とあらゆる病を治された+。36 また,群衆を見て哀れみをお感じになった+。彼らが,羊飼いのいない羊のように痛めつけられ*,ほうり出されていたからである+。37 そこで,弟子たちにこう言われた。「確かに,収穫は大きいですが,働き人は少ないのです+。38 それゆえ,収穫に働き人を遣わしてくださるよう,収穫の主人にお願いしなさい+」。
10 それから[イエス]はご自分の十二弟子を呼び寄せ,汚れた霊たちを制する権威をお与えになった+。それを追い出し,あらゆる疾患とあらゆる病を治すためであった。
2 十二使徒+の名は次のとおりである+。まず,ペテロ*+と呼ばれるシモンとその兄弟アンデレ+,ゼベダイ+の[子]ヤコブとその兄弟ヨハネ,3 フィリポとバルトロマイ*+,トマス+と収税人マタイ*+,アルパヨ+の[子]ヤコブとタダイ*,4 カナナイ人+シモンとユダ・イスカリオテである。この[ユダ]は後に[イエス]を裏切った+。
5 イエスはこれら十二人を遣わして,この命令をお与えになった+。「諸国民の道に行ってはならず,またサマリア人の都市に入ってはなりません+。6 そうではなく,いつもイスラエルの家の失われた羊のところに行きなさい+。7 行って,『天の王国は近づいた+』と宣べ伝えなさい。8 病気の人を治し+,死んだ者をよみがえらせ,らい病人を清め,悪霊を追い出しなさい。あなた方はただで受けたのです,ただで与えなさい+。9 あなた方の腰帯の財布のために金や銀や銅を手に入れてはならず+,10 また,旅のための食物袋も,二枚の下着も*,またサンダルや杖も[手に入れては]なりません。働き人は自分の食物を受けるに価するのです+。
11 「どんな都市または村に入っても,そこにいるふさわしい人を捜し出し,去るまではそこにとどまりなさい+。12 その家の中に入るときには,家の者たちにあいさつをしなさい。13 そして,その家がふさわしいなら,あなた方の願う平安をそこに臨ませなさい+。しかし,もしふさわしくないなら,あなた方からの平安をあなた方のもとに帰らせなさい。14 どこでも,人があなた方を迎え入れず,またあなた方の言葉を聴かない所では,その家またはその都市から出る際に,あなた方の足の塵を振り払いなさい+。15 あなた方に真実に言いますが,裁きの日には,その都市よりもソドム+とゴモラの地のほうが耐えやすいでしょう+。
16 「ご覧なさい,わたしはあなた方を,おおかみ+のただ中にいる羊のように遣わすのです。それゆえ,蛇のように用心深く+,しかもはとのように純真なことを示しなさい+。17 人々に用心していなさい+。人々はあなた方を地方法廷*に引き渡し+,また自分たちの会堂で+むち打つ+からです。18 いえ,あなた方はわたしのために総督や王たちの前に+引き出されるでしょう。彼らと諸国民に対する証し*+のためです。19 しかし,人々があなた方を引き渡すとき,どのように,または何を話そうかと思い煩ってはなりません。話すべきことはその時あなた方に与えられるからです+。20 話すのは単にあなた方ではなく,あなた方の父の霊が,あなた方によって話すのです+。21 さらに,兄弟+が兄弟を,父が子供を死に渡し,また子供が親に逆らって立ち上がり,彼らを死に至らせるでしょう+。22 そしてあなた方は,わたしの名のゆえにすべての人の憎しみの的となるでしょう+。しかし,終わりまで耐え忍んだ人が救われる者です+。23 人々がある都市であなた方を迫害するときには,別の[都市]に逃げなさい+。あなた方に真実に言いますが,人の子が到来するまでに+あなた方がイスラエルの諸都市を回り尽くす+ことは決してないからです。
24 「弟子は師より上でなく,奴隷も主より上ではありません+。25 弟子が自分の師のように,また奴隷が自分の主のようになれば,それで十分です+。人々が家あるじをベエルゼブブ*と呼んだのであれば+,ましてその家の者たちをそのように[呼ばないでしょうか]。26 それゆえ,彼らを恐れてはなりません。覆われているもので,覆いを外されないものはなく,知られないで終わる秘密はないからです+。27 わたしが闇の中で告げることを,光の中で*言いなさい。また,ささやかれて*聞くことを,屋上から宣べ伝えなさい+。28 そして,体を殺しても魂*を殺すことのできない者たちを恐れてはなりません+。むしろ,魂も体も共にゲヘナ*で滅ぼすことのできる方+を恐れなさい+。29 すずめ二羽はわずかな価の硬貨ひとつで*売っているではありませんか+。それでも,あなた方の父の[知ること]なくしては,その一羽も地面に落ちません+。30 ところが,あなた方の頭の毛までがすべて数えられているのです+。31 それゆえ,恐れることはありません。あなた方はたくさんのすずめより価値があるのです+。
32 「それゆえ,人の前でわたしとの結びつきを告白する者はみな,わたしも天におられるわたしの父の前でその者との結びつきを告白します+。33 しかし,だれでも人の前でわたしのことを否認する者は,わたしも天におられるわたしの父の前でその者のことを否認します+。34 わたしが地上に平和を投ずるために来たと考えてはなりません。平和ではなく+,剣を投ずるために来たのです。35 わたしは分裂を生じさせるため,男をその父に,娘をその母に,若妻をそのしゅうとめに敵対[させるために]来たからです+。36 実際,人の敵は自分の家の者たちでしょう。37 わたしに対するより父や母に対して愛情を抱く者はわたしにふさわしくありません。また,わたしに対するより息子や娘に対して愛情を抱く者はわたしにふさわしくありません+。38 そして,だれでも自分の苦しみの杭*を受け入れてわたしのあとに従わない者は,わたしにふさわしくありません+。39 自分の魂*を見いだす者はそれを失い,わたしのために自分の魂を失う者はそれを見いだすのです+。
40 「あなた方を迎える者はわたしをも迎えるのであり,わたしを迎える者は,わたしを遣わした方をも迎えるのです+。41 預言者であるということで預言者を迎える者は預言者の報いを得+,義人であるということで義人を迎える者は義人の報いを得るでしょう+。42 そして,弟子であるということでこれら小さな者の一人にほんの一杯の冷たい飲み水を与える者がだれであっても,あなた方に真実に言いますが,その者は自分の報いを決して失わないでしょう+」。
11 さて,自分の十二弟子に指示を与え終えると,イエスは,諸都市で教えまた宣べ伝えるために,そこから出かけて行かれた+。
2 しかし,牢屋の中で+キリストの業について聞いたヨハネは,自分の弟子たちを使いとして送り,3 「あなたが来たるべき方なのですか。それとも,わたしたちはほかの方を待つべきでしょうか+」と彼に言った。4 イエスは答えて彼らに言われた,「行って,あなた方が聞いたり見たりしている事柄をヨハネに報告しなさい。5 盲人は再び見+,足なえの人+は歩き回り,らい病の人+は清められ,耳の聞こえなかった人+は聞き,死人+はよみがえらされ,貧しい人々には良いたより+が宣明されています。6 わたしにつまずきのもとを見いださない人は幸いです+」。
7 これらの者が去って行くと,イエスはヨハネについて群衆にこう言い始められた。「あなた方は何を眺めに荒野に出て行ったのですか+。風に揺れる葦ですか+。8 では,何を見に出て行ったのですか。柔らかな衣で装った人ですか。柔らかな衣を着けた人なら王たちの家にいるのです+。9 では,いったいなぜ出て行ったのですか。預言者を見るためですか。そうです,しかも,あなた方に言いますが,預言者をはるかに上回る者です+。10 これは,その人について,『見よ,わたし自らあなたの顔の前にわたしの使者*を遣わす。その者はあなたの前にあなたの道を備えるであろう+!』と書かれている人です。11 あなた方に真実に言いますが,女から生まれた者の中で+バプテストの*ヨハネより偉大な者は起こされていません。しかし,天の王国+において小さいほうの者も彼よりは偉大です。12 ただ,バプテストのヨハネの日から今に至るまで,天の王国は人々の押し進む目標となっており,押し進んでいる者たちはそれをとらえつつあります+。13 すべて,つまり預言者たちと律法とは,ヨハネに至るまで預言したからです+。14 そして,あなた方が受け入れることを望むなら,彼こそ,『来ることに定められているエリヤ*+』なのです。15 耳のある人は聴きなさい+。
16 「わたしはこの世代をだれになぞらえましょうか+。それは,幼子たちが市の立つ広場に座って,自分の遊び仲間に叫ぶのに似ています+。17 こう言うのです。『あなたたちのためにフルートを吹いたのに,あなたたちは踊らなかった。わたしたちが泣き叫んだのに,あなたたちは身をたたいて悲しまなかった+』。18 これと同じように,ヨハネが来て食べたり飲んだりしないと+,『彼には悪霊がいる』と人々は言い,19 人の子が来て食べたり飲んだりすると+,『見よ,食い意地の張った,ぶどう酒にふける男,収税人や罪人たちの友』と言います+。しかしやはり,知恵はその働きによって義にかなっていることが示されるのです+」。
20 それから[イエス]はご自分の強力な業の多くがなされた都市を非難し始められた。それらが悔い改めなかったからである+。21 「コラジンよ,あなたは災いです! ベツサイダよ+,あなたは災いです! あなた方の中でなされた強力な業がティルスやシドンでなされていたならば,彼らは粗布と灰の中でずっと以前に悔い改めていたからです+。22 したがって,あなた方に言いますが,裁きの日+には,あなた方よりティルスやシドンのほうが耐えやすいでしょう+。23 そしてカペルナウムよ+,あなたが天に高められるようなことがあるでしょうか*。あなたはハデス*+にまで下るのです+。あなたの中でなされた強力な業がソドムでなされていたならば,[ソドム]は今日この日に至るまで残っていたからです。24 それであなた方に言いますが,裁きの日には,あなた*よりソドムの地のほうが耐えやすいでしょう+」。
25 その時,イエスはこたえ応じて言われた,「天地の主なる父よ,わたしはあなたを公に賛美します。あなたはこれらのことを賢くて知能のたけた者たちから隠し,それをみどりごたちに啓示されたからです+。26 そうです,父よ,このようにするのは,あなたのよみされるところとなったのです。27 すべてのものは父によってわたしに渡されており+,父をほかにすればだれも子を十分には知らず+,また,子と子がすすんで啓示する者をほかにすれば,だれも父を十分には知りません+。28 すべて,労苦し,荷を負っている人よ,わたしのところに来なさい+。そうすれば,わたしがあなた方をさわやかにしてあげましょう。29 わたしのくびき+を負って*,わたしから学びなさい*+。わたしは気質が温和で+,心のへりくだった者だからです。あなた方は自分の魂*にとってさわやかなもの+を見いだすでしょう。30 わたしのくびきは心地よく,わたしの荷は軽いのです+」。
12 その季節のこと,イエスは安息日に穀物畑の中を通られた+。その弟子たちは飢えを覚え,穀物の穂をむしって食べ始めた+。2 これを見てパリサイ人たちは彼に言った+,「ご覧なさい,あなたの弟子たちは安息日にしてはいけないことをしています+」。3 [イエス]は彼らに言われた,「あなた方は,ダビデおよび共にいた人たちが飢えた時に[ダビデ]が何をしたかを読まなかったのですか+。4 すなわち,彼が神の家の中に入り,みんなで供え物のパン*+を食べたことを。それは,彼も,また共にいた者たちも食べることを許されず+,ただ祭司たちだけに[許された+]ものだったのです。5 またあなた方は,安息日に神殿にいる祭司たちが安息日を神聖でないもののように扱っても罪にならない+ことを,律法の中で+読んだことがないのですか。6 ところが,あなた方に言いますが,神殿より偉大なもの+がここにいるのです。7 しかし,『わたしは憐れみを望み+,犠牲を[望ま]ない+』ということの意味を*理解していたなら,あなた方は罪科のない者たちを罪に定めたりはしなかったでしょう。8 人の子は安息日+の主なのです+」。
9 その場所を去ってから,[イエス]は人々の会堂に入られた。10 すると,見よ,片手のなえた人+がいた。それで彼らは,「安息日に[病気を]治すことは許されるだろうか」と[イエス]に尋ねた。彼を訴える理由を得ようとしてであった+。11 [イエス]は彼らに言われた,「あなた方のうち,一匹の羊を持っていて,それが安息日に穴に落ち込んだ場合+,それをつかんで引き出さない人がいるでしょうか+。12 どう考えても,人は羊よりずっと価値のあるものではありませんか+。それで,安息日にりっぱなことをするのは許されているのです」。13 それから,その人に向かって,「あなたの手を伸ばしなさい」と言われた。それで彼が伸ばすと,それは元どおりになり,他方の手のように健やかになったのである+。14 しかしパリサイ人たちは出て行き,[イエス]を滅ぼそうとして相談した+。15 イエスは[これを]知って,そこから退かれた。大勢の者もそのあとに従ったが,[イエス]はその人々をみな治された+。16 しかし,ご自分のことを明らかにしないようにと彼らに厳重に言い渡された+。17 それは,預言者イザヤを通して語られたことが成就するためであった。彼はこう言ったのである。
18 「見よ,わたしが選んだわたしの僕+,わたしの魂が是認したわたしの愛する者+! わたしは自分の霊を彼の上に置き+,彼は,公正とは何かを諸国民に明りょうにするであろう。19 彼は言い争わず+,声を上げて叫ばず,まただれとて大通りでその声を聞くのでもない。20 彼は打ち傷のついた葦を砕かず,くすぶる亜麻の灯心を消さず+,やがて公正を成功裏に*送り出す+。21 まさに,諸国民は彼の名に望みをかけるであろう+」。
22 そのとき人々は,悪霊に取りつかれた,盲目で口のきけない人を彼のもとに連れて来た。そして,[イエス]はその人を治されたので,口のきけなかった人はものを言い,また見えるようになった。23 そこで,群衆は皆ただあっけにとられ+,「もしかしたらこれがダビデの子ではなかろうか」と言いだした+。24 これを聞いてパリサイ人たちは言った,「この男が悪霊を追い出すのは,悪霊どもの支配者ベエルゼブブ*による以外にはない+」。25 その考えを知って+,[イエス]は彼らにこう言われた。「内部で分裂している王国はすべて荒廃に帰し+,また内部で分裂している都市や家はすべて立ち行かないでしょう。26 同じように,サタンがサタンを追い出すなら,[サタン]は内部で分裂していることになります。そうしたら,彼の王国はどのようにして立ち行くでしょうか。27 そのうえ,仮にわたしがベエルゼブブによって悪霊を追い出すとすれば+,あなた方の子らはだれによってこれを追い出すのですか。このゆえに,彼らはあなた方を裁く者となるでしょう。28 しかし,わたしが悪霊たちを追い出すのが神の霊によるのであれば,神の王国はほんとうにあなた方に及んだのです+。29 また,まず強い人を縛ってからでなければ,どうしてその強い人の家に侵入してその人の家財を奪えるでしょうか。[縛って]から,その家[の物]を強奪するのです+。30 わたしの側にいない者はわたしに敵しており,わたしと共に集めない者は散らすのです+。
31 「このようなわけであなた方に言いますが,人はあらゆる種類の罪や冒とくを許されますが,霊に対する冒とくは許されません+。32 たとえば,人の子に逆らう言葉を語るのがだれであっても,その者は許されるでしょう+。しかし,聖霊に言い逆らう*のがだれであっても,その者は許されないのです。この事物の体制*においても,また来たるべき[体制]においてもです+。
33 「あなた方は木をりっぱにしてその実もりっぱにするか,あるいは木を腐らせてその実も腐らせるかのいずれかにしなさい。木はその実によって知られるのです+。34 まむしらの子孫よ+,あなた方は邪悪な者であるのに,どうして良い事柄を語れるでしょうか+。心に満ちあふれているものの中から口は語るからです+。35 善良な人は自分の良い宝の中から良いものを出し+,邪悪な人は自分の邪悪な宝の中から邪悪なものを出します+。36 あなた方に言いますが,人が語るすべての無益なことば,それについて人は裁きの日に言い開き+をすることになります。37 あなたは自分の言葉によって義と宣せられ,また自分の言葉によって有罪とされるのです+」。
38 その時,書士とパリサイ人の幾人かが彼に対する答えとしてこう言った。「師よ,わたしたちはあなたからのしるしを見たいのですが+」。39 [イエス]は答えて彼らに言われた,「邪悪な姦淫の+世代はしきりにしるしを求めますが,預言者ヨナのしるし以外には何のしるしも与えられないでしょう+。40 ヨナ+が巨大な魚の腹の中に三日三晩いたように,人の子+もまた地の心に+三日三晩いるのです+。41 ニネベの人々は裁きの際にこの世代+と共に立ち上がり,この[世代]を罪に定めるでしょう+。彼らはヨナの宣べ伝えること*を聞いて悔い改めたからですが+,見よ,ヨナ以上のものがここにいるのです。42 南の女王+は裁きの際にこの世代と共によみがえらされ,この[世代]を罪に定めるでしょう。彼女はソロモンの知恵を聞くために地の果て*から来たからですが,見よ,ソロモン以上のものがここにいるのです+。
43 「汚れた霊は,人から出て来ると,休み場を捜し求めて乾ききった所を通りますが,どこにも見いだせません+。44 そこで,『出て来た自分の家に戻ろう』と言います。そして,着いてみると,それは空いていますが,きれいに掃かれ,飾りつけられています。45 そこで,出かけて行って,自分より邪悪な七つの異なった霊を連れて行き+,彼らは中に入ってそこに住みつきます。こうして,その人の最終的なありさまは最初より悪くなります+。この邪悪な世代もそのようになるでしょう+」。
46 [イエス]がまだ群衆に話しておられる間に,見よ,その母と兄弟たち+が彼に話そうとして外に立った。47 それで,ある人が彼に言った,「ご覧なさい,あなたのお母さんと兄弟たちが外に立ってあなたに話そうとしています」。* 48 [イエス]は[それを]告げている者に答えて言われた,「わたしの母とはだれですか。またわたしの兄弟たちとはだれのことですか+」。49 それから,自分の弟子たちのほうに手を差し伸べて,こう言われた。「ご覧なさい,わたしの母とわたしの兄弟たちです+! 50 だれでも天におられるわたしの父のご意志を行なう人,その人がわたしの兄弟,また姉妹,また母なのです」。
13 その日,イエスは家を出て,海のそばに座っておられた。2 すると,大群衆がそのもとに集まったので,舟に乗って腰を下ろされた+。群衆はみな浜辺に立っていた。3 それから,多くのことを例えで*話してこう言われた。「ご覧なさい,種まき人が[種を]まきに出かけました+。4 彼がまいていると,幾つか[の種]は道路のわきに落ち,鳥が来てそれを食べてしまいました+。5 ほか[の種]は土のあまりない岩地に落ち,土が深くないのですぐに生え出ました+。6 しかし太陽が昇ると,それは焼かれ,根がないので枯れてしまいました+。7 また,ほか[の種]はいばらの間に落ち,いばらが伸びて来てそれをふさぎました+。8 さらにほか[の種]はりっぱな土の上に落ちて実を生じるようになり+,あるものは百倍,あるものは六十倍,あるものは三十倍[の実をならせました+]。9 耳のある人は聴きなさい+」。
