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新世界訳聖書 ― 参照資料付き
マルコ

マルコ*による書

1 イエス・キリストについての*良いたより*の始まり: 2 預言者イザヤの中に書かれているとおりである。「(見よ,わたしはあなたの顔の前にわたしの使者*を遣わす。その者はあなたの道を備えるであろう+。)3 聴け! だれかが荒野で叫んでいる。『あなた方はエホバ*の道を備えよ。その道路をまっすぐにせよ+』」。4 バプテスマを施す人*ヨハネが荒野に現われて,罪の許しのための悔い改めの[象徴としての]バプテスマを宣べ伝えた+。5 そのため,ユダヤの全地とエルサレムの全住民が彼のもとに出て来て,自分の罪をあらわに告白しつつヨルダン川で彼からバプテスマを受けた+。6 ところで,ヨハネはらくだの毛をまとい,革の帯を腰に巻き+,いなご+と野蜜+を食べていた。7 そして彼はこう宣べ伝えるのであった。「わたしの後にわたしより強い方が来られます。わたしはかがんでその方のサンダルの締めひもをほどくにも値しません+。8 わたしはあなた方に水でバプテスマを施しましたが,その方はあなた方に聖霊でバプテスマを施すでしょう+」。

9 そのころのこと,イエスがガリラヤのナザレから来て,ヨルダン川でヨハネからバプテスマを受けられた+。10 そして,水から上がられてすぐ,天が分かれ,霊がはとのようになって自分の上に*下って来るのをご覧になった+。11 そして,天から声があった,「あなたはわたしの子,[わたしの]愛する者である。わたしはあなたを是認した+」。

12 それからすぐ,霊*が彼を駆り立てて荒野に行かせた+。13 それで彼は四十日のあいだ荒野にいて+,サタンの誘惑を受けた+。そして野獣と共におられたが,み使いたちが彼に仕えていた+。

14 さて,ヨハネが捕縛されたのち,イエスはガリラヤに行き+,神の良いたよりを宣べ伝えて+,15 こう言われた。「定めの時は満ち+,神の王国は近づきました。あなた方は悔い改めて+,良いたよりに信仰を持ちなさい」。

16 ガリラヤの海辺を歩いておられた時,シモン+とシモンの兄弟アンデレが海で[網を]打っているのをご覧になった。彼らは漁師だったのである+。17 それでイエスは彼らにこう言われた。「わたしに付いて来なさい。そうすれば,あなた方を,人をすなどる者にならせましょう+」。18 すると,彼らは直ちに網を捨てて[イエス]のあとに従った+。19 さらに少し進んで行ってから,ゼベダイの[子]ヤコブとその兄弟ヨハネを,つまり,そのふたりが舟の中で網を繕っているのをご覧になり+,20 さっそく彼らをお呼びになった。そこで彼らは,父ゼベダイを雇い人たちと共に舟に残し,[イエス]のあとに付いて行った。21 そして彼らはカペルナウムに入った+。

安息日になるとすぐ,[イエス]は会堂に入って教えはじめられた。22 すると,人々はその教え方にすっかり驚いた+。彼は権威を持つ者のように教えておられ,書士たちのようではなかったからである+。23 また,ちょうどその時,彼らの会堂には,汚れた霊に支配された人がいて,その人がどなって+ 24 こう言った。「ナザレ人イエスよ,わたしたちはあなたと何のかかわりがあるのですか*+。わたしたちを滅ぼそうとしてやって来たのですか。わたしはあなたがだれだかはっきり知っています+,神の聖なる者+です+」。25 しかしイエスはそれを叱りつけ,「黙っていなさい。そして彼から出て来なさい+!」と言われた。26 すると汚れた霊は,彼にけいれんを起こさせ,声かぎりにわめき立ててから,彼から出て来た+。27 そこで,人々はみな非常に驚き,互いに論じ合って,こう言った。「これはどういうことなのか。新しい教えだ! 彼は汚れた霊たちにさえ権威をもって命じる。すると彼らはこの人に従うのだ+」。28 こうして彼の評判は周辺のいたるところ,ガリラヤ全土にすぐに広まった+。

29 それからすぐに彼らは会堂を出て,シモンとアンデレの家に入った+。ヤコブとヨハネも一緒であった。30 ところで,シモンのしゅうとめ+は熱病にかかって伏せっており+,彼らはすぐに彼女のことを[イエス]に告げた。31 それで[イエス]は彼女のところに行き,その手を取って彼女を起こされた。すると熱は引き+,彼女は彼らに仕えるようになった+。

32 夕方になり,日が沈んでから,人々は病んでいる者+や悪霊に取りつかれた者+をみな彼のもとに連れて来るようになった。33 それで,全市がまさに戸口のところに集まった。34 そこで[イエス]はさまざまな病気を病む大勢の人を治し+,多くの悪霊を追い出したが,悪霊たちには語らせようとされなかった。彼らは[イエス]がキリストであることを知っていたからである+。

35 それから,朝早くまだ暗いうちに,[イエス]は起きて外に出,寂しい場所へ行って+,そこで祈りを始められた+。36 しかし,シモンおよび共にいた者たちがあとを追って来て 37 彼を見つけ,「みんながあなたを捜しています」と言った。38 しかし[イエス]は彼らに言われた,「どこかほかの所,近くの田舎町に行きましょう。わたしがそこでも宣べ伝える+ためです。わたしが出て来たのはそのためだからです+」。39 そして[イエス]はそのとおり進んで行かれ,ガリラヤ全土にわたり人々の会堂で宣べ伝え,悪霊たちを追い出された+。

40 また,ひとりのらい病人が彼のもとに来て,ひざまでついて懇願し,「あなたは,ただそうお望みになるだけで,私を清くすることがおできになります」と言った+。41 そこで[イエス]は哀れに思い+,手を伸ばして彼に触り,「わたしはそう望みます。清くなりなさい」と言われた+。42 すると,すぐにらい病は消え,彼は清くなったのである+。43 さらに[イエス]は厳重な命令を与えて直ちに彼を去らせ,44 「だれにも何も言わないようにしなさい。ただ行って自分を祭司に見せ+,自分の清めのために,モーセの指示したものをささげなさい+。彼らへの証しのためです+」と言われた。45 しかし去って行ってから,男はそのことを大いにふれ告げ,事の次第を広め始めた。そのため[イエス]*は,もはや表だっては都市に入ることができず,外の寂しい場所にとどまっておられた。それでも,人々が四方から絶えず彼のところにやって来るのであった+。

2 しかしながら,何日かのち,再びカペルナウムに入られ,[イエス]が家におられることが伝わった+。2 その結果,大勢の人が集まり,あまりに多かったためにもう場所がなく,戸口のあたりにさえないほどになった。それで,[イエス]は彼らにみ言葉を語りはじめられた+。3 すると,人々がまひした人を四人がかりで[イエス]のところに運んで来た+。4 しかし,群衆のためにすぐそばに連れて行くことができなかったので,[イエス]*のおられるあたりの屋根を取り除き,穴を掘って,まひした人の横たわっている寝台を降ろした+。5 それで,彼らの信仰をご覧になったイエスは+,そのまひした人にこう言われた。「子供よ,あなたの罪は許されています+」。6 ところで,そこには書士が幾人かおり,座ったまま心の中でこう論じていた+。7 「なぜこの男はこのように言うのか。[神を]冒とくしている。ただ一人,神以外のだれが罪を許せるのか+」。8 しかしイエスは,彼らが自分の中でそのように論じていることをご自分の霊によってすぐに悟り,彼らにこう言われた。「なぜあなた方は心の中でそのようなことを論じているのですか+。9 このまひした人に,『あなたの罪は許されている』と言うのと,『起き上がって,あなたの寝台を取り上げて歩きなさい』と言うのでは,どちらが易しいですか+。10 しかし,人の子+が地上で罪を許す権威を持っていることをあなた方が知るために+」― [そして]まひした人に言われた,11 「あなたに言います,起き上がって寝台を取り上げ,自分の家に帰りなさい+」。12 すると,彼はまさしく起き上がり,すぐに寝台を取り上げ,みんなの前を歩いて出て行ったのである+。そのため,彼らは皆ただあっけにとられ,「わたしたちはかつてこのようなことを見たことがない+」と言って,神の栄光をたたえた。

13 [イエス]は再び海辺に出て行かれた。すると群衆がみな次々にそのもとにやって来た。それで[イエス]は彼らに教えはじめられた。14 しかし,進んで行かれるうちに,アルパヨの[子]レビ+が収税所に座っているのを見つけ,「わたしの追随者になりなさい」と言われた。すると彼は立ち上がって,そのあとに従った+。15 後に,[イエス]はちょうど彼の家で食卓について横になっておられた。そして多くの収税人+や罪人がイエスおよびその弟子たちと共に横になっていた。そのような者が大勢いて,[イエス]のあとに従うようになっていたのである+。16 ところが,パリサイ人の書士たちは,[イエス]が罪人や収税人と食事をしているのを見て,「彼は収税人や罪人たちと一緒に食事をするのか」と彼の弟子たちに言いだした+。17 これを聞いてイエスは彼らにこう言われた。「丈夫な人に医者は必要でなく,病気の人に[必要]なのです。わたしは,義人たちではなく,罪人たちを招くために来たのです+」。

18 さて,ヨハネの弟子とパリサイ人は断食を励行していた。それで,彼らはやって来て,[イエス]にこう言った。「ヨハネの弟子とパリサイ人の弟子たちは断食を励行しているのに,あなたの弟子たちが断食を励行しないのはどうしてですか+」。19 するとイエスは彼らにこう言われた。「花婿が共にいる間,花婿の友人たち*は断食をすることができないではありませんか+。花婿が共にいるかぎり,彼らは断食をすることができないのです+。20 しかし,花婿が彼らから取り去られる日が来ます。その日になれば,彼らは断食をするでしょう+。21 縮んでいない布の継ぎ切れを古い外衣に縫いつける人はいません。もしそうすれば,その満ちた力がそれを,つまり新しいものが古いものを引っ張り,裂け目はいっそうひどくなります+。22 また,新しいぶどう酒を古い皮袋に入れる人はいません。もしそうすれば,ぶどう酒が袋を破裂させ,袋だけでなく,ぶどう酒も失われます+。やはり,人は新しいぶどう酒を新しい皮袋に入れるのです+」。

23 さて,[イエス]はたまたま安息日に穀物畑の中を通っておられたが,弟子たちは道を進みながら穀物の穂+をむしり始めた+。24 それでパリサイ人たちは,「それ,ご覧なさい,なぜ彼らは安息日にしてはいけないことをしているのか」と彼に言いだした+。25 しかし[イエス]は彼らにこう言われた。「ダビデが,つまり彼および共にいた人たちが窮乏して飢えた時に,彼が何をしたか+,あなた方はかつて読んだことがないのですか+。26 すなわち,祭司長アビヤタル+に関する記述の中で*,彼が神の家の中に入って供え物のパン*+を食べたことを。それは,祭司たちのほかはだれも食べることを許されないものですが+,彼はそれを自分と共にいた者たちにも与えたのです+」。27 それから[イエス]はさらにこう言われた。「安息日は人のために存在するようになったのであり+,人が安息日のために[存在するようになった]のではありません+。28 ゆえに,人の子は安息日の主でもあるのです+」。

3 [イエス]はもう一度会堂の中に入られた。すると,片手のすっかりなえた人がそこにいた+。2 それで人々は,安息日にその人を治すかどうかを見ようとして,じっと彼を見守っていた。彼を訴えようとしてであった+。3 すると,[イエス]はその片手のなえた人にこう言われた。「立って,中央に[来なさい]」。4 次いで彼らにこう言われた。「安息日に許されているのは,善行をすることですか,悪行をすることですか。魂*を救うことですか,殺すことですか+」。しかし彼らは黙っていた。5 それで[イエス]は憤りを抱いて彼らを見回したのち,その心の無感覚さ+を深く憂えつつ,「あなたの手を伸ばしなさい」とその人に言われた。そこで彼が伸ばすと,その手は元どおりになったのである+。6 すると,パリサイ人たちは出て行き,すぐにヘロデの党派的追随者たち*+と協議を始めた。[イエス]に敵し,これを滅ぼそうとしてであった+。

7 しかし,イエスは弟子たちと共に海に退かれた。すると,ガリラヤおよびユダヤから来た非常に大勢の人がそのあとに従った+。8 エルサレム,イドマヤ,ヨルダンの向こう,ティルスやシドンの周辺からも+非常に大勢の人が,[イエス]の行なっている多くの事について聞き,そのもとにやって来た。9 それで[イエス]は,群衆が押し迫って来ないように,小舟をご自分がいつでも使えるようにしておくことを弟子たちにお命じになった。10 多くの者[の病気]を治された結果,悲痛な疾患を持つ者が皆,彼に触れようとして押し寄せていたからである+。11 汚れた霊たち+さえ,彼を見るたびに,その前に平伏して叫び,「あなたは神の子です」と言うのであった+。12 しかし[イエス]は,ご自分のことを知らせないようにと彼らに幾度も厳しく言い渡された+。

13 それから[イエス]は山に上り,ご自分の望む者たちを呼び寄せられた+。それで彼らはみもとに行った+。14 そして[イエス]は十二人[の群れ]を作り,また彼らを「使徒」と名づけられた。これは,彼らが[イエス]のもとにとどまり,また,[イエス]が彼らを遣わして宣べ伝えさせ+,15 悪霊たちを追い出す権威を持たせるためであった+。

16 そして,[イエス]の作られた十二人[の群れ]とは,彼がペテロという異名をお与えにもなったシモン+,17 ゼベダイの[子]ヤコブとヤコブの兄弟ヨハネ+(彼はまたこれらにボアネルゲス*という異名をお与えになった。これは“雷の子ら”という意味である),18 アンデレ,フィリポ,バルトロマイ,マタイ,トマス,アルパヨの[子]ヤコブ,タダイ,カナナイ人シモン,19 それにユダ・イスカリオテであり,この者は後に[イエス]を裏切った+。

