世界展望
英国の豊富な石油鉱床
◆ 英国が北海油田から得ている石油の生産高は,1日200万バレル近くに上っているが,それは同国の消費量にほぼ等しい。5年もすればその量は日産約300万バレルに増加する見込みがあり,英国は二,三か月後には石油を自国だけでまかなえるものと期待している。ところがその石油の収入も問題の種になっている。ニューズウィーク誌はこう説明している。「石油の豊富な鉱床のおかげで英国のポンドが非常に強くなったため,以前から弱かった同国の輸出産業は,世界市場で競争することがますます困難になっているというのが厳しい現実である」。あらゆる英国の産業を近代化して競争力を増す重要な努力に石油の歳入を振りむけなければ,「北海の大きな可能性も,幻想と化してしまうだろう」と経済学者たちは述べている。
38時間で造った家
◆ 米国オクラホマ州タルサ市のワールド紙は,エホバの証人のある王国会館が週末の38時間足らずで建てられたと報じている。同紙は次のように述べている。「太陽が眠そうな顔を東の空に現わすと,幾十人もの人々が,新しいコンクリート板で仕切られたほこりにまみれた狭い所に集まって来た。その数はやがて幾百人にもふくれあがった。彼らはオクラホマ,アーカンソー,テキサス,カンザス,ミズーリ,コロラド,ルイジアナ,フロリダ,ニューヨークから小型トラックや移動住宅バスや車に乗ってやって来た。エホバの証人たちはみな同一の目標を持っていた。つまり一週の週末で,36人からなる[パーセル]の会衆に地元の[王国会館]を建てることである。そして彼らはそれを実行した。最後のレンガがはめ込まれたのは,男女子供が袖をまくり上げてからちょうど37時間20分後であった」。
同紙は「その愛の労のためには10セントも支払われなかった」と述べている。ある通行人はこう語った。「これは私が今までに見たものの中で一番信じがたいものだ。昨日は何もなかったのに,今日はある。それは私が今までに見た最も美しい神への献身だ」。
ケニアは公の場における喫煙を禁止
◆ ケニアの厚生大臣であるアーサー・マググ氏は,映画館,公営の交通機関,会議場などに類する公共の場所でたばこを吸うことを禁ずる法令を出した。この措置によって,たばこを吸わない一般の人々が有害なたばこの煙から保護されることを願っていると同氏は述べている。そしてたばこ製造業者には,その宣伝や包み紙に,「たばこは健康に有害です」という警告を自主的に明記するよう要請している。
原爆に対するトルーマンの言葉
◆ 現在の歴史家たちが述べるところによると,元大統領のハリー・S・トルーマンは,今まで考えられていた以上に原爆に対する深い憂慮を表明していた。最近発見された個人的な記録の中に,1945年7月25日に記された次のような記録がある。「我々は世界の歴史上最も恐るべき爆弾を発明した。それは預言されている火の滅びとなるかもしれない」。同大統領は,「それはこれまでに発明されたものの中で最も恐るべきものではないか」と強い調子で語っている。それから幾日かたった8月6日には,その原爆が広島に投下され,幾万という男女子供が命を奪われた。8月9日には2番目の爆弾が長崎に投下された。しかし核兵器の恐るべき破壊力にもかかわらず,諸国家は現在その兵器を幾万と所有しており,数時間のうちに地上のほとんどの生命を抹殺することができる。
わいせつな電話
◆ ある少女は最近,人生相談の解答者に手紙を書き送り,わいせつな電話の件で与えられた助言は大して役に立たなかったと主張した。少女は打つ手はあると考えており,こう書いている。「わたしのところについ最近,1週間に17回の電話がかかってきました。(電話の番号を変えたのですが,効果はありませんでした。)それでわたしは1ドル98セント(約475円)で呼び子を買ってきました。男から次に電話がかかってきた時,こちらの準備は整っていました。男が例の話をしだすのを待ってから,わたしはできるだけ強く呼び子を吹きました。深い沈黙が訪れました。……それからはもう電話はかかってきません」。
危険を少なくする
◆ 血圧に関するある最高権威者の報告によると,愛する妻を持ち,心配事の少ない男子には心臓発作が非常に起こりにくい。オックスフォード大学における心臓学の第一人者であるピーター・スレイト教授の話によれば,最近の研究で,自分を心配症とみなし,妻からほとんど愛情を示してもらえない男子は,他の人と比べると4倍も心臓発作に襲われやすいことが判明した。ストレスは高血圧の重要な原因である,とスレイト教授は語っている。この問題をめぐる幾つかの研究について触れ,同教授は次のようにも述べている。「これらの研究が明らかにしているのは,もし生活をもっとのんびりさせることができ,くつろぐことを学べるようになれば,血圧を下げることも,心臓の疾患や発作の危険を少なくすることもできるということだ」。
燃料価格の難問
◆ ヨーロッパの燃料消費の型は,値段が高ければ自動車の使用頻度が低下するという月並みの知恵が通用しなくなっていることを示している。例えば,フランスの自動車走行距離は1973年の石油の禁輸前の時期と比べて22%も増えている。自動車1台当たりの年間走行距離数も1973年当時と比べ平均960㌔も多くなっている。1976年から1979年の間に,ガソリンと軽油の消費量はドイツ連邦共和国で16%,英国で10%増加した。その一方で,価格は急騰している。米国で消費量が幾らか減少しているのは,米国のドライバーが元々ヨーロッパのドライバーの三,四倍の燃料を消費しており,節約の機会が多いからであろう,と専門家は分析している。しかし,フランスのように節約がすでに限度に近づきつつある所では,ガソリンの値段を1リットルにつき6ないし10フラン,つまり330円ないし550円にしなければ消費量の低下を図れないことが世論調査の結果に示されている。