10 そこで弟子たちが寄って来て,彼に言った,「例えを使って彼らにお話しになるのはどうしてですか+」。11 [イエス]は答えて言われた,「あなた方は,天の王国の神聖な奥義を理解することを聞き入れられていますが+,あの人々は聞き入れられていません+。12 だれでも持っている人,その人はさらに与えられて満ちあふれるほどにされます+。しかし,だれでも持っていない人,その人は持っているものさえ取り去られるのです+。13 わたしが例えを使って彼らに話すのはこのためです。すなわち,彼らは見ていてもむだに見,聞いていてもむだに聞き,その意味を悟ることもないからです+。14 イザヤの預言は彼らに成就しています。それはこう述べています。『あなた方は聞くには聞くが,決してその意味を悟らず,見るには見るが,決して見えないであろう+。15 この民の心は受け入れる力がなくなり*,彼らは耳で聞いたが反応がなく*,その目を閉じてしまったからである。これは,彼らが自分の目で見,自分の耳で聞き,自分の心でその意味を悟って立ち返り,わたしが彼らをいやす,ということが決してないためである+』。
16 「しかし,あなた方の目は見るゆえに,またあなた方の耳は聞くゆえに幸いです+。17 あなた方に真実に言いますが,多くの預言者+や義人たちは,あなた方が見ているものを見たいと願いながらそれを見ず+,あなた方が聞いている事柄を聞きたいと願いながらそれを聞かなかったのです+。
18 「では,あなた方は,[種を]まいた人の例えを聴きなさい+。19 人が王国の言葉を聞きながらその意味を悟らない場合,邪悪な者+がやって来て,その心にまかれたものをさらって行きます。これが道路のわきにまかれたものです。20 岩地にまかれたもの,これはみ言葉を聞き,喜んですぐにそれを受け入れる人のことです+。21 けれども,自分に根がなく,一時は続きますが,み言葉のために患難や迫害が生じると,すぐにつまずいてしまいます+。22 いばらの間にまかれたもの,これはみ言葉を聞きますが,この事物の体制*の思い煩い+や富の欺きの力*がみ言葉をふさぐ人のことであり,その人*は実らなくなります+。23 りっぱな土の上にまかれたもの,これはみ言葉を聞いて,その意味を悟る人のことです。その人はほんとうに実を結び,ある者は百倍,ある者は六十倍,ある者は三十倍を生み出すのです+」。
24 [イエス]は彼らに別の例えを示してこう言われた。「天の王国は,自分の畑にりっぱな種をまいた人のようになりました+。25 人々が眠っている間に,その人の敵がやって来て,小麦の間に雑草*をまき足して去りました。26 葉が生え出て実を生み出すと,その際に雑草も現われました。27 それで,その家あるじの奴隷たちがやって来て言いました,『ご主人様,畑にはりっぱな種をおまきになったのではありませんでしたか+。それなのに,どうしてそこに雑草が生えてくるのでしょうか+』。28 彼は言いました,『敵である人がそれをしたのだ+』。彼らは言いました,『では,わたしどもが行ってそれを集めることをお望みですか』。29 彼は言いました,『いや。雑草を集めるさい,小麦も一緒に根こぎにすることがあってはいけない。30 収穫まで両方とも一緒に成長させておきなさい。収穫の季節になったら,わたしは刈り取る者たちに,まず雑草を集め,焼いてしまうためにそれを縛って束にし+,それから,小麦をわたしの倉に集めることに掛かりなさい,と言おう+』」。
31 [イエス]は彼らに別の例えを示して+こう言われた。「天の王国はからしの種粒のようです+。人がそれを取って自分の畑に植えました。32 実際それはあらゆる種の中で一番小さなものですが,成長したときには野菜のうちで一番大きくて木のようになり,天の鳥たち+が来て,その枝の間に宿り場を見つけます+」。
33 [イエス]は彼らに別の例えを話された,「天の王国はパン種のようです+。女がそれを取って大升*三ばいの麦粉の中に隠したところ,やがて塊全体が発酵しました」。
34 イエスはこれらのすべてを例えで群衆に話された。実際,例えを用いないでは話そうとされなかった+。35 それは預言者を通して,「わたしは例えをもって口を開き,[世の]基が置かれて以来隠されてきた事柄を言い広める」と語られたことが成就するためであった+。
36 それから,群衆を解散させた後,[イエス]は家の中に入られた。すると弟子たちがそのもとに来て,「畑の雑草*の例えをわたしたちに説明してください」と言った。37 [イエス]は応じて言われた,「りっぱな種をまく者は人の子です。38 畑は世界です+。りっぱな種,それは王国の子たちです。それに対し,雑草は邪悪な者+の子たちであり,39 それをまいた敵は悪魔です+。収穫+は事物の体制*の終結*+であり,刈り取る者はみ使いたちです。40 それゆえ,雑草が集められて火で焼かれるのと同じように,事物の体制の終結のときにもそのようになります+。41 人の子は自分の使いたちを遣わし,彼らは,すべてつまずきのもとになるもの+や不法を行なっている者を自分の王国から集め出し,42 それを火の燃える炉の中に投げ込みます+。そこで[彼らは]泣き悲しんだり歯ぎしりしたりするでしょう+。43 その時,義人たちはその父の王国で太陽のように+明るく輝くのです+。耳のある人は聴きなさい+。
44 「天の王国は畑に隠された宝のようです。人はそれを見つけてから隠しました。そして,喜びのあまり,出かけて行って自分の持つものすべてを売り+,それからその畑を買うのです+。
45 「また,天の王国はりっぱな真珠を探し求める旅商人のようです。46 価の高い真珠一つを見つけると+,去って行って自分の持つすべてのものを即座に売り,それからそれを買いました+。
47 「また,天の王国は,海に下ろされてあらゆる種類の[魚]を寄せ集める引き網のようです+。48 それがいっぱいになったとき,人々は浜辺にたぐり上げ,腰を下ろして,良いもの+を器に集め,ふさわしくないもの+は投げ捨てました。49 事物の体制の終結*のときにもそのようになるでしょう。み使いたちは出かけて行って,義人の中から邪悪な者+をより分け+,50 彼らを火の燃える炉にほうり込むのです。そこで[彼らは]泣き悲しんだり歯ぎしりしたりするでしょう+。
51 「あなた方はこれらすべてのことの意味を悟りましたか」。彼らは,「はい」と言った。52 そこで[イエス]は彼らにこう言われた。「そういうわけで,公に教え諭す者*はみな,天の王国について教えられると+,自分の宝の蔵から新しい物や古い物を取り出す人,[つまりそのような]家あるじのようになります+」。
53 さて,これらの例えを[話し]終えると,イエスはそこから移って行かれた。54 そして自分の郷里*に入ってから+,そこの会堂で人々を教えはじめられた+。その結果,人々は驚き入って,こう言った。「この人は,これほどの知恵とこうした強力な業をどこで得たのだろうか。55 これはあの大工の息子ではないか+。彼の母はマリアと呼ばれ,兄弟たちはヤコブ,ヨセフ,シモン,ユダではないか。56 そして彼の姉妹たちも,みんなわたしたちと共にいるではないか+。では,この人はどこでこれらのすべてのことを得たのだろうか+」。57 こうして彼らはイエスにつまずくようになった+。しかしイエスは彼らにこう言われた。「預言者は自分の郷里や自分の家以外なら敬われないことはありません+」。58 そして,彼らの信仰の欠如のゆえに,そこでは強力な業を多くはなさらなかった+。
14 ちょうどそのころ,地域支配者*ヘロデはイエスの評判を聞き+,2 自分の僕たちに,「これはバプテストのヨハネだ。死人の中からよみがえらされたのだ。だから,強力な業*が彼のうちに働いているのだ」と言った+。3 というのは,ヘロデは,自分の兄弟フィリポの妻ヘロデアのことでヨハネを捕らえて縛り,獄に入れたからであった+。4 それはヨハネが,「あなたが彼女を有しているのは正しくない+」と彼に言っていたためであった。5 [ヘロデ]は,彼を殺してしまいたいと思いながらも,群衆を恐れた。人々は彼を預言者とみなしていたからであった+。6 ところが,ヘロデの誕生日+が祝われていた時,ヘロデアの娘がその席で踊りを見せてヘロデをたいそう喜ばせた。7 それで彼は,何でも彼女の求めるものを与えると誓って約束した+。8 そこで彼女は,母の指図のもとに,「バプテストのヨハネの首を大皿に載せて,ここでわたしにお与えください」と言った+。9 王は憂えたが,自分の誓い,および一緒に横になっている者たちの手前もあって,それを与えるようにと命令した+。10 そして,人をやって,獄の中でヨハネの首を切らせた。11 それから,彼の首は大皿に載せて運び込まれ,その乙女に与えられた。彼女はそれを自分の母のところに持って行った+。12 最後に,[ヨハネ]の弟子たちがやって来て遺体を移し,彼を葬った+。それから,イエスのところに来て報告した。13 それを聞いたイエスは,独りになるために,そこから舟で寂しい所に退かれた+。ところが,群衆はそのことを聞きつけ,諸都市から徒歩で彼のあとに付いて来た。
14 さて,出て来られた時,[イエス]は大群衆をご覧になった。そして,彼らに哀れみを感じ+,その中の病気の者たちを治された+。15 さて,夕方になった時,弟子たちがそのもとに来て,こう言った。「ここは寂しい場所ですし,時刻ももうずっと進みました。群衆を去らせ,彼らが村々に行って自分で食べ物を買うようにしてください+」。16 しかし,イエスは言われた,「彼らは去るには及びません。あなた方が彼らに何か食べる物を与えなさい+」。17 [弟子]たちは言った,「わたしたちは五つのパンと二匹の魚のほかには何もここに持っていません+」。18 [イエス]は言われた,「それをここに,わたしのところに持って来なさい」。19 次に彼は,草の上に横になるよう群衆に命じ,その五つのパンと二匹の魚を取り,天を見上げて祝とうを述べ+,パンを割いて弟子たちに配り,ついで弟子たちが群衆に配った+。20 こうしてすべての者が食べて満ち足りた。また,かけらの余りを拾うと,十二のかごがいっぱいになった+。21 しかも,食べていたのは約五千人の男たちであり,ほかに女や幼子たちがいたのである+。22 それから直ちに,[イエス]は弟子たちを強いて舟に乗らせ,自分に先立って向こう側に行かせ,一方では群衆をお去らせになった+。
23 やがて,群衆を去らせた[イエス]は,祈りをするために自分だけで山に上って行かれた+。[時刻は]遅くなっていたが,ただ独りでそこにおられた。24 そのころまでに,舟は陸から何百メートルも*離れていたが,波のために難儀させられていた+。向かい風だったからである。25 ところが,夜の第四見張り時*に,[イエス]は海の上を歩いて彼らのところに来られたのである+。26 海の上を歩いておられるのを見かけたとき,弟子たちは騒ぎ立ち,「これは幻影だ!」と言った+。そして,恐れのあまり叫び声を上げた。27 しかし,イエスはすぐに,「勇気を出しなさい,わたしです+。恐れることはありません」と彼らに言われた。28 ペテロは答えて言った,「主よ,あなたでしたら,水の上を[歩いて]みもとに来るようわたしにお命じください」。29 [イエス]は,「来なさい!」と言われた。そこでペテロは舟から降り+,水の上を歩いてイエスのほうに行った。30 ところが風あらしを見て怖くなり,沈み始めたときに,「主よ,お救いください!」と叫んだ。31 イエスはすぐに手を伸ばして彼をつかみ,「信仰の少ない人よ,なぜ疑いに負けたのですか+」と言われた。32 そして,ふたりが舟に上がってから,風あらしは和らいだ。33 その時,舟にいた者たちは,「確かにあなたは神の子です+」と言って,敬意をささげた。34 それから彼らは[海を]渡り,ゲネサレの地に上がった+。
35 [イエス]を見てそれと知ると,その場所の人たちは周囲の全地方に[人を]遣わした。それで人々は病んでいる者たちをみな彼のところに連れて来た+。36 そして彼らは,ただ外衣の房べりにでも触れさせていただきたいと懇願するようになった+。そして,それに触れた者は皆すっかりよくなったのである。
15 その時,エルサレムから+パリサイ人と書士たちがイエスのところに来て,こう言った。2 「あなたの弟子が昔の人々からの伝統を踏み越えているのはどうしてですか。たとえば,食事をしようとするときに,彼らは手を洗いません+」。
3 [イエス]は答えて言われた,「あなた方も自分たちの伝統のゆえに神のおきてを踏み越えているのはどうしてですか+。4 たとえば,神は,『あなたの父と母を敬いなさい+』,そして,『父や母をののしる者は死に至らせなさい*+』と言われました。5 ところがあなた方は,『自分の父や母に向かって,「わたしの持つものであなたがわたしから益をお受けになるものがあるかもしれませんが,それはみな神に献納された供え物なのです」と言うのがだれであっても,6 その者は自分の父を少しも敬ってはならない+』と言います。こうしてあなた方は,自分たちの伝統のゆえに神の言葉を無にしています+。7 偽善者よ+,イザヤ+はあなた方について適切に預言して言いました,8 『この民は唇でわたしを敬うが,その心はわたしから遠く離れている+。9 彼らがわたしを崇拝しつづけるのは無駄なことである。人間の命令を教理として教えるからである+』」。10 そうして,群衆を近くに呼んでこう言われた。「聴いて,その意味を悟りなさい+。11 口の中に入るものが人を汚すのではありません。口から出るものが人を汚すのです+」。
12 その時,弟子たちがやって来て彼に言った,「あなたの言われたことを聞いてパリサイ人たちがつまずいたのをご存じですか+」。13 [イエス]は答えて言われた,「わたしの天の父がお植えになったのでない植物はみな根こぎにされます+。14 彼らのことはほっておきなさい。彼らは盲目の案内人なのです。それで,盲人が盲人を案内するなら,二人とも穴*に落ち込むのです+」。15 ペテロはそれにこたえて言った,「その例え*をわたしたちに分かりやすくしてください+」。16 すると[イエス]は言われた,「あなた方もまだ理解していないのですか+。17 口の中に入るものはみな腸に進んで行き,下水*に排出されることに気づいていないのですか。18 しかし,口から出るものは心から出て来るのであり,それが人を汚します+。19 たとえば,心から,邪悪な推論+,殺人,姦淫,淫行,盗み,偽証,冒とくが出て来ます+。20 これらは人を汚すものです。しかし,洗ってない手で食事を取ることは人を汚しません+」。
21 イエスはそこを離れ,こんどはティルスとシドンの地方に退かれた+。22 すると,見よ,その地域のフェニキア人*+の女が出て来て,「主よ,ダビデの子よ,私に憐れみをおかけください+。私の娘はひどく悪霊につかれています」と声を上げて叫んだ。23 しかし[イエス]は彼女に一言もお答えにならなかった。それで弟子たちが寄って来て,「彼女を追い払ってください。あとに付いて来て,叫びつづけていますから」と頼みはじめた。24 [イエス]は答えて言われた,「わたしは,イスラエルの家の失われた羊のほかはだれのところにも遣わされませんでした+」。25 女はやって来て,彼に敬意をささげながら,「主よ,私をお助けください!」と言った+。26 [イエス]は答えて言われた,「子供たちのパンを取って小犬に投げ与えるのは正しくありません」。27 彼女は言った,「そうです,主よ。けれど,小犬も自分の主人たちの食卓から落ちるパンくずを食べるのでございます+」。28 そこでイエスは答えて言われた,「おお女よ,偉大です,あなたの信仰は。あなたの願うとおりのことが起きるように」。すると,彼女の娘はその時刻以後いえたのである+。
29 そこから移って行き,イエスは次にガリラヤの海の近くに来られた+。そして,山に上って+,そこに座っておられた。30 すると,大群衆が,足のなえた人,不具の人,盲人,口のきけない人,その他多くの人を連れて彼に近づき,それらの人を彼の足もとに投げ出さんばかりにして置いた。それで[イエス]は彼らを治された+。31 そのため群衆は,口のきけなかった人がものを言い,足のなえていた人が歩き,盲人が見えるようになったのを見て非常に驚き,イスラエルの神の栄光をたたえた+。
32 ところがイエスは弟子たちを自分のもとに呼んで,こう言われた+。「わたしはこの群衆に哀れみを感じます+。わたしのもとにとどまってすでに三日になるのに,食べる物を何も持っていないからです。そしてわたしは,何も食べないままで彼らを去らせたくありません。彼らは途中で力が尽きてしまうかもしれません」。33 しかし,弟子たちは言った,「この寂しい場所で,これほどの群衆を満足させるだけのパンをわたしたちはどこで得るのでしょうか+」。34 するとイエスは言われた,「あなた方にはパンが幾つありますか」。彼らは言った,「七つです。それに小さい魚が何匹かあります」。35 そこで,地面に横になるよう群衆に指示してから,36 [イエス]はその七つのパンと[数匹の]魚を取り,感謝をささげてから,それを割いて弟子たちに配りはじめ,ついで弟子たちが群衆に[配った+]。37 そしてすべての者が食べて満ち足りた。また,かけらの余りとして,七つの食糧かごいっぱいに拾った+。38 しかも,食べていたのは四千人の男であり,ほかに女や幼子たちがいたのである。39 終わりに,群衆を去らせてから,[イエス]は舟に乗ってマガダン地方に入られた+。
16 ここでパリサイ人+とサドカイ人たちが彼に近づき,誘惑しようとして,天からのしるしを見せてくれるようにと頼んだ+。2 [イエス]は答えて言われた,「[[夕方になると,あなた方はいつも,『晴天になるだろう,空が火のように赤いから』と言います。3 そして朝には,『今日は冬のような雨降りだろう。空は火のように赤いが,薄暗く見えるから』と[言います]。あなた方は空模様の解釈の仕方を知りながら,時代のしるしは解釈できないのです+。]]* 4 邪悪な姦淫の*世代はしきりにしるしを求めます。しかしヨナのしるし+以外には何のしるしも与えられないでしょう+」。そうして,彼らをあとに残したまま去って行かれた+。
5 さて,弟子たちは向こう側に渡ったが,パンを携えて行くのを忘れた+。6 イエスは彼らに言われた,「じっと見張っていて,パリサイ人とサドカイ人のパン種に気を付けなさい+」。7 それで彼らは,「わたしたちはパンを少しも持って来なかった」と互いに論じはじめた。8 これを知って,イエスは言われた,「パンを持っていないことで,どうしてそのように論じ合っているのですか,信仰の少ない人たちよ+。9 まだ要点が分からないのですか。それとも,五千人の場合の五つのパン,そして幾つのかごに拾ったかを覚えていないのですか+。10 また,四千人の場合の七つのパン,そして幾つの食糧かごに拾ったかを+。11 わたしがパンについて話したのでないことを,どうしてあなた方は悟らないのですか。ただ,パリサイ人とサドカイ人のパン種に気を付けなさい+」。12 その時,彼らは,パンのパン種ではなく,パリサイ人とサドカイ人の教え+に気を付けよと言われたのだ,ということを会得した。