それから[イエス]はある家に入られた。20 またもや群衆が集まった。そのため彼らは食事をすることもできないほどであった+。21 しかし彼の親族+はそのことを聞き,彼をつかまえようとして出かけた。「彼は気が変になってしまった」と彼らは言うのであった+。22 また,エルサレムから下って来た書士たちは,「彼にはベエルゼブブ*がついている。だから,悪霊たちの支配者によって悪霊を追い出すのだ」と言っていた+。23 それで[イエス]は,彼らを自分のところに呼んでから,例え*をもってこう話しはじめられた。「どうしてサタンがサタンを追い出せるでしょうか。24 そうです,王国が内部で分裂するなら,その王国は立ち行かないのです+。25 そして,家が内部で分裂するなら,その家は立ち行かないでしょう+。26 また,サタンが自らに立ち向かって分裂しているなら,彼は立ち行かず,終わりを迎えてしまうのです+。27 実際,強い人の家に入り込んだとしても,まずその強い人を縛ってからでなければ,その家財を強奪+することはできません。[縛って]から,その家[の物]を強奪するのです+。28 あなた方に真実に言いますが,人の子らは,冒とく的な仕方でどんな罪また冒とくを犯したとしても,すべてのことは許されます+。29 しかし,だれでも聖霊を冒とくする者には永久に許しがなく,その者は永遠の罪を負うのです+」。30 これは,彼らが,「彼には汚れた霊がついている」と言っていたためである+。

31 さて,彼の母と兄弟たち+がやって来た。そして,外に立ったまま,彼を呼ぼうとして人をそのもとにやった+。32 だが実際には,群衆がそのまわりに座っていて,その人々が,「ご覧なさい,あなたのお母さんと兄弟たちが外であなたを尋ねています」と言った+。33 しかし[イエス]は答えて言われた,「わたしの母,またわたしの兄弟たちとはだれですか+」。34 そして,自分のまわりに輪になって座っている者たちを見回してから,こう言われた。「見なさい,わたしの母とわたしの兄弟たちです+! 35 だれでも神のご意志を行なう人,その人がわたしの兄弟,また姉妹,また母なのです+」。

4 それから[イエス]は再び海辺で教え始められた+。すると,非常に大きな群衆が近くに集まったので,[イエス]は舟に乗り,海上に座を取られたが,海辺の群衆はみな岸にいた+。2 それから[イエス]は例えをもって多くのことを教えはじめ+,ご自分の教えの中でこう言われた+。3 「聴きなさい。見よ,種まき人が[種を]まきに出かけました+。4 そして,彼がまいていると,幾らか[の種]は道路のわきに落ち,鳥が来てそれを食べてしまいました+。5 また,ほか[の種]は岩地に落ちました。もとよりそこには土があまりなく,土が深くないのですぐにもえ出ました+。6 しかし太陽が昇ると,それは焼かれ,根がないので枯れてしまいました+。7 また,ほか[の種]はいばらの間に落ち,いばらが伸びて来てそれをふさぎ,それは実を生じませんでした+。8 しかし,ほか[の種]はりっぱな土の上に落ち+,生え出て大きくなり,実を生じはじめ,三十倍,六十倍,百倍[の実]を結ぶようになりました+」。9 そして[イエス]は,「聴く耳のある人は聴きなさい+」と付け加えられた。

10 さて,[イエス]が独りになられた時,十二人と共にそのまわりにいた者たちが,こうした例えについて質問しはじめた+。11 それで[イエス]は彼らにこう言われた。「あなた方には神の王国の神聖な奥義+が与えられていますが,外の人々にはすべてのことが例えで生じます+。12 それは,彼らが,見るには見るが少しも見えず,聞くには聞くがその意味を悟らないため,そして,彼らが立ち返って許しを与えられることのないためです+」。13 さらにこう言われた。「あなた方はこの例えが分かりません。それではどうしてほかのすべての例えを理解できるでしょうか。

14 「種まき人はみ言葉をまきます+。15 それで,道路のわきにみ言葉がまかれる者とはこういう人たちです。彼らが[それを]聞くとすぐ,サタンがやって来て+彼らのうちにまかれたみ言葉を取り去るのです+。16 また同じように,岩地にまかれる者とはこういう人たちです。すなわち,み言葉を聞くとすぐ,彼らは喜んでそれを受け入れます+。17 けれども,自分に根がなく,一時は続きますが,その後み言葉のために患難や迫害が生じると,すぐにつまずいてしまいます+。18 ほかに,いばらの間にまかれる者がいます。これはみ言葉を聞いた者たちですが+,19 この事物の体制*の思い煩い+や,富の欺きの力+,またほかのいろいろなものへの欲望+が食い込んで来てみ言葉をふさぎ,それは実らなくなってしまいます+。20 最後に,りっぱな土にまかれた者とは,み言葉を聴き,好意をもってそれを迎え,三十倍,六十倍,百倍の実を結ぶ人たちのことです+」。

21 そして[イエス]は続けてこう言われた。「ともしびは量りかごの下や寝床の下に置くために持って来たりはしないではありませんか。それは燭台の上に置くために持って来るのではありませんか+。22 暴かれるためでないのに隠されているものはなく,あらわになるためでないのに注意深く秘められているものはありません+。23 だれでも聴く耳のある人は聴きなさい+」。

24 [イエス]はさらにこう言われた。「自分が聞いている事柄に注意を払いなさい+。あなた方が量り出しているその量りであなた方は自分に対して量り出されるでしょう+。そうです,あなた方はそれにさらに付け加えられるのです+。25 持っている者にはさらに与えられますが,持っていない者は持っているものまで取り去られるからです+」。

26 それから[イエス]は続けてこう言われた。「こうして,神の王国はちょうど,人が地面に種をまく場合のようです+。27 人は夜に眠り,昼は起きていますが,そうしているうちに,種は芽ばえて,丈が高くなります。どのようにしてかを人は知りません+。28 地面はおのずから,最初には葉,次いで穂,最後に穂の中に満ちた穀粒といったぐあいに,しだいに実を結んでゆきます。29 しかし,実の状態がそれを許すようになるとすぐ,人は鎌を入れます。収穫の時が来たからです」。

30 そして[イエス]は続けてこう言われた。「わたしたちは神の王国を何にたとえたらよいでしょうか。あるいは,どんな例えでそれを説明しましょうか+。31 からしの種粒のようです。地面にまかれたとき,それは地上のあらゆる種の中で一番小さなものでした+ ― 32 しかしいったんまかれると,生え出て来て,ほかのすべての野菜より大きくなり,大きな枝を出して+,天の鳥たち+がその陰に宿り場を見いだせるほどになるのです+」。

33 こうして[イエス]は,人々が聴けるかぎり,多くのこのような例えをもって+み言葉を語られるのであった。34 実際,例えを用いないでは話そうとされなかった。しかし,ご自分の弟子たちに対しては,すべてのことを彼らだけのところで説明されるのであった+。

35 そしてその日,夕方になってから,[イエス]は,「向こう岸に渡りましょう+」と彼らに言われた。36 それで,群衆を解散させたのち,彼らは,ちょうど舟におられた[イエス]をそのままお連れした。そしてほかの[幾そうかの]舟も一緒であった+。37 ところが,猛烈な風あらしが起こり,波が幾度も舟の中に打ちつけて,舟はほとんど水浸しになった+。38 しかし[イエス]はとものほうにおり,まくらをして眠っておられた。それで彼らは[イエス]を起こし,「師よ,わたしたちが死んでしまいそうなのに気にかけてくださらないのですか+」と言った。39 すると[イエス]は身を起こして,風を叱りつけ,「静まれ! 静かになれ!」と海に言われた+。すると風は和らいで大なぎになったのである+。40 それから[イエス]は彼らにこう言われた。「なぜあなた方は小心なのですか。まだ少しも信仰がないのですか」。41 しかし彼らは一方ならぬ恐れを感じ,「風や海さえ従うとは,これはいったいどういう方なのだろう」と言い合うのであった+。

5 さて,彼らは海の向こう側に着き,ゲラサ人*の地方に入った+。2 そして,[イエス]が舟から出てすぐのち,汚れた霊に支配された男が記念の墓の間から[出て来て]彼に会った+。3 この男は墓場を住みかとしていた。その時まで,全くだれも,鎖をもってしてさえ彼を縛りつけることができないでいた。4 足かせと鎖で幾度も縛られたことがあるが,鎖は引きちぎり,足かせは現に打ち壊してしまったからである。だれも彼を従わせるだけの力がなかった。5 そして彼は夜も昼も絶え間なく墓場や山の中で叫んだり,石で自分の身を切りつけたりしていたのである。6 ところが,遠くからイエスを見つけると,彼は走って来てイエスに敬意をささげた。7 そして,大声で叫んでから+,こう言った。「至高の神の子イエスよ,わたしはあなたと何のかかわりがあるのですか*+。わたしを責め苦に遭わせないこと+を神にかけて誓ってもらいます+」。8 これは[イエス]が,「その男から出て来なさい,汚れた霊よ」と命じておられたからであった+。9 それでも[イエス]は,「あなたの名は何か」と尋ねはじめられた。すると彼は,「わたしの名は軍団です+。わたしたちは大勢いるからです+」と言った。10 そして彼は,霊たちをその地方から追い出さないようにと何度も懇願するのであった+。

11 ところで,豚+の大群がそこの山で物を食べていた+。12 そこで彼らは懇願し,「わたしたちを豚の中に送り込んで,彼らの中に入れるようにしてください」と言った。13 それで[イエス]はお許しになった。そこで,汚れた霊たちは出て来て豚の中に入った。すると,その群れは突進して断がいから海に落ち,二千頭ほどいたのが,次々に海の中でおぼれ死んだ+。14 しかし,牧夫たちは逃げて行き,市内とあたりの田舎でそのことを報告した。すると人々は,どういうことが起きたのかを見ようとしてやって来た+。15 こうして彼らはイエスのところに来て,悪霊に取りつかれた[男],軍団を宿していた当の[男]が,衣服をまとい,正気になって座っているのを見た。それで彼らは恐ろしくなった。16 また,それを見ていた者たちは,悪霊に取りつかれた[男]にこのことがどのように起きたか,そして豚のことについても彼らに話した。17 それで彼らは,自分たちの地域から去ってくださいと[イエス]に懇願し始めた+。

18 さて,[イエス]が舟に乗ろうとしておられると,それまで悪霊に取りつかれていたその[男]が,ずっと一緒にいさせていただきたいと懇願しはじめた+。19 しかし[イエス]はそれを許さず,彼にこう言われた。「あなたの親族のもとに帰り+,エホバ*があなたにしてくださったすべての事+,またあなたにかけてくださった憐れみ+について知らせなさい」。20 それで彼は去って行き,イエスが彼のために行なったすべての事をデカポリス*+でふれ告げ*始めた。それで,人々はみな不思議に思うようになった+。

21 イエスが舟に乗って再び反対側の岸に渡って来られると,大群衆がそのもとに集まった。そして[イエス]は海辺におられた+。22 そこへ,会堂の主宰役員の一人で,ヤイロという名の人が来た。彼は[イエス]を見つけると,その足もとにひれ伏し+,23 何度も懇願して,こう言った。「私の小さな娘はいまわの際におります。よくなって生きられるよう+,どうかおいでになって,その上に手を置いてやってください+」。24 そこで[イエス]は彼と一緒に行った。すると,大群衆が[イエス]のあとに従い,彼に押し迫って来るほどであった+。

25 ところで,十二年のあいだ血の流出+を患っている女がいた+。26 彼女は多くの医者にかかってはいろいろな苦痛に遭わされ+,自分の資産をすべて使い果たしたのに益を受けることもなく,むしろよけいに悪くなっていた。27 イエスのことを聞いた彼女は,群衆の中でその後ろから来て,彼の外衣に触った+。28 「あの方の外衣にただ触るだけで,わたしはよくなる*+」と言いつづけていたのである。29 すると,彼女の血の元はすぐに乾き,彼女はその悲痛な病気がいやされたことを体で感じ取った+。

30 またイエスも,力+が自分から出て行ったことをご自身のうちですぐに認め,群衆の中で振り返って,「だれがわたしの外衣に触りましたか+」と言いだされた。31 ところが弟子たちは,「群衆が押し迫って来るのを見ておられますのに+,『だれが触ったか』と言われるのですか」と言いだした。32 しかし[イエス]は,そのようにした者を見ようとして周囲を見回しておられた。33 いっぽう女は,自分の身に起きた事を知り,恐れとおののきのうちにやって来て,彼の前にひれ伏し,すべてのことをありのままに話した+。34 [イエス]は彼女に言われた,「娘よ,あなたの信仰があなたをよくならせました*。平安のうちに*行きなさい+。そして,あなたの悲痛な病気から解かれて健やかに過ごしなさい+」。

35 [イエス]がまだ話しておられるうちに,会堂の主宰役員の家から何人かの者が来て,「娘さんは亡くなられました! どうして師をこれ以上煩わすのでしょうか」と言った+。36 しかしイエスは,話されている言葉をそばで聞き,会堂の主宰役員に言われた,「恐れることはありません。ただ信仰を働かせなさい+」。37 さて[イエス]は,ペテロとヤコブおよびヤコブの兄弟ヨハネのほかは,だれにも自分のあとに付いて来させなかった+。

38 こうして彼らは会堂の主宰役員の家に来た。そして[イエス]は,騒々しい騒ぎや,泣き悲しんだりしきりに泣きわめいたりしている人たちをご覧になった。39 そして,中に入ってから,その人々にこう言われた。「なぜ騒々しく騒ぎたてたり泣き悲しんだりしているのですか。幼子は死んだのではない,眠っているのです+」。40 これを聞いて人々は彼のことをあざ笑いだした。しかし,彼らをみな外に出してから,[イエス]は幼子の父と母および自分と共にいた者たちを連れて,幼子のいる所に入って行かれた+。41 そして,幼子の手を取って,「タリタ クミ」と言われた。これは,訳せば,「乙女よ,あなたに言います,起きなさい+!」という意味である。42 すると,乙女はすぐに起き上がって歩きはじめた。彼女は十二歳だったのである。たちまち彼らは,狂喜のあまり我を忘れるほどになった+。43 しかし[イエス]は,だれにもこのことを知らせないように+と繰り返し彼らに命じた。そして,彼女に何か食べ物を与えるようにと言われた。