ペンを手にする患者
◆ カナダ保健関連法弁護士委員会の会長が書いた「カナダに在住する患者の権利の書」と題する新刊書の書評が最近,カナダ,ブリティッシュ・コロンビア州のバンクーバー・サン紙に載った。その書評はこう述べている。「手術後になって予期せぬ事態に驚かされたくなければ,同意書の内容を注意深く読み,同意できない文をすべて削除もしくは変更しないうちはその同意書に署名しないことである,と[その本の著者は]述べている」。
「患者が文面を変更したり,制限を書き加えたりするのを妨げるものは何もない」とその本には書かれている。サン紙はさらにこう続けている。「胸部の手術を受ける女性は多くの場合,『乳房切除術不可』と書く。また,エホバの証人は『輸血不可』と書き加える」。
最大の自動車生産国
◆ 1980年の上半期に日本で生産された自動車の台数は,低迷傾向にある米国の自動車生産台数を100万台上回った。その上半期に550万台の自動車が生産され,日本は世界最大の自動車生産国となった。こうした成果が上げられたのは輸出が着実に伸びたためであるとされる。
炭鉱夫の肺疾患
◆ 米国ウエストバージニア大学医療センターの3人の研究者たちは,炭鉱夫の肺疾患は主に喫煙によって引き起こされるとみている。現在,カナダ,オンタリオ州ロンドンの大学病院に勤務する,この研究報告書の主作成者W・キース・C・モーガンは1975年に炭鉱夫の呼吸器疾患の8割以上は喫煙と関係があるとみていた。最近,身体障害手当を申請した200人の鉱夫について調査したところ,その全員が喫煙者であった。これに対しては,「炭鉱夫が炭塵によって呼吸器に何の害も受けないと結論するのは誤りである」という反対論もある。しかし,モーガン博士はこう説明している。「我々は,塵肺が病気でないとか鉱夫の間にそれが認められないとか言っているのではない。しかし,肺の不調を訴える鉱夫に共通して認められる原因は炭塵ではなく喫煙であった」。この報告を掲載したアメリカ医師会ジャーナルはその論説記事の中でこう述べている。「納税者は,まずたばこ栽培者に助成金を支給し,次いでたばこを吸う炭鉱夫に補償金を払うという二重の損失を被っている」。
『間違った優先順位』
◆ 近年ある科学者は,スプレーのエアゾル推進剤が,太陽の多量の紫外線にさらされないように人間を保護している地球のオゾン層を破壊しつつあるという結論を下した。その結果,米国,カナダ,スウェーデンなどの国では,クロロフルオロカーボン(CFC)化合物のような推進剤の使用が禁止された。ところが英国のニューサイエンティスト誌は証拠を吟味してこう述べている。「よって我々の結論はこうである。つまりCFC化合物によるオゾン層の破壊の程度は無視できるほどのものであり,[紫外]線を多く浴びるようになってもたらされる生物学的な影響は,予想されたほど深刻ではないかもしれない,ということである」。この出版物は次のようにも述べている。「我々が,日光浴をする色白の人に対して ― それ以外の人は害を受けない ― スプレーが及ぼすと考えられる害をめぐって口論している一方で,多くの種は絶滅へと追いやられ,幾百万という我々の仲間の人間たちは飢え,この世界は戦争の方向へとよろめきながら進んでいる。我々の優先順位の感覚についてどこか間違っているところがあるのだろうか」。
主婦の価値
◆ アメリカのある離婚裁判で,一人の弁護士は妻の務めを詳述し,主婦の仕事に支払いをするとしたら,それは年間4万1,277㌦(約990万円)に相当すると主張した。法廷はその意見に同意し,彼女の慰謝料として年額4万㌦(約960万円)を裁定した。その主婦が行なった仕事として列挙されたものは次の通りである。食物購入者,看護婦,家庭教師,ウエイトレス,お針子,洗たく人,お抱え運転手,庭師,家庭相談員,営繕,子供の世話,掃除人,家政婦,料理人,使い走り,予算係,装飾者,宴会係,皿洗い,栄養士,秘書,メイド,ホステス。
「盗みの対象になりやすい人」
◆ 自分が盗みの格好の対象になっていることを強盗に教えている人は少なくない。どのように教えるのだろうか。歩き方によってである。これは,ニューヨークの二人の心理学者たちが,不法行為の罪で刑務所に入っている受刑者たちをよく知っていると思われる人々から得た「盗みやすさ」の程度に基づいて出した結論である。受刑者たちは人々に関するフィルムを見て,盗みの対象になりやすい人々を指摘した。目標になりやすいと考えられたのは,自分自身と葛藤しているような,あるいは周囲のことに気づかないようなおぼつかない様子で歩いている人々だった。「今日の心理学」誌はこう述べている。「ニューヨーク市警察の犯罪防止課から出された常識的な意見によると,犯罪の犠牲者となる人は標準的にいって,ぼうっとしながら,周りで起こっていることを気にもとめずに歩く人々である。ぼんやりしている状態は体の動きとなって表われ,犯罪者たちはその動きを襲撃のできる明確なサインとすることがこの研究から確信できる」。