13 さて,カエサレア・フィリピ地方に来ておられた時,イエスは,「人々は人の子のことをだれだと言っていますか」と弟子たちに尋ねはじめられた+。14 彼らは言った,「ある者はバプテストのヨハネ+,他の者はエリヤ+,さらに他の者はエレミヤまたは預言者の一人と言っています」。15 [イエス]は彼らに言われた,「だが,あなた方は,わたしのことをだれであると言いますか+」。16 シモン・ペテロが答えて言った,「あなたはキリスト+,生ける神の子です+」。17 イエスはそれにこたえて言われた,「ヨナの子*シモンよ,あなたは幸福です。肉と血があなたに[これを]啓示したのではなく,天におられるわたしの父がそうなさったからです+。18 また,あなたに言いますが,あなたはペテロ+であり,この岩塊+の上に*わたしは自分の会衆*を建てます。ハデス*+の門はそれに打ち勝たないでしょう+。19 わたしはあなたに天の王国のかぎを与えます。何でもあなたが地上で縛るものは天において縛られたもの*であり,何でもあなたが地上で解くものは天において解かれたもの*です+」。20 それから[イエス]は,ご自分がキリストであることをだれにも言わないようにと弟子たちに厳しく言い渡された+。
21 その時以後,イエス・キリストは,ご自分がエルサレムに行って年長者・祭司長・書士たちから多くの苦しみを受け,かつ殺され,三日目によみがえらされねばならないことを弟子たちに示し始められた+。22 すると,ペテロは彼をわきに連れて行き,「主よ,ご自分を大切になさってください。あなたは決してそのような[運命]にはならないでしょう」と言って叱り始めた+。23 しかし,[イエス]はペテロに背を向けて*言われた,「わたしの後ろに下がれ,サタンよ+! あなたはわたしをつまずかせるものです。あなたは,神の考えではなく+,人間の考えを抱いている*からです」。
24 それからイエスは弟子たちに言われた,「だれでもわたしに付いて来たいと思うなら,その人は自分を捨て,自分の苦しみの杭*を取り上げて,絶えず+わたしのあとに従いなさい。25 だれでも自分の魂*を救おうと思う者はそれを失うからです。しかし,だれでもわたしのために自分の魂を失う者はそれを見いだすのです+。26 というのは,全世界をかち得ても,それによって自分の魂を失うなら,その人にとって何の益になるでしょうか+。また,人は自分の魂と引き換えに+何を与えるのでしょうか。27 人の子は,自分の使いたちを伴って父の栄光のうちに到来することに定まっており,その時,各々にその振る舞いに応じて返報するのです+。28 あなた方に真実に言いますが,ここに立っている者の中には,人の子が自分の王国をもって到来するのをまず見るまでは決して死を味わわない者たちがいます+」。
17 六日後,イエスはペテロとヤコブおよびその兄弟ヨハネを伴い,彼らだけを高大な山の中に連れて来られた+。2 そして彼らの前で変ぼうされ,その顔は太陽のように輝き+,その外衣は光のようにまばゆくなった+。3 そして,見よ,モーセとエリヤが彼らに現われ,[イエス]と語り合っていた+。4 ペテロはそれにこたえてイエスに言った,「主よ,わたしたちがここにいるのは良いことです。お望みでしたら,わたしはここに三つの天幕を立てます。一つはあなたのため,一つはモーセのため,一つはエリヤのためです+」。5 彼がまだ話しているうちに,見よ,明るい雲が彼らを影で覆った。そして,見よ,その雲の中から声があって,「これはわたしの子,[わたしの]愛する者である。わたしはこの者を是認した+。この者に聴き従いなさい+」と言った。6 これを聞くと,弟子たちはうつ伏して非常に恐れた+。7 その時イエスが近くに来て,彼らに触りながら,「起き上がりなさい。恐れることはありません」と言われた+。8 彼らが目を上げると,イエス一人のほかはだれも見えなかった+。9 そして,彼らがその山を下っていた時,イエスは彼らに命令してこう言われた。「人の子が死人の中からよみがえらされるまでは,この幻についてだれにも語ってはなりません+」。
10 しかし弟子たちは,「では,なぜ書士たちは,エリヤがまず来なければならない+と言うのですか」と質問した。11 [イエス]は答えて言われた,「確かにエリヤが来て,すべてのものを回復します+。12 しかし,あなた方に言いますが,エリヤはすでに来たのですが,人々はそれを見分けず,自分たちの望むことを彼に対して行なったのです。このように,人の子も彼らの手で苦しみを受けるように定められているのです+」。13 このとき弟子たちは,[イエス]がバプテストのヨハネ+について話されたのだということに気づいた。
14 それから,一行が群衆のほうに来ると+,ひとりの男が彼に近づき,その前にひざまずいてこう言った。15 「主よ,私の息子に憐れみをおかけください。[息子]はてんかんで病んでいるからです。何度も火の中に,何度も水の中に倒れ落ちるのです+。16 そして,私は[息子]をあなたの弟子たちのもとに連れてまいりましたが,治すことができませんでした+」。17 イエスは答えて言われた,「ああ,不信仰でねじけた世代よ+,いつまでわたしはあなた方と共にいなければならないのでしょう。いつまであなた方のことを忍ばねばならないのでしょう。その[子]をここに,わたしのところに連れて来なさい」。18 それから,イエスは[その霊]を*叱りつけられた。すると悪霊は彼から出て来た+。そして少年はその時以後治ったのである+。19 そこで弟子たちは自分たちだけでイエスのもとに来て,「わたしたちがこれを追い出せなかったのはどうしてでしょうか」と言った+。20 [イエス]は彼らに言われた,「あなた方の信仰が少ないためです。あなた方に真実に言いますが,からしの種粒ほどの信仰があるなら,この山に,『ここからあそこに移れ』と言うとしても,それは移るのであり,何事もあなた方にとって不可能ではないのです+」。21* ――
22 彼らがガリラヤに集まっていた時のことであったが,イエスは彼らにこう言われた。「人の子は裏切られて人々の手に渡されるように定められています+。23 そして人々は彼を殺し,三日目に彼はよみがえらされるでしょう+」。このため,彼らは非常に悲しんだ+。
24 彼らがカペルナウムに着いたのち,二ドラクマ*[税]を徴収する人たちがペテロに近づいて,「あなた方の教師は二ドラクマ[税]を払わないのですか+」と言った。25 彼は,「払います」と言った。しかし,彼が家に入ると,イエスは彼より先にこう言われた。「シモンよ,あなたはどう考えますか。地の王たちは租税や人頭税をだれから受け取っていますか。自分の子たちからですか,それともよその人たちからですか」。26 彼が,「よその人たちからです」と言うと,イエスはこう言われた。「そうであれば,子たちは税を課されていないのです。27 しかし,彼らをつまずかせないために+,あなたは海に行き,釣り針を投じて,最初に上がる魚を取りなさい。その口を開けば,あなたはスタテル硬貨*一つを見つけるでしょう。それを取って,わたしとあなたのために彼らに与えなさい+」。
18 その時,弟子たちがイエスの近くに来て,「天の王国ではいったいだれが一番偉いのですか」と言った+。2 そこで[イエス]は,ひとりの幼子を自分のもとに呼び,彼らの真ん中に立たせて+,3 こう言われた。「あなた方に真実に言いますが,身を転じて幼子のようにならなければ+,あなた方は決して天の王国に入れません+。4 それゆえ,だれでもこの幼子のように謙遜になる者+が,天の王国において最も偉大な者なのです+。5 そして,だれでも,わたしの名によってこのような幼子一人を迎える者は,わたしを[も]迎えるのです+。6 しかし,わたしに信仰を置くこれら小さな者の一人をつまずかせるのがだれであっても,その者にとっては,ろばの回すような臼石+を首にかけられて,広い大海に沈められるほうが益になります+。
7 「つまずかせるもののゆえに,世は災いです! もとより,つまずかせるものが来ることはやむを得ませんが+,つまずかせるものが来るその経路となる人は災いです+! 8 そこで,もしあなたの手か足があなたをつまずかせているなら,それを切り離して捨て去りなさい+。二つの手または二つの足をつけて永遠の火+に投げ込まれるよりは,不具または足の不自由なまま命に入るほうが,あなたにとって良いのです。9 また,もしあなたの目があなたをつまずかせているなら,それをえぐり出して捨て去りなさい。二つの目をつけて火の燃えるゲヘナ*に投げ込まれるよりは,片目で命に入るほうが,あなたにとって良いのです+。10 あなた方はこれら小さな者の一人をも侮ることがないようにしなさい。あなた方に言いますが,天にいる彼らのみ使いたち+は,天におられるわたしの父のみ顔を常に見守っている*のです+。11* ――
12 「あなた方はどう考えますか。ある人が百匹の羊を持つようになり,そのうちの一匹が迷い出るなら+,その人は九十九匹を山に残し,迷い出ているものを捜しに出かけないでしょうか+。13 そして,うまくそれを見つけるなら,あなた方にはっきり言いますが,その人は迷い出なかった九十九匹のこと以上にその[羊]のことを歓ぶのです+。14 同じように,これら小さな者の一人が滅びるのは,天におられるわたしの父にとって願わしいことではありません+。
15 「さらに,もしあなたの兄弟が罪を犯したなら,行って,ただあなたと彼との間でその過ちを明らかにしなさい*+。彼があなた[の述べること]を聴くなら,あなたは自分の兄弟を得たのです+。16 しかし,もし彼が聴かないなら,あなたと一緒にあと一人か二人を連れて行きなさい。一切のこと*が二人または三人の証人の口によって確証されるため*です+。17 もし彼がそれらの人たち[の述べること]を聴かないなら*,会衆に*話しなさい。もし会衆[の告げること]にさえ聴かないなら,その人を,あなたにとって,諸国民の者+また収税人のような者としなさい+。
18 「あなた方に真実に言いますが,何であれあなた方が地上で縛るものは天において縛られたもの*であり,何であれあなた方が地上で解くものは天において解かれたもの*です+。19 再びあなた方に真実に言いますが,地上にいるあなた方のうちの二人が,どんなことでも自分たちの請い願うべき重要な事柄について同意するなら,天におられるわたしの父によって,それはその[二人]のためにそのようになるのです+。20 二人か三人がわたしの名において共に集まっているところには+,わたしもその中にいるからです+」。
21 その時ペテロが寄って来て,こう言った。「主よ,兄弟がわたしに罪をおかすとき,わたしはその人を何回許すべきでしょうか+。七回までですか+」。22 イエスは彼に言われた,「あなたに言いますが,七回までではなく,七十七回*までです+。
23 「それゆえ,天の王国は,自分の奴隷たちとの勘定を清算しようとした+人,[つまりそのような]王のようになりました+。24 清算をし始めると,[王]に一万タラント[=60,000,000デナリ]*借りている男が連れて来られました。25 ところが彼には[それを]返す資力がなかったので,主人は,彼とその妻および子供たち,また彼が持つすべてのものを売って支払いをするように命じました+。26 そこで,奴隷はひれ伏して敬意をささげながら,『わたしのことをご辛抱ください。すべてをお返ししますから』と言いました。27 すると,その奴隷の主人は哀れに思って彼を放免し+,その負債を取り消して*やりました+。28 ところが,その奴隷は出て行って,自分に百デナリ*を借りている仲間の奴隷の一人を見つけました+。そして彼を捕まえて,その首を絞めながら,『借りているものをみんな返せ』と言ったのです。29 それで,仲間の奴隷はひれ伏して懇願しはじめ,『わたしのことを辛抱してください+。返しますから』と言いました。30 しかし彼は応じようとせず,去って行って,借りているものを返すまで獄に入らせてしまいました。31 それで,起きた事柄を見たとき,彼の仲間の奴隷たちは非常に悲しみ,出かけて行って,起きた事柄をみな主人に明らかにしました+。32 そこで主人は彼を呼び寄せて言いました,『邪悪な奴隷よ,あなたがわたしに懇願したとき,わたしはあの負債をすべて取り消してあげた*。33 わたしがあなたに憐れみをかけたように+,今度はあなたが仲間の奴隷に憐れみをかけるべきではなかったのか+』。34 そうして,憤った+主人は,借りているものすべてを返すまで,彼を牢番たちに*引き渡しました。35 もしあなた方各自が,自分の兄弟を心から許さないなら+,わたしの天の父もあなた方をこれと同じように+扱われるでしょう」。
19 さて,これらの言葉を[語り]終えてから,イエスはガリラヤを出発し,ヨルダンを越えてユダヤの国境地方に来られた+。2 また,大群衆が彼のあとに従い,[イエス]はそこでその人々[の病]を治された+。
3 すると,パリサイ人たちがそのもとにやって来て,何とか誘惑しようとして,こう言った。「人が自分の妻を離婚する*ことは,どんな根拠による場合でも許されるのですか+」。4 [イエス]は答えて言われた,「あなた方は読まなかったのですか。人を創造された方は,これを初めから男性と女性に造り+,5 『このゆえに,人は父と母を離れて+自分の妻に堅く付き,二人は一体となる+』と言われたのです。6 したがって,彼らはもはや二つではなく,一体です。それゆえ,神がくびきで結ばれたものを,人が離してはなりません+」。7 彼らは言った,「では,なぜモーセは,離縁証書を与えて[妻を]離婚することを規定したのですか+」。8 [イエス]は彼らに言われた,「モーセは,あなた方の心のかたくなさを考え+,妻を離婚することであなた方に譲歩したのであり,初めからそうなっていたわけではありません+。9 あなた方に言いますが,だれでも,淫行*以外の理由で妻を離婚して別の女と結婚する者は,姦淫を犯す*のです+」。
10 弟子たちが彼に言った,「妻に対して男の立場がそのようなものであれば,結婚することは勧められません+」。11 [イエス]は彼らに言われた,「すべての人がそのことばを受け入れるわけではなく,ただその賜物を持つ人たちだけ[がそうします+]。12 母の胎からそのように生まれついた閹人があり+,人によって閹人にされた閹人があり,天の王国のゆえに自らを閹人とした閹人がいるのです。それを受け入れることのできる人は,受け入れなさい+」。
13 その時,幼子たちが彼のところに連れて来られた。手をその上に置いて祈りをしていただくためであった。ところが弟子たちは彼らをたしなめた+。14 しかしイエスはこう言われた。「幼子たちを構わずにおき,わたしのところに来ることを妨げるのをやめなさい。天の王国はこのような者たちのものだからです+」。15 こうして,手をその上に置いてから,そこを去って行かれた+。
16 さて,見よ,ある人が彼のところに来て,こう言った。「師よ,永遠の命を得るために,わたしはどんな善いことを行なわなければならないでしょうか+」。17 [イエス]は彼に言われた,「なぜあなたは善いことについてわたしに尋ねるのですか。善い方はお一人だけなのです+。しかし,命に入りたいと思うならば,おきてを絶えず守り行ないなさい+」。18 彼は言った,「どの[おきて]ですか+」。イエスは言われた,「ほかでもない,あなたは殺人をしてはならない+,姦淫を犯し*てはならない+,盗んではならない+,偽りの証しをしてはならない+,19 [あなたの]父と母を敬いなさい+,そして,隣人を自分自身のように愛さねばならない+」。20 その青年は言った,「わたしはそれらをみな守ってきました。まだ何が足りないのですか」。21 イエスは言われた,「完全でありたいと思うなら,行って,自分の持ち物を売り,貧しい人たちに与えなさい。そうすれば,天に宝を持つようになるでしょう+。それから,来て,わたしの追随者になりなさい+」。22 このことばを聞くと,青年は悲嘆して去って行った。多くの資産を有していたからである+。23 しかしイエスは弟子たちにこう言われた。「あなた方に真実に言いますが,富んだ人が天の王国に入るのは難しいことでしょう+。24 再びあなた方に言いますが,富んだ人が神の王国に入るよりは,らくだが針の穴を通るほうが易しいのです+」。
25 それを聞くと,弟子たちは非常な驚きを表わして,「いったいだれが救いを得られるのでしょうか」と言った+。26 イエスは彼らの顔をまともに見て言われた,「人にとってこれは不可能でも,神にとってはすべてのことが可能です+」。
27 その時ペテロが答えて言った,「ご覧ください,わたしたちはすべてのものを後にして,あなたに従ってまいりました。実際のところ,わたしたちのためには何があるのでしょうか+」。28 イエスは彼らに言われた,「あなた方に真実に言いますが,再創造*のさい,人の子が自分の栄光の座に座るときには,わたしに従ってきたあなた方自身も十二の座に座り,イスラエルの十二の部族を裁くでしょう+。29 そして,わたしの名のために,家,兄弟,姉妹,父,母,子供,あるいは地所を後にした者は皆,その幾倍も受け,また永遠の命を受け継ぐでしょう+。
30 「しかし,多くの最初の者が最後に,最後の者が最初になるでしょう+。
20 「というのは,天の王国は,自分のぶどう園+に働き人を雇うため朝早く出かけた人,[つまりそのような]家あるじのようだからです。2 彼は,働き人たちと一日一デナリ*+ということで合意すると,彼らを自分のぶどう園に送り込みました。3 第三時+ごろにも出て行き,ほかの者たちが仕事をしないで市の立つ広場+に立っているのを見ました。4 そこでその人たちに言いました,『あなた方もぶどう園に行きなさい。何でも正当なものを上げますから』。5 それで彼らは出かけて行きました。[家あるじ]は,第六時+と第九時+ごろにも出て行って,同じようにしました。6 最後に,第十一時ごろに出て行き,ほかの者たちが立っているのを見つけました。それで彼らに言いました,『なぜあなた方は仕事をしないで一日中ここに立っていたのか』。7 彼らは言いました,『だれもわたしたちを雇ってくれなかったからです』。[家あるじ]は言いました,『あなた方もぶどう園に行きなさい+』。
8 「夕方になったとき+,ぶどう園の主人は管理の者に言いました,『働き人たちを呼んで,賃金を払いなさい+。最後の者から始めて順に最初の者にまでゆきなさい』。9 第十一時の者たちが来て,各々一デナリを受けました。10 それで,最初の者たちが来たとき,自分たちはもっと受けるものと考えました。ところが,彼らもやはり一デナリの割で支払いを受けました。11 それを受けると,彼らは家あるじ+に向かってつぶやきはじめ,12 『これら最後の者は一時間働いただけだ。それなのに,あなたは彼らを,一日の重荷と焼けつく暑さに耐えたわたしたちと同等にした!』と言いました。13 しかし家あるじは彼らの一人に答えて言いました,『君,わたしはあなたに何も不当なことはしていない。あなたはわたしと一デナリで合意したではないか+。14 あなたの分を受け取って,行きなさい。わたしはこの最後の者にもあなたと同じように与えたいのだ+。15 わたしが自分のもので自分の望むことを行なってもよいではないか。それとも,わたしが善良なので+,あなたの目はよこしまになるのか*+』。16 このように,最後の者が最初に,最初の者が最後になるでしょう+」。