6 それから[イエス]はそこを立って,ご自分の郷里に入られた。そして弟子たちもそのあとに従った+。2 安息日になると,[イエス]は会堂で教え始められた。すると,聴いていた人々の大半は驚き入って,こう言った。「この人はどこでこうしたことを得たのだろうか+。また,これほどの知恵がこの人に与えられ,このような強力な業が彼の手を通してなされるのは,いったいどうしてなのか。3 これはマリアの息子+,そしてヤコブ+,ヨセフ*,ユダ,シモンの兄弟+の大工ではないか+。それに彼の姉妹たちもわたしたちと一緒にここにいるではないか」。こうして人々は彼につまずくようになった+。4 しかしイエスは続けて彼らにこう言われた。「預言者は,自分の郷里+や親族の間また自分の家以外なら敬われないことはありません+」。5 それで,幾人かの病身の者の上に手を置いてその人々を治す以外には,そこで強力な業をすることがおできにならなかった。6 実際[イエス]は,人々の信仰のなさを不思議に思われた。そして,村々を巡回して教えてゆかれた+。

7 さて[イエス]は十二人を呼び寄せ,彼らを二人ずつ+遣わすことに取りかかり,汚れた霊たちを制する権威を彼らに与えはじめられた+。8 また,旅のために,ただ杖のほかには何も,つまりパンも,食物袋も+,腰帯の財布の中に銅銭も携えて行かず+,9 サンダルを履いても,二枚の下着を着けて行かないようにとお命じになった+。10 さらに,彼らにこう言われた。「どこででも家の中に入ったなら+,その場所から出るまではそこにとどまりなさい+。11 そして,どこでも[人々が]あなた方を迎えず,あなた方[のことば]を聞かない場所では,彼らへの証し*のため,そこから出る際に足の裏の汚れを振り払いなさい+」。12 それで彼らは出かけて行き,人々が悔い改めるように伝道した+。13 そして多くの悪霊を追い出し+,また大勢の病身の人に油を塗って+その人々を治すのであった+。

14 さて,このことがヘロデ王の耳に達した。[イエス]の*名が公になり,人々は*,「バプテスマを施す人*ヨハネが死人の中からよみがえらされた。だから強力な業が彼のうちに働いているのだ」と言っていたからである+。15 しかしほかの者たちは,「あれはエリヤだ」と言い+,さらにほかの者たちは,「預言者たちの一人のような預言者だ」と言うのであった+。16 しかしヘロデは,それを聞いて,「わたしが打ち首にしたあのヨハネがよみがえらされたのだ」と言いだした+。17 というのは,ヘロデは,自分の兄弟フィリポの妻ヘロデアに関することで,自ら人をやってヨハネを捕縛し,獄につないだからであった。それは,[ヘロデ]がその女と結婚していたからである+。18 ヨハネは,「あなたが自分の兄弟の妻を有しているのは正しくありません」と,繰り返しヘロデに言っていたのである+。19 一方ヘロデアは彼に恨みを抱き+,殺してしまいたいと思っていたが,それができなかった+。20 ヘロデが,ヨハネは義にかなった聖なる人であることを知っていて+,彼を恐れていたためである+。そして[ヘロデ]は彼を安全に守っておいた。また,彼[の語ること]を聞いてからは+,どうしたものかと大いに惑ったが,それでもなお彼[の語ること]を喜んで聞いていた。

21 ところが,都合の良い日+がやって来た。ヘロデが自分の誕生日+に,自分に属する高官,軍司令官*,ガリラヤの主立った人々などのために晩さんを設けた時のことである。22 そこへ,ほかならぬヘロデアの娘が入って来て踊りを見せ,ヘロデおよび共に横になっていた者たち+を喜ばせた。王はその乙女に,「何でも自分の欲しいものを求めなさい。お前にそれを上げよう」と言った。23 しかも彼は,「お前の求めるものが何であれ,わたしの王国の半分まででも,お前に上げよう+」と誓ったのである+。24 すると彼女は出て行って,自分の母に言った,「わたしは何を求めたらいいでしょうか」。母は,「バプテスマを施す者ヨハネの首を」と言った+。25 [娘]はすぐ,急いで入って王のもとに行き,「バプテストのヨハネの首を大皿に載せて今すぐわたしにお与えくださいますように」と,自分の願いを申し出た。26 王は深く憂えたが,[自分の]誓い,および食卓について横になっている者たちのことを考えて,彼女を無視してしまおうとは思わなかった+。27 それで,王はすぐに護衛兵ひとりを派遣し,[ヨハネ]の首を持って来るようにと命令した。そこで彼は行って,獄の中で[ヨハネ]を打ち首にし+,28 その首を大皿に載せて持って来た。そして,それを乙女に与え,乙女はそれを自分の母に渡した+。29 [ヨハネ]の弟子たちはこれについて聞くと,やって来てその遺体を引き取り,記念の墓の中に横たえたのである+。

30 それから,使徒たちはイエスの前に集まり,自分たちが行ない,また教えた事柄すべてを報告した+。31 すると[イエス]はこう言われた。「さあ,あなた方は自分たちだけで寂しい場所に行き+,少し休みなさい+」。来たり去って行ったりする者が多く,食事をする暇もなかったからである+。32 そこで彼らは舟に乗り,自分たちだけになれる寂しい場所に向かった+。33 ところが,人々は彼らが行くのを見,また多くの者がこのことを知った。それですべての都市から人々が徒歩でそこに駆けつけ,彼らより先に着いてしまった+。34 そこで,外に出た時,[イエス]は大群衆をご覧になったが,彼らを哀れに思われた+。彼らが羊飼いのいない羊のようであったからである+。そして,彼らに多くのことを教え始められた+。

35 そのころまでに時刻は遅くなっていた。それで,弟子たちが彼のもとに来て,こう言いはじめた。「ここは人里離れた場所ですし,時刻ももう遅くなりました+。36 彼らを去らせて,周りの田舎や村に行かせ,彼らが自分で何か食べ物を買うようにしてください+」。37 [イエス]は答えて言われた,「あなた方が彼らに何か食べる物を与えなさい」。すると彼らは言った,「わたしたちは出かけて行って二百デナリ*分のパンを買い,[それを]人々に与えて食べさせましょうか+」。38 [イエス]は彼らに言われた,「あなた方は幾つのパンを持っていますか。行って見て来なさい!」 それを確かめてから,彼らは言った,「五つです。ほかに魚が二匹+」。39 すると[イエス]は,組になって+青草の上に横になるようすべての者に指示された+。40 そこで彼らは百人また五十人の群れになって身を横たえた+。41 次いで[イエス]は五つのパンと二匹の魚を取り,天を見上げて祝とうを述べ+,パンを割いて+弟子たちに与えはじめた。[弟子]たちがそれを人々の前に置くためであった。また,二匹の魚をみんなのためにお分けになった。42 こうしてすべての者が食べて満ち足りたのである+。43 そして,かけらを拾うと,魚を別にして,十二のかごがいっぱいになった。44 その上,そのパンを食べたのは五千人の男たちであった+。

45 それから直ちに,[イエス]は弟子たちを強いて舟に乗らせ,ベツサイダに向けて先に対岸に行かせ,その間にご自分は群衆を解散させた+。46 そして,彼らに別れを述べたのち,祈りをするため山の中に入って行かれた+。47 すでに夕方になっており,舟は海の真ん中にあったが,[イエス]は独りで陸におられた+。48 それから,向かい風のために彼らがこぐのに難儀させられているのをご覧になると+,夜の第四見張り時*ごろであったが,[イエス]は海の上を歩いて彼らのほうに来られた。しかし,彼らのそばを通り過ぎる気でおられた。49 [イエス]が海の上を歩いておられるのを見かけると,彼らは,「これは幻影だ!」と考え,大きな叫び声を上げた+。50 彼らは皆[イエス]を見て騒ぎ立ったのである。しかし,[イエス]はすぐに彼らと話をし,「勇気を出しなさい,わたしです。恐れることはありません+」と言われた。51 そして,舟に上がって彼らと共になられた。すると,風は和らいだのである。それで,彼らは胸中に非常な驚きを感じた+。52 彼らはまだ,さきのパンの意味を会得しておらず,その心は依然として理解が鈍かったからである+。

53 やがて彼らは陸に渡り着いてゲネサレに入り,近くに停泊した+。54 しかし,彼らが舟を出ると,人々はすぐに[イエス]に気づいた。55 そして,その地方全体を走りまわり,患っている者たちを寝台に載せて,[イエス]がおられると聞いた所に運びまわった。56 そして,彼がどこの村,都市,田舎に入っても+,人々は病気の者たちを市の立つ広場に置き,彼らは,その外衣の房べり+にだけでも触れさせていただきたい+と嘆願するのであった。そして,そのとおり触れた者は皆よくなった*のである+。

7 さて,エルサレムから来ていたパリサイ人と幾人かの書士が彼のまわりに集まった+。2 そして,彼の弟子のある者たちが汚れた手,つまり洗ってない[手]で食事をするのを見た時+ ― 3 というのは,パリサイ人とすべてのユダヤ人は,昔の人たちからの伝統を堅く守って,手をひじまで洗わなければ*食事をせず,4 市場から戻ったときには,水を振り掛けて身を清めなければ食事をしないからである。そして,杯と水差しと銅器のバプテスマなど+,彼らが受け継いで堅く守る伝統はほかにもたくさんあったのである+ ― 5 それで,これらパリサイ人と書士たちは彼にこう尋ねた。「あなたの弟子たちが昔の人たちからの伝統にしたがって行動せず,汚れた手で食事を取るのはどうしてですか+」。6 [イエス]は彼らに言われた,「イザヤはあなた方偽善者たちについて適切に預言しました。こう書いてあります+。『この民は唇でわたしを敬うが,その心はわたしから遠く離れている+。7 彼らがわたしを崇拝しつづけるのは無駄なことである。彼らは,教理として人間の命令を教えるからである+』。8 あなた方は神のおきてを捨て置いて,人間の伝統を堅く守っているのです+」。

9 [イエス]はさらに続けてこう言われた。「あなた方は自分たちの伝統を保とうとして,巧妙にも神のおきてを押しのけています+。10 たとえば,モーセは,『あなたの父と母を敬いなさい+』,そして,『父や母をののしる者は死に至らせなさい*+』と言いました。11 ところがあなた方は,『もし人が自分の父や母に向かって,「わたしの持つものであなたがわたしから益をお受けになるものがあるかもしれませんが,それはみなコルバン*(つまり,神に献納された供え物*+)なのです」と言うならば+』と言います ― 12 あなた方はもはやその人に,自分の父や母のために何一つさせないのです+。13 こうしてあなた方は,自分たちが伝えた伝統によって神の言葉+を無にしています。そして多くのこれと同様の事+をあなた方は行なっています」。14 それで,群衆を再び自分のところに呼んでからこう言われた。「あなた方はみな,わたし[が話すこと]を聴いて,その意味を悟りなさい+。15 外から入って行ってその人を汚すことのできるものは何もありません。人から出て来るものが人を汚すのです+」。16* ――

17 さて,[イエス]が群衆から離れてある家に入られると,弟子たちがこの例えについて彼に質問しはじめた+。18 それで[イエス]はこう言われた。「あなた方も彼らのように悟る力がないのですか+。外から入って行くものは何一つとしてその人を汚すことができないことに気づいていないのですか。19 それは,[その人の]心の中にではなく,腸の中に入って行き,それから下水*に出て行くからです+」。こうして[イエス]はすべての食物を清いとされたのである*+。20 さらにこう言われた。「人から出て来るものが人を汚すのです+。21 内側から,つまり人の心から+,害になる推論が出て来るのです。すなわち,淫行*+・盗み・殺人+・22 姦淫・貪り+・邪悪な行為・欺まん・みだらな行ない*+・ねたむ目*・冒とく・ごう慢・理不尽さです。23 これら邪悪な事柄はみな中から出て来て,人を汚します+」。

24 [イエス]はそこを立って,ティルスとシドンの地方に入られた+。そしてある家の中に入り,だれにもそのことを知られないようにと望まれた。だが,気づかれないでいることはできなかった+。25 それどころか,汚れた霊につかれた小さな娘のいる女がすぐに彼のことを聞き,やって来てその足もとに平伏した+。26 その女はギリシャ人であり,国籍ではスロフェニキア人であった。彼女は,自分の娘から悪霊を追い出してくださるようにとしきりに願い求めた+。27 しかし[イエス]は初めにこう言われた。「まず子供たちを満ち足らせなさい。子供たちのパンを取って+小犬に投げ与えるのは正しくないからです+」。28 しかし彼女は答えて言った,「そうです,だんな様。でも,食卓の下の小犬も小さな子供たちのパンくず+を食べるのでございます+」。29 そこで[イエス]は彼女に言われた,「それまでに言うのであれば,行きなさい。悪霊はあなたの娘からすでに出て行きました+」。30 それで彼女は自分の家に帰って行った。そして,幼子が床に横になっており,悪霊が出て行ってしまったのを見たのである+。

31 さて,[イエス]はティルス地方から戻り,シドンを経て,デカポリス*地方+の真ん中を通ってガリラヤの海に行かれた。32 ここで人々は,耳が聞こえず言語障害のある人を彼のもとに連れて来た。そして,その人の上に手を置いてくださるようにと懇願した+。33 すると[イエス]は群衆の中からその人だけを連れて行き,ご自分の指をその人の両耳に入れ,つばをかけてから,彼の舌に触れられた+。34 そして,天を見上げて+深く息をつき+,「エファタ」,つまり「開かれよ」と言われた。35 すると,彼の聴力は開かれ+,舌のもつれ*は解け,彼は普通に話しはじめたのである。36 そこで[イエス]は,だれにも言わないようにと彼らに言い渡された+。しかしイエスが言い渡せば言い渡すほど,彼らはいよいよそれをふれ告げるのであった+。37 実際,彼らは一方ならず驚き入っていたのであり+,「あの人はどんなことでも上手に行なった。耳の聞こえない人を聞こえるように,口のきけない人を話せるようにするのだ+」と言った。

8 そのころ,またもや大群衆が[集まって]いて食べる物が何もなかった時,[イエス]は弟子たちを呼び寄せてこう言われた+。2 「わたしは群衆に哀れみを覚えます+。わたしの近くにとどまってすでに三日になるのに,食べる物を何も持っていないのです。3 そして,何も食べないままで家に帰らせたりすれば,途中で力が尽きてしまうでしょう。実際,彼らの中には遠くから来ている人もいるのです」。4 しかし弟子たちは彼に答えた,「この人里離れた場所で,この人々を満足させるだけのパンをどこから[得]られるでしょうか+」。5 それでも[イエス]は続けてお尋ねになった,「あなた方にはパンが幾つありますか」。彼らは言った,「七つです+」。6 すると[イエス]は,地面に横になるよう群衆に指示し,七つのパンを取って感謝をささげ+,それを割いてから,[人々に]供するために弟子たちに与えはじめ,次いで彼らがそれを群衆に供した+。7 彼らはまた小さな魚を何匹か持っていた。そこで,それを祝福してから,それをも供するようにと彼らに言われた+。8 そこで,人々は食べて満ち足りた。そして,かけらの余りを拾うと,七つの食糧かごにいっぱいになった+。9 しかも,そこには約四千人いたのである。終わりに,[イエス]は彼らをお去らせになった+。

10 それから[イエス]は弟子たちと共にすぐに舟に乗り,ダルマヌタ地方に入られた+。11 ここでパリサイ人たちが出て来て彼と議論を始め,天からのしるしを彼に求めた。彼を試そうとしてであった+。12 それで[イエス]はご自分の霊をこめて深くうめかれ+,「なぜこの世代はしるしを求めるのですか。真実に言いますが,この世代には何のしるしも与えられないでしょう」と言われた+。13 そうして[イエス]は彼らをあとに残して再び[舟]に乗り,対岸に去って行かれた。

14 ところが,[弟子たち]はパンを携えて行くのを忘れた。それで,一つのパンのほかには,何も舟の中に持っていなかった+。15 すると[イエス]は彼らにはっきりと命じて,「じっと見張っていて,パリサイ人のパン種とヘロデのパン種に気を付けなさい+」と言いはじめられた。16 それで彼らは,自分たちがパンを持っていないことについて互いに論じはじめた+。17 これに気づいて[イエス]は彼らに言われた,「なぜあなた方はパンを持っていないことについて論じているのですか+。まだ分からず,意味を悟れないのですか。あなた方の心は理解が鈍いのですか+。18 『あなた方は,目があっても見えないのですか。耳があっても聞こえないのですか+』。そして,あなた方は覚えていないのですか。19 わたしが五つのパンを五千人のために割いた時+,あなた方はかけらを幾つのかごいっぱいに拾いましたか」。「十二です+」と彼らは言った。20 「七つを四千人のために割いた時,かけらを幾つの食糧かごいっぱいに拾いましたか」。すると,「七つです+」と彼らは言った。21 そこで[イエス]は,「あなた方はまだ意味を悟らないのですか+」と言われた。

22 さて彼らはベツサイダに入った。ここで人々はひとりの盲人を[イエス]のもとに連れて来て,その人に触れてくださるようにと懇願した+。23 すると[イエス]はその盲人の手を取って,村の外に連れて来られた。そして,その人の両目につばをかけてから+,ご自分の両手を彼に当て,「何か見えますか」と尋ねはじめられた。24 するとその人は上を見上げて*こう言いはじめた。「人が見えます。木のようなものが見えますが,それらは歩き回っているからです」。25 それから[イエス]は両手を再びその人の両目にお当てになった。するとはっきり見え,その人は元どおりになって,すべてのものがくっきりと見えるようになった。26 それで[イエス]は彼を家に帰らせたが,「しかし,村に入ってはなりません」と言われた+。

27 イエスと弟子たちは次にカエサレア・フィリピの村々に向かわれた。そして,その途中で,[イエス]は弟子たちに質問しはじめ,「人々はわたしのことをだれだと言っていますか」と言われた+。28 彼らは言った,「バプテストの*ヨハネ+,ほかの者は,エリヤ+,さらにほかの者は,預言者の一人+,と」。29 すると[イエス]は彼らに質問された,「だが,あなた方は,わたしのことをだれであると言いますか」。ペテロ*が答えて言った,「あなたはキリストです+」。30 すると[イエス]は,ご自分のことをだれにも告げないようにと彼らに厳重に言い渡された+。31 また,人の子が必ず多くの苦しみに遭い,年長者・祭司長・書士たちに退けられて殺され+,三日後によみがえることを+,彼らに教え始められた。32 実際,[イエス]ははっきりとそのことを言っておられた。ところが,ペテロは彼をわきに連れて行って叱り始めた+。33 [イエス]は向きを変え,弟子たちのほうを見ながらペテロを叱り,「わたしの後ろに下がれ,サタンよ。あなたは,神の考えではなく,人間の考えを抱いている*からです+」と言われた。

34 次いで[イエス]は群衆を弟子たちと一緒に自分のもとに呼んで,こう言われた。「わたしに付いて来たいと思うなら,その人は自分を捨て,自分の苦しみの杭*を取り上げて,絶えずわたしのあとに従いなさい+。35 だれでも自分の魂*を救おうと思う者はそれを失うからです。しかし,だれでもわたしと良いたよりのために自分の魂を失う者はそれを救うのです+。36 人が全世界をかち得ても,それによって自分の魂を失うなら,いったい何の益があるでしょうか+。37 人は自分の魂と引き換えにいったい何を与えるのでしょうか+。38 だれでも,この罪深い姦淫の世代にあってわたしとわたしの言葉を恥じるようになる者は,人の子も,聖なるみ使いたちと共に自分の父の栄光のうちに到来する時+,その者を恥じるのです+」。

9 イエスはさらに続けてこう言われた。「あなた方に真実に言いますが,ここに立っている者の中には,神の王国が力をもってすでに来ているのをまず見るまでは決して死を味わわない者たちがいます+」。2 そこで,六日後に,イエスはペテロとヤコブとヨハネを伴い,彼らを高大な山の中に連れて来て,自分たちだけになられた。そして[イエス]は彼らの前で変ぼうされ+,3 その外衣はきらきら輝き,地上のどんな布さらし人もできないほどに白くなった+。4 また,エリヤがモーセと共に彼らに現われ,イエスと語り合っていた+。5 そこでペテロがこたえてイエスに言った,「ラビよ,わたしたちがここにいるのは良いことです。それで,わたしたちに三つの天幕を立てさせてください。一つはあなたのため,一つはモーセのため,一つはエリヤのためです+」。6 実のところ,彼はどう応ずるべきか分からなかったのである。彼らはすっかり恐れていたからである。7 すると雲ができて彼らを影で覆い,その雲の中から声+が出て,「これはわたしの子+,[わたしの]愛する者である。この者に聴き従いなさい+」と[言った]。8 しかし突然,彼らがあたりを見回しても,ただイエス一人のほかは,もうだれも自分たちのもとには見えなかった+。

9 彼らが山から下っていた時のこと,[イエス]は,人の子が死人の中からよみがえった後になるまでは+,見た事柄をだれにも話してはならないと彼らにはっきりお命じになった+。10 それで彼らはその言葉を心に留めた*が,この,死人の中からよみがえるということがどういう意味なのかを互いに論じ合った。11 そして彼に質問しはじめ,「なぜ書士たちは,まずエリヤ+が来なければならないと言うのですか」と言った+。12 [イエス]は彼らに言われた,「確かにエリヤがまず来て,すべてのものを回復します+。しかし,人の子に関して,彼が必ず多くの苦しみに遭い+,取るに足りない者のように扱われる+,と書いてあるのはどうしてですか。13 それでも,あなた方に言いますが,エリヤ+は現に来たのです。そして人々は自分のしたい限りのことを彼に対して行ないました。彼について書かれているとおりです+」。

14 さて,ほかの弟子たちのほうに来た時,彼らは,大群衆がそのまわりにおり,書士たちがこれと言い争っているのに気づいた+。15 ところが,[イエス]を見かけると,群衆はみなぼう然とした。そして,そのもとに走り寄って,あいさつをはじめた。16 それで[イエス]は彼らにこうお尋ねになった。「あなた方は彼らと何を言い争っているのですか」。17 すると群衆の一人がこう答えた。「師よ,私は,息子が口のきけない霊につかれておりますので,あなたのもとに連れてまいりました+。18 どこででも[息子]を捕まえますと,その[霊]は彼を地面にたたきつけ,彼は泡を吹き,歯がみして体力をなくしてしまいます。そして私は,あなたの弟子たちに,それを追い出してくれるように言いましたが,彼らにはできませんでした+」。19 [イエス]はそれにこたえて彼らに言われた,「ああ,不信仰な世代よ+,いつまでわたしはあなた方と共にいなければならないのでしょう。いつまであなた方のことを忍ばねばならないのでしょう。その[子]をわたしのところに連れて来なさい+」。20 それで人々は彼を[イエス]のもとに連れて来た。しかし[イエス]を見ると,霊はすぐに[その子供に]*けいれんを起こさせた。そして,[子供]は地面に倒れ,泡を吹きながら転げ回るのであった+。21 それで[イエス]は,「こうした事がいつから起きているのですか」とその父にお尋ねになった。[父]は言った,「子供のころからずっとです。22 そして,[息子]を滅ぼそうとして,その[霊]は何度となく彼を火の中にも水の中にも投げ込んだものです+。しかし,何かもしおできになるなら,私どもを哀れんでお助けください」。23 イエスは彼に言われた,「その,『もしできるなら』という言い方です! 信仰があるなら,その人にはすべてのことができるのです+」。24 幼子の父は直ちに叫び,「私には信仰があります! 信仰の必要なところで私を助けてください+!*」と言うのであった。

25 その時イエスは,群衆が一緒になって[自分たち]のほうに走り寄って来るのに気づき,その汚れた霊を叱りつけて+,「口のきけない耳しいの霊よ,わたしはお前に命じる。この[子]から出て,もう入ってはならない」と言われた。26 すると,それは叫び声を上げ,何度もけいれんを起こしてから出て行った+。そして,[子供]は死んだようになったので,大半の者たちは,「彼は死んだ!」と言うのであった。27 しかし,イエスがその手を取って起こすと,彼は起き上がった+。28 それで,[イエス]がある家に入られてから,弟子たちがそっと彼に尋ねた,「なぜわたしたちはそれを追い出せなかったのでしょうか+」。29 すると[イエス]は彼らに言われた,「この種のものは祈りによらなければどうしても出ません+」。

30 彼らはそこを出発してガリラヤを通ったが,[イエス]はそのことをだれにも知られないようにと望まれた。31 弟子たちに教えて,こう話しておられたからである。「人の子は人々の手に引き渡されます*。そして人々は彼を殺しますが+,殺されても,三日後に彼はよみがえるでしょう+」。32 しかしながら,彼らはそのことばを理解せず,また彼に質問するのを恐れていた+。

33 それから彼らはカペルナウムに入った。さて,家の中におられた時,[イエス]は彼らにこう質問された。「あなた方は途中で何を議論していたのですか+」。34 彼らは黙っていた。途中で彼らは,だれのほうが偉いかと,互いに議論したからであった+。35 そこで[イエス]は腰を下ろし,十二人を呼んでこう言われた。「第一でありたいと思うなら,その人はみんなの最後となり,すべての者の奉仕者とならなければなりません+」。36 そして,ひとりの幼子を連れて来て彼らの真ん中に立たせ,両腕をその[子]にかけて,彼らにこう言われた+。37 「だれでも,わたしの名によってこのような幼子一人を迎える者はわたしを迎えるのです。そして,だれでもわたしを迎える者は,わたしだけでなく,わたしを遣わした方をも迎えるのです+」。

38 ヨハネが彼に言った,「師よ,わたしたちは,ある人があなたの名を使って悪霊たちを追い出しているのを見ましたので,それをとどめようとしました+。彼はわたしたちと一緒に従って来ないからです+」。39 しかしイエスは言われた,「彼をとどめようとしてはなりません。わたしの名によって強力な業を行ないながら,すぐさまわたしをののしることのできる者はいないからです+。40 わたしたちに敵していない者は,わたしたちに味方しているのです+。41 あなた方がキリストのものであるという理由で+あなた方に一杯の飲み水を与える者がだれであっても+,あなた方に真実に言いますが,その者は決して自分の報いを失わないでしょう。42 しかし,信じるこれら小さな者の一人をつまずかせるのがだれであっても,その者は,ろばの回すような臼石を首にかけられて海に投げ込まれてしまったとすれば,そのほうが良いのです+。

43 「そして,もしあなたの手があなたをつまずかせることがあるなら,それを切り捨てなさい。二つの手をつけてゲヘナ*に,すなわち消すことのできない火の中に行くよりは,不具の身で命に入るほうが,あなたにとって良いのです+。44* ―― 45 また,もしあなたの足があなたをつまずかせるなら,それを切り捨てなさい。二つの足をつけてゲヘナに投げ込まれるよりは+,足の不自由なまま命に入るほうが,あなたにとって良いのです+。46* ―― 47 また,もしあなたの目があなたをつまずかせるなら,それを捨て去りなさい+。あなたにとっては,片目で神の王国に入るほうが,二つの目をつけてゲヘナに投げ込まれる+よりは良いのです。48 そこでは,うじは死なず,火は消されないのです+。

49 「というのは,だれもみな火で塩漬けされねばならないからです+。50 塩は良いものです。しかし,もし塩がその効き目をなくすことがあるなら*,あなた方は何をもってそれに味をつけるのですか+。あなた方自身のうちに塩を持ちなさい+。そして,互いの間で平和を保ちなさい+」。

10 [イエス]はそこを立ってユダヤの国境地方に来て,ヨルダンを渡られた。するとまた群衆が彼のもとに集まった。それで,いつもしておられたように,彼らにまた教えはじめられた+。2 そこへパリサイ人たちが近づいて来た。そして,彼を試すため,男が妻を離婚することが許されるかどうかについて質問しはじめた+。3 [イエス]は答えて言われた,「モーセはあなた方に何と命じましたか」。4 彼らは言った,「モーセは,離縁証書を書いて[妻を]離婚することを許しました+」。5 しかしイエスは彼らに言われた,「あなた方の心のかたくなさを考えて+,彼はあなた方にこのおきてを書きました。6 しかし,創造の初めから,『[神]*はこれを男性と女性に造られた+。7 このゆえに,男は自分の父と母を離れ,8 二人は一体となる+』とあるのです。そのため,彼らはもはや二つではなく,一体なのです。9 それゆえ,神がくびきで結ばれたものを,人が離してはなりません+」。10 再び家の中にいた時+,弟子たちはこのことについて彼に質問しはじめた。11 すると[イエス]はこう言われた。「だれでも自分の妻を離婚して*別の[女]と結婚する者は,彼女に対して姦淫+を犯すのです。12 また,もしも女が,夫と離婚したのち,別の[男]と結婚するなら,彼女は姦淫を犯すのです+」。