17 さて,エルサレムに上ろうとするにあたり,イエスは十二弟子だけを連れて行き+,その途中で彼らにこう言われた。18 「ご覧なさい,わたしたちはエルサレムに上って行きます。そして,人の子は祭司長や書士たちのもとに引き渡され,彼らはこれを死罪に定め+,19 ついで,これを愚弄し,むち打ち,かつ杭につける*ために諸国民[の者たち]に引き渡すでしょう+。そして,三日目に彼はよみがえらされます+」。
20 その時,ゼベダイの息子たち+の母がその息子たちと共に近づき,敬意をささげながら何事かを彼に求めた+。21 [イエス]は彼女に言われた,「あなたは何を望むのですか」。彼女は言った,「これらわたしの二人の息子が,あなたの王国で,一人はあなたの右に,一人はあなたの左に座るようお申しつけください+」。22 イエスは答えて言われた,「あなた方は自分が何を求めているかを知っていません。あなた方は,わたしが飲もうとしている杯+を飲むことができますか」。彼らは,「できます」と言った。23 [イエス]は彼らに言われた,「確かにあなた方はわたしの杯を飲むでしょう+。しかし,わたしの右また左に座るこのことは,わたしの授けることではなく,わたしの父によってそれが備えられている人たちのものです+」。
24 このことについて聞くと,ほかの十人はその二人の兄弟のことで憤慨した+。25 しかしイエスは,彼らを自分のところに呼んでこう言われた。「あなた方は,諸国民の支配者たちが人々に対して威張り,偉い者たちが人々の上に権威を振るうことを知っています+。26 あなた方の間ではそうではありません+。かえって,だれでもあなた方の間で偉くなりたいと思う者はあなた方の奉仕者*でなければならず+,27 また,だれでもあなた方の間で第一でありたいと思う者はあなた方の奴隷でなければなりません+。28 ちょうど人の子が,仕えてもらうためではなく,むしろ仕え*+,自分の魂*を,多くの人と引き換える贖い*として与えるために来た+のと同じです」。
29 さて,一行がエリコを出る時+,大群衆が彼のあとに従った。30 すると,見よ,二人の盲人が道路のわきに座っていたが,イエスがそばを通っておられることを聞くと,「主よ*,わたしたちに憐れみをおかけください,ダビデの子よ!」と叫んだ+。31 ところが群衆は,黙っているようにと彼らに厳しく言った。けれども彼らはいよいよ大声で叫び,「主よ,わたしたちに憐れみをおかけください,ダビデの子よ!」と言った+。32 それでイエスは止まり,彼らに呼びかけて言われた,「わたしに何をして欲しいのですか」。33 彼らは,「主よ,わたしたちの目が開くようにしてください」と言った+。34 イエスは哀れに思い,彼らの目にお触れになった+。すると,彼らはすぐに見えるようになり,[イエス]のあとに従った+。
21 さて,彼らがエルサレムに近づき,オリーブ山にあるベテパゲに着くと,イエスはさっそく二人の弟子を遣わして+,2 こう言われた。「行って,向こうに見えるあの村に入りなさい。そうすれば,あなた方はすぐに,一頭のろばがつながれ,それと一緒に子ろばがいるのを見つけるでしょう。それらをほどいてわたしのところに連れて来なさい+。3 そして,だれかが何か言うなら,『主がこれらをご入り用なのです』と言わねばなりません。そうすれば,彼はすぐにそれをよこすでしょう」。
4 これは,預言者を通して語られたことが成就するため実際に起きたのである。こう言われていた。5 「シオンの娘に告げよ,『見よ,あなたの王があなたのもとに来る+。気質の温和な者であり+,ろばに乗って,それも,駄獣の子なる子ろばに乗って+』」。
6 それで弟子たちは出かけて行き,イエスが命じたとおりに行なった。7 こうしてろばとその子ろばを連れて来て,その上に自分たちの外衣を置き,次いで[イエス]がその上に座られた+。8 群衆の多くは自分の外衣を道路に敷き+,他の者は木の枝を切り落として道路に敷いていった+。9 群衆は,彼の前を行く者も,あとに従う者も,こう叫びつづけた。「救いたまえ*+,ダビデの子を+! エホバ*のみ名によって来るのは祝福された者+! 彼を救いたまえ,上なる高き所にて*+!」
10 さて,彼がエルサレムに入ると+,市全体は「これはだれなのか」と言って騒ぎ立った。11 群衆は,「これは預言者+イエス,ガリラヤのナザレから来た方だ!」と告げていった。
12 それからイエスは神殿の中に入り,神殿で売り買いしていた者たちをみな追い出し,両替屋の台と,はとを売っていた者たちの腰掛けを倒された+。13 そしてこう言われた。「『わたしの家は祈りの家と呼ばれるであろう+』と書いてあるのに,あなた方はそれを強盗の洞くつとしている+」。14 また,神殿の中で,盲人や足なえの人たちがやって来たので,その人たちをお治しになった。
15 祭司長と書士たちは,彼の行なった驚嘆すべき事柄+,そして,神殿の中で,「救いたまえ+,ダビデの子を+!」と叫んでいる少年たちを見て憤慨し,16 「これらの者たちの言っていることが聞こえるか」と彼に言った。イエスは彼らに言われた,「はい。あなた方は,『みどりごや乳飲み子の口から,あなたは賛美を備えられた+』とあるのを読んだことがないのですか+」。17 そうして,彼らをあとに残したまま,市の外に出てベタニヤに行き,そこでその夜を過ごされた+。
18 朝早く市に戻って行く途中,[イエス]は飢えを覚えられた+。19 そして,道路のそばにある一本のいちじくの木を見つけて,そのもとに行かれたが,それにはただ葉のほかには何も見あたらなかった+。それで,「もうお前からは永久に実が出ないように+」と言われた。すると,そのいちじくの木はたちどころに枯れてしまった。20 しかし,弟子たちはこれを見て不思議に思い,「いちじくの木がたちどころに枯れたのはどうしてですか」と言った+。21 イエスは答えて言われた,「あなた方に真実に言いますが,ただ信仰を抱いて疑うことさえないなら+,あなた方は,わたしがこのいちじくの木に行なったようなことができるだけでなく,この山に,『持ち上がって海に落ちよ』と言ったとしても,そのこともまた起きるのです+。22 そしてあなた方は,信仰を抱いて祈り求めるものすべてを受けるのです+」。
23 さて,神殿に入られると,祭司長と民の年長者たちが,[イエス]の教えておられるところにやって来て+,「どんな権威でこうしたことをするのか。そして,だれがあなたにこの権威を与えたのか」と言った+。24 イエスは答えて彼らに言われた,「わたしも,あなた方に一つのことを尋ねます。あなた方がわたしにそれを言うなら,わたしもあなた方に,どんな権威でわたしがこれらのことを行なうかを言いましょう+。25 ヨハネによるバプテスマ,それはどこから出たものでしたか。天からでしたか,それとも人からでしたか+」。ところが,彼らは互いに論じはじめて,こう言った。「我々が,『天から』と言えば,彼は,『では,なぜ彼を信じなかったのか』と言うだろう+。26 だが,『人から』と言えば,我々にとっては群衆が怖い+。彼らは皆ヨハネを預言者と見ているからだ+」。27 それで彼らは,イエスに対する答えとして,「わたしたちは知らない」と言った。そこで[イエス]は彼らに言われた,「わたしも,どんな権威で自分がこれらのことを行なうかを,あなた方には言いません+。
28 「あなた方はどう考えますか。ある人に二人の子供がいました+。彼は一番目の者のところに行って,『子供よ,今日,ぶどう園に行って働きなさい』と言いました。29 この者は答えて,『[行き]ます,[父上]』と言いましたが+,出かけて行きませんでした。30 二番目の者に近づいて,彼は同じことを言いました。この者は答えて,『[行き]ません』と言いました。後ほど彼は後悔して+出かけて行きました。31 この二人のうち,どちらが父の意志を行ないましたか+」。彼らは,「後の者です」と言った。イエスは彼らに言われた,「あなた方に真実に言いますが,収税人や娼婦たちがあなた方より先に神の王国に入りつつあるのです。32 ヨハネが義の道をもってあなた方のところに来たのに+,あなた方は彼を信じなかったからです+。ところが,収税人や娼婦たちは彼を信じました+。あなた方は,[それを]見ながら,あとから後悔して彼を信ずるようにはなりませんでした。
33 「別の例え*を聞きなさい。ある人,つまり家あるじがいました+。その人はぶどう園を設け,その周りに柵を巡らし,その中にぶどうの搾り場を掘り,塔を立て+,それを耕作人たちに貸し出して,外国へ旅行に出ました+。34 実りの季節が巡って来たとき,彼は自分の実りを得ようとして耕作人のもとに奴隷たちを派遣しました。35 ところが,耕作人たちは彼の奴隷たちを捕まえ,ひとりを打ちたたき,もうひとりを殺し,もうひとりを石打ちにしました+。36 彼は再びほかの奴隷を最初より大ぜい派遣しました。しかし彼らはこれらにも同じことをしたのです+。37 最後に彼は,『わたしの息子なら尊敬するだろう』と言って,自分の息子を彼らのもとに派遣しました。38 その息子を見ると,耕作人たちは互いに言いました,『これは相続人+だ。さあ,こいつを殺してその相続財産を手に入れよう+!』39 そうして彼を捕まえ,ぶどう園から追い出して殺してしまったのです+。40 それで,ぶどう園の持ち主が来るとき,これらの耕作人をどうするでしょうか」。41 彼らは言った,「その者たちは悪らつですから,惨めな滅びをもたらし+,そのぶどう園をほかの耕作人たち,[納める]べき時に実りを納める者たちに貸し出すでしょう+」。
42 イエスは彼らに言われた,「あなた方は聖書の中で読んだことがないのですか。『建築者たちの退けたその石+が主要な隅石となった+。これはエホバ*から生じたのであり,わたしたちの目には驚嘆すべきものである』とあるのです。43 このゆえにあなた方に言いますが,神の王国はあなた方から取られ,その実を生み出す国民に与えられるのです+。44 また,この石の上に落ちる人は粉々になるでしょう。これがその上に落ちる人は,みじんに砕かれるでしょう+」。
45 さて,祭司長とパリサイ人たちは,[イエス]の例えを聞いた時,自分たちについて話しているのだということに気づいた+。46 しかし,彼を捕らえようとしながらも,群衆を恐れた。[群衆]は彼を預言者と見ていたからである+。
22 イエスはさらに答え,再び例えによって彼らにこう話された+。2 「天の王国は,自分の息子のために婚宴を設けた人+,[つまりそのような]王のようになりました。3 彼は,婚宴に招いておいた者たちを呼ぶため,自分の奴隷たちを遣わしましたが+,その者たちは来たがりませんでした+。4 再びほかの奴隷たちを遣わそうとして+言いました,『招いてある者たちにこう言いなさい。「ご覧なさい,わたしは正さんを整えました+。わたしの雄牛と肥えた動物はほふられ,すべての用意ができました。婚宴に来てください+」』。5 ところが,彼らは無関心で,ある者は自分の畑に,別の者は自分の商売に出かけて行きました+。6 しかし,ほかの者は,その奴隷たちを捕まえて不遜に扱い,それを殺してしまいました+。
7 「そこで王は憤り,自分の軍隊を送ってそれら殺人者たちを滅ぼし,彼らの都市を焼きました+。8 それから彼は自分の奴隷たちに言いました,『婚宴はたしかに用意ができているのだが,招いておいた者たちはそれに値しなかった+。9 それゆえ,市外に通ずる道路に行き,だれなりとあなた方の見つける者を*婚宴に招きなさい+』。10 そこで,その奴隷たちは道路に出て行き,邪悪な者も善良な者も+,その見つけた者をみな集めました。こうして,婚礼の部屋は食卓について横になる者たち+でいっぱいになりました。
11 「王が客を見回るために入って来たとき,結婚式の衣+をまとっていない人をそこに見つけました。12 それでその人に言いました,『君,結婚式の衣を着けずにどうしてここに入って来たのか+』。その人は何も言えなくなりました。13 そこで王は僕たちに*言いました,『その手足を縛って彼を外の闇に投げ出しなさい。そこで[彼は]泣き悲しんだり歯ぎしりしたり*するであろう+』。
15 その時,パリサイ人たちは出かけて行き,彼をその語ることばの点でわなにかけようと相談した+。16 そして,自分たちの弟子を,ヘロデの党派的追随者*と一緒に彼のところに派遣して+,こう言わせた。「師よ,わたしどもは,あなたが真実な方で,神の道を真実をもってお教えになることを知っております。そしてあなたはだれをも気にされません。人の外見をご覧にならないからです+。17 それで,どうお考えになるか,わたしどもにお話しください。カエサルに*人頭税を払うことはよろしいでしょうか,よろしくないでしょうか+」。18 しかしイエスは,彼らの邪悪さを知って,こう言われた。「なぜあなた方はわたしを試すのですか,偽善者たちよ+。19 人頭税の硬貨をわたしに見せなさい」。彼らはデナリ*を[イエス]のところに持って来た。20 そこで彼らにこう言われた。「これはだれの像*と銘刻ですか+」。21 彼らは,「カエサルのです」と言った。そこで[イエス]は言われた,「それでは,カエサルのものはカエサルに,しかし神のものは神に返しなさい*+」。22 すると,彼らは[これを]聞いて驚嘆し,彼を残して去って行った+。
23 その日,復活*などはないと言うサドカイ人たちがやって来て,こう尋ねた+。24 「師よ,モーセは,『人が子供を持たずに死ぬならば,その兄弟が彼の妻をめとって,自分の兄弟のために子孫を起こさねばならない』と言いました+。25 さて,わたしたちのところに七人兄弟がいました。そして一番目の者は結婚して死亡し,子孫がなかったので,妻を自分の兄弟に残しました+。26 二番目,三番目の者も,ついには七人全部が同じようになりました+。27 みんなの最後にその女も死にました。28 そうすると,復活の際,彼女はその七人のうちだれの妻なのでしょうか。みんなが彼女を得たのですから+」。
29 イエスは答えて言われた,「あなた方は間違っています。聖書も神の力も知らないからです+。30 復活のさい,男はめとらず,女も嫁ぎません+。天にいるみ使いたちのようになるのです。31 死者の復活については,神によってあなた方に語られた事柄を読まなかったのですか。こう言われました+。32 『わたしはアブラハムの神,イサクの神,ヤコブの神である+』。この方は死んだ者の神*ではなく,生きている者の[神]なのです+」。33 [これを]聞いて,群衆は彼の教えに驚き入った+。
34 パリサイ人たちは,[イエス]がサドカイ人を沈黙させたことを聞いたのち,一団となってやって来た。35 そして,そのうちの一人で,律法に通じた者+が,彼を試して,こう尋ねた。36 「師よ,律法の中で最大のおきてはどれですか+」。37 [イエス]は彼に言われた,「『あなたは,心をこめ,魂をこめ,思いをこめてあなたの神エホバ*を愛さねばならない+』。38 これが最大で第一のおきてです。39 第二もそれと同様であって,こうです。『あなたは隣人を自分自身のように愛さねばならない+』。40 律法全体はこの二つのおきてにかかっており,預言者たちもまたそうです+」。
41 さて,パリサイ人が共に集まっていた間に,イエスは彼らにこうお尋ねになった+。42 「あなた方はキリストについてどう考えますか。彼はだれの子ですか」。彼らは,「ダビデの[子]です+」と言った。43 [イエス]は彼らに言われた,「では,どうしてダビデは,霊感によって*+彼を『主』と呼び,44 『エホバ*はわたしの主に,「わたしがあなたの敵たちをあなたの足の下に置くまで,わたしの右に座っていなさい」と言われた』と言っているのですか+。45 それで,ダビデが彼を『主』と呼んでいるのであれば,どうして彼の子でしょうか+」。46 すると,だれも,一言も彼に答えられなかった。また,その日以後は,だれもあえてそれ以上彼に質問しなかった+。
23 それからイエスは群衆と弟子たちに話して+,こう言われた。2 「書士+とパリサイ人たちはモーセの座+に座っています。3 それゆえ,彼らがあなた方に告げること+はみな行ない,また守りなさい。しかし,その行ない+に倣ってはなりません。彼らは言いはしますが,実行しないからです。4 重い荷をくくって人の肩に載せますが+,自分ではそれを指で動かそうともしません+。5 すべてその行なう業は人に見せようとしてするのです+。彼らは,お守りとして身に着ける[聖句]入れ+の幅を広げ*,[衣の]房べり*+を大きくしているからです。6 また彼らは晩さんにおいては最も目立つ場所+を,そして会堂では正面の座席+を好み,7 また市の立つ広場*でのあいさつ+や,人にラビ*と呼ばれること+を[好み]ます。8 しかしあなた方は,ラビと呼ばれてはなりません。あなた方の教師はただ一人であり+,あなた方はみな兄弟だからです。9 また,地上のだれをも父と呼んではなりません。あなた方の父はただ一人+,天におられる方だからです。10 また,『指導者』と呼ばれてもなりません+。あなた方の指導者*はキリスト一人だからです。11 あなた方の間で一番偉い者は,あなた方の奉仕者*でなければなりません+。12 だれでも自分を高める者は低くされ+,だれでも自分を低くする者は高められるのです+。
13 「偽善者なる書士とパリサイ人たち,あなた方は災いです! あなた方は人の前で天の王国を閉ざす+からです。あなた方+自身が入らず,また入る途中の者が入ることをも許さないのです。14* ――
15 「偽善者なる書士とパリサイ人たち+,あなた方は災いです! あなた方は一人の改宗者*を作るために海と陸を行き巡り,それができると,これを,自分に倍してゲヘナ*に行くべき者*とするからです。
16 「盲目の案内人よ+,あなた方は災いです! あなた方は,『神殿*にかけて誓っても,それは何のことはない。しかし,神殿の金にかけて誓うなら,その者には務めがある』と言うのです+。17 愚か者,また盲目の者たちよ! 金とその金を神聖にした神殿とでは,実際のところどちらが偉大なのですか+。18 また,『祭壇にかけて誓っても,それは何のことはない。しかし,その上の供え物にかけて誓うなら,その者には務めがある』と[言います]。19 盲目の者たちよ! 供え物とその供え物を神聖にする祭壇+とでは,実際のところどちらが偉大なのですか。20 それゆえ,祭壇にかけて誓う者は,それとその上のすべての物にかけて誓っているのです。21 そして,神殿にかけて誓う者は,それとそこに住んでおられる方にかけて誓っているのです+。22 また,天にかけて誓う者は,神の座+とそこに座しておられる方とにかけて誓っているのです。
23 「偽善者なる書士とパリサイ人たち,あなた方は災いです! あなた方は,はっか・いのんど・クミンの十分の一+を納めながら,律法のより重大な事柄,すなわち公正+と憐れみ+と忠実*+を無視しているからです。これらこそ行なうべきことだったのです。もっとも,それら他方の事柄も無視すべきではありません。24 盲目の案内人+,ぶよ+は濾し取りながら,らくだ+を呑み込む者たちよ!