13 さて,彼に触っていただこうとして,人々が幼子たちをそのもとに連れて来るのであった。ところが,弟子たちは彼らをたしなめた+。14 これを見て,イエスは憤然として彼らに言われた,「幼子たちをわたしのところに来させなさい。止めようとしてはなりません。神の王国はこのような者たちのものだからです+。15 あなた方に真実に言いますが,だれでも,幼子のように神の王国を受け入れる者でなければ,決してそれに入れないのです+」。16 それから,子供たちを自分の両腕に抱き寄せ,その上に両手を置いて祝福しはじめられた+。

17 [イエス]が出かけようとしておられると,ある人が走り寄って来てその前にひざまずき,こう質問した。「善い師よ,永遠の命*を受け継ぐためには何をしなければならないでしょうか+」。18 イエスは彼に言われた,「なぜわたしのことを善いと呼ぶのですか+。ただひとり,神以外には,だれも善い者はいません+。19 あなたはおきてを知っています。すなわち,『殺人をしてはいけない+,姦淫を犯してはいけない+,盗んではいけない+,偽りの証しをしてはいけない+,だまし取ってはいけない+,あなたの父と母を敬いなさい+』などです」。20 その人は言った,「師よ,わたしはそれらをみな若い時からずっと守ってきました」。21 イエスは彼を見つめ,愛を感じて,こう言われた。「あなたには一つのことが欠けています。行って,あなたが持っている物をみな売り,貧しい人たちに与えなさい。そうすれば,天に宝を持つようになるでしょう。それから,来て,わたしの追随者になりなさい+」。22 しかし,彼はそのことばのために悲しくなり,悲嘆しながら去って行った。多くの資産を有していたからである+。

23 ひととおり見回してから,イエスは弟子たちにこう言われた。「お金を持つ人々+が神の王国に入るのは何と難しいことなのでしょう+」。24 しかし,弟子たちはその言葉に驚いてしまった+。イエスはそれにこたえて再び彼らに言われた,「子供たちよ,神の王国に入るのは何と難しいことなのでしょう。25 富んだ人が神の王国に入るよりは,らくだが針の穴を通るほうが易しいのです+」。26 彼らはいよいよ驚き入ってこう言った。「実際のところ,だれが救いを得られるのでしょうか+」。27 イエスは彼らをまともに見て言われた,「人には不可能でも,神にとってはそうではありません。神にとってはすべてのことが可能なのです+」。28 ペテロが彼に言い始めた,「ご覧ください,わたしたちはすべてのものを後にして,あなたに従ってきました+」。29 イエスは言われた,「あなた方に真実に言いますが,わたしのため,また良いたよりのために,家,兄弟,姉妹,母,父,子供,あるいは畑を後にして+,30 今この時期に百倍+を,すなわち家と兄弟と姉妹と母と子供と畑を迫害+と共に得,来たらんとする事物の体制*で永遠の命を得ない者はいません。31 しかしながら,多くの最初の者が最後に,最後の者が最初になるでしょう+」。

32 さて,一行はエルサレムに上る道を進んでいたが,イエスがその先頭を進んで行かれるので,彼らは非常に驚いた。しかしそのあとに従う者たちは恐れを感じるようになった。[イエス]は十二人をもう一度わきに連れて行き,自分の身に降り懸かるはずの事柄についてこう言い始められた+。33 「さあ,わたしたちはエルサレムに上って行きます。そして,人の子は祭司長と書士たちのもとに引き渡され,彼らはこれを死罪に定めて諸国[の人々]に引き渡します+。34 ついで彼らはこれを愚弄し,つばをかけ,むち打ち,そして殺します。しかし三日後に彼はよみがえるのです+」。

35 すると,ゼベダイの二人の息子+,ヤコブとヨハネが歩み寄って来て,こう言った。「師よ,わたしたちの求めるのがどのようなことでも,それをしていただきたいのですが+」。36 [イエス]は彼らに言われた,「何をして欲しいのですか」。37 彼らは言った,「あなたの栄光のとき,わたしたちが,一人はあなたの右に,一人はあなたの左に座ることをお聞き入れください+」。38 しかしイエスは彼らに言われた,「あなた方は自分が何を求めているかを知っていません。あなた方は,わたしが飲んでいる杯を飲み,またわたしが受けているバプテスマ*を受けることができますか+」。39 彼らは,「できます」と言った。するとイエスは言われた,「あなた方はわたしが飲んでいる杯を飲み,わたしが受けているバプテスマを受けるでしょう+。40 しかしながら,わたしの右または左に座るこのことは,わたしの授けることではなく+,それが備えられている人たちのものです」。

41 ところで,そのことを聞くと,ほかの十人はヤコブとヨハネに対して憤慨し始めた+。42 しかしイエスは,彼らを自分のところに呼んでから,こう言われた。「あなた方は,諸国民を支配しているように見える者たちが人々に対して威張り,その偉い者たちが人々の上に権威を振るうことを知っています+。43 あなた方の間ではそうではありません。だれでもあなた方の間で偉くなりたいと思う者はあなた方の奉仕者でなければならず+,44 また,だれでもあなた方の間で第一でありたいと思う者はみんなの奴隷でなければなりません+。45 人の子でさえ,仕えてもらうためではなく+,むしろ仕え,かつ自分の魂*を,多くの人と引き換える+贖いとして与えるために来たのです+」。

46 それから彼らはエリコに入った。ところで,[イエス]とその弟子たちおよびかなりの群衆がエリコから出て行くと,盲目のこじきバルテマイ(テマイの子)が道路のわきに座っていた+。47 彼は,それがナザレ人イエスだと聞くと,「ダビデの子+イエスよ,わたしに憐れみをおかけください+!」と大声で叫びだした。48 すると,多くの者は,黙っているようにと厳しく言いはじめた。しかし彼はそれだけよけいに,「ダビデの子よ,わたしに憐れみをおかけください!」と叫びたてた+。49 それでイエスは立ち止まり,「彼を呼びなさい」と言われた。そこで彼らはその盲人を呼んで,「勇気を出して,立ち上がりなさい。あなたをお呼びなのだ」と言った+。50 彼は外衣を脱ぎ捨て,躍り上がってイエスのもとに行った。51 すると,イエスは彼に答えて言われた,「わたしに何をして欲しいのですか+」。盲人は言った,「ラボニ*,視力を取り戻させてください+」。52 そこでイエスは言われた,「行きなさい。あなたの信仰があなたをよくならせました*+」。すると,彼はすぐに視力を取り戻し+,[イエス]に付いてその道を行くようになったのである+。

11 さて,彼らがエルサレムに近づいて,オリーブ山のベテパゲとベタニヤ+の近くまで来たとき,[イエス]は弟子の二人を派遣して+,2 こう言われた。「向こうに見えるあの村に入りなさい。そこに入って行くとすぐ,あなた方は,一頭の子ろばがつながれているのを見つけるでしょう。それには人間がまだだれも座したことがありません。それを解いて連れて来なさい+。3 そして,もしだれかが,『なぜそんなことをしているのか』と言うならば,『主がこれをご入り用なのです。そして,すぐここに送り返されるでしょう』と言いなさい+」。4 そこで彼らは出かけて行き,子ろばが戸口のところ,外のわき道につながれているのを見つけて,それを解いた+。5 ところが,そこに立っていた者のうち幾人かが,「子ろばを解いたりして何をしているのか」と言いだした+。6 彼らはそれらの者に,イエスが言われたとおりに言った。すると彼らを行かせてくれた+。

7 こうして彼らは子ろば+をイエスのもとに連れて来た。そして自分たちの外衣をその上に置き,[イエス]がその上に座された+。8 また,多くの者は自分の外衣を道路に敷き+,ほかの者たちは野から葉のついた枝+を切り落とし[て来]た+。9 そして,前を行く者も後ろから来る者もこう叫びつづけた。「救いたまえ*+! エホバ*のみ名によって来るのは祝福された者+! 10 来たらんとする,我らの父ダビデの王国*は祝福されたもの+! 救いたまえ,上なる高き所にて*!」11 こうして[イエス]はエルサレムに,神殿の中に入られた。そして,すべての物を見て回られた。それから,時刻がすでに遅くなっていたので,十二人と共にベタニヤに出て行かれた+。

12 次の日,彼らがベタニヤから出て来た時,[イエス]は飢えを覚えられた+。13 そして,遠くから,葉をつけたいちじくの木を見つけ,もしやそれに何か見いだせないかと見に行かれた。しかし,そこに来てみると,葉のほかには何も見あたらなかった。いちじくの季節ではなかったのである+。14 そこで[イエス]はそれに応じて,「もうお前からはだれも永久に実を食べないように」とその[木]に言われた+。それを弟子たちは聴いていた。

15 さて,彼らはエルサレムに来た。そこで[イエス]は神殿の中に入り,神殿で売り買いしていた者たちを追い出し始め,両替屋の台と,はとを売っている者たちの腰掛けを倒された+。16 そして,神殿の中を通って器物を運ぶことをだれにも許そうとせず,17 「『わたしの家はあらゆる国民のための+祈りの家と呼ばれるであろう+』と書いてあるではありませんか。それなのに,あなた方はそれを強盗の洞くつとしました+」と言って教えてゆかれた。18 すると,祭司長と書士たちがそれを聞いた。そして,どうしたら彼を滅ぼせるかを探り求めるようになった+。彼を恐れていたのである。それは,群衆がみな彼の教えに終始驚き入っていたからである+。

19 こうして日暮れになると,彼らは市から出て行くのであった。20 しかし,朝早くそばを通っていた時,彼らはあのいちじくの木がすでに根もとから枯れているのを見た+。21 それでペテロが,思い出して彼に言った,「ラビ,ご覧ください,あなたがのろわれたいちじくの木は枯れてしまいました+」。22 すると,イエスは答えて彼らに言われた,「神に信仰を持ちなさい。23 あなた方に真実に言いますが,だれでも,この山に向かって,『持ち上がって海に入れ』と言って,心の中で疑わず,自分の言うことは起きるのだという信仰があるなら,その人にはその通りになるのです+。24 このゆえにあなた方に言いますが,あなた方が祈りまた求めることすべては,それをすでに受けたのだという信仰を持ちなさい。そうすれば,あなた方はそれを持つことになります+。25 そして,あなた方が立って祈るときには,どんなことでも人に対するうらみごとを許しなさい+。天におられるあなた方の父もあなた方の罪過を許してくださるようにするためです+」。26* ――

27 それから,彼らは再びエルサレムに来た。そして[イエス]が神殿の中を歩いておられると,祭司長・書士・年長者たちがやって来て+,28 「どんな権威でこうしたことをするのか。また,だれがこうしたことをするこの権威をあなたに与えたのか」と言いだした+。29 イエスは彼らに言われた,「わたしはあなた方に一つ質問します。あなた方がわたしに答えてください。そうしたらわたしも,どんな権威でわたしがこれらのことを行なうかをあなた方に言いましょう+。30 ヨハネによるバプテスマ+は天からのものでしたか,それとも人からのものでしたか。答えてください+」。31 そこで彼らは互いに論じはじめて,こう言った。「我々が,『天から』と言えば,彼は,『では,あなた方が彼を信じなかったのはどうしてか』と言うだろう+。32 そうかといって,『人からだ』と言えるだろうか」。―彼らは群衆を恐れていたのである。みんなが,ヨハネは確かに預言者であったと思っていたからである+。33 そこで彼らはイエスに答えて,「わたしたちは知らない」と言った。それでイエスは彼らに言われた,「わたしも,どんな権威で自分がこれらのことを行なうかを,あなた方に言いません+」。

12 また,[イエス]は例えで彼らにこう話し始められた。「ある人がぶどう園を設け+,その周りに柵を巡らし,ぶどう搾り場のための大おけを掘り,塔を立て+,それを耕作人たちに貸し出して+,外国に旅行に出ました+。2 さて,しかるべき季節に,彼は耕作人たちのもとにひとりの奴隷を遣わしました。ぶどう園の実りのいくらかを耕作人たちから得るためです+。3 ところが彼らは[その奴隷]を捕まえて打ちたたき,むなし手で去らせてしまいました+。4 そこで彼は再び別の奴隷を彼らのもとに遣わしました。すると彼らはその者の頭を殴りつけて辱めました+。5 それで彼は別の者を遣わしましたが,彼らはこれを殺してしまいました。こうしてほかにも多くの者を[遣わした]のですが,彼らはそのある者を打ちたたき,ある者を殺しました。6 彼にはもう一人,愛する息子がいました+。『わたしの息子なら尊敬するだろう』と言って,彼は最後にその[息子]を遣わしました+。7 ところがそれら耕作人たちは互いに言いました,『これは相続人だ+。さあ,こいつを殺してしまおう。そうすれば,相続財産は我々のものだ+』。8 そうして彼を捕まえて殺し+,ぶどう園の外に投げ出してしまいました+。9 ぶどう園の持ち主はどうするでしょうか。彼はやって来て耕作人たちを滅ぼし,そのぶどう園+をほかの人たちに与えるでしょう+。10 あなた方はこの聖句を読んだことがないのですか。『建築者たちの退けた石+,それが主要な隅石となった+。11 これはエホバ*から生じたのであり,わたしたちの目には驚嘆すべきものである+』」。

12 これを聞いて,彼らはどうしたら[イエス]を捕らえられるかを探り求めるようになった。彼らのことを念頭においてこの例えを話されたことに気づいたのである。しかし彼らは群衆を恐れた。それで,彼を残して去って行った+。

13 次に彼らは,パリサイ人およびヘロデの党派的追随者の*ある者たち+を彼のところに遣わした。そのことばじりを捕らえようとしてであった+。14 これらの者はそこに着くや彼にこう言った。「師よ,わたしどもは,あなたが真実な方であり,だれをも気にされないことを知っております。あなたは人の外見をご覧にならず,真理に即して神の道をお教えになるからです+。カエサル*に人頭税を払うことはよろしいでしょうか,よろしくないでしょうか。15 わたしどもは払いましょうか,それとも払わないでおきましょうか+」。[イエス]はその偽善を見破って彼らに言われた,「なぜあなた方はわたしを試すのですか。デナリ*をわたしに持って来て見せなさい+」。16 彼らはそれを持って来た。すると[イエス]は言われた,「これはだれの像と銘刻ですか」。彼らは,「カエサルのです」と言った+。17 そこでイエスは言われた,「カエサルのものはカエサルに+,しかし神のものは神に返しなさい*+」。それで彼らは[イエス]に驚嘆するようになった+。