25 「偽善者なる書士とパリサイ人たち,あなた方は災いです! あなた方は杯+と皿の外側は清めますが,その内側は強奪+と節度のなさとに満ちているからです。26 盲目の+パリサイ人よ,杯+と皿の内側をまず清め,それによって外側も清くなるようにしなさい。
27 「偽善者なる書士とパリサイ人たち+,あなた方は災いです! あなた方は白く塗った+墓に似ているからです。それは,外面はなるほど美しく見えますが,内側は死人の骨とあらゆる汚れに満ちているのです。28 そのように,あなた方もまた,確かに外面では義にかなった者と人に映りますが+,内側は偽善と不法でいっぱいです。
29 「偽善者なる書士とパリサイ人たち+,あなた方は災いです! あなた方は預言者たちの墓を建て,義人たちの記念の墓を飾りつけて+,30 こう言うからです。『我々が父祖たちの日にいたなら,彼らと共に預言者たちの血にあずかる者とはならなかっただろう』と+。31 それゆえあなた方は,自分が預言者たちを殺害した者たちの子であることを,自ら証ししているのです+。32 それなら,あなた方の父祖たちの升+を満たしなさい*。
33 「蛇よ,まむしらの子孫よ+,どうしてあなた方はゲヘナ*の裁き+を逃れられるでしょうか。34 このゆえに,わたしは今,預言者と賢い者と公に教え諭す者たち*+をあなた方のところに遣わします+。あなた方はそのうちのある者を殺して+杭につけ*,ある者を会堂でむち打ち+,都市から都市へと迫害するでしょう。35 こうして,義なる+アベル+の血から,あなた方が聖なる所と祭壇の間で殺害した,バラキヤの子ゼカリヤの血に至るまで+,地上で流された義の血すべてがあなた方に臨むのです+。36 あなた方に真実に言いますが,これらのことすべてはこの世代に臨むでしょう+。
37 「エルサレム,エルサレム,預言者たちを殺し+,自分に遣わされた人々を石打ち+にする者よ+ ― わたしは幾たびあなたの子供たちを集めたいと思ったことでしょう。めんどりがそのひなを翼の下に集めるかのように+。しかし,あなた方はそれを望みませんでした+。38 見よ,あなた方の家+はあなた方のもとに見捨てられています+。39 あなた方に言いますが,『エホバ*のみ名によって来るのは祝福された者+!』と言うときまで,あなた方は今後決してわたしを見ないでしょう」。
24 さて,イエスが[そこを]たって神殿から去って行かれるところであったが,弟子たちが神殿の建物を示そうとして近づいて来た+。2 [イエス]はそれにこたえてこう言われた。「あなた方はこれらのすべてのものを眺めないのですか。あなた方に真実に言いますが,石がこのまま石の上に残されて崩されないでいることは決してないでしょう+」。
3 [イエス]がオリーブ山の上で座っておられたところ,弟子たちが自分たちだけで近づいて来て,こう言った。「わたしたちにお話しください。そのようなことはいつあるのでしょうか。そして,あなたの臨在*+と事物の体制の*終結*+のしるしには何がありますか」。
4 そこでイエスは答えて言われた,「だれにも惑わされないように気を付けなさい+。5 多くの者がわたしの名によってやって来て,『わたしがキリスト*だ』と言って多くの者を惑わすからです+。6 あなた方は戦争のこと,また戦争の知らせを聞きます。恐れおののかないようにしなさい。これらは必ず起きる事だからです。しかし終わり*はまだなのです+。
7 「というのは,国民は国民に+,王国は王国に敵対して+立ち上がり*,またそこからここへと食糧不足+や地震+があるからです。8 これらすべては苦しみの劇痛の始まりです。
9 「その時,人々はあなた方を患難に渡し+,あなた方を殺す+でしょう。またあなた方は,わたしの名のゆえに+あらゆる国民の憎しみの的となるでしょう+。10 またその時,多くの者がつまずき+,互いに裏切り,互いに憎み合うでしょう+。11 そして多くの偽預言者+が起こって,多くの者を惑わすでしょう+。12 また不法が増すために+,大半の者の愛が冷えるでしょう+。13 しかし,終わり*まで耐え忍んだ人+が救われる者です+。14 そして,王国+のこの良いたより+は,あらゆる国民に対する+証し*のために,人の住む全地で*宣べ伝えられる*でしょう。それから終わり*+が来るのです。
15 「それゆえ,荒廃をもたらす嫌悪すべきもの+が,預言者ダニエルを通して語られたとおり,聖なる場所に*立っているのを見かけるなら+,(読者は識別力を働かせなさい*,)16 その時,ユダヤにいる者は山に逃げはじめなさい+。17 屋上にいる人は,家から物を取り出そうとして下りてはならず,18 野にいる人は,外衣を拾おうとして家に帰ってはなりません。19 その日,妊娠している女と赤子に乳を飲ませている者にとっては災いになります+! 20 あなた方の逃げるのが冬期または安息日にならないように*祈っていなさい。21 その時,世の初めから今に至るまで起きたことがなく+,いいえ,二度と起きないような大患難*+があるからです。22 実際,その日が短くされないとすれば,肉なる者はだれも救われないでしょう。しかし,選ばれた者たち+のゆえに,その日は短くされるのです+。
23 「その時,『見よ,ここにキリストがいる+』とか,『あそこに!』とか言う者がいても,それを信じてはなりません+。24 偽キリスト+や偽預言者+が起こり,できれば選ばれた者たちをさえ惑わそうとして+,大きなしるし+や不思議を行なうからです。25 ご覧なさい,わたしはあなた方にあらかじめ警告しました+。26 それゆえ,人々が,『見よ,彼は荒野にいる』と言っても,出て行ってはなりません。『見よ,奥の間にいる』[と言っても],それを信じてはなりません+。27 稲妻+が東の方から出て西の方に輝き渡るように,人の子の臨在*もそのようだからです+。28 どこでも死がいのある所,そこには鷲+が集まっているでしょう+。
29 「それらの日の患難のすぐ後に,太陽は暗くなり+,月+はその光を放たず,星は天から落ち,天のもろもろの力は揺り動かされるでしょう+。30 またその時,人の子+のしるしが天に現われます。そしてその時,地のすべての部族は嘆きのあまり身を打ちたたき+,彼らは,人の子が力と大いなる栄光を伴い*,天の雲に乗って来る*のを見るでしょう+。31 そして彼は,大きなラッパの音とともに+自分の使いたちを遣わし,彼らは,四方の風から+,天の一つの果てから他の果てにまで,その選ばれた者たち+を集めるでしょう。
32 「では,いちじくの木から例えとしてこの点を学びなさい。その若枝が柔らかくなり,それが葉を出すと,あなた方はすぐに,夏の近いことを知ります+。33 同じようにあなた方は,これらのすべてのことを見たなら,彼が近づいて戸口にいる+ことを知りなさい。34 あなた方に真実に言いますが,これらのすべての事が起こるまで,この世代*+は決して過ぎ去りません。35 天と地は過ぎ去るでしょう+。しかしわたしの言葉は決して過ぎ去らないのです+。
36 「その日と時刻については+だれも知りません。天のみ使いたちも子も*[知らず],ただ父だけが[知っておられます+]。37 人の子の臨在*はちょうどノアの日+のようだからです+。38 洪水*前のそれらの日,ノアが+箱船に入る日まで+,人々は食べたり飲んだり,めとったり嫁いだりしていました。39 そして,洪水が来て彼らすべてを流し去るまで+注意しませんでしたが,人の子の臨在*[の時]もそのようになるのです。40 その時二人の男が野にいるでしょう。一方は連れて行かれ,他方は捨てられるのです。41 二人の女が手臼をひいているでしょう+。一方は連れて行かれ,他方は捨てられるのです+。42 それゆえ,ずっと見張っていなさい。あなた方は,自分たちの主がどの日に来るかを知らないからです+。
43 「しかし,一つのことを知っておきなさい。家あるじは,盗人がどの見張り時に来るかを知っていたなら+,目を覚ましていて,自分の家に押し入られるようなことを許さなかったでしょう。44 このゆえに,あなた方も用意のできていることを示しなさい+。あなた方の思わぬ時刻に人の子は来るからです。
45 「主人が,時に応じてその召使いたちに食物を与えさせるため,彼らの上に任命した+,忠実で思慮深い奴隷+はいったいだれでしょうか。46 主人が到着して*,そうしているところを見るならば,その奴隷は幸いです+。47 あなた方に真実に言いますが,[主人]は彼を任命して自分のすべての持ち物をつかさどらせるでしょう+。
48 「しかし,もしそのよこしまな奴隷が,心の中で+,『わたしの主人は遅れている+』と言い,49 仲間の奴隷たちをたたき始め,のんだくれたちと共に食べたり飲んだりするようなことがあるならば,50 その奴隷の主人は,彼の予期していない日,彼の知らない時刻+に来て,51 最も厳しく彼を罰し*+,その受け分を偽善者たちと共にならせるでしょう。そこで[彼は]*泣き悲しんだり歯ぎしりしたり*するのです+。
25 「その時,天の王国は,自分のともしび+を持って花婿+を迎えに出た十人の処女のようになります。2 そのうち五人は愚か+で,五人は思慮深い者+でした。3 愚かな者たちは自分のともしびを持ちましたが,油を携えていかず,4 一方,思慮深い者たちは,自分のともしびと共に,油を入れ物に入れて持って行きました。5 花婿が遅れている間に,彼女たちはみな頭を垂れて眠り込んでしまいました+。6 真夜中に,『さあ,花婿だ! 迎えに出なさい』という叫び声が上がりました+。7 そこで,それらの処女はみな起きて,自分のともしびを整えました+。8 愚かな者たちは思慮深い者たちに言いました,『あなた方の油+を分けてください。わたしたちのともしびはいまにも消えそうですから』。9 思慮深い者たち+はこう答えました。『わたしたちとあなた方に足りるほどはないかもしれません。むしろ,[油]を売る者たちのところに行って,自分のために買いなさい』。10 彼女たちが買いに行っている間に花婿が到着し,用意のできていた処女たちは,婚宴のため彼と共に中に入りました+。それから戸が閉められたのです。11 後に,残りの処女たちも来て,『だんな様,だんな様,開けてください』と言いました+。12 彼は答えて言いました,『あなた方に真実を言いますが,わたしはあなた方を知りません+』。
13 「それゆえ,ずっと見張っていなさい+。あなた方は,その日もその時刻も知らないからです+。
14 「それはちょうど,人+が外国へ旅行に出るにあたり+,奴隷たちを呼び寄せて,自分の持ち物をゆだねたときのようになるのです+。15 そして,ある者には五タラント*,別の者には二タラント,さらに別の者には一タラントと,各自の能力に応じて+ひとりひとりに与えてから,外国に行きました。16 五タラントを受けた者はすぐに出かけて行き,それで商売をしてさらに五[タラント]をもうけました+。17 二[タラント]を受けた者も同じようにしてさらに二[タラント]をもうけました。18 しかし,ただ一[タラント]を受けた者は,出かけて行って地面を掘り,主人の銀子を隠しておきました。
19 「長い時を経たのち+,その奴隷たちの主人が来て,彼らとの勘定を清算しました+。20 それで,五タラント*を受けていた者が進み出,追加の五タラントを差し出して,こう言いました。『ご主人様,わたしに五タラントをゆだねてくださいましたが,ご覧ください,わたしはさらに五タラントをもうけました+』。21 主人は彼に言いました,『よくやった,善良で忠実な奴隷よ+! あなたはわずかなものに忠実+であった。わたしはあなたを任命して多くのものをつかさどらせる+。あなたの主人の喜び+に入りなさい』。22 次に,二タラントを受けていた者が進み出て,言いました,『ご主人様,わたしに二タラントをゆだねてくださいましたが,ご覧ください,わたしはさらに二タラントをもうけました+』。23 主人は彼に言いました,『よくやった,善良で忠実な奴隷よ! あなたはわずかなものに忠実であった。わたしはあなたを任命して多くのものをつかさどらせる+。あなたの主人の喜び+に入りなさい』。
24 「最後に,一タラントを受けていた者が進み出て+言いました,『ご主人様,わたしは,あなたが手厳しい方*で,まかなかった所で刈り取り,あおり分けなかった所で集めることを知っておりました。25 それでわたしは怖くなり+,行って,あなたの一タラントを地中に隠しておきました。さあ,これはあなた様のものです』。26 主人は答えて言いました,『邪悪で無精な*奴隷よ,わたしが自分のまかなかった所で刈り取り,あおり分けなかった所で集めることを知っていたというのか。27 それならあなたは,わたしの銀子を銀行家に預けておくべきだった。そうすればわたしは,到着してすぐに,自分のものを利息と一緒に受け取っていただろうに+。
28 「『だから,彼からその一タラント*を取り上げて,十タラントを持っている者に与えよ+。29 すべて持っている者にはさらに与えられ,その者は満ちあふれるようになるのである。しかし,持っていない者は,その持っているものまで取り上げられるのである+。30 それで,この何の役にも立たない奴隷を外の闇に投げ出しなさい。そこで[彼は]泣き悲しんだり歯ぎしりしたり*するであろう+』。
31 「人の子+がその栄光のうちに到来し,またすべてのみ使いが彼と共に[到来する]と+,そのとき彼は自分の栄光の座に座ります+。32 そして,すべての国の民が彼の前に集められ+,彼は,羊飼いが羊をやぎから分けるように,人をひとりひとり+分けます+。33 そして彼は羊を自分の右に+,やぎ*を自分の左に+置くでしょう。
34 「それから王は自分の右にいる者たちにこう言います。『さあ,わたしの父に祝福された者たちよ+,世の基が置かれて*以来+あなた方のために備えられている王国+を受け継ぎなさい+。35 わたしが飢えると,あなた方は食べる物を与え+,わたしが渇くと,飲む物を与えてくれたからです。わたしがよそからの者として来ると,あなた方は温かく迎え+,36 裸でいると*+,衣を与えてくれました。わたしが病気になると,世話をし,獄にいると+,わたしのところに来てくれました』。37 その時,義なる者たちはこう答えるでしょう。『主よ,いつわたしたちは,あなたが飢えておられるのを見て食べ物を差し上げたり,渇いておられるのを[見て+]飲む物を差し上げたりしたでしょうか+。38 いつわたしたちは,あなたがよそからの人であるのを見て温かく迎えたり,裸なのを[見て]衣を差し上げたりしたでしょうか。39 いつわたしたちは,あなたが病気であったり獄におられたりするのを見てみもとに参りましたか』。40 すると,王+は答えて言うでしょう,『あなた方に真実に言いますが,これらわたしの兄弟+のうち最も小さな者の一人にしたのは+,それだけわたしに対してしたのです+』。
41 「ついで彼は自分の左にいる者たちにこう言います。『のろわれた者たちよ,わたしから離れ+,悪魔とその使いたち+のために備えられた永遠の火に入りなさい+。42 わたしが飢えても,あなた方は食べる物を与えず+,渇いても+,飲む物を与えてくれなかったからです。43 わたしがよそからの者として来ても,あなた方は温かく迎えず,裸でいても,衣を与えてくれませんでした+。病気であったり獄にいたりしても+,世話をしてくれませんでした』。44 その時,彼らもこう答えるでしょう。『主よ,いつわたしたちは,あなたが飢え,渇き,よそからの人であり,裸であり,病気であり,あるいは獄におられるのを見て,あなたに仕えませんでしたか』。45 その時,彼はこう答えるでしょう。『あなた方に真実に言いますが,これら最も小さな者の一人にしなかったのは+,それだけわたしに対して+しなかったのです+』。46 そして,これらの者は去って永遠の切断*に入り+,義なる者たちは永遠の命に入ります+」。
26 さて,これらすべてを語り終えてから,イエスは弟子たちにこう言われた。2 「あなた方の知っているとおり,今から二日後には過ぎ越しが行なわれます+。そして,人の子は杭につけられる*ために引き渡されるのです+」。