18 さて,サドカイ人たちが彼のところにやって来た。復活などはないと言う人々である。そして彼にこう質問した+。19 「師よ,モーセはわたしたちに,もしだれかの兄弟が死んで妻をあとに残し,子供を残さないなら,彼の兄弟+はその妻を迎え,自分の兄弟のために彼女から子孫を起こすべきであると書きました+。20 七人の兄弟がいました。一番目の者は妻を迎えましたが,死んだとき,子孫をひとりも残しませんでした+。21 そして二番目の者が彼女を迎えましたが,子孫を残さずに死に,また三番目の者も同様でした。22 そして,その七人はひとりも子孫を残さなかったのです。みんなの最後にその女も死にました+。23 復活の際,彼女はこのうちだれの妻なのでしょうか。七人の者が彼女を妻として得たのですから+」。24 イエスは彼らに言われた,「あなた方が聖書も神の力も知らないこと,これがあなた方の間違っている理由ではありませんか+。25 死人の中からよみがえるとき,男はめとらず,女も嫁ぎません。天にいるみ使いたちのようになるのです+。26 しかし,死んだ者たち,すなわち彼らがよみがえらされることに関しては,モーセの書の中,いばらの茂みに関する記述の中で,神が彼にどのように言われたかを,あなた方は読まなかったのですか。『わたしはアブラハムの神,イサクの神,ヤコブの神である』と[言われたのです+]。27 この方は,死んだ者の神ではなく,生きている者の[神]なのです。あなた方は大いに間違っています+」。

28 さて,そばに来て彼らが議論しているのを聞いていた書士の一人は,[イエス]が彼らにみごとに答えたのを知って,こう尋ねた。「すべてのうちどのおきてが第一ですか+」。29 イエスはこう答えられた。「第一は,『聞け,イスラエルよ,わたしたちの神エホバ*はただひとりのエホバ*であり+,30 あなたは,心をこめ,魂*をこめ,思いをこめ,力をこめてあなたの神エホバ*を愛さねばならない+』。31 第二はこうです。『あなたは隣人を自分自身のように愛さねばならない+』。これらより大きなおきてはほかにありません」。32 書士は彼に言った,「師よ,『[神]はただひとりであり,そのほかにはいない+』と,真理に即してよくぞ言われました。33 そして,この,心をこめ,理解力をこめ,力をこめて[神]を愛すること,また,隣人を自分自身のように愛するこのことは,全焼燔の捧げ物と犠牲全部よりはるかに価値があります+」。34 するとイエスは,彼がそう明な答えをしたのを見て,「あなたは神の王国から遠くありません」と言われた。しかし,それ以上[イエス]に質問する勇気はもうだれにもなかった+。

35 しかし,神殿で教えていた時,イエスは,返答をする際にこう言いはじめられた。「書士たちが,キリストはダビデの子であると言うのはどうしてでしょうか+。36 聖霊によって+ダビデ自身がこう言ったのです。『エホバ*はわたしの主に言われた,「わたしがあなたの敵たちをあなたの足の下に置くまで,わたしの右に座していなさい+」』。37 ダビデ自身が『主』と呼んでいるのに,どうして彼の子なのですか+」。

そして大群衆が彼[の話すこと]を喜んで聴いていた+。38 また,その教えの中で続けてこう言われた。「書士たちに気を付けなさい+。彼らは長い衣を着て歩き回ることを望み,市の立つ広場*でのあいさつと,39 会堂の正面の座席,そして晩さんでは特に目立つ場所を望みます+。40 彼らは,やもめたちの家を食い荒らし+,見せかけのために長い祈りをする者たちです。こうした者たちはより重い裁きを受けるでしょう+」。

41 それから[イエス]は宝物庫の箱+の見えるところに座り,群衆が宝物庫の箱*の中にお金*を入れる様子を見守っておられた。すると,大勢の富んだ人たちがたくさんの硬貨を入れていた+。42 そこへ,ひとりの貧しいやもめがやって来て,小さな硬貨二つ*を入れた。それは価のごくわずかなものである*+。43 すると[イエス]は弟子たちを自分のもとに呼んでこう言われた。「あなた方に真実に言いますが,この貧しいやもめは,宝物庫の箱にお金を入れているあの人たち全部よりたくさん入れたのです+。44 彼らはみな自分の余っている中から入れましたが,彼女は,その乏しい中から,自分の持つもの全部,その暮らしのもとをそっくり入れたからです+」。

13 [イエス]が神殿から出て行かれる時であったが,弟子の一人がこう言った。「師よ,ご覧ください,何という石,それに何という建物なのでしょう+」。2 しかし,イエスは彼に言われた,「あなたはこれらの大きな建物に見入っているのですか+。石がこのまま石の上に残されて+崩されないでいることは決してないでしょう+」。

3 そして,[イエス]がオリーブ山の上で神殿の見える所に座っておられた時であったが,ペテロ+,ヤコブ,ヨハネ,アンデレが自分たちだけでこう尋ねはじめた+。4 「わたしたちにお話しください。そのようなことはいつあるのでしょうか。そして,これらのすべてのものが終結*に至るように定まった時のしるしには何がありますか+」。5 そこでイエスは彼らにこう言い始められた。「だれにも惑わされないように気を付けなさい+。6 多くの者がわたしの名によってやって来て,『わたしがそれだ』と言って多くの者を惑わすからです+。7 また,戦争のことや戦争の知らせを聞いても,恐れおののいてはなりません。[これらの事は]必ず起きますが,終わり*はまだなのです+。

8 「というのは,国民は国民に,王国は王国に敵対して立ち上がり*+,またそこからここへと地震*があり+,食糧不足があるからです+。これらは苦しみの劇痛の始まりです+。

9 「あなた方は,自分自身に気を付けていなさい。人々はあなた方を地方法廷*に引き渡し+,あなた方は会堂で打ちたたかれ+,わたしのために総督や王たちの前に立たされるでしょう。彼らに対する証し*のためです+。10 また,あらゆる国民の中で,良いたより+がまず宣べ伝えられ*ねばなりません+。11 しかし,人々があなた方を引き渡そうとして引いて行くとき,何を話そうかと前もって思い煩ってはなりません+。何であれその時に与えられること,それを話しなさい。あなた方が話しているのではなく,聖霊が[話している]のです+。12 さらにまた,兄弟が兄弟を,父が子供を死に渡し+,子供が親に逆らって立ち上がり,彼らを死に至らせるでしょう+。13 そしてあなた方は,わたしの名のゆえにすべての人々の憎しみの的となるでしょう+。しかし,終わり*まで耐え忍んだ人+が救われる者です+。

14 「しかしながら,荒廃をもたらす+嫌悪すべきもの+が,[立っては]ならない所に立っているのを見かけるなら(読者は識別力を働かせなさい+),その時,ユダヤにいる者は山に逃げはじめなさい+。15 屋上にいる人は下りてはならず,家から何かを取り出そうとして中に入ってもなりません+。16 また,野にいる人は,自分の外衣を拾おうとして後ろのものに戻ってはなりません+。17 その日,妊娠している女と赤子に乳を飲ませている者にとっては災いになります+! 18 それが冬期に起きないように祈っていなさい+。19 それは,神がなされた創造の初めからその時まで*起きたことがなく,また二度と起きないような+患難の日となるからです+。20 実際,エホバ*+がその日を短くされなかったとすれば,肉なる者はだれも救われないでしょう。しかし,そのお選びになった+,選ばれた者たち+のゆえに,[神]はその日を短くされたのです+。

21 「またその時,『見よ,ここにキリストがいる』,『見よ,そこにいる』と言う者がいても+,[それを]信じてはなりません+。22 偽キリストや偽預言者が起こり+,できれば選ばれた者たちを迷わそうとして+,しるしや不思議を行なうからです+。23 ですから,あなた方は気を付けていなさい+。わたしはあなた方にすべてのことを前もって告げたのです+。

24 「しかしその日,その患難ののちに,太陽は暗くなり,月はその光を放たず,25 星は天から落ちてゆき,天にあるもろもろの力は揺り動かされるでしょう+。26 またその時,人々は,人の子+が大いなる力と栄光を伴い,雲のうちにあって来る*のを見るでしょう+。27 そしてその時,彼はみ使いたちを遣わし,四方の風から,地の果てから天の果てまで+,自分の,選ばれた者たち+を集めるでしょう。

28 「では,いちじくの木から例えを学びなさい。その若枝が柔らかくなって,その葉を出すと,あなた方はすぐに,夏の近いことを知ります+。29 同じようにあなた方は,これらのことが起きているのを見たら,彼が近づいて,戸口にいることを知りなさい+。30 あなた方に真実に言いますが,これらのすべての事が起こるまで,この世代*は決して過ぎ去りません+。31 天+と地は過ぎ去るでしょう。しかしわたしの言葉+は過ぎ去らないのです+。

32 「その日または時刻についてはだれも知りません。天にいるみ使いたちも子も[知らず],父だけが[知っておられます+]。33 ずっと見ていて,目を覚ましていなさい+。あなた方は,定められた時がいつかを知らないからです+。34 それは,自分の家を離れ,自分の奴隷たちに権威を与え,各々にその仕事を[ゆだね],戸口番には,ずっと見張っているようにと命令して,外国に旅行に出た人のようです+。35 それで,あなた方は,家の主人がいつ来るか,一日も遅くなってから*か,真夜中*か,おんどりの鳴くころ*か,あるいは朝早く*かを知らないのですから+,ずっと見張っていなさい+。36 彼が突然に到着して,あなた方の眠っているところを見つけることがないようにするためです+。37 しかし,わたしがあなた方に言うことは,すべての者に言うのです。ずっと見張っていなさい+」。

14 さて,過ぎ越し+と無酵母パン[の祭り+]は二日後であった+。そして祭司長と書士たちは,どうしたらうまく仕組んで彼を捕らえて殺せるかを探り求めていた+。2 彼らは,「祭りの時はいけない。もしかすると民の騒動があるかもしれない」と繰り返し言っていたのである+。

3 そして,[イエス]がベタニヤでらい病人シモンの家にいて+,横になって食事をしておられた時であったが,ひとりの女が,雪花石こうの容器に入った香油を携えてやって来た。本物のナルドであり,非常に高価なものであった。彼女は雪花石こうの容器を割って開け,それを彼の頭に注ぎはじめた+。4 すると,互いに憤慨した様子を示す者たちがいて,「どうしてこんな香油の無駄づかいをしたのか+。5 この香油なら三百デナリ*以上で売れたし,そうすれば貧しい人たちに施すこともできたのに!」と[言った]。そして,彼女のことを非常に不快に思っていた+。6 しかしイエスは言われた,「彼女をそのままにしておきなさい。なぜあなた方は彼女を困らせようとするのですか。彼女はわたしに対してりっぱな行ないをしたのです+。7 あなた方にとって,貧しい人たちは常におり+,あなた方はいつでも望む時に彼らに善を行なえますが,わたしは常に共にいるわけではないからです+。8 彼女は自分にできることをしました。埋葬を見越してわたしの体に前もって香油を付けようとしたのです+。9 あなた方に真実に言いますが,世界中どこでも良いたよりが宣べ伝えられる所では+,この女のしたことも,彼女の記念として語られるでしょう+」。

10 それから,十二人の一人,ユダ・イスカリオテは,[イエス]を裏切って渡すため,祭司長たちのところに行った+。11 それを聞くと,彼らは歓び,彼に銀子を与えることを約束した+。それで彼は,どうしたら[イエス]をうまく裏切って渡せるかを探るようになった+。

12 さて,無酵母+パンの最初の日*,それは慣例として過ぎ越し[のいけにえ]を犠牲にする時であったが,弟子たち+が彼にこう言った。「過ぎ越しの食事をなさるため,わたしたちがどこに行って準備をするようにお望みですか+」。13 そこで彼は弟子の二人を遣わしてこう言われた。「市内に入りなさい。そうすれば,水を土器に入れて運んでいる男があなた方に出会うでしょう+。そのあとに付いて行きなさい。14 そして,彼の入って行くのがどこであっても,そこの家あるじにこう言いなさい。『師が言われます,「弟子たちと一緒に過ぎ越し+の食事ができる,わたしのための客室はどこでしょうか」と+』。15 そうすると彼は準備の整った,大きな階上の部屋を見せてくれるでしょう。そこでわたしたちのために準備をしなさい+」。16 それで弟子たちは出て行った。そして市に入ってみると,[イエス]が彼らに言われたとおりであった。こうして彼らは過ぎ越しの準備をした+。

17 夕方になってから,[イエス]は十二人と共に来られた+。18 そして,彼らが食卓の前に横になって食べていた時,イエスはこう言われた。「あなた方に真実に言いますが,あなた方の一人で,わたしと一緒に食事をしている者+が,わたしを裏切るでしょう+」。19 彼らは悲嘆し,一人ずつ,「まさかわたしではありませんね+」と言い始めた。20 [イエス]は彼らに言われた,「それは十二人の一人で,わたしと一緒に共同の鉢に[手を]浸している者です+。21 確かに人の子は,自分について書かれているとおりに去って行きますが,人の子を裏切るその人は災いです! その人にとっては,むしろ生まれてこなかったほうがよかったでしょう+」。

22 そして,彼らが食事を続けていると,[イエス]はパンを取って祝とうを述べ,それを割いて彼らに与え,「取りなさい。これはわたしの体を表わしています」と言われた+。23 また,杯を取り,感謝をささげてから,それを彼らにお与えになった。それで彼らは皆その[杯]から飲んだ+。24 そうして[イエス]は彼らに言われた,「これはわたしの『契約+の血+』を表わしています*。それは多くの人のために+注ぎ出されることになっています+。25 あなた方に真実に言いますが,神の王国でそれの新しいもの*を飲むその日まで,わたしはぶどうの木の産物をもう決して飲まないでしょう+」。26 最後に,賛美*+を歌ってから,彼らはオリーブ山に出て行った+。