3 その時,祭司長および民の年長者たちは,カヤファと呼ばれる大祭司[の家]の中庭に集まり+,4 うまく仕組んでイエスを捕らえ,これを殺そうと相談した+。5 しかし彼らは,「祭りの時はいけない。民の間に騒動が起きないようにするためだ」と言い合っていた+。
6 イエスがちょうどベタニヤ+でらい病人シモン+の家におられた時のことであったが,7 雪花石こうの容器に入った高価な香油+を携えた女が近づき,食卓について横になっておられた[イエス]の頭にそれを注ぎはじめた。8 これを見て弟子たちは憤慨し,「なぜこんな無駄なことを+。9 これは高く売れたし,そうすれば貧しい人たちに施すこともできたのに」と言った+。10 イエスはこれに気づいて+彼らに言われた,「なぜあなた方はこの女を困らせようとするのですか。彼女はわたしに対してりっぱな行ないをしたのです+。11 あなた方にとって,貧しい人たちは常にいますが+,わたしは常にいるわけではないからです+。12 この女が,この香油をわたしの体に付けたのは,わたしの埋葬のための準備としてそうしたのです+。13 あなた方に真実に言いますが,世界*中どこでもこの良いたよりが宣べ伝えられる*所では,この女のしたことも,彼女の記念として語られるでしょう+」。
14 その時,十二人の一人で,ユダ・イスカリオテ+と呼ばれる者が,祭司長たちのところに行って,15 こう言った。「彼を裏切ってあなた方に渡せば,わたしに何をくれますか+」。彼らは銀三十枚を彼に[与えることを]定めた+。16 それで,その時以後,彼は[イエス]を裏切って渡す良い機会をうかがいつづけた+。
17 無酵母パンの最初の日*+,弟子たちがイエスのところに来て,こう言った。「過ぎ越しの食事をなさるため,わたしたちがどこに準備するようお望みですか+」。18 [イエス]は言われた,「市内に入ってこれこれの人のところに行き+,こう言いなさい。師が,『わたしの定めの時が近づきました。わたしは弟子たちと共にあなたの家で過ぎ越しを祝います』と言っておられますと+」。19 それで弟子たちはイエスが命じたとおりに行なって,過ぎ越しの用意を整えた+。
20 さて,夕方になってから+,[イエス]は十二弟子と共に食卓について横になっておられた+。21 彼らが食べている間に,[イエス]はこう言われた。「あなた方に真実に言いますが,あなた方のうちの一人がわたしを裏切るでしょう+」。22 そこで彼らはひどく悲嘆し,それぞれみんなが,「主よ,まさかわたしではありませんね」と言い始めた+。23 [イエス]は答えて言われた,「わたしと一緒に手を鉢に浸す者,それがわたしを裏切る者です+。24 確かに人の子は,自分について書かれているとおりに去って行きますが+,人の子を裏切るその人+は災いです+! その人にとっては,むしろ生まれてこなかったほうが良かったでしょう」。25 彼をまさに裏切ろうとしていたユダが答えて言った,「ラビ,まさかわたしのことではありませんね」。[イエス]は彼に言われた,「あなた自身が[そう]言いました」。
26 彼らが食事を続けていると,イエスはパンを取り+,祝とうを述べてからそれを割き+,弟子たちに与えて,こう言われた。「取って,食べなさい。これはわたしの体を表わしています*+」。27 また,杯を取り+,感謝をささげてからそれを彼らに与え,こう言われた。「あなた方はみな,それから飲みなさい+。28 これはわたしの『契約+の血+』を表わしており+,それは,罪の許しのため+,多くの人のために+注ぎ出されることになっているのです。29 しかしあなた方に言いますが,わたしの父の王国であなた方と共にそれの新しいもの*を飲むその日まで,わたしは今後決してぶどうの木のこの産物を飲みません+」。30 最後に,賛美+を歌ってから*,彼らはオリーブ山に出て行った+。
31 それからイエスは彼らにこう言われた。「今夜,あなた方は皆わたしに関してつまずくでしょう。『わたしは牧者を打つ。すると,群れの羊は散り散りになるであろう』と書いてあるからです+。32 しかしわたしは,よみがえらされた後,あなた方に先立ってガリラヤに行きます+」。33 しかしペテロは答えて言った,「ほかのみんながあなたに関してつまずいても,わたしは決してつまずきません+!」34 イエスは彼に言われた,「あなたに真実に言っておきますが,今夜,おんどりが鳴く前に,あなたは三度わたしのことを否認するでしょう+」。35 ペテロは言った,「たとえ共に死なねばならないとしても,わたしは決してあなたのことを否認したりはしません」。ほかの弟子たちもみな同じことを言った+。
36 それから,イエスは彼らと共にゲッセマネと呼ばれる所+に来て,弟子たちにこう言われた。「わたしがあちらへ行って祈りをする間,ここに座っていなさい+」。37 そして,ペテロとゼベダイの二人の子+を連れて行かれたが,ご自分は非常に悲しみ,かつひどく苦悩し始められた+。38 それから彼らにこう言われた。「わたしの魂は深く憂え悲しみ,死なんばかりです+。ここにとどまって,わたしと共にずっと見張っていなさい+」。39 そして少し進んで行き,うつ伏してこう祈られた+。「わたしの父よ,もしできることでしたら,この杯+をわたしから過ぎ去らせてください。それでも,わたしの望むとおりにではなく+,あなたの望まれるとおりに+」。
40 それから弟子たちのところに来られたが,彼らが眠っているのを見て,ペテロにこう言われた。「あなた方は,わたしと共に一時間見張っていることもできなかったのですか+。41 ずっと見張っていて+絶えず祈り+,誘惑に陥らないようにしていなさい+。もとより,霊ははやっても,肉体は弱いのです+」。42 [イエス]は再び,二度目に+離れて行って,こう祈られた。「わたしの父よ,これが,わたしが飲まないでは過ぎ去ることのできないものでしたら,あなたのご意志が成るようにしてください+」。43 それから再び来て,彼らが眠っているのをご覧になった。彼らの目は重くなっていたのである+。44 それで彼らを残してまた離れて行き,三度目の祈りをして+,もう一度同じ言葉を語られた。45 それから弟子たちのところに来て,こう言われた。「このような時に,あなた方は眠って休んでいる! 見よ,人の子が裏切られて罪人たちの手に渡される時刻が近づきました+。46 立ちなさい。行きましょう。見よ,わたしを裏切る者が近づいて来ました+」。47 すると,[イエス]がまだ話しておられるうちに,見よ,十二人の一人であるユダ+がやって来た。そして,剣+やこん棒を持ち,祭司長および民の年長者たちのもとから来た大群衆が彼と一緒であった+。
48 さて,[イエス]を裏切る者は,「だれであれわたしが口づけするのがその人だ。それを拘引せよ」と言って,彼らと合図を決めてあった+。49 それで彼はまっすぐイエスのところに寄って行き,「ラビ,こんにちは+」と言って,いとも優しく口づけした+。50 しかしイエス+は,「君,何のためにここにいるのか」と言われた。その時,彼らが進み出,イエスに手をかけて拘引した+。51 ところが,見よ,イエスと共にいた者の一人が,手を伸ばして自分の剣を抜き,大祭司の奴隷に撃ちかかってその耳を切り落とした+。52 その時イエスは彼に言われた,「あなたの剣を元の所に納めなさい+。すべて剣を取る者は剣によって滅びるのです+。53 それともあなたは,わたしが父に訴えて,この瞬間に十二軍団以上のみ使いを備えていただくことができないとでも考えるのですか+。54 そのようにしたなら,必ずこうなると[述べる]聖書はどうして成就するでしょうか」。55 その折,イエスは群衆にこう言われた。「あなた方は,わたしを捕縛するのに,強盗に対するように剣やこん棒を持って出て来たのですか+。日々わたしは神殿の中に座って+教えていたのに,あなた方はわたしを拘引しませんでした。56 しかし,このすべては,預言者たちの[記した]聖句が成就するために起きたのです+」。その時,弟子たちはみな彼を捨てて逃げて行った+。
57 イエスを拘引した者たちは,彼を大祭司カヤファのところに引いて行った+。そこに書士や年長者たちが集まっていた+。58 しかしペテロは,かなり離れてあとに付いて行き,大祭司[の家]の中庭+まで来た。そして中に入ったのち,成り行き*を見ようとしてその家の従者たちと一緒に座っていた+。
59 一方,祭司長たちおよびサンヘドリン*全体は,イエスを死に処するため,彼に対する偽証を探し求めていた+。60 だが,偽りの証人が大ぜい進み出た+にもかかわらず,彼らは何一つ見いだせなかった。後に二人の者が進み出て,61 こう言った。「この人は,『神の神殿*を壊して,それを三日で建て直せる』と言いました+」。62 すると,大祭司が立ち上がって彼に言った,「何も答えはないのか。これらの者があなたに不利な証言をしていることはどうなのか+」。63 しかしイエスは黙っておられた+。それで大祭司は言った,「生ける神にかけて誓って言え+,あなたは神の子キリスト+なのかどうか」。64 イエスは言われた+,「あなた自身が[そう]言いました+。それでも,あなた方に言っておきますが,今後+あなた方は,人の子+が力の右に座り+,また天の雲に乗って来る*のを見るでしょう+」。65 すると,大祭司は自分の外衣を引き裂いて言った,「この者は冒とくした+! このうえ証人が必要だろうか+。見てください,あなた方は今,冒とくの言葉を聞いたのです+。66 あなた方の意見はどうでしょうか」。「彼は死に服すべきだ+」と彼らは返答した。67 それから彼らは[イエス]の顔につばをかけ+,こぶしで殴りつけた+。ほかの者たちは顔を平手で打って+,68 こう言った。「キリストよ,わたしたちに預言せよ+。お前を打ったのはだれか+」。
69 さて,ペテロは外で中庭に座っていた。すると,ひとりの下女がやって来て,「あなたも,ガリラヤ人のイエスと一緒にいました!」と言った+。70 しかし彼はみんなの前でそれを否定し,「あなたが何のことを話しているのか,わたしには分からない」と言った。71 彼が門舎のところに出て行くと,別の女が彼に気づき,そこにいる者たちに,「この人はナザレ人のイエスと一緒にいました」と言った+。72 すると,彼は再びそれを否定し,「わたしはその人を知らない!」と誓って[言った+]。73 しばらくのち,周りに立っていた者たちが寄って来て,ペテロに言った,「確かにあなたも彼らの一人だ。現に,あなたのなまりがあなたのことを明かしているではないか+」。74 その時,彼は,「わたしはその人を知らないのだ!」と[言って],のろったり誓ったりし始めた。するとすぐにおんどりが鳴いた+。75 それでペテロは,「おんどりが鳴く前に,あなたは三度わたしのことを否認するでしょう+」と言われたイエスのことばを思い出した。そして,外に出て,激しく泣いた+。
27 朝になってから,祭司長と民の年長者たち全員は,イエスを死刑にしようと協議した+。2 そして,彼を縛ってから,引いて行って,総督ピラトに引き渡した+。
3 その時,[イエス]を裏切ったユダは,彼が罪に定められたのを見て悔恨の情を感じ,銀三十枚+を祭司長と年長者たちに返して,4 「わたしは義の血を売り渡して罪をおかした+」と言った。彼らは,「それがわたしたちにどうしたというのか。あなたが処置すべきことだ+!」と言った。5 それで彼はその銀を神殿*に投げ込んで引き下がり,去って行って首をつって死んだ+。6 しかし祭司長たちはその銀を取り,「これを聖なる宝物庫に入れることは許されない。これは血の代価だから」と言った。7 相談したのち,彼らは,見知らぬ人の埋葬のためにそれで陶器師の畑を買った。8 それゆえ,その畑は今日この日に至るまで,「血の畑+」と呼ばれている。9 この時,預言者エレミヤ*を通して語られたことが成就した。こう言われていた。「そして彼ら*は,値をつけられた人,つまりイスラエルの子らのある者たちが値を定めた者の代価である銀三十枚を取り+,10 エホバ*がわたしに命令されたところに従い,陶器師の畑のためにそれを与えた*+」。
11 さて,イエスは総督の前に立った。すると総督は彼にこう質問した。「あなたはユダヤ人の王なのか+」。イエスは,「あなた自身が[そう]言っています」とお答えになった+。12 しかし,祭司長と年長者たちから訴えられている間+,何の答えもされなかった+。13 そこでピラトは言った,「彼らがあなたに不利な証言をいかに多く行なっているか,あなたには聞こえないのか+」。14 それでも彼に答えず,一言も[お答えにならなかった]。そのため総督はたいへん不思議に思った+。
15 さて,祭りの度に,群衆の望む囚人ひとりを釈放するのが総督の習慣であった+。16 ちょうどその時,彼らにはバラバと呼ばれる名うての囚人がいた+。17 ゆえに,彼らが集まった時,ピラトはこう言った。「あなた方はどちらの者を釈放して欲しいのか。バラバか,それともキリストと言われるイエスか+」。18 彼らがそねみのために+[イエス]を引き渡したことに気づいていたのである+。19 さらに,彼が裁きの座に座っている間に,その妻が[人を]遣わして,こう言った。「その義人+にかかわらないでください*。わたしは今日,その人のために夢の中で+とても苦しんだのです」。20 しかし,祭司長と年長者たちは,群衆がバラバを求め+,イエスのほうを滅ぼさせるように説きつけた。21 さて,総督は彼らにこたえて言った,「あなた方は,二人のうちどちらを釈放して欲しいのか」。彼らは,「バラバを+」と言った。22 ピラトは言った,「では,キリストと言われるイエスはどうするのか」。彼らは皆,「杭につけろ*!」と言った+。23 [ピラト]は言った,「彼がどんな悪事をしたというのか」。それでも彼らは,「杭につけろ!」と,いよいよ叫びつづけた+。
24 それが無駄であり,むしろ騒動になってくるのを見たピラトは,水を取って+群衆の前で手を洗い,「わたしはこの[人の]血について潔白である*。あなた方自身が処置をとらねばならない」と言った。25 すると,民はみな答えて言った,「彼の血はわたしたちとわたしたちの子供とに臨んでもよい+」。26 そこで[ピラト]はバラバを彼らに釈放し,イエスのほうは,むちで打たせてから+,杭につけるために渡した+。
27 それから,総督の兵士たちはイエスを総督の官邸内に連れて行き,全部隊を彼のところに集めた+。28 そして,彼の衣をはいで緋色の外とうを掛け+,29 いばらで冠を編んでその頭に載せ,葦をその右手に[持たせた]。そして彼の前にひざまずき,「こんにちは,ユダヤ人の王よ+!」と言って愚弄した+。30 それから,彼につばをかけ+,その葦を取って頭をたたきはじめた。31 最後に,[イエス]を愚弄し+終えた彼らは,外とうを取りのけて彼の外衣を着せ,杭につけるために引いて行った+。
32 彼らは,出て行く際に,シモンという名のキレネ生まれの人を見つけた+。彼らはこの男を奉仕に徴用して[イエス]の苦しみの杭を持たせた。33 そして,ゴルゴタ*+,すなわち“どくろの場所*”と呼ばれる所に来た時,34 彼らは胆汁を混ぜたぶどう酒を[イエス]に与えて+飲ませようとした。しかし,その味を見たのち,飲もうとはされなかった+。35 [イエス]を杭につけてから+,彼らはくじを引いて+その外衣を分配し+,36 それから,座ったまま,そこで彼を見守っていた。37 また彼らは,「これはユダヤ人の王イエス」と記した罪状を彼の頭上に掲げた+。
38 この時,二人の強盗が彼と一緒に杭につけられ,一人はその右に一人はその左に[置かれた+]。39 それで,通行人たちは彼のことをあしざまに言いはじめ+,頭を振って+ 40 こう言った。「神殿を壊して三日でそれを建てると称する者よ+,自分を救ってみろ! 神の子なら,苦しみの杭から下りて来い+!」41 同じように祭司長たちも,書士や年長者たちと一緒に彼を愚弄しはじめて,こう言った+。42 「ほかの者は救ったが,自分は救えないのだ! 彼はイスラエルの王+だ。今,苦しみの杭から下りて来てもらおうではないか。そうしたら我々も彼を信じよう+。43 彼は神に頼ったのだ。[神]が彼を必要とされるのなら,いま[神]に救い出してもらうがよい+。『わたしは神の子だ』と言ったのだから+」。44 一緒に杭につけられた強盗たちまでが,同じようにして彼のことを非難しはじめた+。