27 それからイエスは彼らにこう言われた。「あなた方はみなつまずくでしょう。『わたしは牧者を打つ+。すると,羊は散り散りになるであろう+』と書いてあるからです。28 しかしわたしは,よみがえらされた後,あなた方に先立ってガリラヤに行きます+」。29 しかしペテロは言った,「たとえほかのみんながつまずいても,わたしは[つまずき]ません+」。30 するとイエスは言われた,「あなたに真実に言っておきますが,あなたは今日,そうです,今夜,おんどりが二度鳴く前に,あなたでさえ三度わたしのことを否認するでしょう+」。31 しかし彼はしきりにこう言うのであった。「あなたと一緒に死なねばならないとしても,わたしは決してあなたのことを否認したりはしません」。また,ほかの者たちもみな同じことを言いだした+。

32 こうして彼らはゲッセマネという所に来た。そして[イエス]は弟子たちにこう言われた。「わたしが祈りをする間,ここに座っていなさい+」。33 それから,ペテロとヤコブとヨハネ+を一緒に連れて行かれたが,ご自分はぼう然とされ,かつひどく苦悩し始められた+。34 そして彼らに言われた,「わたしの魂は深く憂え悲しみ+,死なんばかりです。ここにとどまって,ずっと見張っていなさい+」。35 そして,少し進んで行って地面に伏し,もしできることなら,その時が自分から過ぎ去るようにと祈りはじめられた+。36 そしてさらにこう言われた。「アバ*,父よ+,あなたにはすべてのことが可能です。この杯をわたしから取り除いてください。それでも,わたしの望むことではなく,あなたの望まれることを+」。37 それから来て,彼らが眠っているのを見て,ペテロにこう言われた。「シモンよ,あなたは眠っているのですか。一時間見張っている力もなかったのですか+。38 あなた方は,ずっと見張っていていつも祈り+,誘惑に陥らないようにしていなさい。もとより,霊ははやっても,肉体は弱いのです+」。39 それから[イエス]は再び離れて行き,同じ言葉で祈られた+。40 そしてもう一度来て,彼らが眠っているのをご覧になった。彼らの目は重く垂れていたのである。そのため彼らは[イエス]に何と答えてよいか分からなかった+。41 それから,[イエス]は三度目に来て,彼らに言われた,「このような時に,あなた方は眠って休んでいる! もう十分です! 時刻が来ました+! 見よ,人の子は裏切られて罪人たちの手に渡されます+。42 立ちなさい。行きましょう+。見よ,わたしを裏切る者が近づいて来ました+」。

43 するとすぐ,[イエス]がまだ話しておられるうちに,十二人の一人であるユダが現われた。そして,剣やこん棒を持ち,祭司長・書士・年長者たちのもとから来た群衆が一緒であった+。44 さて,[イエス]を裏切る者は,「だれであれわたしが口づけするのがその人だ。それを拘引して,しっかりと*引いて行け」と言って,彼らと合図を打ち合わせてあった+。45 そこで彼はまっすぐに寄って来て[イエス]に近づき,「ラビ!」と言って,いとも優しく口づけした+。46 そこで彼らは[イエス]に手をかけて拘引した+。47 しかし,そばに立っていた者のひとりが剣を抜いて大祭司の奴隷に撃ちかかり,その耳を切り落とした+。48 しかしイエスはこたえて彼らに言われた,「あなた方は,わたしを捕縛するのに,強盗に対するように剣やこん棒を持って出て来たのですか+。49 日々わたしは神殿であなた方と共にいて教えていたのに+,あなた方はわたしを拘引しませんでした。だが,これは聖書+が成就するためなのです+」。

50 すると,[弟子たち]はみな彼を捨てて+逃げて行った+。51 しかし,裸の[体]にりっぱな亜麻布の衣を着けたある若者が彼のすぐあとに付いて行った。それで彼らは[この若者]を捕まえようとしたが+,52 彼は亜麻布の衣をあとに残して,裸のまま*逃げてしまった。

53 さて,彼らはイエスを大祭司のところに引いて行った。そして,祭司長・年長者・書士たち全員が集合した+。54 しかしペテロは,かなり離れたところから彼のあとに付いて行き+,大祭司[の家]の中庭に入った。そして,その家の従者たちと一緒に座って,明るい火の前で身を暖めていた。55 一方,祭司長たちおよびサンヘドリン全体は,イエスを死に処するため,彼に不利な証言を探し求めていたが+,何も見いだせなかった+。56 大勢の者が彼に不利な偽証をしていたのであるが+,その証言は一致していなかったのである+。57 また,ある者たちが立ち上がり,彼に不利な偽証をしてこう言うのであった。58 「わたしたちは,彼が,『わたしは手で作ったこの神殿*を壊し,手で作ったのではない別のものを三日で建てる』と言うのを聞きました+」。59 しかし,こうした点についても彼らの証言は一致していなかった。

60 最後に,大祭司が彼らの真ん中に立ち,イエスに質問して,こう言った。「何も返答しないのか。これらの者があなたに不利な証言をしていることはどうなのか+」。61 しかし[イエス]は黙ったままで,少しも返答されなかった+。大祭司が再び質問をはじめてこう言った。「あなたはほめたたえるべき方の子キリストか+」。62 するとイエスは言われた,「わたしは[その者]です。そしてあなた方は,人の子+が力の右+に座り,また天の雲と共に+来る*のを見るでしょう」。63 すると,大祭司は自分の内衣を引き裂いて+,こう言った。「このうえ証人が必要だろうか+。64 あなた方は,冒とくのことばを聞いたのです+。あなた方には何がはっきりしていますか」。彼らは皆,[イエス]を死に服すべき者と断罪した。65 すると,ある者たちは彼につばをかけ+,また彼の顔をすっぽり覆ってこぶしで殴り,「預言せよ!」などと言い始めた。そして,廷吏たちは彼の顔を平手で打ってから,彼を連れて行った+。

66 さて,ペテロが下の中庭にいたところ,大祭司の下女の一人がやって来た+。67 そして,ペテロが身を暖めているのを見ると,彼をまともに見て,「あなたも,ナザレ人のこのイエスと一緒にいました」と言った+。68 しかし彼はそれを否定し,「わたしはあの人を知らないし,あなたの言っていることも理解できない*」と言って,入口の間のほうに出て行った+。69 その所で下女は彼を見つけ,そばに立っている者たちに,「この人は彼らの一人です」と,また言い始めた+。70 彼は再びそれを否定するのであった。それからしばらくして,そばに立っていた者たちがまたもやペテロに向かって言いだした,「確かにあなたは彼らの一人だ。現に,あなたはガリラヤ人ではないか+」。71 しかし彼は,「わたしはあなた方の話しているこの人を知らないのだ+」と[言って],のろったり誓ったりし始めた+。72 するとすぐにおんどりが二度目に鳴いた+。それでペテロは,「おんどりが二度鳴く前に,あなたは三度わたしのことを否認するでしょう」と,イエスが自分に言ったことば+を思い浮かべた。そして,くずおれて泣きだした+。

15 こうして明け方になるとすぐ,祭司長たちは,年長者や書士たちと共に,すなわち,サンヘドリン全体が協議をした+。そして,イエスを縛って引いて行き,ピラトに引き渡した+。2 そこで,ピラトは彼にこう質問した。「あなたはユダヤ人の王なのか+」。[イエス]は答えて言われた,「あなた自身が[そう]言っています+」。3 しかし,祭司長たちは多くの事についてさらに彼を訴えた+。4 そこでピラトは再び質問をはじめて,こう言った。「何も答えることはないのか+。彼らがあなたに対してどれほど多くの罪状を挙げているかを見なさい+」。5 しかしイエスはそれ以上何もお答えにならなかった。そのためピラトは驚嘆するようになった+。

6 ところで,[ピラト]は祭りの度に囚人一人,人々が請願するところの者を釈放するのが常であった+。7 この時には,バラバと称する者が暴動を起こした者たちと一緒につながれていた。それは暴動のさいに殺人を犯した者たちであった+。8 それで群衆がやって来て,[ピラト]が常々彼らに行なってきたところにしたがって請願を始めた。9 ピラトは彼らにこたえて言った,「あなた方はユダヤ人の王を釈放して欲しいのか+」。10 祭司長たちがそねみ+のために[イエス]を引き渡したことに気づいていたのである+。11 しかし祭司長たちは,代わりにバラバを釈放させようとして群衆をあおった+。12 ピラトは再び答えて彼らに言うのであった,「では,あなた方がユダヤ人の王+と呼ぶ者はどうしたらよいのか+」。13 彼らは再び叫んで,「杭につけろ*!」と[言った+]。14 しかしピラトはなおも彼らに言った,「彼がどんな悪事をしたというのか」。それでも彼らは,「杭につけろ!」といよいよ激しく叫んだ+。15 そこでピラトは,群衆を満足させることを願って+バラバを彼らに釈放し,イエスをむちで打たせてから,杭につけるために渡した+。

16 そこで,兵士たちは彼を中庭に,つまり総督の官邸内に引いて行った。そして,全部隊を呼び集めてから+,17 彼に紫[の衣]をまとわせ,いばらの冠を編んでかぶらせた+。18 そして,「こんにちは+,ユダヤ人の王よ!」と[言って]あいさつを始めた。19 また彼らは,葦で彼の頭をたたいたり,つばをかけたり,ひざをかがめて敬意のしぐさをしたりするのであった+。20 最後に,[イエス]を愚弄し終えた彼らは,紫[の衣]をはいで,彼の外衣を着せた。そして,杭につける*ために連れ出した+。21 また,田舎から来た通行人で,アレクサンデルとルフォスの父である,キレネのシモンという者を奉仕に徴用して,彼の苦しみの杭*を持たせた+。

22 こうして彼らは[イエス]をゴルゴタ[という]場所に連れて来た。これは,訳せば,“どくろの場所*+”という意味である。23 ここで彼らは没薬を混ぜたぶどう酒を与えようとしたが+,[イエス]はそれを受けようとされなかった+。24 それから,彼らは[イエス]を杭につけ,また,彼の外衣+に関して,だれが何を取ろうかと,くじを引いてそれを分配した+。25 時はすでに第三時*であり+,彼らは[イエス]を杭につけたのである。26 そして,彼の罪状+を書き込んで「ユダヤ人の王」と記したものが上方に[掲げられた+]。27 さらに,彼らは[イエス]と共に二人の強盗を杭につけ,一人をその右に,一人をその左に[置いた+]。28* ―― 29 すると,そばを通る者たちは彼に向かってあしざまに言い+,頭を振ってこう言うのであった。「ははあ,神殿*を壊して,三日でそれを建てると称する者よ+,30 苦しみの杭から下りて来て自分を救ってみろ+」。31 同じように祭司長たちも,書士たちと一緒になって愚弄し,こう言い合った。「ほかの者は救ったが,自分は救えないのだ+! 32 イスラエルの王たるキリストに,いま苦しみの杭から下りて来てもらおうではないか。我々がそれを見て信ずるためだ+」。一緒に杭につけられた者たちまでが,彼を非難するのであった+。

33 第六時*になった時,闇が全土に垂れこめて,第九時*にまで及んだ+。34 そして第九時に,イエスは,「エリ, エリ, ラマ サバクタニ*」と大声で呼ばわられた。これは,訳せば,「わたしの神,わたしの神,なぜわたしをお見捨てになりましたか+」という意味である。35 すると,近くに立っていた者の幾人かは,それを聞いて,「見ろ,エリヤ*を呼んでいるのだ」と言いだした+。36 しかし,ある者は走って行って海綿に酸いぶどう酒を含ませ,それを葦の先に付けて彼に飲ませようとし+,「構わないでおけ! エリヤが下ろしに来るかどうかを見よう」と言った+。37 しかし,イエスは大きな叫び声を上げて,息を引き取られた+。38 すると,聖なる所*の垂れ幕+が上から下まで二つに裂けた+。39 その時,そばで彼を前にして立っていた士官*は,このようにして息を引き取られたのを見て,「確かにこの人は神の子であった」と言った+。

40 やや離れたところでは女たちも見ていたが+,その中には,マリア・マグダレネ,それに小ヤコブとヨセ*の母マリア,そしてサロメがいた+。41 これらは,[イエス]がガリラヤにおられた時,彼に伴って+仕えていた者たちであった。また,彼と一緒にエルサレムに来ていたほかの大勢の女たちがいた+。

42 さて,すでに午後遅くなっており,しかもそれは準備[の日],つまり安息日の前日であったので,43 議会の聞こえのよい議員であるアリマタヤのヨセフがやって来た。自らも神の王国を待つ人であった+。彼は勇気を出してピラトの前に行き,イエスの体を頂きたいと願い出た+。44 しかしピラトは,彼がもう死んだのだろうかといぶかり,士官を呼び寄せて,彼がすでに死んだかどうかを尋ねた。45 こうして,士官から確かめた上で,遺体をヨセフに与えることにした+。46 そこで[ヨセフ]は上等の亜麻布を買い,彼を下ろしてその上等の亜麻布に包み+,岩塊をくりぬいた墓の中に横たえた+。そして,その記念の墓の戸口のところに石を転がしておいた+。47 しかし,マリア・マグダレネと,ヨセ*の母マリアは,彼の横たえられた所をずっと見つめていた+。

16 さて,安息日+が過ぎた時,マリア・マグダレネ+と,ヤコブの母マリア,それにサロメは,そこに来て彼に油を塗ろうとして香料を買った+。2 そして,週の最初の日+の朝とても早く,記念の墓に来た。その時,太陽はすでに昇っていた+。3 そして彼女たちは,「記念の墓の戸口から,だれがわたしたちのために石を転がしのけてくれるでしょうか」と言い合っていた。4 ところが,見上げると,その石は,非常に大きなものであったのに,すでに転がしのけてあったのである+。5 記念の墓の中に入ると,ひとりの若者が白の長い衣をまとって右側に座っているのが見え,彼女たちはぼう然とした+。6 その者は彼女たちに言った,「ぼう然とすることはありません。あなた方は,杭につけられた*ナザレ人のイエスを捜しています+。彼はよみがえらされました+。ここにはいません。見なさい,彼を横たえた場所です+。7 しかし,行って,弟子たちとペテロに,『彼はあなた方に先立ってガリラヤに行きます+。彼が話したとおり,あなた方はそこで彼を見るでしょう+』と言いなさい」。8 それで,彼女たちは外に出ると,その記念の墓から逃げるようにして走った。おののきと強い感動とにとらわれていたからである。そして,だれにも,何も話さなかった。恐れに満たされていたのである*+。

短い結び

後代の幾つかの写本および訳本は,マルコ 16:8のあとに,次の短い結びを入れている:

しかし彼女たちは,命じられた事柄すべてを,ペテロのまわりの者たちに手短に話した。さらに,これらのことの後,イエスご自身が,永遠の救いに関する聖なる不朽の告知を,彼らによって,東から西にまで送り出された。

長い結び

古代のある写本(アレ写,エフ写,ベザ写)および訳本(ウル訳,シリ訳ク,ペ)は,下記の長い結びを加えているが,シナ写,バチ写,シリ訳シ,アル訳はこれを省いている:

9 彼は週の最初の日,[朝]早くによみがえったのち,まずマリア・マグダレネに現われた。彼はこの女から七つの悪霊を追い出したのである。10 彼女は行って,彼と共にいた者たちに報告したが,彼らは嘆いたり泣き悲しんだりしているところであった。11 しかし,[イエス]が生き返り,彼女がそれを見たと聞いても,彼らは信じなかった。12 なおまた,これらのことの後,[イエス]は,彼らのうちの二人が歩いているところに別の姿で現われた。ふたりは田舎に行くところであった。13 ふたりは戻って来て,ほかの者たちに報告した。彼らはこれらの者たち[のことば]も信じなかった。14 しかし,後に彼は,十一人が食卓について横になっているところに現われ,彼らの信仰のなさと心のかたくなさとをとがめられた。今や死人の中からよみがえった[イエス]を見た者たち[のことば]を信じなかったからである。15 それから彼らにこう言われた。「世界じゅうに行って,良いたよりを全創造物に宣べ伝えなさい。16 信じて,バプテスマを受ける者は救われます。しかし,信じない者は罪に定められるでしょう。17 さらに,信じる者には次のしるしが伴うでしょう。すなわち,彼らはわたしの名を使って悪霊たちを追い出し,いろいろな国語で語り,18 またその手で蛇をつまみ上げ,死を来たらせるようなものを飲んでも,それは彼らを少しも損なわないでしょう。彼らが病人の上に手を置くと,その人々はよくなるでしょう」。

19 このようにして,主イエスは,彼らに話されたのち,天に上げられ,神の右に座られた。20 そこで,彼らは出て行って至る所で宣べ伝え,一方,主は彼らと共に働き,伴うしるしによって音信に後ろだてを与えられた。

「マルコ」。ギ語,マルコン。ラ語のマルクムに由来。

または,「イエス・キリストの」。

「良いたより」。または,「福音; 良いおとずれ」。ギ語,エウアンゲリウー; ラ語,エーウァンゲリイー。

「使者」。または,「み使い」。

付録1ニ参照。

「バプテスマを施す人」。または,「浸礼を施す人; 浸す人」。ギ語,バプティゾーン。

または,「自分の中に」; すなわち,自分の中に入る。

または,「活動する力」。ギ語,ト プネウマ; エ17,18,22(ヘ語),ハールーアハ。創 1:2,「力」の脚注参照。

慣用句; 反発的な質問。付録7ロ参照。

字義,「彼」。

字義,「彼」。

「花婿の友人たち」。字義,「婚礼の部屋の子ら」。

「祭司長アビヤタルに関する記述の中で」。字義,「祭司長アビヤタルに関して(のところで)」。ベザ写,ワシ写,古ラ訳諸写,シリ訳シ,およびマタ 12:4とルカ 6:4は省いている。マル 12:26; ルカ 20:37における同様の構文と比較。

または,「供えのパン」。

または,「命」。ギ語,プシュケーン; ラ語,アニマム; エ17,18,22(ヘ語),ネフェシュ。付録4イ参照。

または,「ヘロデ党の者たち」。

「ボアネルゲス」。シ語,ベナイ レグシ; エ17(ヘ語),ベネー・レゴーシュ; エ18(ヘ語),ベネー・ラーゲシュ。

「ベエルゼブブ」,ウル訳,シリ訳ペ,エ18; シナ写,アレ写,エフ写,ベザ写,ワシ写(ギ語),ベエルゼブール; バチ写(ギ語),ベエゼブール; エ22(ヘ語),バアル・ゼヴール。

または,「たとえ話」。

または,「事物の秩序」。ギ語,アイオーノス; ラ語,サエクリー; エ17,18,22(ヘ語),ハーオーラーム。

「ゲラサ人」,シナ写*,バチ写,ベザ写,ウル訳; アレ写,エフ写,シリ訳ヘ,ペ,「ガダラ人」。

慣用句; 反発的な質問。付録7ロ参照。

付録1ニ参照。

または,「“十都市”」。ギ語,デカポレイ。

字義,「布告してゆくことを」。ギ語,ケーリュッセイン。13:10の脚注参照。

または,「救われる」。

または,「あなたを救いました」。

「平安のうちに」。ギ語,エイス エイレーネーン; ラ語,イン パーケ; エ17,18,22(ヘ語),レシャーローム。

「ヨセフ」,シナ写,ウル訳; アレ写,エフ写,シリ訳ヘ,ペ,「ヨセ」; バチ写,ベザ写,「ヨセトス」。

「証し」。ギ語,マルテュリオン; ラ語,テスティモーニウム。

字義,「彼の」。

「人々は」,バチ写,ワシ写; シナ写,アレ写,エフ写,シリ訳ヘ,ペ,シ,「彼は」。

または,「浸礼を施す人; 浸す人」。ギ語,バプティゾーン。

字義,「千人隊長たち」。ギ語,キリアルコイス,「千人の兵士の司令官たち」; ラ語,トリブーニース。

デナリはローマの銀貨で,1デナリは重さ3.85㌘。

13:35の脚注およびマタ 14:25の脚注参照。

または,「救われた」。

または,「手をこぶしで洗わなければ」。

または,「必ず死なせなさい」。

ギ語,コルバン; ラ語,コルバーン; エ17,18,22(ヘ語),コルバーン。レビ 1:2,「捧げ物」の脚注; ネヘ 10:34の脚注参照。

または,「つまり,奉納の供え物」。

シナ写,バチ写は省いている; アレ写,ベザ写,ウル訳,シリ訳ヘ,ペ,シ,アル訳,「聴く耳のある人がいるなら,その人は聴きなさい」。

または,「汚水溜め; 水洗式便所; 屋外便所」。

シナ写,アレ写,バチ写による; 幾つかの写本,「下水に出て行き,こうしてすべての食物の清いことを示すからです」。

「淫行」。ギ語,ポルネイアイ; ラ語,フォルニカーティオーネース; エ18,22(ヘ語),ゼヌーニーム。付録5イ参照。

「みだらな行ない」。ギ語,アセルゲイア; ウル訳ク(ラ語),イムプディーキティアエ; エ22(ヘ語),ジンマー。ガラ 5:19,「行ない」の脚注参照。

または,「邪悪な目」。

または,「“十都市”」。ギ語,デカポレオース。

または,「舌の束縛」。

または,「その人は視力を取り戻して; その人は再び見えるようになって」。

または,「浸礼を施す人; 浸す人」。ギ語,バプティステーン。

「ペテロ」,シナ写,アレ写,バチ写; シリ訳ペ,「シモン」; シリ訳シ,「ケファ」。マタ 16:18,「上に」の脚注参照。

または,「あなたは,神の思いではなく,人間の思いを抱いている」。

付録5ハ参照。

または,「命」。ギ語,プシュケーン; エ17,18,22(ヘ語),ナフショー(ネフェシュの変化形)。付録4イ参照。

または,「彼らはその言葉を自らにとどめた」。

字義,「彼に」。

「信仰の必要なところで私を助けてください!」 字義,「私の信仰の欠如を助けてください!」

または,「人々の手に裏切り渡されます」。

付録4ハ参照。

シナ写,バチ写,エフ写,ワシ写は省いている; アレ写,ベザ写,「そこでは,彼らのうじは死なず,火は消されないのです」。

シナ写,バチ写,エフ写,ワシ写は省いている; アレ写,ベザ写,「そこでは,彼らのうじは死なず,火は消されないのです」。

または,「もし塩が塩気なしになることがあるなら」。

「[神](彼)」,シナ写,バチ写,エフ写; アレ写,ベザ写,ウル訳,シリ訳ヘ,ペ,シ,アル訳,「神」。

字義,「妻から解いて」。マラ 2:16の脚注参照。

「永遠の命」。ギ語,ゾーエーン アイオーニオイ; ラ語,ウィータム アエテルナム; エ17,18,22(ヘ語),ハイエー オーラーム。

または,「事物の秩序」。ギ語,アイオーニ; エ17,22(ヘ語),ウーヴァーオーラーム,「そして……事物の秩序で」。

または,「浸礼; 浸すこと」。ギ語,バプティスマ。

または,「命」。マタ 20:28,「魂」の脚注参照。

「ラボニ」。ヨハ 20:16参照。

または,「あなたを救いました」。

字義,「ホサナ」。ギ語,ホーサンナ; エ7-14,16-18,22(ヘ語),ホーシャ・ナー,「救いたまえ」。

付録1ニ参照。

「来たらんとする,我らの父ダビデの王国」,シナ写,バチ写,エフ写,ベザ写; アレ写,シリ訳ヘ,「主の名において来る,我らの父ダビデの王国」; エ7,8,10-14,16,17,「エホバの名において来る,我らの父ダビデの王国」。

「上なる高き所にて」。または,「いと高き所にて」。

シナ写,バチ写,ワシ写,シリ訳シは省いている; アレ写,エフ写,ベザ写,ウル訳,シリ訳ペ,「しかし,もしあなた方が許さないなら,天におられるあなた方の父もあなた方の罪過を許されないでしょう」。

付録1ニ参照。

または,「ヘロデ党の者の」。

または,「皇帝」。ギ語,カイサリ。

6:37の脚注参照。

字義,「与え返しなさい」。

付録1ニ参照。

付録1ニ参照。

または,「(あなたの)命」。ギ語,テース プシュケース スー; エ17,18,22(ヘ語),ナフシェカー。

付録1ニ参照。

付録1ニ参照。

「市の立つ広場」。または,「集会の場所」。

「宝物庫の箱」。または,「神聖な宝物庫」。

字義,「銅[銭]」。

「小さな硬貨二つ」。字義,「二レプタ」。レプトン(レプタの単数形)はユダヤ人の最小額銅貨または青銅貨。付録8イ参照。

字義,「それはクワドランスである」。ローマの銅貨もしくは青銅貨で,その価値は1デナリの64分の1とみなされている。付録8イ参照。

「終結」。または,「共通の終わり」。マタ 13:39,「終結」の脚注参照。

または,「完了した終わり; 完結した終わり; 最後」。ギ語,τέλος(テロス)。

または,「敵対するようかき立てられ; 敵対して奮い起こされ」。

「地震」。ギ語,セイスモイ。

または,「小サンヘドリン」。

「証し」。ギ語,マルテュリオン; ラ語,テースティモーニウム。

「宣べ伝えられ」。または,「布告され」。ギ語,ケーリュクテーナイ; ラ語,プラエディーカリー。ダニ 5:29,「布告した」の脚注と比較。

7節の脚注参照。

字義,「今まで」。

付録1ニ参照。

「来る」。ギ語,エルコメノン。

「世代」。ギ語,ゲネア; ペテ一 2:9のゲノス(「種族」)とは異なる。

「一日も遅くなってから」。ギリシャ人とローマ人の用いた夜間の区分法による最初の見張り時で,日没から午後9時ごろまで。

「真夜中」。ギリシャ人とローマ人の用いた夜間の区分法による2番目の見張り時で,午後9時ごろから真夜中まで。

「おんどりの鳴くころ」。ギリシャ人とローマ人の用いた夜間の区分法による3番目の見張り時で,真夜中から午前3時ごろまで。

「朝早く」。ギリシャ人とローマ人の用いた夜間の区分法による4番目の見張り時で,午前3時ごろから日の出まで。

6:37の脚注参照。

マタ 26:17の脚注参照。

または,「『契約の血』です」。「です」に相当するギリシャ語は,「意味する; 表わす」という意味を持つ。マタ 26:26の脚注参照。

「それの新しいもの」,すなわち,ぶどうの木の新しい産物。

または,「賛歌; 詩」。ハレル詩編に違いない。詩 114:1の脚注参照。

アラム語で,「父」または「父よ」の意。ギ語,アッバ; エ17,22(ヘ語),アッバー。

または,「間違いなく」。

または,「薄着のまま」。マタ 25:36の脚注参照。

または,「神の住まい(住居)」。ギ語,ナオン; ラ語,テンプルム; エ17,18,22(ヘ語),ハヘーカール,「宮殿(神殿)」。

「来る」。ギ語,エルコメノン。

または,「わたしはあなたの言っていることを知らないし,理解もできない」。

または,「彼を杭(柱)に留めろ」。付録5ハ参照。

13節の脚注参照。

付録5ハ参照。

「“どくろの場所”」。ギ語,クラニウー トポス; ラ語,カルウァーリアエ ロクス。

「第三時」,すなわち,午前9時ごろ。

シナ写,アレ写,バチ写,エフ写,ベザ写は省いている; ウル訳,シリ訳ヘ,ペ,「こうして,『そして彼は不法な者たちと共に数えられた』と述べる聖句は成就した」。

14:58の脚注参照。

「第六時」,すなわち,昼の12時ごろ。

「第九時」,すなわち,午後3時ごろ。

「エリ,エリ,ラマ サバクタニ」。詩 22:1,「お捨てになったのですか」の脚注と比較。

「わたしの神はエホバ」の意。エ17,18(ヘ語),エーリーヤーフー。

14:58の脚注参照。

または,「百人隊長」。ギ語,ケンテュリオーン; 100人の兵士を指揮する士官。

「ヨセ」,シナ写*,アレ写,エフ写,シリ訳ヘ,ペ; シナ写c,バチ写,ベザ写,「ヨセトス」; 古ラ訳,ウル訳,シリ訳シ,「ヨセフ」。

「ヨセ」,エフ写,シリ訳ヘ,ペ; シナ写c,バチ写,「ヨセトス」; アレ写,ウル訳,「ヨセフ」。

または,「杭(柱)に留められた」。付録5ハ参照。

レギ写019(8世紀のレギウス写本)には8節の後に長い結びと短い結びの双方が付されている。短い結びが先に置かれ,それぞれの結びの前に,これらの章句が一部の地域に流布しているとの注を付けてはいるが,どちらの結びをも権威あるものとして認めていないことは明白である。

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