45 第六時*以後,闇が全土に垂れこめて+,第九時*にまで及んだ+。46 第九時ごろ,イエスは大声で呼ばわって,「エリ, エリ, ラマ サバクタニ*」,つまり,「わたしの神,わたしの神,なぜわたしをお見捨てになりましたか+」と言われた。47 これを聞いて,そこに立っていた者の幾人かは,「この人はエリヤを呼んでいるのだ」と言いはじめた+。48 そして彼らの一人がすぐに走って行って海綿を取り,それに酸い+ぶどう酒を含ませ,葦の先に付けて彼に飲ませようとした+。49 しかしほかの者たちは,「構わないでおけ! エリヤが救いに来るかどうかを見よう」と言った+。[[別の者は槍を取って彼のわき腹を突き刺した。すると,血と水が出た+。]]* 50 イエスは再び大声で叫び,それから[ご自分の]霊をゆだねられた*+。
51 すると,見よ,聖なる所の垂れ幕+が上から下まで二つに裂け+,地は震い動き,岩塊は割れた+。52 そして,記念の墓が開け,眠りについていた聖なる者の体が数多く起こされ,53 (人々は*,彼がよみがえらされた後に記念の墓の間から出て来て,聖都+に入ったのである)多くの人に見えるようになった。54 しかし,士官*および共にイエスを見守っていた者たちは,地震と起きている事柄とを見て非常に恐れ,「確かにこれは神の子であった」と言った+。
55 なおまた,そこでは大勢の女たちがやや離れた所で見ていたが+,それはイエスに仕えるためガリラヤから付いて来た者たちであった+。56 その中にはマリア・マグダレネ,またヤコブとヨセ*の母マリア,およびゼベダイの子らの母がいた+。
57 さて,午後遅くなってから,ヨセフという名で,自らもイエスの弟子となっていたアリマタヤのある富んだ人がやって来た+。58 この人はピラトのもとに行って,イエスの体を頂きたいと願い出た+。そこでピラトはそれを渡すように命令した+。59 それでヨセフは体を受け取り,それを清い上等の亜麻布に包み+,60 自分の新しい記念の墓の中に横たえた+。それは彼が岩塊にくりぬいたものであった。そして,その記念の墓の戸口のところに大きな石を転がしてから去って行った+。61 しかし,マリア・マグダレネともう一方のマリアはそこにとどまって,墓の前に座っていた+。
62 次の日,それは準備[の日]の翌日であったが+,祭司長とパリサイ人たちがピラトの前に集まって,63 こう言った。「閣下,わたしどもは,あのかたり者が,まだ生きていた時分に,『三日後に+わたしはよみがえらされる』と言ったのを思い出しました。64 それで,三日目まで墓の守りを固めるように命令してください。弟子たちがやって来て彼を盗み出し+,『彼は死人の中からよみがえらされたのだ!』などと民に言いふらすようなことのないためです。この最後のかたりは,最初のものより悪い結果になってしまうでしょう」。65 ピラトは言った,「あなた方には警備隊がある+。行って,あなた方の知る限りの方法で守り固めるがよい」。66 それで彼らは出かけて行き,石に封印をし+,また警備隊を置いて墓の守りを固めた。
28 安息日ののち*,週の最初の日が明るくなりかけたころ,マリア・マグダレネともう一方のマリアが墓を見に来た+。
2 すると,見よ,大きな地震が起きた後であった。エホバ*のみ使いが天から下り,近づいて石を転がしのけ,その上に座っていたのである+。3 その外見は稲妻のようであり+,その衣服は雪のように白かった+。4 そして,見張りの者たちは,彼に対する恐れのためにおののいて,死人のようになっていた。
5 しかしみ使い+は答えて女たちに言った,「あなた方は恐れてはなりません。あなた方が杭につけられた*イエスを捜していることを,わたしは知っているのです+。6 彼はここにはいません。彼が言ったとおり,よみがえらされたのです+。さあ,彼の横たわっていた場所を見なさい。7 それから,急いで行って,彼が死人の中からよみがえらされたこと+を,その弟子たちに告げなさい。そして,見よ,彼はあなた方に先立ってガリラヤに行きます+。あなた方はそこで彼を見るでしょう。見よ,わたしはあなた方に告げました+」。
8 それで,彼女たちは急いで記念の墓を去り,恐れと大きな喜びとを抱きつつ,弟子たちに報告するために走った+。9 すると,見よ,イエスが彼女たちに出会って,「こんにちは!」と言われた。彼女たちは近づいてその足を抱き,彼に敬意をささげた。10 その時,イエスはこう言われた。「恐れることはありません! 行って,わたしの兄弟たち+に報告し,彼らがガリラヤに行くようにしなさい。彼らはそこでわたしを見るでしょう」。
11 彼女たちがその道にある間に,見よ,警備隊+のある者たちが市内に行き,起きたことすべてを祭司長たちに報告した。12 それでこれらの者は,年長者たちと集まって相談したのち,十分な数の銀をその兵士たちに与えて+,13 こう言った。「『夜中にその弟子たち+が来て,自分たちが眠っている間に彼を盗んでいった』と言え。14 そして,もしこれが総督の耳に入るなら,我々が[彼に]説いて,あなた方には心配がないようにする」。15 そこで彼らはその銀を受け取り,諭されたとおりにした。それで,この話が今日この日に至るまでユダヤ人の間に広まっているのである。
16 しかしながら,十一人の弟子はガリラヤに赴き+,イエスが彼らのために取り決めた山に行った。17 そして,[イエス]を見ると,彼らは敬意をささげた。しかし,ある者たちは疑った+。18 すると,イエスは近づいて来て,彼らにこう話された。「わたしは天と地におけるすべての権威*+を与えられています。19 それゆえ,行って,すべての国の人々+を弟子とし*+,父+と子+と聖霊+との名において彼らにバプテスマを施し*+,20 わたしがあなた方に命令した事柄すべて+を守り行なうように+教えなさい+。そして,見よ,わたしは事物の体制*の終結*の時まで+いつの日もあなた方と共にいるのです+」。
「マタイ」。シナ写,バチ写(ギ語),マッタイオン; ベザ写(ギ語),マトタイオン;「ヤハの賜物」という意味のヘブライ語の固有名マッティトヤーから派生。
または,「系譜; 起源」。ギ語,ゲネセオース,「来歴<ジェネシス>」; ラ語,ゲネラーティオーニス,「発生; 世代」; エ17,18(ヘ語),トーレドート,「系図」。創 2:4,「歴史である」,および創 5:1,「歴史」の脚注参照。
字義,「を生み」。ギ語,エゲンネーセン; ラ語,ゲヌイト,「をもうけ」。
または,「ウリヤに属していた者(女)によって」。
WHはアハジヤ,エホアシュ,アマジヤを省いている。しかし代一 3:11,12参照。
ギ語,バビュローノス; エ17,22(ヘ語),バーヴェル。王二 17:24の脚注参照。
「離婚しようと」。または,「彼女を解放しようと」。字義,「彼女を解き放そうと」。
「エホバの」。エ3,4,7-14,16-18,22-24(ヘ語),יהוה(エホーワー); ギ語,Κυρίου(キュリウー),「主の」,定冠詞は付いていない; J・N・ダービーの「聖書」[1920年](ドイツ語の「エルバーフェルダー聖書」[1891年]と同じもの)はマタ 1:20の脚注で,「冠詞の付いていない『主』で,他の多くの場合のように,『エホバ』を表わす」と述べている。これは,この翻訳のクリスチャン・ギリシャ語聖書本文の中に神のみ名「エホバ」が出て来る237箇所のうちの最初の例。ほかにも,本文ではなく,脚注の中に72回出て来る。付録1ニ参照。
「イエス」。ギ語,Ἰησοῦν(イエースーン); エ1-14,16-18,22(ヘ語),ישוע(エーシューア,「エシュア」。「エホバは救い」の意)。
付録1ニ参照。
「処女」。ギ語,ヘー パルテノス; エ22(ヘ語),ハーアルマー。
ギ語,エンマヌーエール; エ17,18,22(ヘ語),インマーヌーエール。
付録1ニ参照。
字義,「彼女を知ってはいなかった」。
「占星術者たち」。または,「マギ」。ギ語,マゴイ。
または,「わたしたちは東方からその方の星を見た」。
「キリスト」。ギ語,ὁ χριστός(ホ クリストス); エ1-14,16-18,22(ヘ語),המשיח(ハンマーシーアハ,「メシア; 油そそがれた者」)。
「パンの家」の意。ギ語,ベートレエム; エ17,18,22(ヘ語),ベート レヘム。
または,「指導者たち」。ギ語,ヘーゲモシン。
または,「指導者」。ギ語,ヘーグーメノス。
または,「東方から見た」。
付録1ニ参照。
付録1ニ参照。
「占星術者たち」。または,「マギ」。
付録1ニ参照。
または,「命」。ギ語,プシュケーン; エ17,18,22(ヘ語),ネフェシュ。付録4イ参照。
または,「“新芽の町”」。ギ語,ナザレト; エ22(ヘ語),ナーツェレト。
「ナザレ人」。エ17,18,22(ヘ語),ノツリー。ギ語,ナゾーライオス; 多分,「新芽」という意味のヘブライ語ネーツェルに由来し,比喩的に「子孫」を意味しているのであろう。イザ 11:1,およびその節の「新芽」の脚注参照。
または,「浸礼を施す人; 浸す人」。ギ語,ホ バプティステース; エ17,22(ヘ語),ハンマトビール。
「ヨハネ」。ギ語,イオーアネース; エ1-14,16-18,22(ヘ語),ヨーハーナーン,「ヨハナン」(「エホバは恵みを示してくださった; エホバは慈しみに富んでおられた」の意)。
または,「布告しに」。ギ語,ケーリュッソーン; ラ語,プラエディカーンス。
「天の王国」。ギ語,バシレイア トーン ウーラノーン; ラ語,レーグヌム カエロールム; エ22(ヘ語),マルクート シャーマイム。
付録1ニ参照。
または,「革のベルト」。
「二重の平和の所有[または,土台]」の意。ギ語,イエロソリュマ; エ22(ヘ語),エルーシャーライム。
字義,「思いの変化」。ギ語,メタノイアス。
「バプテスマを施します」。または,「浸礼を施します; 浸します」。ギ語,バプティゾー。
「霊」。または,「活動する力」。ギ語,プネウマティ; ラ語,スピーリトゥー; エ17,18,22(ヘ語),ベルーアハ,「活動する力……で」。創 1:2,「力」の脚注参照。
付録1ニ参照。
付録1ニ参照。
「世」。ギ語,κόσμου(コスムー); ラ語,ムンディー。
付録1ニ参照。
「あなたは……神聖な奉仕をささげなければならない」。ギ語,ラトレウセイス; エ17,18,22(ヘ語)タアヴォード,「あなたは仕え(崇拝し)なければならない」。出 3:12の脚注参照。
「良いたより」。または,「福音; 良いおとずれ」。ギ語,エウアンゲリオン; ラ語,エーウァンゲリウム。
または,「十都市[連盟]」。
「自分の霊的な必要を自覚している人たち」。または,「霊を乞い求める人たち」。
「幸い」。ギ語,マカリオイ; ラ語,ベアーティー,“beatitudes”(「至福」)という英語のもととなる語。
字義,「平和を作る人たち」。ギ語,エイレーノポイオイ。
「言うまじき侮べつの言葉」。ギ語,ラカ; エ17,レーカー,侮べつを表わすアラム語。
または,「サンヘドリン」。
「ゲヘナ」。ギ語,γέενναν(ゲエンナン); エ1-14,16-18(ヘ語),גיהנם(ゲーヒンノーム,「ヒンノムの谷」)。エルサレムの外のごみ焼き場。付録4ハ参照。
「価のごくわずかな最後の硬貨」。字義,「最後のクワドランス」; 1デナリの64分の1。付録8イ参照。
「淫行」。ギ語,ポルネイアス; ラ語,フォルニカーティオーニス; エ17,18,22(ヘ語),ゼヌート。付録5イ。
または,「解き放された」。
「姦淫を犯す」。または,「結婚関係における性的不忠実を犯す」。ギ語,モイカータイ; ラ語,アドゥルテラト; エ22(ヘ語),ノーエーフ。エゼ 16:32の脚注参照。
付録1ニ参照。
または,「邪悪な事柄から」。
または,「邪悪な事柄に抵抗しては」。
または,「完ぺき」。
「同じことを何度も繰り返し言っては」。または,「べらべらと言葉を出しては; むだな繰り返しを述べては」。
または,「神聖なものとみなされますように; 聖なるものとして扱われますように」。ギ語,ハギアステートー; ラ語,サンクティフィケートゥル; エ17,18(ヘ語),イトカッダシュ,「神聖なものとされますように」。出 29:43,「神聖にされるであろう」の脚注参照。
字義,「去らせて」。
または,「邪悪な事柄から」。
または,「救出して」。
または,「誠実であれば; 一筋であれば;(の)焦点が合っていれば; 寛大であれば」。
または,「不正で; ねたみ深く」。
「富」。または,「マモン」。ギ語,マモーナーイ; エ17,18,22(ヘ語),ハンマーモーン。
または,「命」。字義,「魂」。ギ語,プシュケーイ,単数形。付録4イ参照。
「求めなさい」。または,「求めていなさい」。ギ語,ゼーテイテ; 動詞のこの形は継続的な行為を示唆している。
または,「絶滅」。ギ語,アポーレイアン。
「強力な業」。または,「奇跡」。
または,「百人隊長」,すなわち,100人の兵士を指揮する人。ラ語,ケントゥリオ。
または,「歯がみしたり; 歯を食いしばったり」。
すなわち,安息日が終わってから。マル 1:21-32; ルカ 4:31-40参照。
または,「墓の中から出て来て」。
「わたしたちはあなたと何のかかわりがあるのですか」。慣用句; 異議を示す反発的な質問。付録7ロ参照。
「花婿の友人たち」。字義,「婚礼の部屋の子ら」,すなわち,婚礼の客たち。
「房べり」。または,「縁飾り; 飾り房」。
または,「救われる」。
または,「あなたを救いました」。
または,「布告し」。ギ語,ケーリュッソーン; ラ語,プラエディカーンス。
または,「悩まされ; 苦しめられ」。
「ペテロ」は次の5通りの名で呼ばれている。ここでは「ペテロと呼ばれるシモン」; 16:16では「シモン・ペテロ」; 使徒 15:14では「シメオン」; ヨハ 1:42では「ケファ」; そして最も多いのは,マタ 14:28などに出て来る「ペテロ」。
「レビ」としても知られている。ルカ 5:27参照。
または,「余分の下着一枚も」。
または,「小サンヘドリンに」。エ17,22(ヘ語),レサンヘドリーヨート。
「証し」。ギ語,マルテュリオン; ラ語,テスティモーニウム。
「ベエルゼブブ」,ウル訳,シリ訳ペ,シ; シナ写,バチ写(ギ語),ベエゼブール; エフ写,ワシ写(ギ語),ベエルゼブール。12:24の脚注参照。
または,「公に; 公然と」。
字義,「また,耳の中に」。
または,「命」。付録4イ参照。
付録4ハ参照。
「わずかな価の硬貨ひとつで」。字義,「一アサリオンで」; 1デナリの16分の1。付録8イ参照。
「苦しみの杭」。ギ語,σταυρόν(スタウロン); ラ語,クルケム(クルクスの変化形)。付録5ハ参照。
または,「命」。付録4イ参照。
「使者」。または,「み使い」。
または,「浸礼を施す人; 浸す人」。ギ語,バプティストゥー。
または,「あなたは天に高められないでしょうか」。
「ハデス」。ギ語,ᾅδου(ハーイドゥー); エ7-14,16-18,22(ヘ語),שאול(シェオール)。付録4ロ参照。
「あなた」,単数形。「あなた」という語で都市を指している。
または,「わたしと共にわたしのくびきの下に就いて」。
または,「わたしの弟子となりなさい」。裁 7:17と比較。
または,「命」。付録4イ参照。
または,「供えのパン」。字義,「供え物のパン」。ギ語,アルトゥース テース プロテセオース; エ22(ヘ語),レヘム ハッパーニーム。出 25:30の脚注参照。
字義,「ということが何であるかを」。ギ語,ティ エスティン。26:26の脚注参照。
または,「勝利に向かって」。
「ベエルゼブブ」,ウル訳,シリ訳ク,ペ,シ; エフ写,ベザ写,ワシ写,シリ訳ヘ,アル訳,「ベエルゼブール」; シナ写,バチ写,「ベエゼブール」;「住まいの主」という意味であろう。あるいは,聖書に出て来ないヘブライ語ゼヴェル(糞)にかけた言葉のしゃれであれば,「糞の主」。王二 1:2,「バアル・ゼブブに」の脚注参照。
字義,「聖霊に向かって上から語る」。
または,「事物の秩序」。ギ語,アイオーニ; ラ語,サエクロー; エ1-14,16-18(ヘ語),ヴァーオーラーム,「事物の秩序において」。
「ヨナの宣べ伝えること」。ギ語,ト ケーリュグマ イオーナー; ラ語,プラエディカーティオーネ イオーナエ。
「果て」。または,「末端」。ギ語,ペラトーン。使徒 1:8,「遠い所」の脚注と比較。
シナ写*,バチ写,シリ訳ク,シは47節を省いている。
または,「たとえ話で」。ギ語,エン パラボライス; ラ語,イン パラボリース; エ17,18,22(ヘ語),ビムシャーリーム。
「受け入れる力がなくなり」。字義,「厚くされ(肥え太らされ)」。
または,「彼らは耳でいやいや聞き」。
または,「事物の秩序」。ギ語,アイオーノス; ラ語,サエクリー; エ17,18,22(ヘ語),ハーオーラーム,「事物の秩序」。
「富の欺きの力」。または,「富むことの欺きの楽しみ」。
または,「それ」,すなわち,「み言葉」。
「雑草」。または,「のぎのある毒麦」。36節の脚注参照。
「大升」。または,「セア升」。ギ語,サタ。セア升1杯は7.33㍑に相当した。
「雑草」。または,「のぎのある毒麦」。ギ語,ジザニオーン; エ17,22(ヘ語),ズーネー。イネ科植物の一種で,その種子に毒性があるが,それはその中に成育する菌類によると信じられている。
または,「事物の秩序」。ギ語,アイオーノス; ラ語,サエクリー; エ1-14,16-18,22(ヘ語),ハーオーラーム,「事物の秩序」。
「終結」。または,「共通の終わり; 合同の終わり; 一緒に終わること」。ギ語,συντέλεια(シュンテレイア); ラ語,コンスンマーティオ。ダニ 12:4,「終わり」の脚注参照。
39節の脚注参照。
「公に教え諭す者」。または,「学識のある人」。
または,「自分の都市」。
字義,「四分領太守」,皇帝の代理をする地域君主。
「強力な業」。または,「奇跡」。
字義,「何スタディオンも」。1スタディオンは古代ローマ・マイルの8分の1で,185㍍に相当した。
ギリシャ人とローマ人の用いた夜間の区分法による最後の見張り時(午前3時ごろから日の出まで)。出 14:24および裁 7:19によると,ユダヤ人は三つの区分もしくは見張り時に分けていたが,後には,四つの見張り時に分けるローマ方式を採用した。マル 13:35の脚注参照。
または,「必ず死なせなさい」。
または,「溝」。
または,「たとえ話」。
または,「汚水溜め; 水洗式便所; 屋外便所」。
または,「カナン人」。
エフ写,ベザ写,ワシ写,古ラ訳,ウル訳による; シナ写,バチ写,シリ訳ク,シ,アル訳は二重角かっこ内の語を省いている。
「姦淫の」。ギ語,モイカリス; ラ語,アドゥルテラ。
字義,「バル・ヨナ」。「ヨナの子」の意。ギ語,バリオーナー; エ17,18,22(ヘ語),バル・ヨーナー。バルは「息子」を意味するアラム語からの借用語。エズ 5:2の脚注と比較。
「あなたはペテロであり,この岩塊の上に」。元の言語で,「一つの岩」という意味の「ペテロ」に相当する語は男性形(ギ語,ペトロス,男性形; ラ語,ペトルス,男性形; シ語,キファー,男性人称代名詞「フー」が先行している); 一方,「岩塊」に相当する語は女性形(ギ語,ペトラーイ,女性形; ラ語,ペトラム,女性形; シ語,キファー,女性形の指示形容詞ハーデーが先行している)。
または,「わたしのエクレシア(集会)」。ギ語,ムー テーン エックレーシアン; エ17,18,22(ヘ語),ケヒッラーティー。
「ハデス」。ギ語,ハーイドゥー; エ7,8,10-14,16-18,22(ヘ語),シェオール。付録4ロ参照。
または,「すでに縛られたもの」,受動態完了分詞。
または,「すでに解かれたもの」,受動態完了分詞。
または,「振り向いてペテロに」。
または,「あなたは,神の思いではなく,人間の思いを抱いている」。
付録5ハ参照。
または,「命」。付録4イ参照。
または,「彼を」。
シナ写*,バチ写,シリ訳ク,シは21節を省いている; エフ写,ベザ写,ワシ写,ウル訳,シリ訳ペ,アル訳,「しかし,この種のものは祈りと断食によらなければ出ません」。
字義,「二重のドラクマ」。ギ語,タ ディドラクマ。付録8イ参照。
「スタテル硬貨」,4ドラクマ貨幣と考えられている。付録8イ参照。
付録4ハ参照。
または,「わたしの父に常に近づくことができる」。
シナ写,バチ写,シリ訳シは省いている; ベザ写,ワシ写,ウル訳,シリ訳ク,ペ,アル訳,「人の子は失われたものを救うために来たからです」。
「その過ちを明らかにしなさい」。字義,「彼を戒めなさい」。
または,「言われたすべてのこと」。
字義,「立つため」。
字義,「聞くことを拒むなら」。
または,「エクレシア(集会)に」。ギ語,テーイ エックレーシアーイ; エ17(ヘ語),エル・ハッカーハール。
または,「すでに縛られたもの」,受動態完了分詞。
または,「すでに解かれたもの」,受動態完了分詞。
「七十七回」,創 4:24と一致させて。字義,「七の七十倍」。
銀1タラントは6,000デナリに相当した。付録8イ参照。
または,「放免し,彼に負債を許して」。
付録8イ参照。
または,「あの負債をすべて許してあげた」。
または,「責め苦に遭わせる者たちに」。ギ語,トイス バサニスタイス; ラ語,トルトーリブス。
字義,「解き放す」。レビ 22:13の脚注と比較。
「淫行」。ギ語,ポルネイアーイ; ラ語,フォルニカーティオーネム; エ17,18,22(ヘ語),ゼヌート。付録5イ参照。
18節の脚注参照。
または,「再び生まれる(さい); 再誕生」。ギ語,パリンゲネシアーイ; ラ語,レゲネラーティオーネ; シ語,ベアールマー ハドター,「新しい時代に」。テト 3:5の脚注と比較。
ローマの銀貨で,重さは3.85㌘であった。
または,「あなたの目はそねむのか」。
または,「杭(柱)に留める」。付録5ハ参照。
または,「僕」。ギ語,ディアコノス; ラ語,ミニステル(「より小さい」という意味のミヌスに由来); エ22(ヘ語),メシャーレート。
または,「奉仕し」。ギ語,ディアコネーサイ; ラ語,ミニストラーレ; エ17,18,22(ヘ語),レシャーレート。
または,「命」。ギ語,プシュケーン; ラ語,アニマム; エ17,18,22(ヘ語),ナフショー,「自分の命」。
「贖い」。ギ語,リュトロン; ラ語,レデンプティオーネム; エ17,18,22(ヘ語),コーフェル。テモ一 2:6,「贖い」の脚注と比較。
「主よ」,パピ写45,バチ写,エフ写,ワシ写,ウル訳; シナ写,「イエスよ」; ベザ写,シリ訳クは省いている。
字義,「ホサナ」。ギ語,ホーサンナ; ウル訳ク(ラ語),ホーサンナ; エ1-14,16-18,22(ヘ語),ホーシャ・ナー,「救いたまえ!」
付録1ニ参照。
「上なる高き所にて」。または,「いと高き所にて」。
または,「別のたとえ話」。
付録1ニ参照。
または,「行き,あなた方の見つける者をみな」。
または,「奉仕者(従者)たちに」。ギ語,トイス ディアコノイス; ラ語,ミニストリース; エ22(ヘ語),ラムシャーレティーム。
または,「歯がみしたり; 歯を食いしばったり」。
または,「ヘロデ党の者たち」。
または,「皇帝に」。ギ語,カイサリ; ラ語,カエサリー; エ22(ヘ語),ラッケーサール。
20:2の脚注参照。
「像」。ギ語,エイコーン; ラ語,イマーゴ; エ22(ヘ語),ハッデムート,「像」。
字義,「あなた方は……与え返しなさい」。ギ語,アポドテ; ラ語,レッディテ; エ17,22(ヘ語),テヌー。
「復活」。ギ語,アナスタシン,「起き上がらせること; 立ち上がること」(「上へ」を意味するアナと「立つこと」を意味するスタシスから); ラ語,レスッレクティオーネム; エ17(ヘ語),テヒーヤト ハンメーティーム,「死者の回復」。
「この方は……神」,バチ写; エ18,「エホバは……神」。
付録1ニ参照。
字義,「霊において」。ギ語,エン プネウマティ; ラ語,イン スピーリトゥー; エ17,18(ヘ語),バールーアハ。
付録1ニ参照。
または,「彼らは自分の経札入れの幅を広げ」。
または,「縁飾り; 飾り房」。
「市の立つ広場」。または,「集会の場所」。
または,「わたしの大いなる(優れた)方」。ギ語,ラッベイ; ラ語,ラッビ; エ17(ヘ語),ラッビー ラッビー。
「指導者」。ギ語,カテーゲーテース; ラ語,マギステル。
または,「僕」。ギ語,ディアコノス; ラ語,ミニステル; エ17,18(ヘ語),リムシャーレート,「従者として」。
シナ写,バチ写,ベザ写,ウル訳,シリ訳シ,アル訳は省いている; ウル訳ク,シリ訳ク,「偽善者なる書士とパリサイ人たち,あなた方は災いです! あなた方はやもめたちの家を食い荒らし,見せかけのために長い祈りをささげるからです。このためにあなた方はより多くの裁きを受けることになるでしょう」。
または,「転向者」。ギ語,プロセーリュトン; ラ語,プロセーリュトゥム。
付録4ハ参照。
「に行くべき者」。字義,「の子」。
または,「神の住まい(住居)」。ギ語,ナオーイ; ラ語,テンプルム; エ17,18,22(ヘ語),バヘーカール,「宮殿にかけて」。サム一 1:9,「神殿」の脚注と比較。
または,「信仰」。
または,「あなた方の父祖たちに十分にかなうようにしなさい」。バチ写*,「あなた方は父祖たちの升を満たすことでしょう」。
付録4ハ参照。
「公に教え諭す者たち」。または,「学識のある人々; 書士たち」。
または,「杭(柱)に留め」。付録5ハ参照。
付録1ニ参照。
ギ語,パルーシアス。付録5ロ参照。
または,「事物の秩序の」。ギ語,アイオーノス; ラ語,サエクリー; エ1-14,16-18,22(ヘ語),ハーオーラーム。
「終結」。または,「共通の終わり; 合同の終わり; 一緒に終わること」。ギ語,シュンテレイアス; ラ語,コンスンマーティオーニス。
「キリスト」。ギ語,ホ クリストス; ラ語,クリストゥス; エ17,18,22(ヘ語),ハンマーシーアハ。
または,「完了した終わり; 完結した終わり」。
または,「敵対するようかき立てられ; 敵対して奮い起こされ」。
14節,「終わり」の脚注参照。
「証し」。ギ語,マルテュリオン; ラ語,テスティモーニウム。
字義,「住まれている(ところ)すべてで」。ギ語,エン ホレーイ テーイ オイクーメネーイ,女性単数形で,地を指している; ラ語,イン ウーニウェルソー オルベ,「全体的な円」,すなわち,地の。イザ 13:11,「地」の脚注; ナホ 1:5の脚注参照。
「宣べ伝えられる」。または,「布告される」。ギ語,ケーリュクテーセタイ; ラ語,プラエディカービトゥル。ダニ 5:29,「布告した」の脚注と比較。
または,「完了した終わり; 完結した終わり; 最後」。ギ語,テロス。
「聖なる場所に」。ギ語,エン トポーイ ハギオーイ; ラ語,イン ロコー サンクトー; エ17,18(ヘ語),ビムコーム コーデシュ。
字義,「読んでいる者は留意していなさい」。
使徒 1:12の脚注参照。
「大患難」。ギ語,トリプシス メガレー; ラ語,トリーブラーティオ マグナ; エ17,18(ヘ語),ツァーラー ゲドーラー。
付録5ロ参照。
または,「大いなる力と栄光を伴い」。
「来る」。ギ語,エルコメノン。
「世代」。ギ語,ゲネア; ペテ一 2:9のゲノス(「種族」)とは異なる。
「子も」,シナ写*,バチ写,ベザ写,ウル訳諸写,アル訳,エ18,21,22。
付録5ロ参照。
または,「大洪水; 大変動」。ギ語,カタクリュスムー; ラ語,ディールウィウム。
付録5ロ参照。
字義,「来ていて」。ギ語,エルトーン。
「最も厳しく彼を罰し」。または,「彼を二つに切り」。
または,「彼らは」。この箇所の字義は,「その[定冠詞]泣き悲しみと歯ぎしり」。
または,「歯がみしたり; 歯を食いしばったり」。
ギリシャの1タラントは20.4㌔であった。付録8イ参照。
15節の脚注参照。
または,「あなたが厳しい方」。
「無精な」。または,「気弱な; ためらいがちな」。
15節の脚注参照。
または,「歯がみしたり; 歯を食いしばったり」。
字義,「小さな子やぎ」。
「基が置かれて」。字義,「[種を]下に投げること」。ギ語,カタボレース。
または,「十分に着ていないと」。ギ語,ギュムノス,「薄着の; 下着だけの」; 必ずしも全くの裸を意味してはいない。
「切断」。字義,「切り取ること; 刈り込み」。ギ語,コラシン。ヨハ一 4:18の脚注参照。
または,「杭(柱)に留められる」。付録5ハ参照。
「世界」。ギ語,コスモーイ; ラ語,ムンドー。
「宣べ伝えられる」。または,「布告される」。ギ語,ケーリュクテーイ; ラ語,プラエディーカトゥム フエリト。ダニ 5:29,「布告した」の脚注と比較。
または,「前の日」。ギリシャ語πρῶτος(プロートス)に次の語が属格で続いた場合のこの訳し方は,ヨハ 1:15,30の同様の構文におけるこの語の取り方およびその訳し方,すなわち,「わたしより先に[プロートス]存在された」と一致する。LS,1535ページ,第1欄によると,「πρῶτοςは時に,πρότερος[プロテロス]が予期されるようなところにも用いられている」。
「それの新しいもの」,すなわち,ぶどうの木の新しい産物。
または,「賛歌(詩)を歌ってから」。ギ語,ヒュムネーサンテス; エ18(ヘ語),ワイイクレウー エト・ハハッレール。ハレル詩編の最後の4編(115-118)であろう。詩 114:1の脚注参照。
または,「終わり」。ギ語,テロス。
「サンヘドリン」,エ17,18,22。または,「最高法廷」。5:22参照。
「神殿」。または,「住まい(住居)」。ギ語,ナオン; ラ語,テンプルム; エ17,18,22(ヘ語),ヘーカル,「宮殿; 神殿」。
「来る」。ギ語,エルコメノン。
26:61の脚注参照。
「エレミヤ」,シナ写,アレ写,バチ写; シリ訳ヘ(欄外),「ザカリヤ」; シリ訳ペ,シは省いている。
「彼ら」,アレ写,バチ写; シナ写,シリ訳ヘ,ペ,シ,「わたし」。
付録1ニ参照。
「(彼らは)それを与えた」,アレ写c,バチ写*,エフ写,古ラ訳,ウル訳; シナ写,バチ写c,ワシ写,シリ訳ヘ,ペ,シ,「わたしはそれを与えた」。
付録7ロ参照。
または,「杭(柱)に留めろ」。付録5ハ参照。
または,「この血について潔白である」。
「ゴルゴタ」。ギ語およびラ語,ゴルゴタ; エ17,18(ヘ語),ゴルゴルター。
「“どくろの場所”」。ギ語,クラニウー トポス; ラ語,カルウァーリアエ ロクス; エ17(ヘ語),メコーム グルゴーレト。
「第六時」,すなわち,昼の12時ごろ。
「第九時」,すなわち,午後3時ごろ。
「エリ,エリ,ラマ サバクタニ」。詩 22:1,「お捨てになったのですか」の脚注と比較。
「別の者は……出た」,シナ写,バチ写,エフ写; アレ写,ベザ写,ワシ写,古ラ訳,ウル訳,シリ訳ヘ,ペ,シ,アル訳は省いている。
または,「それから息が絶えた」。字義,「彼は霊を去らせた」。ギ語,アフェーケン ト プネウマ。
または,「彼らは」。「体」を指しているのではない。
字義,「百人隊長」,すなわち,100人の兵士を指揮する人。
「ヨセ」,アレ写,バチ写,エフ写,ベザ写c,シリ訳ヘ,ペ; シナ写,ベザ写*,ワシ写,ウル訳,シリ訳シ,「ヨセフ」。
「ののち」,エ17,18,21,22。「安息日ののち」については付録7ハ参照。
付録1ニ参照。
または,「杭(柱)に留められた」。付録5ハ参照。
「権威」。ギ語,エクスーシア; ラ語,ポテスタス; エ18(ヘ語),ミムシャール。
「弟子とし」。または,「学ぶ者とし」。ギ語,マテーテウサテ。
または,「名へのバプテスマを彼らに施し」。
13:39,「体制」の脚注参照。
24:3,「終結」の脚注参照。